エレン達と話をするために、応接室に招き自分とエレンが座る。
「あ、ちょっと待ってくれ。ソウエイと連絡を取る」
『連絡? この結界の中から?』
ダルクが不思議そうにリムルに聞く。
ちなみにダルクの自己紹介は、ここに来るまでに終わらせているが……なんか知らないけど、リムルを終始警戒している様子が良く分からない。
「あぁ、ちょっとコレを使ってね」
リムルがおもちゃを自慢する子供みたいに笑って、自分達に見せてくれたのは粘鋼糸で作られて糸だった。
「あぁ糸電話!?」
「さすがウィン。そう糸電話の要領で話そうってワケだ」
『糸、電話ってなに?』
『俺に聞くな、こういうのはアウスの仕事だろ』
『ボクに聞かれても知らないからね!?』
【ソウエイか】
【ご無事でしたか、安堵致しました】
【わぁ‼ 本当に繋がった!?】
【ウィン様も……お戻りになられたのですね】
【あ~、うん。御免ね心配かけて】
【いえ】
【スマン、いろいろあって連絡する余裕がなかった。それで、見つけたたか?】
【はっ、ウィン様が暴れ回ったおかげで、全ての場所は把握できております】
【ウィン……お前】
リムルから複雑そうな視線を向けられ、慌てて誤魔化すように笑ってしまう。
【あはは……、ささ自分の事は気にせずに続けて続けて】
【街の四方に西方聖教会の騎士集団が陣取っています。ウィン様を警戒しているようでして、多くの兵が警戒態勢で常に。守りは一ヶ所につき規模は中隊程度。それぞれ、魔法装置と思しきモノを守っていて、どうやらそれが街を覆う結界を作り出しいるようです】
【無力化できそうか?】
【不意を突けば、一角くらいは】
【分かった、無理することはない】
【そうだね、やるなら一気に全箇所を同時攻撃の方が良いと思う。多分、今は自分のせいで自陣から出ないと思うし】
【たしかにそうだな……ソウエイ、今は周囲の警戒を怠らないようにしてくれ】
【御意】
ある意味、暴れ回っていた自分が何時、何処に攻め込んで来るかわからない相手側からしたら、ただただ精神を擦り減らしている状況は、こっちとしては好ましい。
集中力が切れ始めた時を狙って、全箇所に一斉に攻め込めば、効果的に相手を殲滅できるだろうしね。
「待たせたなエレン。聞かせてくれ、死者蘇生のお伽噺を」
「……うん。でも、その前にちょっと待ってね」
そうエレンが言うと、両耳に手を宛がって淡い光が見えたかと思うと、耳が長細く伸びている。
「……エルフ?」
『あら、そっちの方が可愛いじゃない』
「えへへ、ありがとうライナさん。……これは魔道王朝サリオンに伝わるお伽噺。ある少女と竜の物語……」
この世に四体のみ存在する“竜種”。
その最初の一体が大地にて人間との子を生した。
わが子に力の大半を譲渡することとなった最初の竜種は、残る全ての力を結晶化させ、自分の分身体ともいえる小竜を生み出した。
そしてその小竜を我が子――竜皇女へと贈ったのである。
幼い竜皇女はすぐに小竜と仲良くなった。
平和な日々は永遠に続くかと思われたが――、
ある刻、悲劇が起きる。
栄華を極めた魔法大国が竜皇女を支配しようと目論み、小竜を手に掛けたのだ。
竜皇女は嘆き悲しみ、そして怒り狂った。
父より受け継いだ、その力は凄まじく。
一帯が焦土と化しても、その怒りは収まらなかった。
一柱の魔王と精霊女王の力でようやく正気を取り戻した頃、かつての大国は見る影もなく、栄華は過去のものとなった。
望んだわけではなかったが十数万の命が生け贄となり、竜皇女は魔王へと開花した。
すると奇跡が起きた。
小竜は竜皇女の魔王化に伴い、死して尚、進化したのだ。
立ち上がろうとする、その姿に竜皇女は喜んだ。
しかし奇跡は望む形ではなかった。
混沌竜。
死と同時に魂を失った小竜は、意思のない邪悪な竜へと変貌してしまったのだ。
他を顧みることもなく破壊の限りを尽くすその様は、まるで友を失くした皇女自身のようだった。
恐れ逃げ惑う人々の中、ただ一人竜皇女だけは理解した。
友はもう、そこに居ないのだと。
そして自らの手で友の亡骸を封じた。
それが魔王になった竜皇女の、最初の偉業となった。
==物語は、これでおしまい。
一国を滅ぼし、魔王に進化……そして、それに伴う絆ある小竜の復活。
【リムル……これって、さ】
【あぁ、竜皇女ってミリムのことだよな】
でも確かに、お伽話のように魔物達は意味不明に進化する。
名前をつけただけで、大騒ぎだった。
「……しかし、意思のない怪物になられても意味がない」
「うん、問題は魂の有無だと思うの」
「魂……」
「魂」と言えば、自分やリムルは、この世界に転生している。
それに……ヒータやエリア、自分がカードの精霊として生み出して来た彼女達の存在が身近にあるから、その存在を疑う事は決してない。
【自己としての意志ってところか】
【なんでこっちを見て言う?】
〈是。より正確には「自己を確立する根源」と定義されています〉
『ここで言う「魂」と、その器であるアストラルボディー「星幽体」を含む感じね』
『魂は、根幹。力の源。意思。物質体をマテリアル・ボディーと言い。
まぁ簡単に表現するなら、肉体のことだ。
続けて精神体、こっちをスピリチュアルボディーと言い。
物質体と重なるように存在する記憶の記録装置だとでも思えば想像し易いだろう。
最後に星幽体。アストラル・ボディー。
魂の器であり、思考するための、演算装置と考えてもらえば、いいだろう』
「大賢者」さんが説明してくれている横から、補足として説明を付け足してくれるライナとダルクが、何故か知らないけど「大賢者」さんと張り合うように語ってくれる。
リムルはそれを聞きながら、頭の中で色々と整理している様子だ。
「竜皇女の小竜は魂が戻らなかったため、意思はなく思考もできなかったってことか」
「だと思う」
「それだと、皆の魂がいま何処にあるかって事になる?」
「うん、ウィンちゃんの言う通りなんだけど……この街は今、結界に覆われているでしょう? ひょっとしたらだけど……、シオンちゃん達。まだここに居るんじゃないかなぁ」
〈告。絶命した者達の魂は、本来拡散して消滅するのですが、二種の結界に阻まれ残存している可能性はあります〉
「大賢者」さんの報告を聞いて、思わずリムルと顔を見合わせてた。
〈その確率――――3.14%〉
「円周率かよッ‼」
「ぷっ……ふふ」
「笑うなウィン‼」
『なに、どういうことよ?』
『だから困ったからってボクに聞かないでよ……ただでさえ話を理解するので一杯一杯なんだからさ』
「リムルさん? ウィンちゃん?」
「いや、なんでもない」
なんか緊張が少し緩和されたせいか、リムルのツッコミがツボに入ってしまった。
『まぁ、アレだ……そんだけありゃ十分高いだろ』
確かに、零だった可能性が3%以上もある。死から蘇生できる可能性があるだけでも、それは遥かに高いと言える。
〈告。個体名ウィン・テンペストのスキル「生霊の魂」と「遊戯王」の力を使えば、蘇生の可能性は飛躍的に上がる可能性があります〉
『……ここぞとばかりに……でも、今回はしょうがないわね』
『はぁ、面倒事が増えるなぁ』
「二人共……ありがとう」
ライナが自分の頭を撫でながら、笑いかけてくれる。
『ふふ、良いわよ。ウィンの為だしヒータも頑張ったんだから』
『でもよ、良いのか? 少なくともお伽話を信じるならば。お前らが魔王になる必要があるんじゃねぇのか?』
「――エレン。教えてくれて、ありがとう。でも、いいのか? 俺に、俺達に魔王になれって言ったのと同じだぞ?」
「あ、そうか……」
「……うん。私ね、本名はエリューン・グリムワルトって言うの。サリオンの王家に連なる家系なんだぁ」
「マジで!?」
「自分達に肩入れしちゃって、大丈夫?」
「自由な冒険者に憧れて、この二人と国を出たの」
「え? ってことは二人共?」
「まさかお前達も王家の……?」
「「いやいや」」
カバルとギドは二人で笑いながら否定している。
「俺らは護衛ですよ。さすがにお嬢様の一人旅は危険すぎますからね」
「むしろカバルのせいで命の危険を感じることも、あるのよね……」
「ぐっ……‼ だって魔物の巣があったらとりあえず、様子見で突っつくだろ⁉」
「それは、様子見とは言わないでやす」
【リムル……あの三人をみてるとホッとするね】
【全くだな、護衛と聞いて実はビジネスライクな間柄なのかと思ったが、三人の関係は見た目通り「仲間」なんだろう】
「ねぇリムルさん、ウィンちゃん。多分ね、二人が魔王になったら私が関与してるのは国にバレると思う。さっきの話はサリオンでも一部の人しかしらないから。国へ連れ戻されるのは時間の問題。だからそれまでは、ここに居させて欲しいの」
「もちろんだ、見届けてくれ」
「うん、エレン達には見ていてほしい」
「何かあったら呼んでねぇ」
「ほら、エレン。耳しまえって」
魔王の誕生に協力したとなれば、エレンの立場は厳しいものになるだろう。
それを覚悟の上で、情報をくれた彼女が連行されるのを静観するつもりはない。
【リムル、やりきろうね】
【あぁ、エレン達の為にもな】
次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで
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