心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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127話 魔王種と進化の条件

 

 

 

 

 

 

 リムルと一緒に中央広場へとやってきた。

 

「魔王だって」

「……魔王、か」

「ミリムにはならないって言ったのにね」

「あぁ、だが……それしかシオンやヒータを救う手立てはないからな」

 

 シオンの横にはリムルが立ち、自分は横たわっているヒータの頬を撫でながら、中央広場に横たわっている住人達を見る。

 

〈告。個体名リムル=テンペスト及び、個体名ウィン=テンペストは既に魔王種を獲得しています〉

 

【魔王種?】

【獲得って、どういうことだ大賢者?】

 

〈解。魔王種の有無は、魔素量、保有スキル等が真なる魔王として覚醒するに足るか否かを指します。豚頭魔王を捕食した時点で獲得していました。条件を満たせば、真なる魔王へと進化が可能で〉

 

【ホント⁉】

【それで、条件ってなんだ?】

 

〈お伽話から推測するに、種を発芽させるには養分が必要です。

 養分となるのは人間の魂。

 必要となるのは一万名分以上と推測――個体名ウィン=テンペストは、推定の半数は保有しています〉

 

 リムルは「大賢者」さんの話を聞き驚きと戸惑いの表情をして、自分の方に勢いよく顔を向けてきた。

 ちょっとどういう顔をすればいいのか分からず、リムルの顔から視線を逸らせて苦笑いをしているくらいしか、できなかった。

 

 怒りで我を忘れていたから、どれだけの人を殺したかなんて気にしていなかったけど……そうか、自分はそんなに命を奪っていたのか。

 

【オレも魔王になるには一万人以上の人間を殺す必要があるってことだよな?】

 

〈是。ですが、個体名リムル=テンペストの意思が介在していれば他の者に任せても問題ありません〉

 

「……そうか」

「リムル、別に無理しなくても――」

「主よ……」

 

 ランガが心配そうにリムルの影から顔を覗かせる。

 

【いや、……考えてみれば酷い話だよな】

【え? えっと……なにが?】

【スライムに転生してからも、俺の判断基準はかつて三上悟だった頃の常識が根底にあった】

【それって……前世、地球の頃の名前?】

【ああ、そうだ】

 

「……魔物の基本理念は弱肉強食なのにな」

「それを言ったら自分もだよ? 別にリムルのせいだけじゃない」

「シオンだけじゃない、この国の者は皆そんな俺達の考えに従い――そして、殺された」

「そうだね」

「ウィン、心配してくれるのはありがたいが……俺の決断だ。それにシオン。俺の決断に納得いかないかもしれないけど、今回は俺自身の手でケジメをつける」

 

 覚悟を決めたリムルの顔は冷たい目をしていた。

 

「はい、アウト」

 

 そんなリムルに思いっきり力を籠めて眉間にデコピンをかましてやる。

 

「痛ったッ⁉」

「もう片足を突っ込んじゃってるんだから、そこは俺達って言ってくれないとダメだよ。やるなら一緒でしょう? ね、相棒さん」

 

 リムルの胸に軽く拳を当て、リムルの目の前に立ちながら彼の目をしっかりと見つめる。

 

「お互いに、今後一切の甘えを、己に許さない為にも二人でやろうよ。ヴェルドラから名前を貰った時から、一緒にやってきたんだから、さ」

「いいのか? お前だって――」

「お互い様かな?」

 

 微笑みながらリムルに言うと、自分の笑顔につられてくれた様に笑い返してくれる。

 

【リムル様、ウィン様】

【ソウエイか、何かあったのか?】

【はっ、トレイニー殿から連絡が、ファルムスと西方聖教会の連合軍が我等の領土へと進行中とのことです。その総数。およそ4万……】

【へぇ……4万?】

【はい、おそらくウィン様が暴れ回った事で、急遽集められたのではないかと。後続が離れた位置に居ますし、有り合わせという感じの風貌でした】

 

 来た道をゆっくり戻りながら蒼影の話を聞いていた自分達は、チラッと視線を合わせて頷き、少しだけ口角が上がってしまった。

 

【……そうか、良かった】

【ふふ、これで抜け駆け無しでお互いに足りそうだね】

【良かったとは……? それにウィン様まで……足りる?】

【あぁ、流石に二人に分けていたら不足しているかもしれなかったけどな。十分足りそうだと安心しただけだ】

 

〈告。街を覆う二種の結界の解析が完了しました。大魔法「魔法不能領域」の解除は可能ですが、他方、複合結界は解除困難です〉

 

【弱体化を引き起こしてる複合結界の方は無理なんだ?】

【まぁ、仕方ないだろう】

 

〈大魔法の解除を実行しますか?〉

 

【いや、まだいい】

【結界が二重だと、ヒータやシオン達の魂が拡散しちゃうかな?】

【それなら――】

『そういうのはアタシ達にまかせなさいよ。これからの為に力を溜めなきゃいけない二人が、余計な力を使うんじゃないわよ』

『俺もやんのか?』

『当り前でしょう、ボクらがやらなきゃ誰がやるのさ?』

『そうそう、ハレちゃん達の御巫メンバーは避難所の結界維持で大変なんだから。レイちゃんは街の防衛に出てもらってるんだし、私達がやらなくてどうするの~?』

 

「そうか……じゃあライナ達に任せていいか?」

『ふふん、任せときなさいよ』

 

 リムルがやろうとしている事を察して、ライナ達が杖を取り出して杖の先を四人がクロスさせるように合わせて、三つ目の結界を作り出した。

 

「これで魂の拡散は、防げる?」

『ふん、当たり前……あん? なんだこの感じ?』

『ちょっとリムル、アナタのスキルに解析を頼んでもらえる?不明な波長があるのよね』

 

〈告。第三の結界に反応する不明な波長が検出されました〉

 

「不明な波長ねぇ」

「なにそれ? なんでそんなのがあるの?」

 

 自分は良く分からず皆の顔を見回すと、エリアは心当たりがあるのか知らないけど、心配そうな顔をして、チラチラと宿の方角を見ていた。

 

〈暗号化された電気信号と推測、解読しますか?〉

【頼む】

 

 ライナ達が結界を張ってくれたのだけど、いきなりだった事もあり、事情を知らないリグルドや紅丸が慌てた様に、こちらへと走ってきている。

 

「リムル様‼ ウィン様‼」

「この結界は……」

「心配ない?」

「ライナ達が張ってくれたものだ、警戒する必要はない」

「そうですか」

 

 安堵した様子で胸を撫でながら、紅丸がライナ達を見る。

 

「一言くらい声を掛けてくれても良かったんじゃないか?」

『あら? この事態のままにしておくわけにもいかないでしょう』

 

 ジト目でライナを見つめる紅丸と、ライナは紅丸を揶揄うようにして笑っている。

 

「まぁまぁ落ち着いて?」

「さて、リグルド。皆を集めておいてくれ」

「は……はい‼」

「会議を行う。議題は今後の人間に対する振る舞いについてと――」

「ヒータやシオン達、皆の蘇生について、だよ」

 

 リグルドと紅丸が目を見開いて自分とリムルの事を見てくる。

 

「……はいっ‼ 直ちに招集します‼」

 

 リグルドがあふれ出そうになる涙と鼻を啜りながら、目を擦って勢いよく駆け出して行った。

 

「あんまり驚かれなかったな。おかしくなったと心配されるかと思ったのに」

 

 確かにリムルの言う通り、自分もそんな感じでリグルドや紅丸に変に思われるかもと思っていたけれど、そんなことなく、すんなりと受け入れている様だった。

 

「……まぁ、予想はしてたんで」

「予想?」

 

 リムルも紅丸の言葉が意外で、首を傾げながら自分と二人して紅丸やライナ達を見る。

 

「俺達は皆「リムル様とウィン様なら或いは」と思っていましたからね」

「……そっか」

「それに、ウィン様なんて寂しがり屋じゃないですか。誰かと遊ぶのが大好きなお人が、シオン達のこんな状況を放っておくはずがありませんしね」

「ちょっと紅丸!?」

『確かにね~』

『とんだ甘ちゃんだからな、ウィンは』

『全くだよね、見てて心配になるアタシの気持ちも考えてほしい』

「それに関しては否定できないだろう、ウィンは遊ぶことに命を懸けてるからな」

「もう、皆して‼」

 

 さすがに恥ずかしくって顔が熱くなってしまう。

 

 

「ははは、ですが……だからこそ、俺達はリムル様やウィン様のお側に居たいと思うんですよ」

 

 

 紅丸も皆も笑いながら頷いてくれている、今の雰囲気は……ちょっと懐かしく思える。

 テンペストに帰って来てから、しっかりと笑う事すら忘れていたんだなって、改めて思う。

 

「さて、先ずは彼女から事の経緯を聞き出し、処遇を決めるぞ」

『私も行くよ。色々と面倒そうだけど、大丈夫~?』

「エリアが居てくれるなら、まぁ大丈夫じゃないか?」

「ねぇ、自分は良く解ってないんだけど?」

「ヨウムの思い人であり、この騒動に関りがある人物ですよウィン様」

「あぁ、ミュウランって人?」

「そうです。いまはエリア様の水霊術で拘束してもらっています」

 

『ん~、まぁウィンも居るし。いざって時には何とかなるかな~……でも、リムル君の事も信じてるから、頑張ってね』

 

「あぁ、できる限りのことはやってみるさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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