ロゼのカードを閃刀姫のデッキホルスターに仕舞い込むと、すぐに眠気が襲って来た。
『ウィン、進化の条件に必要な条件が揃ったみたいね』
【ライナ?】
ライナの声だけが頭に響いてくる。
〈告。個体名ウィン=テンペストのタネのハツガに必要なヨウブンを確認しました〉
『タネのハツガにヨウブンね……なんともまぁ、面白い表現をするじゃねぇか……ウィン、大丈夫そうか?』
【ダルク?】
ダルクも、ちょっと心配そうな声で話しかけてくるが、すぐに返答できるほど今はあんまり頭が回らない。
『これは、ダメっぽいわね』
『どうした? いまはどんな状況だ?』
【なんか……物凄く眠い】
フラっと足元もおぼつかない感じで、その場に座り込んでしまう。
リムルも同じ感じを味わっているのだろうか……それよりも、こんな死体だらけの場所で眠るなんて、流石に嫌だ。
【とりあえず、アペライオとカンナホークを召喚して……帰る、ね】
『そうしなさい、気を付けるのよ』
デッキホルスターのデッキを引き抜いて、フラフラする揺れる視界で必死にデッキの中からアペライオとカンナホークのカードを探し出す。
「はぁ……んと、召喚……」
探し出したカンナホークとアペライオのカードを手に取って、すぐに二体を召喚すると、二体とも自分に寄り添うように支えてくれる。
【これは……主よ、大丈夫ですか?】
「うん、ただ、眠いだけ?」
【我らの使命はいかに?】
「とにかく、カンナホークは自分をテンペストまで運んで欲しい」
【御意に】
【自分はどうしましょうか?】
「アペライオは、周囲の警戒と……リムルの居た場所を少し見てきて欲しいかな、リムルが居なければ、早めにテンペストまで戻って来て、街の警備に加わって」
【了解です‼ それでは主よ、少し失礼しますぞ】
アペライオが自分の身体の下に潜り込んで押し上げながら、カンナホークの背中へと乗せるための手助けをしてくれる。
なんとかカンナホークの背中に乗り、自分を気にしながらカンナホークはゆっくりと飛び立った。
▲△▲△視点:ダルク▲△▲△
なんか良く分からない闇の波動を感じて飛んで来てみれば、リムルが悪魔を召喚していたようだった。
ウィンから感じ取った状況を見るに、リムルの方も同じように睡魔みたいになっているのだろう。なんか人型から溶けかけたスライムって感じだしな。
にしても……何だあの悪魔。
力的には俺が憑依覚醒をして良い勝負が出来るくらい強いんじゃないか。
特に真ん中に立つ顔が良い男の強さは……実際に戦ってみないと分からない。
『リムル……お前の方もウィンと同じ状況っぽいが、大丈夫なのか?』
「あ、ダルクか……あぁ、お前も居るならちょうどいい。コイツらと一緒にあそこに居る二人を捕まえて、街の牢獄に入れていてくれ。あと、一人逃げたヤツが居る、そいつの始末もこいつ等と協力してほしい」
『ふむ、了解した。ウィンの方もハーベストフェスティバルとやらが始まるようでな、カンナホーク達がテンペストまで連れて来てくれている』
「そうか……ウィンも成功したか……分かった、あとは、頼む」
『ランガは、先にリムルと共に戻っていてくれ。俺が街の皆との顔つなぎはしておく、リムルをしっかりと頼む』
【言われるまでもない‼ ダルク様。この場は任せるぞ‼】
「実に素晴らしい‼ これほどの供物。そして初仕事、あぁ……光栄の極みで少々張り切ってしまいそうです。今後ともお仕えしても宜しいのでしょうか?」
なんかリムルのヤツ……変な悪魔を召喚したんじゃないだろうな。
いや、悪魔なんて大体が真面なヤツなんていないか。
「話は後だ、まずは役に立つと証明して見せろ」
「容易いことでございます。安心してお休みください……」
そういうと、召喚された悪魔たちがリムルの前に跪いて頭を下げた。
「偉大なる召喚主」
『そろそろ限界みたいだな』
「そのようですね。大切にお運びしてください。この上なく尊いお方ですので」
若い顔の整ったイケメンな男がリムルを大事そうに持ちながら、ランガに咥えさせる。
「承知している。ではダルク様‼ 後ほど」
「……さて、先輩という感じで宜しいのでしょうか、ダルク様」
『あ~、まぁ俺は、あのリムルと肩を並べているウィンって方に仕えてる者だ。後で紹介してやるよ』
「それはそれは‼ 貴方ほどの力を持った者を召喚できる方ですか‼ 早くお会いしたいですね……ですが、その前に、我が主から仰せつかった任務を遂行しなければ」
『だな、早く済ませて帰るぞ』
「えぇ、始めましょう。初仕事……完璧にこなしてお褒め頂かなくては」
『まぁ……なんだ。お前がしっかり仕事をこなしたらリムルに口添えして、傍仕えにでもしてもらえるように頼んでやるよ』
「その約束、しかと守ってもらいますよ」
『なんならウィンも居るからな……あのお人好しなら、お前のこともすんなり受け入れるだろうぜ。それは絶対だって保証してやるよ』
「ふふふ、これはこれは、楽しみが沢山できてしまいましたね」
さっきから一人、息を殺しているようだけど。
バレバレなんだよなぁ。
「手出しは無用でお願いします」
『了解、こっちの二人は俺が縛って見張っといてやるから、気にせず好きにやって来いよ』
「ふふふ、心強いです。それではお言葉に甘えて、少し遊んできます」
『あぁ、どうせその体の動きも確認しときたいんだろう? 気にせず遊んで来い。殺さなきゃ問題ないだろ。そういう約束してたしな』
「やはりダルク様、貴方とは気が合いそうです」
笑いながらも、目の前の悪魔はしっかりと逃げた敵の場所を把握しているようだ。
しかもさっきまでいた二人は、空間転移でもしたのか……もう居ない。
「ほう「空間転移」かよ。お主ら上位悪魔にしてはかなり古参のようじゃのう」
「クフフフ、しっかり準備運動しましたか? お前達は下がりなさい。この者の相手は私がしましょう。主の命により、貴方を拘束させて頂きます。抵抗したければ、お好きにどうぞ――――ただし、痛めつけることを止められておりませんから、ご注意を」
やっぱり遊ぶ気満々だな、あの悪魔。
「舐めるでないわ‼」
男が指先で何やら陣を作り出しながら、両手から炎系の魔法を勢いよく放つ。
「ニュークリアカノン‼」
悪魔の男は人間の男から放たれた魔法を、息を吹きかけて空高く逸らしていった。
『あ……なんだよ、俺が手を出すまでもなさそうだな』
偵察をしてただろう小さな存在を、相手の魔法を利用して消し炭にしやがった。
こっちをチラ見してニコッと微笑むあたり、後でリムルやウィンに自分の力を売り込んでおけというアピールだろうな。
用意周到なこって。
「なかなか見事な魔法です」
パチパチと心にもない称賛を、人間の男に送る。
「終わりですか?」
「いいや、まさか」
人間の男は屈んで地面に両手を押し当てるようにすると、今度は土で出来た騎士を作り出して、精霊を召喚しだした。
「根源たる大地の精霊よ。あの悪魔を打ち滅ぼせぃ‼」
「なるほどなるほど、確かに悪魔は天使に強く、天使は精霊に強く、精霊は悪魔に強い」
力の因果関係を説明してくれているが……あの程度じゃ、あの悪魔の男には傷一つ付けられねぇだろうな。
力の問題もあるが……精霊が若すぎだ。
「この三竦みの関係から選択するならば、上位精霊を呼び出したのは正解です――ですが、若すぎます」
簡単に精霊の体を作っているコアを擦れ違うように抜き取り、簡単に倒してしまう。
「ほらね。経験が足りない……。こんなレベルではなく、あちらに居る方くらいの精霊でなければ、つまらないのですがねぇ」
俺の方を見ながら微笑み、男の視線を誘導する。
「なっ‼ もう一人……」
「力だけの木偶の坊なんて私の敵ではありません。さて、マスター様より頂いたこの身体をもっと試したいので、次は趣向を変えましょう」
悪魔の男は指先を空に向けながら、指を鳴らしてアンチマジックエリアを展開させていく。
『おいおい、俺も居るんだが?』
「クフフ、貴方にはこれぐらいでは無意味でしょう」
『たく、確かに問題はねぇけどよ……まぁ良いや、こっちは終わってっから早くしろよ?』
「えぇ、それでは……準備は整いました。今度は物理的にお好きな攻撃をしてみてください」
「……よかろう」
人間の男が一足で悪魔に接近し、拳を突き出して顔を狙うが、その手を簡単に掴み力を利用したまま、投げ飛ばす。
頭から落ちそうになるのをすぐさま反対側の手を地面につけて、支えにしてから蹴りを繰り出すが、それも悪魔は簡単に躱す。
なんども鋭い攻撃を繰り返しているが、そのどれもが悪魔に通用しない事を再確認させられるように、人間の男の顔がだんだんと青白く変わっていく。
「そろそろ飽きましたか?」
「き、貴様達の主が何を呼び出したか理解しておるのか‼」
『あ? 知らねぇよ。興味もねぇ。それが仲間なら別に問題なんかねぇだろ? お前、馬鹿なのか? そもそも、お前らが俺達の国に手を出してこなきゃ、何にも起きなかった未来だぞ。根本的に悪いのはお前らだバーカ』
「では、こちらの番ですね」
悪魔の方もあまりに弱くて飽きたのか、速攻で相手に詰め寄り右手を悪魔の手に変えて人間の男に襲い掛かっていく。
次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで
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