心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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141話 ユーラザニアとミリム

 

 

 

 

 

 

 

 リムルと自分が住む家の客間にとりあえず案内して、三獣士の面々と話し合いの席を用意する。

 まだ街の方はごちゃごちゃしているし、家が直るまでは一時的な避難所となっているので、重要な話は自分達の家でするしかない。

 

「魔王への進化、誠におめでとうございます。リムル様、並びにウィン様」

「避難民の事は聞いてるよ、大変な目に遭ったと思うが……あなた方が無事でよかった」

「ありがとう存じます」

「それで……聞かせてくれる? 何があったの?」

 

 アルビスがチラッとフォビオの方に顔を向けて頷く。

 

「ここからは、この黒豹牙フォビオが話させていただく」

 

 

 ==始まりは一週間と少し前、ユーラザニアは魔王ミリムより宣戦布告を受けました。

 

 

「カリオン様、獣王戦士団の出撃準備を整えたのですが、カリオン様はその戦士団を使い避難民の誘導を頼むと……ミリムは一人で相手すると言い、自分達は民を守ることを優先だと命令されました」

 

「なるほど、それでミリムは?」

 

「一週間後に魔王ミリムは予告通りやってきました。カリオン様は一人で魔王ミリムと対峙し、カリオン様が先に猛攻を仕掛けたのですが……多重結界のせいか斬撃が上手く当たらず、忍ばせていた鞭のようなモノで動きを止め、カリオン様の攻撃が届いたかに思えたのですが、魔王ミリムさまも武器を取り出していまして……」

 

「武器?」

「はい、剣です」

 

「あのミリムがねぇ……なんかしっくりこないな」

 

「カリオン様も同じ様子でした。魔王ミリムに何度も話しかけていたのですが、返答が返ってくることがないので、操られてるんじゃないかと言ってました」

 

「え? ミリムが操られる? ちょっと想像できない……」

 

「カリオン様も残念だと言って、百獣化の姿で一気に片を付けようと凄まじい技を魔王ミリムに直撃させたのですが……魔王ミリムも姿を変えてはいましたが、その姿は無傷で、次の瞬間には、我等の都市は跡形もなく……」

 

「よく無事だったね」

 

「命からがらですがね……起き上がった時にはカリオン様は別の魔王フレイに背後からやられ――そして魔王フレイはカリオン様を抱えて飛び去って行きました」

「……なるほどな、事の顛末はわかった」

「ねぇ、聞いて良い? 瀕死だったんだよね?」

「え、えぇ、死にかけましたからね」

「よくまぁミリムの攻撃に巻き込まれて、生きて帰って来たよ」

「どうやって逃げて来れた?」

「拠点移動でどうにか、ここまで来れました。その後はガビル殿達が見つけてくれて回復薬をいただき……本当に感謝しています」

 

 大体の話はわかったけど、なんで連れ去ったんだろう。

 

「連れ去られたのならカリオンは生きているはずだ。救出に力を貸そう」

「自分もリムルに賛成」

「ありがとうございます」

 

 三獣士の面々が頭を下げながら、お礼を言ってくる。

 

「それにしても……ミリムがユーラザニアに仕掛けた意味が解らない? もっと意外と思ったのは一対一の勝負に他人が介入してるのに、許してるのは不自然?」

 

「あぁ、ウィンの言う通りだな。なんか、らしくなんだよなぁミリムのやつ……」

「らしくねぇと言やあ、オレはフレイがフォビオを見逃したのも、腑に落ちない。有翼族は高高度より獲物を狙撃する視力を持ってる。天空女王と呼ばれるハーピィの女王がフォビオに気が付かなかったとは思えねぇんだよな」

 

 スフィアが朱菜から出された飲み物を飲みながら、気になる点を上げてくれる。

 話に出てきた魔王フレイって人物は分からないが、以前ミリムに聞いた話じゃ傀儡の魔王を誕生させる計画に加担していたのは、4人の魔王だったはず。

 

 一人はミリム。

 もう一人はカリオン。

 仮に、魔王フレイがその内の一人とするならば……。

 最後の一人は――。

 

「シオン、ミュウランを連れて来てくれ。あと地図も頼む」

「はい‼」

「リムルも似た感じの考え?」

「なんだ、ウィンもか?」

 

 紫苑がリムルに言われて、すぐに部屋を出ていく。

 

「ところで、そのお茶……すげぇ色だけど、飲めんのか?」

 

 スフィアが自分達のお茶を見ながら言う。

 

「味はうまいんだよ、味は。あ、客人用はシュナが淹れたやつだから大丈夫だぞ」

 

 

 ★☆★☆  ★☆★☆

 

 

 紫苑にミュウランを連れて来させて、ユーラザニアの三獣士達と話し合いの席に座らせて、自分とリムルが気になってる事を聞く。

 

 ズバリ、クレイマンの事だ。

 

「――――ええ、それは確かです。クレイマンは魔王ミリムに接触を図っていました。私の印象になりますが……ミリム様の宣戦布告は想定外のようで、苛立っていたように思えました」

 

 やっぱり……にしても、宣戦布告は想定外? どういうことだろう。

 

「お、お待ちください‼ 魔王クレイマンのことですか? あの魔王がユーラザニア滅亡の裏で糸を引いていたと?」

 

 アルビスが驚きと戸惑いの声を上げながら、動揺しつつも何とか冷静を保って聞いてくる。

 その横でスフィアが何も言わずに立ち会がる。

 

「待ちなさいスフィア‼」

 

 すぐにアルビスがスフィアを呼び止める。

 

「行くなら全員で攻め込みますよ」

 

 アルビスも人化が少し解けかけている所をみると、相当に怒っているようだ。

 

【気持ちはわかるけど……獣人さんは、激情家が多いね】

【あぁ、とりあえず冷静でいてくれて助かるな】

 

「まぁ待て、もう少し判断材料が欲しい。フォビオ、フレイはどっちの方角に飛び去ったんだ?」

 

 地図を机に開きながら、リムルは場の雰囲気に流される事無く話を進める。

 

「ユーラザニアの北東……おそらくはミリム様の支配領域。忘れられた竜の都へ向かったのかと」

 

 フォビオは指先で示しながら、コツンと場所を指し示す。

 

「なるほどな、ミリムとフレイが組んでるのならそれもあり得る」

 

 ユーラザニアの北東……もしも魔王フレイの目的地が、その先にあるのだとしたら……忘れられた竜の都の先にあるのは――。

 

「傀儡国ジスターヴ。魔王クレイマンの支配領域です」

 

 自分が指先で地図をなぞっていたのをミュウランが見つめながら、最後に行きついた場所で手を止めると、その場所の名前をミュウランが告げた。

 

 

 

 

 ★☆★☆  ★☆★☆

 

 

 

 

 とりあえず、一旦は落ち着く時間を取ろうという事でお開き、もう夜遅くだからね。

 

 

「ディアブロ?」

 

 自分とリムルは庭先の池の鯉たちを眺めながら、一息ついていると、ディアブロが何か報告しに来たのか、足音も立てずに現れた。

 

「はい」

「三獣士の面々の様子はどうだ?」

「今は落ち着いた様子です。今にもクレイマンの領地に攻め込まんばかりの剣幕でしたが、ベニマル殿がうまく宥めておいででした」

「流石は紅丸?」

「気持ちはわかるが、先走られちゃ困るからな」

 

 そう言いながら、リムルは溜息を漏らしてしまう。

 

「何か思い悩んでおいでなら、是非とも私に相談を」

「ん? んー……問題が重なりすぎてな」

「そうだね……まずはカリオンの件が一つ」

「ミリムの考えもわからんし、一番心配でもある」

 

 全くだね、ミリムは何を考えてるんだろう。

 

「次にファルムス王国の後始末?」

「最後に西方聖教会への牽制。どれも後回しにできんが、一度に行う作戦としては許容量を超えてるんだよ」

「なるほど、では私が一方面を受け持ちましょう。是非ご命令を」

 

 ディアブロ程の力を遊ばせておくのは勿体無いし、アリな話だね。

 

「わかった、明日の会議で方針を決めるから、お前も参加するといい」

「はっ」

 

〈告。西方聖教会に関しては心配無用かと〉

 

 急に話しかけられてビックリした。

 

 それよりも、心配無用ってどういうこと? なんでラファエルさんは問題ないと言えるんだろう。

 

〈大賢者から智慧之王へと進化したことにより、演算能力が飛躍的に向上しました〉

【え? うん、え? 自慢?】

〈否〉

【いや、流石に違うと思うよリムル】

 

〈……よって間もなく『無限牢獄』の解析鑑定が終了します。この解放を行えば、西側諸国への牽制攻撃が十分に見込めるでしょう〉

 

 

 無限牢獄って……それって……⁉ もしかして――。

 

「……はは、そうか」

「気づけば2年以上経つのかな?」

「あぁ、長いようで短かったな」

 

 

 

 ようやく会えるね、ヴェルドラ。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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