心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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146話 会談と紹介

 

 

 

 

 

 

 

 蒼影が調べてくれた情報を聞きながら、地図も用いて正確な場所を把握していく。

 

「――クレイマンが軍を?」

「は、進軍経路を見るに、忘れられた竜の都を目指しているかと」

 

 傀儡国ジスターヴの隣にある、忘れられた竜の都。

 ミリムの領地だ。

 

「その数はおよそ三万……」

「リムル? 何か来る?」

「……っと、本当だな。ウィンは誰か分かるか?」

「多分、ブルムンドの冒険者……フューズかな? 他にもいっぱい?」

「感知系はウィンの方が優秀だな……俺は誰か来たことくらいしか分からなかった」

『いや、分かる方がどうかしてるっての……オレはさっぱりだったぞ』

『ボクも流石に分からない。少し集中すれば、大体は分かるけど地面を移動してないと無理だね』

『それより、出迎えに言った方が良いんじゃない? 大勢なんでしょう?』

「うん、先発隊なのか、離れた位置にも居る?」

 

 

 会議室から移動して、すぐにフューズを出迎えに街の入り口付近に移動する。

 リムルがいると移動が楽でいい。

 

 

「おい、俺を移動手段に使うなよ」

「む……バレた?」

「ライナやダルクだって空間移動、というかお前も使えるだろ‼ 目を逸らすな‼」

 

 ジト目で警戒しながら睨まれた。

 

 そんな事よりも、今はこちらにやって来るフューズ達に集中しよう――ん? なんか他にも空から別の人達が来るね。

 

 馬を止めて、一早く自分達に気づいたフューズが周りの者達にも声をかける。

 

「お久しぶりです、リムル殿、それにウィン殿。間に合ってよかった」

 

 一瞬、何に間に合ったのかと聞き返しそうになったけど、言葉を呑み込む。

 

「本隊の到着には今しばらくかかる、微力だが先に動けるものだけ連れてきた」

「ええと……フューズ君? 今日は一体、なんの用で……」

「ふっ。ブルムンド王国とテンペストの安全保障条約に従い馳せ参じた、俺達も対ファルムス軍の末席に加えてくれ」

 

【…………どうするの、リムル?】

【いや、どうするったってなぁ】

『はぁ、とりあえず……説明した方が早いでしょう』

 

 ライナが深く溜息を吐きながら前に出る。

 

 事の経緯とあらましを説明していくと、どんどんフューズの顔が変わっていく。

 

「百面相?」

『そりゃあ、ああなるでしょう……まぁ事が事だけに通達なんて出来なかったから仕方ないけど……この辺も信用のおける人物と判断できてるなら、何とかしといた方がよさそうだね』

 

 次の議題にでも上げるのか、アウスがブツブツと呟きながら今後の事を考えている。

 

「は? 終わった?」

 

 もう目が飛び出そうなほどの驚きで、フューズがリムルに詰め寄っている。

 

「どういうことですか⁉ ミョルマイル達の話ではファルムスの宣戦布告から、まだ二週間も経っていないでしょう⁉」

 

 リグルドがこそっと耳打ちしてくる。

 

「使者を送ったのですが……行き違いになってしまったようですな」

【だってさ、リムル】

「ええと、聞いてくれフューズ君――」

【あ、それとね。多分、他にも来るよ。空からペガサスに乗って――】

「え? それって――」

 

 リムルが物凄く驚いた顔でこっちを見てくるが、そっと顔を逸らせて自分は何も知らない体を装う。

 

「どうしたのですリムル殿?」

 

〈告。30騎の接近を確認――先頭はガゼル・ドワルゴです〉

 

【次から次へと、忙しいな】

 

 なぜリムルや自分が、離れた位置にいる者達に気づけるかは“魔力感知”の上位能力“万能感知”は検知できる範囲と精度が大幅に向上しているのだ。

 

 まぁ、自分はそれ以上に風がある場所なら更に高精度、広範囲まで探れるようになってしまってるので、気付くと誰が何処に居るかが分かってしまう。

 

【正直一々、一々報告されるのは面倒だ。危険な相手だけ知らせてくれよ】

〈……了〉

 

「――久しいなリムル、それにウィン。なんでも魔王になったらしいな」

「まぁね、色々あってさ」

 

 魔王になったとガゼル王の話がフューズの耳にも届き、ピクリと反応する。

 

「今後について、今から幹部連中と対策会議だ」

「ほう、ならば俺も参加しよう。何かやらかすと思っておったが、まさか魔王とはな」

「いろいろ、あったんだって」

「魔王……?」

「うん、自分とリムル、魔王になった?」

 

 フューズが小刻みに震えていく。

 

「一体どういうことです……⁉ 魔王……? 聞き捨てなりませんよ??」

「小便ならそこを曲がって」

「俺が知りたいのは便所の場所じゃないですよ‼」

 

 おお、ついにフューズがキレた。

 

「リムル殿、ウィン殿。真面目に答えて頂きたい。魔王になったとは、どういうことですか? ファルムス軍との戦争が既に終わったことと、何か関係があるのですか?」

「……ガゼル王の言うとおりだよ、必要があったから魔王になった」

「うん、ファルムス軍はそのための生贄――」

「待て、リムル、ウィンよ。知っているのなら俺にも聞かせて欲しい、ファルムス王国軍が進軍中、なぜか行方不明になった……その理由をな」

 

「え……? いや待ってくれ、そうじゃなくて俺達が――」

 

 リムルも慌てて真実を話そうとするが、また別のガゼル王の部下が割って入る。

 

「俺もベスターからの報告でそう聞いたぞ。“進軍中のファルムス王国軍が突然観測できなくなった”“現在その原因を調査中である”とな」

 

 ……ベスターが? いや、これはガゼル王達の意図、かな。

 ベスターは何があったか、正しく伝えたはず。

 気分次第で万の軍勢を滅ぼせる個人は、発射までに複数の手順を要する核兵器以上に恐ろしい。

 

 彼らは自分達が、それぞれ二万の軍勢を虐殺した事実を有耶無耶にしようとしている。

 確かに真実を告げれば混乱を煽ることになりかねない。

 

 “隠蔽”というと聞こえは悪いけどね。

 チラッとリムルと視線を合わせ、お互いに頷き合いながら、ガゼル王の話に合わせる事を再確認する。

 

「あ、あ―……フューズ君。というわけでファルムス軍は行方不明なんだ」

 

 さすがに無理があるけどね、さっき自分が生贄って言っちゃったし。

 フューズの方も白々しいという目で睨んで来るが、すぐに大きく息を吐いて頭をクシャクシャとかきむしる。

 

「強行軍で疲れているせいか幻聴が聞こえたようだ。ファルムス軍は行方不明、なるほど了解した。だが、対策会議には俺も出席させてもらいますよ、リムル殿、ウィン殿を信じていますが、だからと言って傍観は出来ない」

 

「もちろんだ」

「……ねぇ、ディアブロって悪魔なんだよね? ダルクでも出来るけど、記憶の改竄って出来たりする?」

「はい、もしも心配でしたら私にお任せ下さい。記憶の改竄は得意ですので」

 

 さすがはディアブロだ、頼りになるね。

 

「フューズはいいよ。だがもし彼の部下が今の話を聞いていたらやってくれ、悪気なく言い回られても困るしな」

「承知しました」

「リムルよ、貴様はあの男を信頼しているのだな」

「ああ、向こうも俺たちを信じてくれているのがわかったからな」

「フューズ、王になんて報告すればいいのか悩んでるよ?」

「まぁ苦労を掛けるが、そこはフューズ君の腕を信じるさ」

 

 まぁ実際、フューズはファルムス側の言い分を信じていたら条約なんてなんとでも言い逃れ出来ただろう。

 けれど、律義に駆け付けて来てくれたのは他でもないフューズだ。

 

 フューズは朱菜にトイレの場所を聞いて、案内されていった。

 

「それで? 貴方様方はいったい?」

「ふん、ウィンはさすがだな。問題はそちらの者どもよな」

 

 リムルが遅れて自分とガゼル王が見た方に顔を向ける。

 

「これはこれは、地底に隠れ住むのがお好きな帝王ではありませんか。意外ですな、臆病な貴方が魔王達に肩入れなさるとは」

 

【俺の万能感知に反応しないだと⁉ この男一体……】

【いや、違うよ?】

【え?】

〈……告。敵対反応が確認されませんでしたので報告しませんでした〉

【……拗ねるなよ】

 

 ラファエル先生に拗ねられて、報告されなくて気付くのが遅れたのね。

 

【しかし敵でないなら、何しに来たんだ?】

 

「リムル様」

「ソーカ?」

「彼らは魔道王朝サリオンの使者だそうです。なんでも侯爵家の当主様だとか……」

「サリオンの……侯爵!?」

「……なんだってそんなお偉い様が?」

「それがどうやら、エレン――」

 

 ソーカと話していると、向こうさんの侯爵様がリムルの方に視線を集中しだした。

 

「今、あの者、リムルと呼ばれていたよね?」

「そのようです」

「リムル……そうですか、貴殿が……貴様が私の娘を誑かした魔王リムルですか‼」

 

〈告。火炎、および爆発の合成魔法です。魔法制御を自前で行う高等術式が展開されています〉

 

【いや、そんな解説より‼ 止めなきゃ――】

【あ、大丈夫そうだよ?】

 

 スタスタとエレンが魔法陣を展開しているオジサンの横へと移動し、勢いよくオジサンの脳天に手を振り下ろしていく。

 スパーンッと良い音が響いた。

 

「ちょっとぉ、何しに来たのよぅパパ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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