心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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147話 密談と自己紹介

 

 

 

 

 

 

 

 エレンに頭を叩かれたのに嬉しそうに笑っている。

 

「いやー、申し訳ない、娘が魔王達に攫われたと報告を受けたもので慌ててしまったのです」

「あやつめ、親バカは相変わらずだな」

「知り合いかよ‼」

 

 さて、あの人はどちらの意味で言ってるのだろうか……半分は冗談が混じっていそうだけどね。テンペストに来た主な理由は、娘の為でもあるだろうけど……一番の理由は自分の目でリムルや自分、そしてテンペストって魔物連邦国家を見極めたい感じかな。

 

 実の娘が肩入れしている国だし、エレンもなんだかんだ人を見る目はありそうだからね。

 今回は色々とエレン達にも恩があるからね。

 さっきの魔法も、ド派手に魅せてはいたけれど……魔力の籠め方から見てハリボテの力量試しと言った感じだろう。

 

『娘に怒られてるわね……側近も何も言わない所を見ると、何時もの事って感じかしらね』

 

「いいえ閣下、キチンと報告致しました」

「やっぱりパパの早とちりじやないのよぅ。あっ、リムルさん、ウィンちゃん。パパを紹介してもいい?」

「あ、ああ頼む」

 

 エレンもマイペースな所があるようだし、まぁ似た者親子だね。

 

「こちら魔道王朝サリオンの大侯爵。エラルド・グリムワルトです」

「どうぞ、お見知りおきを。ジュラの大森林の盟主にして魔物を統べる者達よ」

 

 さっきまでの雰囲気は何処にいったのか……急に真面目な挨拶をしてくれる。

 

「それで、用件はエレンさんの件のみですか?」

「当然……そんな訳はない。今後貴国との付き合い方を考える上でも、自分の目で見ておきたかったのだよ。娘が気に入った……貴殿達という人物をな」

 

 やっぱり、見た目や態度では測れない人みたいだ。

 

「それで、判定は?」

「まだ、わかりません。ただ、ひとつ……はったりが通じる相手ではないと理解しました」

「やっぱりさっきの魔法は見せかけか」

「ええ、必要最低限の魔素量に満たない、ハリボテです。試させてもらった非礼をお詫びします」

 

 リムルとエラルドが話をしていると、エレンの視線がガゼル王を見て止まる。

 

「ご無沙汰しています、ガゼル王」

「エリューンか? 見違えたぞ」

「エレンちゃんに手を出すことは許さんぞ、ガゼル‼」

 

 出来る男の雰囲気は吹き飛んで、親バカのポンコツ姿が現れる……なんか娘の事になると基本的にポンコツになるみたいだ……判断がし辛い人だけに、周りの空気も利用してコロコロと変わるのは、ライナに任せた方が良さそうだ。

 

 あ、容赦なくエレンに頬を叩かれている。

 

「そうでした、失礼ついでと言ってはなんですが、先ほど言っておられた会議に私も参加させて頂けますかな」

 

【どうする?】

【見極める材料がまだ足りないけど、参加させない訳にもいかないだろう】

 

「わかりました、席を用意します」

「感謝します」

 

 そう話しているとリグルドが自分達の後ろからコソッと小声で喋りかけてきた。

 

「リムル様、ウィン様。いつもの会議室では入りきらないやもしれません。別の場所を確保いたしますので、今しばらく……」

 

 今までリムルに出してもらっていた漫画を読みふけっていたヴェルドラがやってきた。

 

 なんだかんだ、タイミング的にはバッチリだ。

 

「おおい、リムルよ。もう読み終わってしまったぞ、続きはないのか?」

「後にしろってヴェルドラ。今、来客中だから」

「む、そうか」

 

 普通に会話していた中に、いきなりヴェルドラの名前が出てきてガゼル王やエラルド、それにフューズも顔を出して……こちらを見て固まる。

 

 チラッと説明を求めるような視線がリムルではなく、自分の方に集まって来るのが解せないが、その視線をワザと見ないふりして顔を背ける。

 聞くならリムルに聞いてよと、言わんばかりの態度で知らんぷり。

 

「リムル殿? そちらの方は……?」

「ああ、ええと……驚かないで欲しいんだが」

 

 ヴェルドラも自分の事を聞かれていると分かってか、なんか自己紹介の準備とばかりにワザとらしく喉を鳴らしている。

 

「盟友のヴェルドラ君だ」

「ヴェルドラである‼ 暴風竜と呼んでも良いぞ‼」

 

 さっと耳を塞ぐ。

 ライナ達も一緒に耳を塞いで次の叫び声を回避していた。

 

「「「暴風竜ヴェルドラ!?」」」

 

 気持ちは分かるけどね。

 あぁ~、フューズが気絶するように倒れちゃったよ。

 

「ちょっと待て、話があるぞリムル‼ おいウィン‼ 貴様も知っていただろう‼ 逃げられると思うなよ‼」

「げっ、自分は悪くないもん‼」

「私もだ‼ 説明を要求しますよ‼ というか、ウィンさん⁉ さっき目を逸らしましたよね‼ 知ってたんですよね⁉」

 

 

 

  ★☆★☆   ★☆★☆

 

 

 

 結局、会場の準備が終わるまでヴェルドラについての説明をする事になってしまった。

 

「――なるほどな。つまり2年前の暴風竜消失は貴様が原因だったと」

「そういうことに、なるのかな」

【リムルがスキルゲットにいそしんんでた時、世間では大騒ぎになってたんだね】

【おい、前も同罪だからなっ‼ 自分は関係ないですっていう立ち位置には居させないぞ‼】

 

 くっ、バレてた。

 

「新たな魔王の出現で手一杯だというのに、この上、暴風竜などと……」

「西方聖教会が黙ってはおるまい、何せあそこは暴風竜を特に敵対視しておる」

「でしょうね。復活すれば即座に気付くであろうな」

 

 魔国連邦とドワルゴンの間には“国家の危機に際しての相互協力”の盟約がある。

 だが、西方聖教会を敵に回す程の事態は想定していなかったはず。

 

「なぁ、ガゼル王。俺たちが西方聖教会と事を構えることになったらどっちに付く?」

「もうリムル。いまそれを聞く?」

「全くだな、少しはウィンのように考えろ……だが、ドワルゴンは西方聖教会に何の義理もないのでな、友好国であるテンペストを支持しない理由はない」

「そうか、兄弟子がそう言ってくれるなら、心強い」

「貴様はもう少し腹芸を覚えよ。これが密談で良かったぞ……その辺はまぁ、こ奴が居るからまだ、マシだろうが……如何せん、ウィンは表に出たがらないようだしなぁ~」

 

 素直にガゼル王に頭を撫でられながらも、どうしたものかと大きな溜息を吐いている。

 

「あ、はい……」

「他の国はどう判断するか、わかりませんよ? 戦争だといっても、流石に戦況が一方的過ぎます。事情も経緯も知る術のない大衆から見れば、二万の死者をだした魔王となれば邪悪に映るでしょう。西方聖教会から“神敵”に認定されれば――西側諸国は敵に回ると思っておいた方がいい」

 

 さすがはエラルドという人物は、国の見方が良く分かっているようで、言われた事には納得の一言だ。

 しかも、そうなってしまえば、友好国の立場も厳しいものになる。

 

 自国の事だけで済めば良いのだが、話はそう簡単ではないという事らしい。

 ガゼル王や、エレン達。それにフューズ達といった冒険者も切り離して良いような仲ではない。

 

「魔道王朝サリオンとしては、どうお考えですか?」

「お答えしかねますね、今の段階では……ただ――エレン、なのでしょう? 貴殿に魔王化を促したのは。である以上、静観は出来ないのです、戦争被害の状況が西側諸国に広まれば、我が国は厳しい立場に追い込まれる」

『ん~、その点に関して、心配ないかもしれないわよ?』

「は? それはどういう?」

「ふむ――確かにライナ嬢の言う通り、その点については安心しろ。事実が広まる事は一切ない」

「どういう事だガゼル?」

「死体は全て消え、捕虜を除いて生存者もいない、そうだなリムル、ウィン?」

「……ああ、そうだ」

 

 リムルも自分もシオンやヒータ達を蘇らせると決めた時に、覚悟は決まっている。

 さらなる罪を背負うことになっても、今更揺らぐものはないね。

 

「それで? どういう筋書きを作る?」

 

 自分とリムルは目を逸らすことなくガゼル王の目を見返す。

 

『ふふ、少なくとも、リムルやウィンの覚悟を甘く見てもらっちゃあ困るわね』

 

 

「……清濁併せのむ覚悟が決まったようだな。それでいい、王たるものは悔いてはならんのだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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