心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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149話 会談の乱入者

 

 

 

 

 

 

 

 休憩しているはずなのに……なんか話が進んでいる。

 

「――確かに、国交を結ぶとなった以上、直通の街道を繋ぐべきだろう」

「エラルド公の言い分はわかった。魔道王朝サリオンと魔国連邦を繋ぐ街道の開通工事はこちらで引き受けてもいい、ただし――」

「ただし?」

「街道上の整備及び宿屋の運営も我らに任せて欲しい、当然だがそこにかかる経費を乗せた通行税も頂くことになる」

「なるほど、それは当然の要求でしょう。ただ、通行税に関しては、何年かに一度の交渉権は認めて欲しいものです」

 

 ちょっとお互いにニコやか……笑顔で笑い合いながら沈黙する。

 

「オッケー、それでいこう」

「感謝します」

 

 エラルド公とのやり取りを聞きながら、フューズが少しだけ噴き出していた。

 

「ねぇ、自分もこの席に座る必要ってあった?」

「ある……というか、お前も仕事をしろよ」

「こういうのはリムルがやった方が良いと思う?」

「お前なぁ~」

 

 リムルに呆れられながらも、良いタイミングで朱菜が呼びにやってきた。

 

「失礼いたします。そろそろ再開のお時間になります」

「おう、すぐ行くよ」

 

 そそくさと立ち上がって、会談の会場へと向かう。

 

「逃げたな」

「ははは。ウィンの方が腹芸は上だのう、リムル」

「まぁ、ウィンのやる気を引き出せるよう頑張るしかないな……」

 

 

 ==全員が会談の場に集まったのを確認していく。

 

 

「――さて、休憩を挟んで頭もリフレッシュしたところで、会談を再開する。まず、話しておきたいのが西方聖教会へ――」

「うん? リムル……なんか来る?」

「へ?」

 

 クイクイとリムルの袖を引っ張って、何かが飛んでくる方を指差す。

 すると全員が首を傾げながら、自分が指示した方を向く。

 

「あ、ちょっと困るだす‼ 今は、偉い人たちの会談中で……っ⁉」

 

 小さな影が弾丸のように飛んできて、リムルと自分の目の前で止まった。

 

「話は聞かせて貰ったわ‼ この国は滅亡する‼」

「「「な……なんだって――‼」」」

 

 どうやらラミリスだったようだ。

 リムルも紅丸もリグルドの三人が、ノリよく驚いている。

 

「何してるの? と言うか……何言ってるの?」

 

 ひょいっとディアブロがラミリスの首根っこを摘まむ様にして持ち上げた。

 

「げぇぇぇっ、アタシの全魔力をもってしても逃げ出せない⁉」

「お怪我はありませんか? ご迷惑をおかけして、申し訳ございません」

 

 ラミリスを止めようとして、転んだゴブゾウをベレッタが謝りながら起こしている。

 

「リムル様、ウィン様……この巫山戯た羽虫にどのような処分を下しましょう?」

「いや……えっと」

 

 さすがディアブロ……一応はラミリスは魔王なんだけど。

 

「何よ、何なのよ‼ アタシが何をしたって言うのさ‼」

「リムル殿、あちらの妖精は……」

 

 フューズが気になり、すぐにリムルの傍までやってきた。

 

「ああ、ラミリスっていう知り合いで……」

「あんなナリでも、一応魔王?」

「ちょっとウィン‼ あんなナリってなに‼ 一応魔王ってどういう意味よ⁉ アタシはねぇ、この国にとって重大な情報を――」

「はいはい、後で聞いてやるから……ヴェルドラ、悪いけど、この子の相手してやってくれる?」

 

 ディアブロの手元で暴れるラミリスをリムルが受け取り、ヴェルドラの方へと人形のように渡そうとする。

 

「んー……? 我は今、大いなる謎を解くのに忙しいのだ」

「……ああそれな、犯人は〇〇だから、じゃあ頼むな」

 

 リムルがネタバレをかまして、ヴェルドラの注意を向ける。

 そしてショックを受けているヴェルドラにラミリスを預けるが……さっきまで騒いでいたラミリスが急に大人しくなった。

 

 ダラダラと汗を大量に流しながら、ヴェルドラの膝元で震えている。

 

「まぁ……仕方ない?」

『今は他国の重鎮を待たせてるからね』

「そうそう、申し訳ない。会談を再開しよう。まず西方聖教会への牽制について、話しておきたい」

「うん、自分達としては向こうが攻めてくるなら対処する? こちらから手を出すつもりはないよ」

「無駄に敵対したくないってのもあるが、二正面作戦を避けるためだ」

「二正面……?」

 

 自分とリムルの話に、気になったフューズが不思議そうに聞き返す。

 

「これからテンペストは魔王クレイマンと事を構えることになる。理由はヤツが友好国ユーラザニアの首都をミリムを使い滅ぼしたことにある」

「我が国がファルムスに攻め込まれたのも、クレイマンが裏で糸を引いている可能性が濃厚だから」

 

「勝てるのだろうな、リムル、ウィンよ」

 

 ガゼル王が表情を変えずに聞いてくる。

 

「ん、勝つよ?」

「あぁ、勝つ。アイツは俺達を怒らせた」

 

 リムルと二人で絶対に勝つという意志を乗せ、答える。

 

「簡単に言いますね。クレイマンと言えば数多の魔人を配下に擁する魔王。油断のならない相手ですよ?」

「関係ない?」

「あぁ、戦争にはテンペストとユーラザニアの戦士団のみで当たる。ドワルゴン、ブルムンド、サリオンの皆さんに迷惑はかけないつもりだが……その最中、西方聖教会の追求が及ぶ想定はしておいて頂きたい」

 

 真面目な話をしている後ろでは、ヴェルドラとラミリスが楽しそうに話している。

 

「はっ、ここは⁉」

「お前のせいでネタバレをくらったのだぞ」

「こ、これはっ⁉」

「聖典だ、呼んでみるか?」

 

 マンガが何時の間にやら聖典として崇められているが……良いのだろうか? まぁ、ラミリスもヴェルドラも大人しくしてくれているのだから……良いのかな。

 

「シオン、捕虜の中に大司教がいただろ? 取り調べで何か新しい情報は得られたか?」

「フッフッフ、勿論です。リムル様」

 

 自信満々の紫苑にちょっと不安を覚える。

 

「ヒータ……」

『まぁ、情報を引き出したのは本当だぜ?』

 

 なら、なぜ目を逸らすのか聞きたい。

 

「黒幕が判明しました、その名は――」

 

 随分と長いこと言葉を溜めるが……まさか、黒幕の名前を忘れた訳じゃないよね、紫苑さんや。

 

『はぁ……元凶はニコラウス・シュペルタス枢機卿だぜ』

 

【ナイスアシストだ、ありがとうヒータ】

 

 リムルが物凄く感謝してヒータを見ている。

 

「その二コラ……に我が国のことを報告したところ、神敵として討伐する予定だと返信があったそうです」

「予定?」

「はい、枢機卿からの親書を決定事項と説明し、挙兵を後押ししたと白状しました。

 

 ミュウランが透かさずに紫苑の代わりに説明を開始してくれた。

 

「つまり聖教会本部としては、まだ決定的な判断を下す前だった……ならば交渉次第で敵対も避けられるやもしれぬぞ」

「交渉か……」

 

「話し合いが通じるのなら、それに越したことはないけど……通じる?」

「ヒナタを見るに、魔物の言葉に耳を貸してくれるとは、思えないんだよな」

「では、交渉はブルムンドが引き受けましょう」

「フューズ」

「西方諸国評議会でテンペストを宣伝します。すでに多くの国に利用されている交易の中継地として知られれば、教会とて問答無用とはいきません」

「本当か‼ それはありがたい」

「それから……一応フォローさせてください」

 

 フューズが自分とリムルを見ながら、真剣な眼差しで語る。

 

「ヒナタ・サカグチについてです。見た目も相まって彼女の言動は冷酷に見られがちですが、助けを求められれば、必ず手を差し伸べていますし、必要とあらば理性的な助言もしているのです。まぁ、助言を聞き入れない者は、二度と相手にしないのですが……」

 

 どうなんだろう、リムルに向かって行き成り殺気しか向けて来なかった人だからなぁ。

 

「リムル様を襲うとは、なんて無礼な女でしょう」

「同意します。私が出向き始末して参りましょうか」

 

 人間相手には、優しかったりするのだろうか……自分には危害を加えてくる様子は……確かになかったけど……。

 

 最後まで戦ってたのはリムルとライナだ。

 途中で退場した自分には、まだまだヒナタの人となりは掴みかねる。

 

「いいえ、私が行きます‼」

「これはこれは、シオン殿。残念ながら貴女には荷が勝ちすぎでしょう」

「面白い、どちらが上かハッキリさせて――」

「させんで宜しい‼」

 

 口論しているディアブロとシオンを怒って止める。

 

「……ヴェルドラ? なんで立とうとしたの?」

 

 なんか密かに立ち上がって紫苑達に混ざろうとしていたヴェルドラを自分は見逃さない。

 

「わ、我は別に混ざろうとかしておらぬよ⁉ 聖典に夢中だし‼」

 

 ジロッとリムルに睨まれて、すぐにマンガに集中しだした。

 

 あれは絶対に混ざろうとしていたね。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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