心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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155話 魔王達の宴

 

 

 

 

 

 

 

 

 扉を抜けるとすぐに円卓に椅子が並べられている。

 ちょっと気になるのは、パッと見では分からなかったが……椅子の数が多い気がする。

 

「やっほーギィ、久しぶり」

 

 ただ一人、一番に座っていた男に話しかけている。

 赤く長い髪の半裸で上着を羽織っている。

 

 リムルの後ろに隠れながら、そのギィと呼ばれる男を観察する。

 ムラのある魔素量の様に見える……制御が出来ていないように見えるけど、ただ放出しているだけなら、もっと不規則に外へと向かうはずなのに、ギィは妖気をしっかりと纏っている。

 

 つまり、彼は力の偽装をしているってことになる。

 

 解析能力の有無と、偽装に気付けるかっていうレベルで相手を篩に掛けてるってことになる……物凄く関わりたくない人種だ。

 しかも、自身の力は相手に測れないようにしている点を見ても、相手にしたくない。

 

「座ったらどうだ? 扉の前に突っ立っていたら邪魔だろう。踏み潰されても知らんぞ」

 

 扉からの変化を感じて、自分は既に扉の端へと移動する。

 その後すぐに扉が開いてく。

 

「どいてもらえるか? 小さいの」

 

 かなり大きい男の人が入ってきた……多分、あれが巨人族の魔王ダグリュール。

 部族衣装の様な布を纏めて着ている感じだ。

 

 隠す気もない魔素量が溢れ出ている。

 性格もあるんだろうけど……なるほど、ヴェルドラが喧嘩相手に選ぶわけだ。

 

 すぐその後に続いて、違う人が扉から入って来る。

 

 黒いマントを羽織った男と執事服を纏うお爺ちゃん。

 それに……なんだ……あのメイドさん……妖気がランダムに変質して分かりにくいけど、絶対に彼女の方が魔素量が多いだろう。

 あの前をあるく男より、彼女の方が魔王って感じがする。

 

〈是。測定可能な範囲の解析において、メイドの魔素量は当代の魔王より多いと推定されます〉

 

 チラッとリムルを見ると、頷いて返される。

 

〈魔素量の大小はあくまで参考程度にお考え下さい。戦闘を想定した場合、技量の優劣がより重要な要素になります〉

【それはわかる、スキルを使わない縛りなら、俺は今でもハクロウに敵わない】

【でも、常に偽装してるって事は技量も確か?】

【あぁ、只者には見えないんだよな、あのメイドさん】

 

 そうやって彼女の方を見ていた事がバレたのか、チラッと自分の方を見られて視線がバッチリと合ってしまう。

 

 思わず、顔を背けてしまったが……変に思われなかっただろうか……。

 

 そっと目だけを横に向けてメイドさんを見ると、まだこちらを見ていた。

 

【リムル‼ 自分てなんか変!?】

【え? いや全然……むしろシュナに着飾られてオシャレじゃん】

 

 リムルはあまり気にした様子はなく、席に座る。

 

【なんかヴァンパイアのメイドさんに物凄く見られてる‼】

【あ~、ウィンが物珍しいからじゃないか? 気にするなよ】

【巻き込まれたくないからって適当なこと言ってない⁉】

【……ナンノコトダカ】

 

 ここで騒ぐ訳にもいかないから、大人しくリムルの後ろで大人しく目を瞑っていよう。

 

「ふぁああぁ」

 

 もの凄く気だるげに欠伸をしながら、入って来た青年が一人。従者も連れずにやってきた。

 

 風の索敵で気付いたけど、この人も力量が測れないかも……。

 下手に魔素量を覗こうとすると、気付かれそうだから止めた。

 

「あ、いよーっすラミリス。今日はまた一段とチビだな」

「ケンカ売ってるワケ?」

「勝つのわかってるのに売る訳ないじゃーん」

「は――⁉ ディーノのくせに生意気なんですけど‼」

 

 彼がラミリスが説明する前に迎えが来ちゃった人物か。

 

「ってアレ⁉ なんでお前従者を連れてるの? 一人で来た俺が格好悪いじゃん‼」

「ふふん、まぁね。この二人の前には無力だと知るが良いわ‼」

「えー……なんだよ、ボッチ仲間だと思ってたのに……じゃあ壊してもいい?」

「はぁ⁉ 駄目に決まってんじゃん‼ ギィに言いつけて鉄拳制裁の刑に処してもらうからね‼」

 

 なんというか、ラミリスとディーノって魔王との大体の関係性は掴めた気がする。

 軽い性格なのは見てて分かるけどね。

 隣に座るヴァレンタインには挨拶もなしで寝始めてるし……自由だ。

 ……まぁ、他の魔王達も特になにも言わないし、挨拶する方が珍しいのかもしれない。

 

 リムルがとりあえずでディーノの魔素量でも測ろうとしたのだろう、ディーノが少し起き上がってリムルをジロッと睨みつけている。

 

 やっぱり気付かれたね……初めに探りをいれなくて良かった。

 

 続いて、背に翼があるハーピィの魔王フレイ。

 美人だしスタイルも良い……そして水着のような服装だから露出度も高め。

 

「ん? あれ?」

「ウィン様もお気付きに?」

 

 ハーピィの従者としてついて来たライオンの居た目に翼がある人物は……なんか見覚えのある魔素をしている気がする。

 

 リムルは相変わらず魔王フレイを見ているので気付いていない。

 

「リムル様」

「ど、どうしたシオン」

「後ろの従者の男……なんだか気になりませんか?」

 

 リムルがやっとライオンの男へと視線を移す。

 

【リムル……魔王フレイを見てオジサン心でもザワついた?】

【なっ⁉ ち、違うぞ】

【はぁ、まぁ良いけど】

【それよりもアイツだったな、……記憶に引っ掛かる気配なのは確かだな……ラファエル、分かるか?」

 

〈告。解析鑑定の結果――〉

 

 ラファエル先生の報告を聞く前に、扉が開いて入って来た人物に自分とリムルの目が釘付けになってしまう。

 

 その人物はシズさんの記憶で見た、魔王……レオン・クロムウェルなのだから。

 

「――お前がリムルか」

 

 声を掛けられ、リムルが椅子から立ち上がる。

 

「そうだよ、何か用でもあるのか? 魔王レオン」

「……いいや、その姿を見て、ふと懐かしく思っただけだ」

「……彼女を覚えているんだな、安心したよ。俺の姿を見ても何も思わないようなら、この場で殴っているところだった……シズさんは死んだぞ、レオン」

「……知っているさ。だが殴られる謂れはないな、彼女は人間として生きることを望み、そして死んだのだ。イフリートを受け入れ、魔人となれば長らえることもできたろう、そうしなかったのは彼女の意志じゃないのか?」

 

 そう静かに語りながら、レオンは自分の席へと座る。

 

「……まぁ、私は彼女を看取っていないので、真実のところはしらんがね……だが、お前にも少し興味がある、あと……そこのお前も、招待してやるから文句があるのならば来たらいい、罠だと思うなら、拒否してくれても構わないよ」

 

 まさか自分の方にも話を向けられると思わなかったので、少し驚いてしまった。

 

「わかったよ、受けてやるから招待状でも送ってくれ」

「ああ、そうしよう」

 

 そう言ってリムルも自分の席にストンっと座る。

 

「もっとも――お前がこの場を生き残れたら、だがな」

 

 そう言いながら、レオンは扉の方へと視線を移すと……扉が開いていき、そこからはミリムと、狐を抱いた男が入って来た。

 

 一先ずは無事だと確認できた。

 リムルの隣を歩く、すかした感じの男がきっと――。

 

「さっさと歩け、このウスノロ」

 

 急に男がミリムの頭を殴り出した。

 その様子に、会場内の全員が少し驚いた様子で見ている。

 

 ミリムは何も言わずに自分の席へと歩いていき、座った。

 

「――さて本日は私の呼びかけに答えて頂き、誠にありがとうございます。それでは始めましょう」

 

【リムル……まだ、ダメだよ?】

【そりゃ、お前もだろう】

 

「ここに魔王達の宴の開催を宣言します‼」

 

【【クレイマン……楽に死ねると思うなよ】思わないで?】

 

 

 君が考えた計略を全て潰してあげる……魔王達の宴でも……戦場でもね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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