▲△▲△ 視点:アウス ▲△▲△
まず初めに簡単な策で相手がどう動くのか……試したかっただけなんだけど。
「……避難民に扮したランカスロープを囮にして、クレイマン軍の兵を誘い込み、ぬかるんだ落とし穴に嵌めて動きを封じる」
案外、簡単に終わりそうで少し拍子抜けしている。
「そして、その落とし穴から抜け出そうとした者を仕留めていく」
少し離れた場所ではゲルド達が同じように囮として動いてくれている。
【ゲルド、その位置で良さそう。こっちはボクがやっとくから、そっちはお願い】
【承知】
「罠だ‼ 追えば何か仕掛けて来るぞ‼ この場に留まっ――」
半分は正解。でも、もう半分は不正解。
むしろ、マイナス点かな……もう、ここまで来ている時点でアウトだよ。
「うわ……っ」
「なんだこれ、足を取られる‼」
「どけっ、俺が先に上がる‼」
「おぶっ⁉」
敵の全員が落とし穴に落ちていき、土に埋まってしまった敵は身動きが取れず、這い上がって来る者には容赦なく攻撃を加えて、突き落とす。
「あ、危なかった。飛翔できる者がいなければ我が隊は、この場で全滅だったぞ」
「それは不運であるな。大人しく落っこちておれば、痛い思いをせずに済んだであろうに」
ゲルドにもボク直伝のスキル「土操作」で簡単に出来る落とし穴を覚えて貰っているので、ゲルドとボクが居れば、落とし穴は簡単に作り出せる。
だから、この戦場はいくつもの巨大な落とし穴が幾つも出来ている。
【ベニマル、こっちはもうボクが見てれば大丈夫だよ】
【その様だな、ではここは任せるぞ】
【了解】
基本的には、這い上がって来た敵を落としていったり、空を飛ぶ敵には、ガビル達の部隊が対処してくれる。
「ここまで一方的な戦いになるなんて……」
「クレイマン軍は本来の力を半分も出せていないだろうな」
「私達、ランカスロープも今後は戦い方を見直す必要がありそうです?」
「そうだな、我らは真正面からの勝負を好むが……戦術次第でこうも戦況が変わるとは」
「俺達がクレイマン軍の立場だったらって考えると恐ろしいぜ」
「この作戦を立案したベニマル様とアウス様は恐ろしい方です……テンペストと友誼を結べてよかったです」
「本当にな、味方でよかったよ」
そんな事を話しているのはユーラザニアの幹部組。
そこには、レイが気にしていた女の子も混じっていた。
『ベニマルとアウスが考えた作戦ですが……大元はウィンですよ? 確か、オークロードとの戦いで用いたと聞いています』
「うゎ!? レイ様!? いつの間に……」
『こんな所で油を売ってる場合なの? レイも……あっち側の応援にでも行ってよ』
別の場所に作った落とし穴の一画が、妙に騒がしくなっている。
『ふむ、確かに良い感じに盛り上がってますね』
「加勢するです‼」
『あ……もう、彼女は大丈夫そうなの?』
一人、すぐに駆け出して行った少女を指差してレイに聞く。
『えぇ、彼女は十分強い戦士ですよ。まだまだ粗削りではありますが、この辺に居る者達ならば簡単にやられる事もないでしょう』
『ボクは戦場を見てなくちゃいけないんだから、レイがしっかりと見ていてあげてよね』
『ふふ、そうですね。では、この場一帯は私が見ていましょう』
レイが楽しそうに笑いながら、加勢に行った少女の後を追って行く。
▼▽▼▽ 視点:アウス(end)▼▽▼▽
▲△▲△ 視点:レイ ▲△▲△
「やられたね、優勢だと思ってたら、こんな罠が仕掛けられてるなんてさ」
「負け戦だな、この分では前線はもっと悲惨だろう」
「せめて、ここにいる者だけでも救わねば……」
フォスは相手方の幹部らしき三人組へと斬りかかりに行ってしまいました。
「新手かよ⁉」
「子供だと⁉」
『まぁ、確かにフォスも私もアナタ達から見れば子供、ですか?』
「レイ様‼ これならッ‼ はぁ‼」
フォスは私が来たことで勝てると踏んだのか、一気に三人に近づいて行ってしまいましたが……戦場は敵が目の前に居る人物だけとは限らないんですけどね。
横から小さな影が一人。
フォスに向かって勢い良く蹴りを放って飛び掛かっていく。
鋭く良い蹴りをしているようですが、フォスはしっかりとガードしながら後ろへと飛び退いて、衝撃を殺すことには成功しています。
「こんな所で会うなんて、奇遇ね、フォス」
「ステラ‼ なんでここに!?」
彼女は前にテンペストでフォスと一緒にいた子ですね……。
「何でって、あたし達、竜を祀る民は仕方なくクレイマン軍に付いたのよ。卑怯者のクレイマン側に付かなきゃならないなんて我慢できないし、そもそもクレイマンなんてどうてもいいんだけど――」
あぁ、後ろにいる三人の男達が物凄い微妙な顔をしながらステラを見ています。
それでもステラは話を止めることはなく、胸を張りながら堂々とした態度で続ける。
「あたし、この人達の事は気に入ったのよね。だから義によって助太刀する事にしたのよ‼」
殺気というよりも、ステラは闘気を溢れさせてフォスを見ている。
フォスも直ぐに気迫が伝わったようで、驚きながらも真剣にステラを見ている。
「あんたが、この人達に手を出すなら、あたしが相手になるわ‼」
「本気です⁉ ステラ‼」
「当たり前でしょうフォス‼ あんたも本気、出しなさいよ。つまんないじゃない」
「正々堂々、勝負しようじゃないの」
迷っているフォスに真っ正面から勝負の申し出ですか……良いですね。
これで熱くなれない彼女ではないでしょう。
「でなきゃ、その新しい装備も台無しでしょ‼」
確か……(闘気法)ですか。
二人は闘気を纏わせた拳でお互いに拳を打ち付けある。
「この勝負、受けて立つですっ‼」
「そうこなくっちゃね‼」
「あ‼ ステラ用の新しい装備、預かってるですよ‼」
「そう‼ 勝って受け取るわ‼」
しかし……こうなると、こちらも動きにくいです。
『はぁ、こうなっては無駄に戦っては野暮ですか?』
「そりゃなぁ……嬢ちゃん一人で俺達全員でってのも……無理だしな、むしろこの場にいる全員でやらなきゃ良い勝負に持ち込めるかって感じだろう……」
「はー、あのステラって子、強いんだな」
「相手のランカスロープの娘もだ」
「粗削りだが、だからこそ逆に見入ってしまうな」
『良いですよねああいう勝負♪』
「ははは、嬢ちゃんもいける口だな」
この場で戦っていたはずの者達全員が、フォスとステラの勝負に見入っている。
良くも悪くも、この場はもう彼女達が中心となってしまっている。
手数もしっかり多く、フェイントも入れながらお互いに攻撃を入れているけれど……互いに良く知った仲というのもあって、決定打は決まりそうにないですね。
「こんなもの‼」
フォスが一瞬だけ闘気を強めにステラの顔面を目掛けて放った。
「なるほど、闘気を目くらましに使ったか」
屈んでステラの視界を潜り込む様に短剣を下から切り上げる。
ステラもすぐ気が付いて、身体を後ろへと逸らしながら、地面に手を付て踵をフォスの顎目懸けてバク転するように蹴り上げた。
「おっ、あの嬢ちゃんもやるなぁ‼」
「うむ、フォスの動きも見事だが」
「それに、負けてねぇ」
「フォスめライバルを得て活き活きとしてやがる」
さっきまでフォスの近くにいた三人の男も、彼女達の戦いを観戦している。
ステラが今度は仕掛けていく。
「後ろ!? いないです⁉」
「甘いわね‼」
闘気法を使って、分身の術のように動き回っている。
まぁ、実態は一つですし、残像的なモノなので警戒していれば特に問題はなさそうですね。
「早い‼」
「ステラのやつ、模擬戦の時は全力じゃなかったのか⁉ ここまで闘気法を使いこなすとは」
おや、今度はステラの味方の方々も来ています。
「くっ」
「もらったわ‼」
体の軸を相手の懐へと潜り込ませて、フォスの腕を掴んでそのまま地面へと叩きつけるような動きでしたが、フォスはそれに合わせるように地面を蹴り上げた。
「ここです‼」
型に入れば、地面に叩きつけられていたでしょうが……フォスが地面を蹴って飛び上がった事で型から外れ、タイミングがズレたことで脱出に成功した。
その一連の動きで、周りからは歓声が上がっている。
「やるじゃないフォス」
「これで終わりです? ステラ」
「まだまだ‼」
「どちらも子供なのに大したものだ」
「部隊が撤退する時間を稼げたら、降伏するつもりだったんだがな」
「そうそう、抵抗しなきゃ命までは取られねーみたいだし……でもさ」
「こんな戦いを見せられてはな」
「ちっ、当てられたか? まぁ、血が滾る気持ちはわかるぜ」
「付き合ってやろう」
「おうよ‼」
『む……それでは私は誰と戦えば良いのですか⁉』
「あんたは見守り役だな」
「あぁ、馬鹿な奴がいたら、叩き潰してやってくれよ」
「仲裁役で頼むぜ、この場の誰よりも強いだろ、あんた」
これは損な役回りですね。
私だって戦いたかったのに……。
ライナの方を手伝っておけばよかったかも、しれません……不完全燃焼です。
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