▲△▲△ 視点:アウス ▲△▲△
「――勝負、ありましたわね」
高い位置から全体を見ているアルビスとベニマル。
「もう敵方に挽回の策などないでしょう。見事な采配です、ベニマル様。私ではここまで的確に兵を動かせません」
それはどうだろう……ただアルビス達が纏めている獣人族は、正面からの突破とか正々堂々っていう戦争というより、勝負っていう感じが好きっぽいからね。
策を弄するって考えは、あんまりなさそうではある。
「勝って当然だ。だからこそ油断はできないのさ」
ベニマルの隣に降り立って、ベニマルをジト目で見る。
『加減をするのは大変なんだけど……』
こそっとベニマルの横にたって言うと、苦笑いで返される。
手の内を全て晒すって訳にもいかないから、仕方がないんだけど……色々と大変だったのは事実だ。
そんな事をしていると、アルビスが急に跪いてベニマルに頭を下げている。
「なぜ跪いているアルビス殿。貴女はユーラザニア軍の統括だろう」
「どうか“アルビス”と。今、我ら獣人は指揮権をテンペスト軍に委ねております」
アルビスの考えている事は少し分かるけど……ベニマルにだったら軍を預けても大丈夫だと確証を得たって感じかな。
「アウス殿は軍師として補佐しているようですし、貴方が総大将であるべきです、ベニマル殿」
「……良かろう、この場に限り、アルビスお前を副官に任ずる」
ボクがベニマルに待ったと声を掛ける前に、ベニマルが了承してしまった。
あちゃ~っと顔に手をあてていると、頭を下げていたアルビスがニヤっと笑ってベニマルとボクの方を見ている事に気付く。
「拝命、致しますわ」
「さて……まだ幾らか強者の気配が残っている、折を見てゲルド達を――」
「待ってくれよ総大将殿‼ ここは俺たち獣人の国、アンタたちに任せっきりじゃあカリオン様に怒鳴られちまう」
「その通りだぜ、ここでの戦いくらいは譲ってもらいたいね」
ベニマルが二人を諫める前にアルビスがベニマルの懐へと潜り込んでいく。
「ベニマル様、軍の指揮はお任せしますので、我らに敵軍首魁共の討伐をお命じくださいませ」
『はぁ~、やっぱり……』
「……貴様、さてはそれが狙いで俺に総大将を譲ったな?」
「あら、なんの事でしょう?」
『無理だよベニマル、あの場で引き受けちゃったんだし……相手が悪かったね』
「ふふ、アウス殿が入る前にベニマル様の口から許しが出て良かったですわ」
「気付いたなら言ってくれ、アウス……」
肩を落としながら物凄く落ち込んでいる。
『ボクだってすぐには気付けなかったよ……まぁ、女性に弱いベニマルがいけないと、ボクは思うなぁ』
「くっ……まぁいい、どの道お前達にも参戦してもらう予定だった」
ベニマルが気を取り直すように顔を上げて、声を張り上げる。
「命令だ‼ 好きに暴れてこい‼」
「お任せを‼」
ベニマルの声を聴いて、すぐさま崖を飛び降りていく三獣士の人達。
『あぁ~、仕事が増えた……』
「頼むぞアウス……ほんと、お前が居て良かったよ」
『もうやだ、このイケメン総大将……時と場所を考えて発言してよ……それでいて、女性には基本的にヘタレなんだもんなぁ……テンペストに居る子達が可哀想だ』
「なんか、物凄く貶されてないか?」
『胸に手をあてて考えろ‼』
それにしても……流石はユーラザニアでトップと呼ばれる実力者……空を走るように翔けているスフィアは、戦場に居る者達も一瞬だが目を奪われている。
あれは……アーツだったかな飛翔走って名前だった気がする。
空を飛んでいるガビルも驚いてスフィアの方を見ている。
「なんと……翼もないのに空を翔けるとは……はっ‼ スフィア殿‼ どこへ行かれる!?」
「ガビルさんか‼ あっちの方に気になる気配があってな‼」
そんな話をしながら、確かに一際強い気配がある方へと進んで行く。
『ん~、まぁガビルと一緒なら大丈夫かな?』
「なにかあれば、ガビルがすぐに救援要請をしてくれるだろう」
『でも、あっちの方角から観察されてるみたいだけど、ほっといても良いの?』
「この戦場を見て、戦意を削げるなら勝手に見させておいた方が得だろう」
前線ではソウエイが率いる隠密部隊が主力部隊を率先して倒しているし、ゲルド達の方も順調に数を減らしていっている。
『ん~、どうしますか総大将?』
「この場は元からアウスに任せたと言ったろう」
ニヤっと笑いながらこちらを見てくるベニマルに、少しだけイラッとする。
『はぁ~もう分かりましたよ。どうせ行きたいんでしょう』
「流石だなアウス。じゃちょっと行ってくる」
全く、今回は面倒事を任される事が多い気がする。
▼▽▼▽視点:アウス(end)▼▽▼▽
▲△▲△ 視点:ヒータ ▲△▲△
強い気配を探りながら歩いていら、なんとも怪しい二人組が戦場を陰からみていた。
「おやおや、これはちょっと、まずい流れですねぇ」
「どうするフットマン? クレイマンに報告する?」
「それは無理でしょうティア、今はワルプルギスの真っ最中です。それに――」
フォビオも気付いてこっちに来ていたようだ。
「私たちにも少々、野暮用が出来てしまったようですよ?」
「ありゃりゃ、もしかしてフォビオ様? あのフォビオ様? カリュブディスになったのに魔王ミリムに負けちゃった、あのフォビオ様⁉」
大きな腹をした太った仮面と、背の小さい仮面をつけた女の子。
「……へッ、覚えているようで何よりだ」
会話と同時にフォビオは太った仮面の方へ瞬時に動き出して攻撃を仕掛けていく。
「殺される理由もわからないんじゃ、可哀想だからな‼」
太った仮面の男は反応が遅れながらも、なんとかガードしている。
おっと、見入ってる場合じゃなかった。
【ゲルドの旦那、出番だぜ】
「ほっほ、どうやら少しは挑発への耐性ができたようで……」
飛び退いた太った仮面の男の背後に、転移してきたゲルドが斧を構えながら迫っていく。
「久しいなフットマン、オレを覚えているか?」
ゲルドの旦那が思いっきり振り下ろした斧を、フットマンが咄嗟に両手で白羽取りしてギリギリで回避する。
ただ、叩きつけられた衝撃は、しっかりと効いていそうだ。
「これはこれは」
すぐに斧から飛び退いて、距離を取りながらクルクルと回って拳を構え、再びゲルドの旦那に向かって行く。
「ええ、覚えていますよ。オークロード計画、以来ですか? あなたは確かオークジェネラルでしたね」
すぐにゲルドの旦那は盾を構えて防ぐ。
拳とは思えない硬い音が響いた。
「そうだ、かつてオークだった頃、我らは貴様と共に大鬼族の里を滅ぼした。助太刀するぞフォビオ殿」
「助かるぜゲルドさん」
「ほほっ、どうです? その後の人生は、罪の意識に苛まれ、お辛いのでは?」
本当に相手の挑発が上手いな、フットマンってヤツは……本人じゃねぇけど、かなりイラつくヤツだ。
「……最高だとも」
期待していたセリフと違ったか、仮面を被っている方の面々が少し驚いて動きを止めた。
「こうして仲間と共に、陰謀の裏で暗躍していた者どもを屠れるのだからな‼」
ゲルドの旦那の隣でフォビオが拳を鳴らしながら構えて笑う。
『良いねぇ。盛り上がってきたじゃんか』
「げっ‼ なんかもう一人居る!?」
「……三対二ですか……しんどいですね」
つっても、オレ達も本気で殺す気でいるって訳じゃあないけどな……欲しいのは、お前らの情報だよ。
裏でコソコソと動き回ってて、情報が全くないんだからなぁ。
すばしっこそうな小さい女の方に火の球を調整しながら飛ばしていく。
「ちょっと‼ 危ないでしょう⁉」
『はっ、燃やそうとしてんだから危なくて当たり前だろ、オマエ……さては頭悪いな?』
「むっきぃ~、この女、感じ悪いよ‼」
「分かり易い挑発に乗らないでくださいよ、ティア」
次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで
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