心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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158話 命の軽さとカリュブディス

 

 

 

 

 

 

 

  ▲△▲△ 視点:エリア ▲△▲△

 

 

 ベニマル君からの指示で空から様子を窺っていたけど……特に問題はなさそうだ。

 

 三獣士筆頭のアルビスってお姉さんは敵軍のリーダーと戦いながらも余裕を見せている。 

 

『ベニマル君の指示とは言え……過保護過ぎたんじゃないかなぁ』

 

 獣人軍の影にはゴブタ君を筆頭にゴブリンライダーの皆が潜んでいるので、すぐに援軍として表れる事が出来るようになっている。

 

「ハハハ、流石は三獣士。一騎討ちで、この私と互角とは‼ しかしこれで、私の勝ちだ」

 

 いや、まぁそこそこ強いとは思うけど……あっちの後方に居る人の方が強そうな気配なんだよねぇ……あっちはガビル君とスフィアちゃんが行ったみたいだけど、特に問題はなさそう。

 

 本気の殺気というより、あそこは戦いを楽しむ闘気が満ちてる感じだ。

 それはレイちゃんが居る一帯もそうだけどね。

 

 殺気が飛び散ってるのは、前線近くの隠密隊が居る場所とヒータが居る仮面の怪しい連中が居る場所位だ。

 

 アルビスお姉さんの後ろから影のようにもう一体、敵のリーダーの白黒君と同じ顔をした……あれは多分、ドッペルゲンガーってヤツかな。

 でも、白黒君の能力っていう感じではなく、何かしらの魔道具を使った感じだ。

 

 きっとアルビスお姉さんも気付いてるはず、魔力の漏れが私でも感じ取れたしね。

 

「甘いっすよ‼」

 

 タイミングを見計らったようにゴブタ君が陰の中から飛び出して、後ろから迫っていた分身体を小太刀で弾き飛ばした。

 

「チィ……ッ⁉ 何者だ⁉」

 

 距離を取って着地したゴブタ君はしっかりと小太刀を構えて警戒している。

 

「ゴブタっすよ‼ 一騎討でそれはちょっと卑怯なんじゃないっすかね」

「あら、影から変な気配を感じとると思ったら」

「へへっ、ベニマルさんから命じられていたんす。ゴブリンライダー‼」

 

 ゴブタ君が号令とばかりに叫ぶと、獣人達の影から一気にゴブリンと狼が「同一化」というスキルにり一体化した姿の者達が飛び出して来た。

 

 テンペストウルフの背にゴブリン達の胴体がくっ付いた感じで、ゴブリン達はもちろん武装しているので鎧や武器を用いて戦い、足となって動くテンペストウルフ達は、周りの警戒などをして戦う姿だ。

 

「敵の魔人達を掃討するっすよ、ヤムザは強いから手を出しちゃダメっす。任せるならアルビスさんかエリア姐さ――」

 

 少しよそ見をしていたゴブタ君に分身体がすぐに斬りかかりに行ったが、ギリギリで頭を下げてゴブタ君が回避した。

 

「おおっとぉ、いきなり自分、狙いっすか⁉」

 

 すぐさま距離を取るようにゴブタ君の相棒であるテンペストウルフに跨って逃げる。

 

「当然だ。ふざけた外見だが、貴様が指揮官のようだからな」

「いやごかい――ひぃ⁉」

 

 分身体は何度も攻撃をしていくがゴブタ君は全て回避して、白黒君の攻撃が全く当たらない。まぁ、彼はハクロウさんやレイちゃんとの地獄のような特訓で鍛えられてるから……彼では役不足だろう。

 

 ゴブタ君……強すぎる人としか戦ってないから、自分の力量がどれだけあるのかっていうのが、多分だけれど分かっていない節がある。

 

 そしてゴブタ君の性格を理解してか、ベニマル君やレイちゃん、それにハクロウさんといったゴブタ君の周りにいるメンバーは絶対に彼の実力に関しては口にしないのだろう。

 

「あの分身が貴方の奥の手ですの? だとしたら大した事、ありませんわね」

 

 アルビスお姉さんが相手をワザと挑発して自分の目を見るように仕向け、相手は思わず彼女の目を見てしまう。

 

『うぁ、いまの挑発は上手いなぁ』

 

 ゴブタ君に気を取られ、分身体で思考が分散して気が漫ろになった所に挑発されたんじゃあ、私だって相手を睨んじゃうよぉ。

 

 魔眼ってヤツなのか、スキルなのかは良く分からないけど……発動条件は目を合わせる事で相手を麻痺させるってモノだろう。

 いや、もしかしたら、麻痺だけじゃなく石化もあるのかな。

 

 周りに転がっている石化した敵兵が幾つも転がっているもんね。

 

 そんな風に観察していたら急にアルビスお姉さんの周囲から風が舞い上がってきた。

 

『おわっとっと……ビックリした』

 

 少し風に煽られて、近くの場所に降り立つ。

 

「……黄蛇角、それが真の姿というわけか‼」

 

 アルビスお姉さんの姿が蛇の姿から少し変化して、頭に角が三本生えて着物の下は黒い鱗を鎧の様に纏った姿の色っぽい姿へと変わっていた。

 

「ちょ、ちょっとアルビスさん⁉ 電気漏れてるっすよ⁉ 味方もいるっす、見えてるっすか⁉」

「ええ、でも早くお逃げなさいな、彼女の下へ行けば大丈夫でしょう。こうなると手加減できませんの」

「総員退避――‼ 目指すはエリア姐さんの結界内っすよ⁉」

 

 アルビスお姉さんが私の方を指差して逃げるように言うと、ゴブタ君達が一斉に私の防御壁の中へと逃げ込んできた。

 

『もう、私は避難所じゃないんだけどぉ』

「ふふふ、御免なさいね。でも全力が出せるのも貴女のお陰なのよ」

『むぅ~私も暴れたかったなぁ……なんか、ベニマル君もだけど、最近は良いように使われてる気がするなぁ』

 

 それにしても、全力というだけあってさっきと違い……完全に白黒君を圧倒している。

 

 少し力を振るって攻撃すれば、敵の装備を石化させて砕き、それに驚いて隙を見せれば一気に懐へと絡みつくように潜り込んで一撃を加える。

 攻撃が当たった場所は、石化していき白黒君が何とか防御した左腕はもう石化してしまい次の一撃で砕かれてしまった。

 

「強いっすね」

『ああいう手合いとは距離を取るしかなさそうだけど……きっとアルビスお姉さんは遠距離での攻撃も多数あるでしょうね……雷とか出してたし』

「うへぇ、自分には無理っすね」

『私も相性が悪そうではあるわねぇ』

 

 戦いの分析しながら見ていたら、もう白黒君は武器も握れずに壁際に吹き飛ばされて追い詰められていた。

 

「降伏せよ。さすれば捕虜として命の保証はしてやろう」

 

 少しの間、白黒君はアルビスお姉さんを見つめゆっくりと目を閉じて下を向く。

 

「……わかった、申し出を受け――」

 

 急に自身の動きに驚いたように声を上げて、自分の右手を見つめる。

 

「……まさか⁉ や、止めろ‼ お止めください‼ クレイマン様‼」

 

 なにか丸い飴玉みたいなものを口の中へと自身で……いや、操られるように突っ込まれていく。

 

『アルビスお姉さんッ⁉ 離れて‼』

「一体どうしたというのです?」

 

 白黒君の身体がボコボコと気持ち悪く膨らんで変形していく。

 

「これは……⁉」

 

 分身体の方も本体の影響を受けて、同じように変化していく。

 

 一気に膨れ上がっていく魔素量は前に感じた事のあるカリュブディスのモノだ。

 

「カリュブディス……⁉」

「あれ、知ってるっす‼ 魔法が効きづらい激ヤバなサメ親分っすよ‼」

『ゴブタ君はここにいなさいっ‼ みんな‼ 今は敵味方なんて言ってないで傷ついて倒れている者や動ける者は私の結界内に入りなさい‼ 早く‼』

 

 私は防御壁を張ったままにして、周りに居て動けない者達に怒鳴りながら動くように指揮する。

 

「二体もとは、ヤムザの分身の影響か、忌々しい‼ クソッタレのクレイマンめ――‼」

 

 やっぱりアルビスお姉さんは遠距離での戦いも出来るみたいだけど……雷を当てた影響は少ないわね。

 

 多少のダメージを負わせても、再生能力がそれを上回っている。

 

『マズいッ‼ 逃げて‼』

 

 アルビスお姉さんにカリュブディスの尻尾が襲い掛かっている。

 

 その尻尾の攻撃の間に割り込む黒い人影がいた。

 

「え……」

 

 動けなかったアルビスお姉さんを守るように、ベニマル君がカリュブディスの尻尾を切り落とした。

 

 しかも、斬っただけじゃなく、再生されないように黒炎で再生を場所を防いでいる。

 

『もう頭にくるなァ。自分の部下だっていうのにこの扱い!? 命を何だと思ってるのよ』

 

 ベニマル君が居るなら処理は任せてちゃって良いかな。

 

「悪いな、完全体になってから遊んでやりたかったが、時間もないんでね。そっちは任せるぞエリア様」

『そっちこそ、撃ちもらさないでよねぇ‼ アクアグレイス‼』

 

 杖を構えてカリュブディスの真下から鋭い水圧を籠めた巨大な槍を突き刺すように、空へと一気に打ち上げて、串刺しにしてやる。

 

「ナイスアシストです」

 

 二体を安全圏まで上に上げて逃がさないように動きを封じると、ベニマル君が高火力の黒い炎の塊で一気にカリュブディスを二体とも包み込んでいく。

 

「……嘘でしょう?」

「終わりだ」

『全くもう、美味しい所を何時も私から奪ってってない?』

 

 物凄い高音と、自分が作り出した水柱で内側から水蒸気爆発の要領で破壊していき、ベニマル君の黒炎で全てを燃やしつくしてやれば、再生能力なんか追い付かないだろう。

 

【お~い、レイ、エリア、アウス。こっちは終わったぜ~】

【道化の連中はどうだった?】

【戦闘記録ならバッチリだぜ、そっちはどうだ? カリュブディスが出たんだろう?】

【それならもう処理したよ~、物凄く後味が最悪って感じだけどぉ】

【ならヒータはゲルドと一緒に指揮に戻ってね。ボクの方はもうちょっと――】

【あ、スミマセン皆さん、気になっている女の子達が戦場に居た……というか集まった感じですが、どうしましょう?】

 

 レイちゃんが言っていた種族の違う仲の良い三人組かな。

 

【それじゃあ私がベニマル君達に伝えておくよ。こっちにはアルビスお姉さんも居るし】

【ふむ、じゃあエリアにお願いするね。全軍の指揮はボクの方でやっておくから、ベニマルには気にせずに好きな事をするように言っといて】

【了解~】

 

「そっちの話は終わったか?」

『うん、アウスちゃんが指揮系統はやってくれるから、ベニマル君には好きに動いて良いってさ』

「なら、向かいたい所があるからそっちから済ませるか」

 

『後ねぇ、レイちゃんが気になるって言ってた三人組の女の子達が戦場に集まった? らしいからそっちのも後で顔を出してみる?』

 

「ふむ、なるほど……とりあえずはガビル達の方だな」

 

『それも、そうだね』

 

 

 あんな命を軽く見るようなヤツ、絶対に許さないでよねウィン。

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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