心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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160話 シュナの強さと怒り

 

 

 

 

 

 

  ▲△▲△ 視点:ライナ ▲△▲△

 

 

 

 流石は陰湿な作戦で攻め込んで来た主の領内だけあって、なんとも嫌な空気が漂っている場所だ。住む人の事など全く考えられていないような殺風景な景色だ。

 

 ただまぁ、霧で視界が悪く「魔力感知」も妨害されるような霧っていうのは……敵の罠だろうけどね。

 

「……不味いな、ワシの「魔力感知」が妨害されておる」

『えぇ‼ ハクロウ様の魔力感知でもダメなんですか‼ この霧!?』

『ハレ……五月蠅い』

『そうよう、ここは敵陣の本拠地なのですから、静かに行動なさってくださいまし』

「……コホン。この霧は視界を制限するだけでなく、魔素の流れを乱し阻害します。「思念伝達」や「空間移動」も使えません」

 

 ソウエイが御巫達の事を咳払いで諫めつつも、話を続ける。

 

「加えてこの霧が敵の制御下にあるとすれば、奴らが中の獲物を把握するのは容易い。無駄かもしれませんが、なるべく気配は抑えて進みましょう」

「なるほどのう、拠点の防衛として上手く出来ておる」

 

 周囲を警戒しながら、気配をなるべく消せすように行動する。

 

『ん~、なぁ~んかこの霧……変な感じなんだよね。ただの霧じゃないのは分かるんだけど、懐かしい感じというか……知ってる訳ないのになぁ』

『あぁそれ私も思いました‼』

『ハレ、声を抑える』

『少しは緊張感を持って欲しいですわ』

 

 ソウエイが小さく溜息を吐きながらも、御巫達の事は私に任せたというように視線で訴えてくるので、とりあえず頷いて答える。

 

「シュナ様、俺から離れませんよう」

「ええ、ありがとうソウエイ」

 

 ウィンとの“かくれんぼ”の成果か……リムルとウィンの魔王化に伴ってシュナが新たに手にしたユニークスキル「創作者」。独自の魔法技術を創造する能力って話だ。

 

 ウィンも出来る事だけど……改めて別の者が使うと良く分かるわね……強すぎよ。

 気配の話の前からしっかりとシュナは気配を完璧に消せているのも、その力の一部だ。

 

 シュナはよくウィンの訓練(遊び)は色々な技術を得るよう良く考えられている、なんて誤解して言っていたけれど……見る人によっては本当にウィンの訓練(遊び)は本当に訓練として、優れているのかもしれない。

 

「幻覚魔法」と妖術の組み合わせですな。お見事ですじゃ、シュナ様」

「わたくしには三人のような気配を断つ技術(アーツ)はありませんから」

 

『本当に妙ね……敵の気配が感じられ……いや、違うわね‼ 全員戦闘態勢を取りなさい⁉』

 

 ふと、上を見上げながら索敵していると、一つ気付いた事があった。

 

 確かに敵としてはあんまり意識していなかったから判らなかったけど、アレはウィンの記憶で見たことがある敵だ。

 

「……罠に嵌められたようですね」

「なんと……濃霧とはいえ、この広大な荒れ地で一体何処に隠れておったのじゃ」

『この霧よ、しかもこの霧にはアンデッドの力を時間経過と共に増幅させる能力があるわよ』

「ライナ様、この霧の事を知っているのですか? この霧は「空間干渉」を引き起こしているということですね」

『ちょっとちょっと、数が物凄く多いですよ⁉』

『コレが全部アンデッド!? 物凄く大変そう……』

『囲まれて逃げるって事も、出来ないようですわね』

「隠れていたのではなく、わたくしたちが誘き寄せられたのですね、包囲網の中心へ‼」

 

 皆で背中合わせになりながら、周囲の警戒をする中で、ソウエイが一歩進む。

 

「シュナ様、ライナ様。俺が突破口を開きます。その隙にハクロウ様と……」

 

「いいえ、ソウエイ。どうやら、そう甘い相手では無いようです。クレイマンの配下……特に五本指については、ミュウランから伺っています」

 

 シュナが見つめる先から、アンデッド達が道を開けるように歩いてくる聖者の服装をしている、アンデッド。

 

「数多の不死系魔物を従える、拠点の防衛に優れた者……この禍々しく巨大な力……もう間違いありません。死霊の王、示指のアダルマン‼」

 

「如何にも、余がアダルマンである。偉大なる魔王、クレイマン様にお仕えする城と大地の守護者。下賤なる侵入者よ、大人しくその命を差し出すがよい」

 

 アダルマンが喋っている最中にもハクロウが一瞬にして間合いへと入り込んで斬りに行ったが――。

 

 同じように瞬時にアダルマンとハクロウの間に割って入ったアンデッドが一人。

 騎士の恰好をしたゾンビの騎士がハクロウの剣をしっかりと止めた。

 

「……ほう、ワシの動きを読むとは……腐肉となったその肉体で、未だ剣士であり続けるか」

 

「……身の程を知らぬ者共よ」

 

『ソウエイ‼』

「ソウエイ!」

 

 アタシとシュナの声が重なった。

 

 ソウエイの横から巨大な竜のゾンビが襲い掛かって来たのである。

 咄嗟に私はシュナを抱えて飛び退いて移動する。

 

『わわぁ⁉』

『……ハレはもう少ししっかりして』

『大きいですわね』

 

 御巫の三人が障壁を展開させてドラゴンゾンビを押しとどめる。

 

『ソウエイ様、やっちゃってください‼』

 

 ソウエイがハレの声に頷く。

 

「操糸万妖斬‼」

 

 糸を使いドラゴンゾンビを切り刻んでいく。

 

「まさか腐肉竜までいるとは……」

「いいえ……ただの腐肉竜ではありません」

 

 シュナが切り刻まれたはずのドラゴンゾンビを、まだ睨み続け。

 

「死せる魔物の頂点、死霊竜です‼」

「……なるほど、「死」には耐性がある、ということか……ならばその魂をも滅してみせよう」

『落ち着きなさい、ソウエイ‼』

「そうです、死霊竜の魂はその体にはありません。冷静な貴方なら見抜けるはずです」

 

 アタシとシュナに言われて、じっくりとデス・ドラゴンを見つめるソウエイ。

 

「……アダルマン、あのワイトキングの中ですね」

「ええ」

「ソウエイ、わたくしを守ろうとしなくて良いのです。貴方はその竜の足止めに専念しなさい」

「しかし……‼」

 

 シュナに守らなくて良いと言われて、驚いているソウエイを他所に、シュナは一人で前へと歩き出す。

 

「わたくしはね、怒っているのです。異世界人のふるまい、ファルムス王国の侵攻、それを仕組んだクレイマン。物見遊山をしにここへ来たのではありません」

 

 そんなシュナに合わせるようにして、ハレは炎を纏い剣を、フゥリは風を操り球と扇子を取り出し、ニニは水を鏡のよう操ってシュナを中心にして舞う。

 

「対魔属性結界‼」

 

 ニニの水が光を帯びて辺りに散っていき、シュナから放たれる光の粒子がフゥリの風で広く舞っていく。

 ハレの炎が周囲に丸い線を引くように燃え広がって明るく照らしていく。

 

「ほう。アンチマジックエリアとホーリーフィールドの融合といったところか。なるほど、実に美しい魔法の構成よな。一定レベルに満たないアンデッドが立ち入れば、その身はたちまち崩れよう」

 

 そうでなくっちゃ面白くないわよね。

 

 ただ守られるだけの、お姫様は嫌なのでしょう。

 

 貴女がオーガの里より落ち延びて。

 

 リムルとウィン、それにアタシ達と出会った時から強くなろうと頑張って来たのだから……、ここでただ、守られているだけの女の子だなんて言われたくはないでしょう。

 

 

「ここは戦場、わたくしがアダルマンを倒します」

「……それは、楽しみだ」

 

『この場一帯は私たちにお任せください‼』

『……無粋な輩は近付けさせない』

『今回はシュナ様に敵大将はお譲り致しますわ』

 

『さて、それじゃあこっちは良いわね……アタシはあの無粋な城を落としてくるわよ』

 

 上を見上げながら、空を飛ぶ城を睨みつける。

 

『城? そんなの何処に……上!?』

 

 ハレがアタシの視線を辿って上を見上げる。

 

『貴女たちのお陰で霧がない今なら、十分に落とせるわよ』

 

『……あれ、なに?』

『私に聞かないで下さいまし!?』

『{闇晦ましの城}ってヤツよ。あんなのでも一応はモンスターよ』

『えぇ⁉ あれってモンスターなんですか⁉』

 

 杖を取り出して空に舞い上がる。

 

『それじゃあシュナ、任せたわよ』

「はい、そちらもライナ様もご武運を」

「そんな素直に行かせるとお思いですか? フフフ……果敢なお嬢さん方だ。せめて楽に死なせてやりたいが、残念ながら手加減はしてやれぬ」

 

「無用な気遣いです」

「そうか、では逝くがよい。侵蝕魔酸弾(アシッドシェル)‼」

幻炎の防壁(フレイムウォール)

『じゃあね、骸骨のおじ様』

 

「くっ⁉ やるではないか、ならばこれはどうだ‼」

 

 

 シュナの方を振り返る事無く、背後は任せて一気に空へと上がっていくアタシの前に城からの攻撃が飛んでくる。

 砲弾のような魔素の塊だが、それを光の弾周囲に生み出して同じように城から放たれる砲弾にぶち当てていく。

 

『そんなモノじゃあアタシは止まらないわよ』

 

 近付いて一気に壊してあげようとしたが……すぐに城の周りに浮いていた浮遊リングが高速で回転し始めた。

 

『往生際が悪いじゃない。そんなに動いてちゃあ近付けないから止まりなさいよ‼ 光の楔(ライト・ウェッジ)

 

 ワザと浮遊リングと城を突き刺すように光の剣を差し込んでやる。

 

 すぐに止められれば良かったのだろうけど、自身が高速回転させていたせいで、光の楔を打ち込んだ場所から、削り取られる様に城の本体である自分自身を攻撃していく。

 

『生意気にもアタシを罠に掛けた罰ね。自分の愚かさと共に沈みなさい』

 

 やっと停止した浮遊リング目掛けて、最後の一撃を入れる準備をしていたアタシが、巨大な光の槍を作り出して、闇と書かれたリングのド真ん中へと思いっきり打ち込む。

 

 もうボロボロだった城に風穴を開け、中から光の爆発で木っ端微塵にしてあげると、光の粒子となってカード化した物がアタシの元まで飛んで来た。

 

『……いや、アンタとアタシじゃあ相性が悪いでしょう。アタシにどうしろって言うのよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





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 ちょっと出してあげたかった{闇晦まし城}アニメの如く光の護封剣で倒しても良かったのですが……そうすると下に居る面々の被害が……ある意味、見たくはありましたが、そういうのはガビルとかゴブタの役割という事で、ライナ様に華麗に倒して頂きました。


 ヴァンパイアとかのテーマが出てきたんだから旧カードの救済とかないですかねぇ……今の環境なら闇晦まし城にアニメの展開みたいな、モンスターを守る効果とか付いても問題ない気がするのに(>_<)

 誤字脱字のご報告、いつも大変お世話になっております。

 楽しく読んでいただけたなら感激、暇つぶしでも貴重なお時間を割いて読んでいただけただけでも有難き幸せ。_(._.)_

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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