心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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161話 力を示す戦いとクレイマンへの罰

 

 

 

 

 

 

 

 人形のように座っているミリムをジト目で見ながら観察するが、自分の視線か風の探知に気付いたのか……すぐにじっと動かぬ人形のようになった。

 

「皆さん、宜しいのですか? 下等なスライムの暴挙を許して……、これは我々魔王に対する侮辱ですよ‼」

 

 クレイマンは何を焦っているのか、矢継ぎ早に他の魔王達へ語り掛けるが……クレイマンの言葉など適当に流す様に興味がない感じだ。

 

「別にいいじゃねぇか。クレイマン、お前も魔王なら自身の力でもってそいつを倒してみせろ」

 

 魔王ギィはまるで弱者に“魔王”の名は相応しくないだろう、そう言うようにクレイマンを見ながら言い放つ。

 

 リムルがトンと机に手を置いて、円卓を片付けるとその中央に立ってクレイマンを見る。

 

「場所は作った、さっさと始めようぜ」

 

 魔王ギィの笑みは絶対に彼自身の思惑も絡んでいそうな表情だけど……まぁ、それは今の自分達には関係ないのでほっとこう。

 

「クッ……クックック。やれやれです」

 

 三本のモフモフ尻尾がある狐がクレイマンの足元へと寄っていく。

 あれは良いモフモフそうだ……それに可愛いし……良いなぁ。

 

 自分の使い魔もプチリュウの時は可愛いけど……モフモフではないから、ああいう感じの子も欲しい。

 霊獣達は可愛いというより、カッコイイよりだし……クレイマンを倒したら、あの狐の子は自分が貰おうっと。

 

「自分の手を汚すのを嫌ったばかりに、余計に面倒なことになってしまった。本当に失敗でした」

 

 狐を抱き上げて、リムルの方へと歩きながらもクレイマンは一瞬だけ意識をミリムの方へと向けた。

 

「命令です、リムル=テンペストを殺しなさい」

 

 ミリムが一瞬にしてリムルの居た位置まで飛び、拳を真っすぐに伸ばしてくるので、その力を利用して風で合気道みたいに投げ飛ばす。

 

「結局、自分じゃなにも出来ない? 弱いんじゃない? クレイマン」

「だな、結局は他人頼りか?」

 

 流石はミリムというか、すぐに体勢を立て直して自分の居る位置とリムルの場所を把握しながら、今度は自分とリムルを巻き込むように拳の威力を上げてきた。

 

「うわぁ‼ もうビックリした」

 

 地面を抉りながら、砕けた石が自分の方にも飛んでくるので、流石にさっきみたいに風で投げ飛ばす事など出来ない。

 回避に専念しながら、確実に当たりそうな石だけを圧縮した風の弾で撃ち落とす。

 

「何を言う、ミリムは人の命令に従うような娘ではないでしょう。今のは彼女自身の意思さ。ギィよ、文句はあるまい?」

「ああ、構わないさ。ミリムが自分の意思で戦うのなら止めはしない」

 

 ……でしょうね。

 

 というより、絶対に魔王ギィも気付いてるよね。

 ミリムにはちゃんと意思があり、自分の考えで動いているって事に。

 

 ほらほら、リムルも気付いて‼ ミリムっては楽しくなっちゃって口角とか上がってるし笑ってるよ。

 

「……まぁいいさ、俺としてはミリムを助けるつもりだし、力尽くでもお前の洗脳を解くとしよう」

「ほざくなよスライムが……」

 

 どうしよう、リムルってば全然気付いてない。

 

「もうしかた――」

 

 教えようとリムルに近づこうとしたら、ミリムからの攻撃された。

 危なく殴られる所だった。

 

 杖をガードしながら、真正面から受け止めるのではなく。

 横に逸らしたり、威力を流すようにクルクルと回転させ滑らせるようにリムルの攻撃を捌いていく。

 

「ちょっと‼ ミリム邪魔だってば‼ クレイマンに命じられたターゲットはリムルでしょう⁉ こっちに来ないでよね」

 

 ミリムの目からリムルに余計な事を言うなという圧が飛んでくるが、いまはそういう事をしている場合じゃあないと思うんですけど。

 

「うわぁ~、ミリムの攻撃を凌いでる……ウィンってもしかして強い⁉」

「ありゃあじゃれ合ってるだけだろう」

 

 ラミリスと魔王ギィが自分とミリムの戦闘を興味深く観察している。

 

「貴様は絶望して、死ぬんだ‼」

「死ぬのはお前だよクレイマン、俺が出たんじゃ弱い者いじめになるからな」

 

 リムルの方はクレイマンと呑気に話ながら、後ろに控えていた紫苑をチラッと見る。

 

「俺の部下くらいが丁度いい」

「なんだと――」

 

 クレイマンってば、紫苑の動きに対応できていないのか、背後を簡単に取られて拳の連打を浴びている。

 あの馬鹿力で殴られるのは、相当に効くだろうね。

 

「って――いい加減に近いってばッ⁉ 風爆掌」

 

 これだけ近ければ避けられないだろうと踏んで、ミリムの懐に圧縮した風の爆弾を作り出して拳に乗せながら、ミリムに叩きつける。

 

 風での攻撃は自分にはダメージは無く、ミリムだけが風の壁に押される様にして吹き飛んでいった。

 

「宜しいのですか? リムル様」

 

 机が無くなって椅子から落ちていた魔王ディーノも紫苑のパンチや自分がミリムを吹き飛ばしたのを見て、目が覚めたらしい。

 

「紫苑? 普通はね、殴る前に聞くんだよ」

 

 自分もリムルも呆れながら紫苑を見ている。

 当の紫苑はクレイマンを思いっきり殴れたのが嬉しいのか、凄く良い笑顔をしている。

 

 というより、クレイマンを殴っていた手にはかなりの返り血が付いているので、その笑顔はある意味で恐怖でしかないです。

 

 殴られていたクレイマンだが、腐っても魔王と呼ばれているだけあって、再生能力は高いようだ……ただ、タフなだけかもしれないけれど……紫苑に与えられたダメージはしっかりと残っているようだ。

 

「きっきさっ……きさま……貴様らああぁぁぁ」

 

 怒ったクレイマンが人形を陰から召喚し、あの可愛かった狐が大きくなって更にモフモフ感がましている。

 

「いい気になるなよ……皆殺しにしてやる」

「無理? この程度で切れてるようじゃあ程度がしれてるし?」

「お前な、事実だが可哀想だろう。それにやっとそれらしくなってくれたんだからさ」

「というよりリムル‼ 君の相手はミリムでしょう⁉ 面倒だからもうリムルが相手してよ、助けるんでしょう。自分はそこのモフも――違う、狐の相手をするから‼」

「いや、お前が止めててくれても良くないか⁉」

 

 これなら良いだろうとミリムを少し睨むと、ミリムも満足という感じでターゲットをリムルの方に移し替えて、リムルの方へと向かって行く。

 

「図に乗るなよスライム、小娘‼ ナインヘッド‼」

「もう、疲れたからランガ、あの子の相手を任せて良いかな?」

「はッ」

 

 陰の中からカード化を解いてランガが飛び出してくる。

 

「貴様の相手はこの我だ‼」

 

 狐がしきりに吠えているが、ランガは構わずに襲い掛かっていく。

 

「シオン、しばらくクレイマン達をまかせるぞ。あとウィン‼ お前はあの人形な‼」

「え~、さっきまでミリムの相手をしてたんだから良くない?」

「はい‼ リムル様は――」

「俺は……ミリムを助ける」

 

 そういうと同時に、ミリムが両手を振り上げてリムルへと殴りかかり、地面を思いっきり殴りつける。

 

「おわっと。ちょっとこれ……会場壊されちゃうんじゃないの⁉」

 

 魔王ディーノがミリムが攻撃した余波で被害を受け、魔王ギィに何とかして欲しいと訴えている。

 

「ああ、そりゃ困る」

 

 魔王ギィが手を上げて指を鳴らすと、中央で戦っていた自分達を中心に円形に囲む様に結界が展開された。

 

「なんだ、これ……椅子が遠くに!?」

 

〈結界に空間拡張の影響を確認しました。内側より障壁を破るのは不可能です〉

 

「なるほど――ね」

 

 魔王ギィが結界を張ったからか、ミリムの攻撃がまた一段と力を上げてきた。

 

 あれは絶対にコレでもっと暴れても大丈夫だと確信した感じだろう。

 

「これで存分に戦えるだろう」

 

 いえ戦えません……。

 

 なんで観察されながら戦わないといけないのさ……実力隠しながら戦うのって神経使うし、面倒で本当にやりたくないんだけど。

 

 なんか人形さんは、自分の方へとターゲットを決めて向かって来てるし。

 まぁ……あの狐ちゃんが敵でなくて良かったかな……心置きなく、壊しちゃっても問題ないもんね。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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