心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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162話 木偶人形とラミリスの仲間

 

 

 

 

 

 

 

 リムルの方はラファエル先生を解析に回してるからか、ミリムに攻撃するよりも受け流すことに集中している……といっても、受け流すだけでもかなりヒドイ状態になっているみたいだけど。

 

 受け流したはずの右腕が滅茶苦茶になっている……スライムじゃなかったら、右腕は今頃は吹き飛んでいるんじゃないかな。

 

「ちょ、ちょっとヤバくない? ヤバくない!? 人数的には問題なさそうだけど、ミリムに対してリムル一人って無謀でしょう‼」

 

 さっきまで自分がミリムと対峙していたんですけどね……ラミリス、なにも言わなかった気がするのは気のせいかな。

 

「わかってます、わかっていますからラミリス様。ですが――」

「ちょっとギィ‼ アタシはリムルに付くからウチのベレッタ――」

「駄目だ」

「何でさ⁉」

「ああん? あれはあのスライムと嬢ちゃん、クレイマンの喧嘩だろ。お前が混ざる理由がねぇ」

「何言ってんのさ‼ ミリムだって参戦してんじゃん‼」

「アイツはいいんだよ」

 

 まぁ、ミリムとラミリスではねぇ……力の半分も出せないって自分で言っているラミリスに、この戦闘は辛いでしょう。

 

 ……それにしても、魔王ギィって意外に良い人なのかな? ラミリスの事を気遣っているってことだよね。

 

「なによそれ!? 何でアタシはダメなのさ⁉」

「ミリムにはミリムなりの考えがあるんだろうさ、それによ――

 

 魔王ギィが物凄く面倒だという表情をしている。

 

「よっと、ん~、こっちかな」

 

 それにしても……この木偶人形。

 

 ……弱い‼ どうしよう。

 

 もうちょっと実力を隠しつつリムルやシオンよりも下だと思われて、魔王達から何とも思われないモブという存在になりたいのに……クレイマンが出したからもうちょっと出来るヤツなのかと思ったら、全然弱くって話にならない。

 

 攻撃パターンが同じで、思考もする様子がないから簡単に回避出来る。

 

 魔法も使ってくるが、魔法の練度で言えばテンペストに居る誰より低いんじゃないだろうか……荒すぎて、打ち消すのが簡単、というか杖で叩き落とせるレベルだ。

 

「そこのドライアドはお前を守ることに全力を注いでいるようだが……ベレッタとやらは、誰に忠義を誓っているんだ? 魔鋼製の人形に受肉した悪魔のようだが、召喚者はお前じゃねぇだろ。二君、いや三か? 仕える者を魔王の従者とは認められねぇな」

 

 魔王ギィの話はもっともだ。

 

 ベレッタは自分が体を、召喚者はリムル、対価はリムルと自分の魔素でラミリスに仕えて貰っている。

 最後に百年の契約後にリムルや自分の下で働きたいって言ってくれたもんね。

 ラミリスが心配なのか、魔王ギィの話はラミリス自身にも関わる事だ。

 

「ワレには主と呼べるお方が三人、確かに居らっしゃいます。お仕えすべきラミリス様、造物主であられるウィン様、そして召喚者であられるリムル様」

「……こいつはオレの古い友人でな、その従者が主を天秤にかけるような真似を見過ごすわけにはいかねぇ。今、この場で決めろベレッタ……お前の唯一の主は誰だ」

 

「――では、ワレはこの命の続く限り、ラミリス様に忠誠を捧げると誓いましょう。なので一度だけリムル様、ウィン様のお役に立つことをお許し願いたい」

「……それは忠誠を誓うと言える行動か?」

「言えます、ラミリス様の願いこそ、彼の方々を救うこと。何も矛盾していません」

「だから言ってんじゃん‼ アタシはリムルとウィンにつくの‼ ベレッタ、アタシの代わりにリムルとウィンを助けてあげて‼」

「もちろんですラミリス様、主が望むから、か……なるほど、理屈は通る」

「当たり前じゃん‼ だって仲間だもん。ベレッタもトレイニーちゃんも、もちろんウィンやリムルもね‼」

 

 どうやら魔王ギィも認めてくれたらしい。

 ここでベレッタに助けを求めれば、自分は弱いって事で変に魔王達に目はつけられないだろう。

 

「……ま、お前がそれでいいなら、いいけどよ。二言はないな、ベレッタ」

「はい、リムル様、ウィン様にはワレよりも強きデーモンがお仕えしております。それに、ワレはラミリス様が大好きなのです。共に研究する日々も、内緒ですよ」

 

 とにかく、助けにくるなら早く来て欲しいなぁ。

 

「……フゥン」

「感謝します、原初の紅(ルージュ)

「ああ、その呼び名はやめろ。貴様にもギィと呼ぶことを許す。ところで、一つ聞く、お前は何色だ?」

「ワレと同色の系統は非常に少ないかと思いますよ。あの方は滅多に直系眷属をつくりませんから」

「なるほど、道理で判断基準が狂ってるわけだ。だが、奴らに助けが必要か?」

「フフ、まぁ必要はないでしょうが……ラミリス様の不安が一つ減るのですから良いではないですか」

 

 話は終わったようだけど……魔王ギィが言っていた何色って、どういう意味だろう。

 ベレッタの方も聞かれている事が分かっている様子だった。

 悪魔って色で何かしら分かれてたりするのかな。

 

「ウィン様‼ リムル様‼」

「ベレッタか⁉」

「あの木偶人形はワレにお任せ下さい。代わりにウィン様と協力してミリム様を頼みます」

「ああ、助かるよ。聞いてたなウィン‼ お前もこっちに来い‼」

「えぇ⁉ そっちの方が大変そうなのにぃ」

「ワレではミリム様のお相手は務まりませんので、頑張ってください」

 

 こんな事なら早めに木偶人形を壊しておけばよかった。

 魔王ギィとラミリスのやり取りが気になり過ぎて、そっちに意識を向けすぎた。

 

 ベレッタがこそっと自分に近づいて小声で話しかけてきた。

 

「盗み聞きをしているからですよ」

 

 楽しそうな声音でベレッタが耳打ちしてきて、すぐに木偶人形の方へと向かって行ってしまう。

 

「おいウィン‼ 早くこっちを手伝ってくれ‼」

「え~、行きたくない……」

 

 ミリムの拳や足技などを交わしているリムルが、ちょっとイラッとした表情で自分の方へと飛んで来た。

 

「いや‼ こっちに来ないでぇ~」

 

 ミリムも自分とリムルが二人なら、もうちょっと力を出しても問題ないだろうという感じで、魔素の放出量が上がってきている。

 

「無理やりにでも手伝ってもらうからなっ‼」

「うにゃ⁉ ちょっ‼ こっちじゃなくてリムルの方が良いでしょう⁉」

 

 杖に風を纏わせて強化しながら、ミリムの拳を何とか捌いていく。

 回転させた軸に少し反撃を交えて、ミリムの力を少し利用しながら攻撃してみるが……ミリムの方は猫みたいに空中で身体を回転させながら、綺麗に着地する。

 

 絶対にミリムってば楽しんでるよ。

 

〈告。魔王ミリムの「解析鑑定」の結果〉

【おお、まってたよラファエルさん‼ クレイマンの術は解除できそうか?】

 

 いや、無理じゃないかな。

 

〈解。呪法は存在しません〉

 

 ……違う‼ 違うよラファエル先生!?

 その説明じゃあややこしくってリムルは理解できてないから‼ ミリムは操られているフリをしてるとか――。

 

 リムルの方を見ながら思念伝達で伝えようと思うのだが……それを見越してか、ミリムが必要に自分に対して攻撃を仕掛けてくる。

 

 手加減されているとはいえ、手加減状況でも本気って感じだ。

 そのせいでリムルに伝える暇がない。

 少しでもミリムから意識を逸らしたら、簡単に吹っ飛ばされて物凄く痛い思いをするのが目に見えている。

 

 風霊術を使って防御しながら、何とかミリムと距離を取ろうと頑張っているのに……ミリムはそれを悉く拳で粉砕しながら、自分とリムルの方へと突き進んでくるのだ。

 

 こんな事をやられては話をしている暇がない。

 

〈魔王ミリムに仕掛けられた呪法は、発見できませんでした。これは――〉

 

 説明が長いってラファエル先生‼ 簡単に胆略化して説明してよ。

 

「りむ――」

 

 自分もうなりふり構わずに、リムルに喋りかけようとすると――。

 

 慌てた様に物凄い威力の魔素を纏いながらミサイルのように突っ込んでくる。

 

「もうっ‼ 邪魔してくれちゃって」

 

 ミリムに文句を言うと、視線がチラッと自分の方を向きながら「それはウィンだぞ」と言うように見つめてくる。

 

〈否。そうではなく。腕輪の宝珠に支配の呪法の痕跡が見受けられましたが――〉

【宝珠!? ってことはその宝珠を破壊すれば解呪できるってことか】

〈否。そうでは――〉

【腕輪の宝珠ね】

〈違――〉

【あれか‼】

 

 もう、ラファエル先生が哀れに思えてきた。

 

「ウィン‼ ミリムの腕輪を狙え‼」

 

 狙った所で……いや、待てよ。

 

 ミリムが操られているという体で戦っているのならば、その元を壊してしまえば……この面倒な戦闘も終わるのではないだろうか……。

 

「……了解?」

「俺も隙を見て狙う」

 

 ニヤリとミリムを見ると、彼女が少し嫌そうな顔をしているのが分かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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