心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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165話 ミリムの嘘とライオンさんの姿

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミリムの動きや腕輪を壊すことに集中していたので、リムルとクレイマンの戦いは全然頭に入っていなかった。

 

「う……うおおおお‼」

 

 クレイマンがリムルを操ろうとしているのか、黒く光る靄でリムルを覆っていく。

 ただまぁ、リムルは操れないだろうけどね。

 

 紫苑を操れなかったのだから、リムルが操れる訳がない。紫苑が操れたなら、その攻撃に意味はあるんだろうけど……そんな事も頭に無いのだろうか。

 

「フッ……フハハハッ‼ 紛い物の映像でハッタリなど、如何にもスライムらしい小賢しい手よ。喜ぶがいい‼ その繭が解けた時、貴様は私の命令に従う事しか出来ぬ操り人形になるのだ‼」

 

 高笑いがお似合いではあるんだけど……笑ってないでリムルの動きに注意しておかないとダメでしょう。今は戦いの最中なのだから。

 

 もう勝った気でいるのか、クレイマンが高笑いをしてリムルから目を逸らしているせいで、リムルが普通に殴りに動いているのが分かっていない。

 

 三下の敵みたいに顔面を殴られて仮面も破壊されて、地面に叩きつけられながら吹き飛んでいった。

 

「馬鹿なっ……貴様といい、あの鬼女といい⁉ なぜ効かぬ⁉」

「さぁな、お前が弱かっただけだろ」

 

 まぁ実際には、紫苑が復活して獲得しているスキル「完全記憶」を持っているから、精神攻撃の類は一切通用しないんだけどね。

 

 それは自分も同じだし、リムルに至ってはラファエル先生が居る。

 

「そんな……そんなはずはない‼ 太古の魔王ですら――ミリムですら支配した究極の呪法だぞ⁉」

 

 こっちの戦いはもう終わってるの、まさか気付いてないって事はないよね。だってミリムの腕輪を破壊した時にリムルが目の前で反応していたし。

 

 クレイマンが改めてミリムの方を向くと、悔し紛れに途中乱入しきたヴェルドラに八つ当たりをしている最中だった。

 

「な、何者だ⁉ なんなのだ、あの桁外れの力は‼」

「なんだ、出てきたところ見てなかったのか? ヴェルドラだよ、言っただろう、友達だって」

 

 クレイマンがようやく周りを見始め、魔王達を見ていく。

 

「……ミリムよ、命令です。「狂化暴走」しなさい。この場にいる者全員を殺しつくすのです‼」

 

「何故そんなことをする必要があるのだ?」

「というより、操ってる腕輪は壊したよ?」

「だよなぁ……クレイマン、大丈夫かお前?」

「しかし、ウィンにはしてやられたのだ……まさか腕輪を壊されるとは思わなかったのだ」

「何故⁉ 確かに宝珠は壊されたかもしれないが、まだ――」

「ワタシがクレイマンなんかに操られる訳ないであろう?」

 

 あ、ミリムのおバカ⁉ せっかく操られているって事で腕輪を壊したのに……自分から操られてないって言っちゃうなんて。

 

「わーっはっはっは! 見事に騙されてくれたようだなリムルよ‼ ウィンは途中で気付いてたから、リムルに言う前に何とか暴れて阻止してたのだぞ」

 

 ピシッと空気が一瞬だけ亀裂が入った様に固まり、リムルが物凄く睨んで来た。

 

「でもクレイマンに殴られても反応しなかったじゃん」

 

 魔王ディーノも驚きながら周りにいるメンバーに聞いている。

 彼の言葉を聞いて、リムル以外にも騙された者が居ると知れてか……リムルが物凄くホッとした顔をしている。

 

「ほら、リムルだけじゃないし……きっとラミリスも気付いてなかったよ?」

「そういう問題じゃねぇ‼ というかお前は気付いてたんだよなぁ‼」

「それはミリムに文句を言ってよね‼ というか、ラファエル先生が何度も説明しようとしてたでしょう⁉」

 

 自分がそう言うとリムルも流石に何も言えなくなる。

 

 ラファエル先生からの圧だってリムルにかなり向けられている。

 

〈…………はぁ〉

【ごめんて】

 

「なんで操られたフリなんてしてたんだよ?」

「うむ! クレイマンが何か企んでいると思ったのでな、それを探っていたのだ」

「振り……⁉ そんな……そんなはずはない‼ 支配の宝珠で私の支配下にあったのは間違いないはずです‼」

「あぁ、呪法が成功したように見せねば用心深いお前は信用しないだろう? だから、ワザと受けたのだ」

 

 ミリムは足元に転がっていた腕輪を踏みつけて、クレイマンの方へと蹴って彼の足元へと転がした。

 

「ふ、ふざけるな……あの方より授かった魔宝道具に私の全魔力を注いだ究極の支配の呪法だぞ? たとえ意図的であろうと、受けたなら最後、自らの意思を失い――」

「そうなのか? でもワタシを支配するのは無理なのだ」

 

 クレイマンに支配は無理だとハッキリと行ってしまう。

 

「では……では貴女は私を欺くためだけに、カリオンを殺したというのですか⁉」

「おいおい、誰が死んだって?」

 

 魔王フレイの横に居たライオンが頭を掴んで被り物を外し、中から出てきた顔は見覚えがある人物だった。

 

「俺がリムルを唆しただとか、随分面白いこと言ってくれてたじゃねぇか。なぁ、クレイマン」

 

【ウソだろ⁉ ビーストマスターがライオンの被り物とか‼ まさか過ぎて気が付かなかったぞ‼ ちょっとラファエルさん⁉】

〈……報告しましたが、マスターは魔王レオンに気を取られておいででした〉

 

 あぁ、ちょうど魔王レオンが来ちゃってそれどころじゃあなかったね。

 自分もその辺はラファエル先生の話を聞いてなかった。

 

 でも、紫苑と一緒に感じた事のある気配だとは言っていたので、リムルよりはマシだろう。魔王フレンに見惚れてたリムルが悪い。

 

「よぉリムル、それにウィン。オレの民が世話になった」

「いいって」

「ん、皆で楽しく過ごしてる?」

「そんな……では……本当に? だがフレイの報告では……」

「あら、いつから私が貴方の味方だと勘違いしていたの?」

 

 流石はリムルを初見で魅了していた魔王さん。

 ちょっと色っぽくクレイマンを揶揄うように言ってのける。

 

 女の人って怖いね……あれ? 今は女だから自分も魔王フレイみたいに……いや、前世は男なのだ……あんな風にはなるまい。

 

 魔王フレイの態度が気に食わなかったのか、手の平で踊らされた事が気に入らなかったのか、結界があるのにクレイマンが怒りのままに魔王フレイに突っ込んでいく。

 

 それを止めるようにミリムがすぐに動いて、クレイマンを思いっきり地面に叩きつける。

 

「ミリムったら、結界があるから大丈夫なのに」

「それはわかっているのだ。ギィ、結界を解いてくれ」

 

 ミリムに言われて魔王ギィが指を鳴らして結界を解く。

 

 結界が消えても、空間は拡張されたままのようだ。

 魔王ギィは、まだ戦闘が終わってないとでも言うように自分やリムルを見ている。

 

「フレイ! アレちゃんと持ってきてくれているのだろうな?」

「はいはい」

 

 結界が解かれるとミリムは魔王フレイに駆け寄り、ヴェルドラは魔王ダグリュールの下へと向かって行った。

 

「ミリム? アレって……」

 

 そう言ってミリムの方を見ると、嬉しそうにリムルと送ったドラゴンナックルを抱きしめていた。

 

 そういう姿を見ると、ミリムも普通の女の子にしか見えないんだよね。

 

「でもあなた、演技は全然ダメね。ガッツポーズなんてしてクレイマンに見られていたらどうするつもり? 魔力感知で見てたらバレバレよ? そこの魔女の子なんて気付いてたじゃない……どうやって見てたのかは、分からなかったけど」

 

 魔王フレイからネットリと調べられるような視線を向けられたのでレジストして、何も知らないと言うようにそっぽを向く。

 

「しょうがないだろう? リムルやウィンが私の為に怒っているのが分かってうれしかったのだ」

「三門芝居だったな」

 

 魔王ギィも気付いていた一人だね。

 呆れた様に言うと、隣に居たラミリスが慌てだし。

 

「そそそそそうよね‼ ミリムってば演技へたっぴーよね‼ アタシもそう思ってた」

 

「大丈夫だよラミリス。リムルだって騙されてたし、あっちに居る眠そうな魔王さんだって騙されてた?」

 

 リムルは恥ずかしそうに空笑いしながら、何も言えずにいる。

 ただ、ちょっと別の魔王さんからは睨まれちゃったけど。

 魔王ディーノからの視線も無視して、目を合わせないようにしよう。

 

「我は気付いておったぞ」

 

 ヴェルドラは魔王ダグリュールの肩に寄り掛かりながら、笑って気付いていた事を言うと、リムルが少し怒りながらヴェルドラを睨む。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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