クレイマンは何故、強さに拘ったのだろう……それにクレイマンはきっと誰かの下にいる者で黒幕ではないと思う。
仮面を付けた怪しげな道化連なんて連中の仲間ではありそうだけどね。
「あー、ところでミリムよ。一つ聞きたいんだが、いいかな?」
カリオンがにこやかに笑みを浮かべているが、確実に怒っている様子でミリムに近づいて行きながら話しかける。
「なんでも聞くのだ‼」
「じゃあ遠慮なく……お前さん、操られてなかったんだよな? ということはノリノリで俺を甚振ってくれたのかな?」
自分に負けて操られていたって事にしておけば、こういう事態も回避できたのにね。ミリムが操られる訳ないとか明言しちゃうから……。
リムルもカリオンの言葉に頷きながら、ミリムを冷めた目で見ている。
「いやいや、いいんだよ? 俺が弱かっただけだし? だがユーラザニアを吹き飛ばしてくれたのも、君の意思ってことだよな?」
「そ、それはだな……」
ミリムが慌てながら言葉を詰まらせ、リムルや自分に助けて欲しいという視線を送って来るが、何も見ないようにそっぽを向く。
リムルも自業自得だろというように、ミリムを見て首を横に振っている。
「あれはクレイマンを騙すために頑張っただけなのだ‼ 細かいことをきにしては駄目だぞ?」
「王都が消えたんだぞ⁉ 細かくねーよ⁉」
カリオンの言う通りだよミリム、流石に都市が消えたのは細かいレベルに分類してはいけない事態だからね。
ミリムは怒鳴られながらもリムルの後ろへと隠れる。
「まぁまぁ、幸いユーラザニアに人的被害はなかったんだ」
「その点はミリムが頑張ってクレイマンから守ったとも言える?」
「そうなのだ‼ 良いことを言ったぞウィン‼」
「それにだ、クレイマン軍との戦では出来る限り殺さず、捕虜にするようウチの連中につたえてある。彼らを労働力に加えて、町を再建させればいい」
なんとかカリオンを宥めようとリムルが色々と説明しだした。
まぁカリオンに此処で恩を売っておくのは、良い手かもしれない。
「当然、自分達も手伝う? なんなら前よりも立派で快適な街にしちゃえば良い?」
そうリムルと一緒にカリオンに言うと、なんか驚いた顔をしながら自分とリムルの顔をじっと見られてしまった。
「良かったなカリオン。ワタシのお陰なのだぞ」
「てめーはちったぁすまなさそうにしやがれ‼」
皆でちょっとおふざけも混じった感じで話し合っていると、クレイマンがゆっくりと立ち上がっていく。
《確認しました。これまでに集めた魂を魔素に変換……成功しました》
これはラファエル先生ではなく、世界の言葉。
《肉体を分解。再構築を開始します》
集めた魂……ねぇ。
ということは、クレイマンの狙いは沢山の魂かな。
だから面倒な手順を用いて、国を引っ張り出し、大勢の命を奪うためにテンペストやファルムス王国を動かしたってことだろう。
そして、クレイマンを利用している第三者も、同じく大量の生贄を欲した。そう考えると色々と見えてくるモノがある。
「リムル様、ウィン様、これは……」
「心配ない、予定通りだよ。どうやら覚醒したらしいな、本物の魔王に」
魔素の量もしっかり増えている。
体も作り替えられて、完全復活の第二段階という感じだ。
「見よ‼ 私は力を――力を手に入れたぞ‼ ハハハハハハッ ハァーッハハハハハ」
確かに強くはなっているようだけど……自分にはさほど脅威には感じない。
「リムル、ここは俺様も――」
「いや、悪いけど譲ってもらえないかカリオンさん。魔王を名乗る以上、自分の席は自分で用意したいんでね」
「じゃ、手伝わなくて良いよね♪」
自分が嬉しそうに言うと、リムルがジト目で見てくる。
「そうだけど、なんか癪に障るな……やっぱお前にも魔王を名乗らせるべきか?」
「頑張ってねぇ~」
これ以上の時間をかけると巻き込まれそうだから、さっきの魔王ギィが使っていた結界を再現して展開させてあげる。
「はぁ⁉ これは……ギィの結界か‼」
「オレの技を盗むか……図々しい奴だな」
「こういうのは自分の得意分野? 別に自分に真似されても問題ないでしょう?」
「ハッ、言ってくれるなぁ……お前、名前は?」
「しがない風使い?」
ニコッと笑いながら答える。
すると魔王ギィも笑いながら見返してくる。
「おい、それより良いのかよ?」
「リムルがやるって言ったんだから大丈夫じゃない?」
カリオンは自分の顔を真剣に見つめながら、少しだけ目を閉じて深呼吸してから改めてリムルの方を見た。
「……はぁ、コレじゃあ俺が馬鹿みてぇだぜ……負けるんじゃねーぞ」
「さぁ、これで正真正銘、一対一だ。次でお終いにしようか、クレイマン」
「いいだろう。では、喰らうがいい、この私の最高の奥義を……」
〈告。クレイマンの覚醒は正当な手順を踏んでいません。故に眠りを必要とせず、暫定的な魔王化を果たしました。本来であらば、魔王種の発芽を望める状態には至っていません〉
【へぇ、なんで進化できたんだろうな】
【なるほど? クレイマンの覚悟ってヤツかな?】
〈…………覚悟が経験値を底上げしているようです〉
【……ふうん。ウィンが正解なのか、にしても、焦ってないじゃんラファエル先生】
〈是。想定していました〉
クレイマンの最低ラインは、この場所からの逃亡だろう。
でも自分やリムルを相手にしちゃった時点で、クレイマン……君はもう討ち取られてるんだよ。
次の手は存在しない……チェックメイトだ。
コレがカリオンやミリム、魔王フレイとかだったら逃げ遂せる事は出来ただろうね。
他の魔王達が何もしなければ、だけど。
魔王ギィなんかもそうだ、明らかな格上がいる状況で、ここでのやり取りを“あの方”とやらに中継は出来ないだろう。
「喰らうがいい‼ 龍脈破壊砲――――ッ」
「喰らい尽くせ「暴食之王」」
リムルにはベルゼビュートがある。
そして自分が対峙していた場合……その者の魂、星幽体のアストラル・ボディーごと吸収できちゃうからね。
クレイマンから放たれた眩い程の力の塊を、リムルの足元から出てきた黒い霧が全て喰らい尽くした。
「勝てないと理解したか? ならばもう一度、問おう。黒幕の正体、お前の知っている情報を全て話せ、素直に喋れば苦痛を与えずに殺してやろう」
「フッ……フハハハハァ‼ 舐めるなよ、私は妖死族‼ たとえ殺されようと何度でも復活する、貴様は永劫、この私に怯えて暮ら――」
リムルは最後まで言わせずに、クレイマンの横っ面を殴り飛ばした。
あれは……「思考加速」かな。
一撃を加えただけで、数日分もの苦痛を味わったはずだ。
「クレイマン、最後にもう一度聞くぞ、黒幕は誰だ」
「わ……私が仲間を、ましてや依頼人たちを裏切ることなどない、それが……それだけが‼ 中庸道化連の絶対のルールなのだ‼」
〈告。口を割らせるのは困難です〉
【わかってる、どんなに痛めつけられても吐かないだろうな】
中庸道化連……絶対のルールね。
仲間に対する情は本物みたいだけど……なんでそれをミュウランに向けてあげられなかったのかなぁ。
「今からクレイマンを処刑する。反対の人はいるのかな?」
「好きにしろ」
魔王ギィがどうでも良いと言わんばかりの態度で告げる。
「一応教えておいてやるけど、お前、復活は出来ないぞ」
リムルから告げられて、目を見開きながらクレイマンが驚いている。
「というよりな、俺か……ウィンを相手にした時点で、お前は詰みなんだよ。ここから脱出した後、新たな体を手に入れて復活するつもりだったんだろうけど、俺はアストラル・ボディーごと喰うしな。ウィンに関しては――いや、いいか……」
チラッとリムルがこっちを見たので、言うなという圧を思いっきりリムルにぶつける。
「なっ……」
「何故俺がそんなことを知っているか不思議か? どうすれば死者蘇生が叶うか検索したんだよ、何度も何度も……お前の計略に奪われたものを取り戻すためにな」
リムルがクレイマンに手を翳して、クレイマンをブラックホールの闇に引きずり込むように吸い込んでいく。
「や……やめろ。やめろぉ――‼ た、助けてくれフットマン‼ 助けてティア‼ 私はまだ死ねない‼ こんなところで死ねるものか――ッ‼ お、お助け下さいカザ――」
必死に地面を掴んでいた爪が、悲しい音をたてて外れ、リムルの放つ闇へと消えていく。
次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで
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