心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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167話 新たな魔王

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リムルがクレイマンを処してしばらく会場内は静まり返っていた。

 

 最初にパチパチと拍手しだしたのは魔王ギィ。

 

「見事だ、お前が今日から魔王を名乗ることを認めよう。異論のあるヤツはいるか?」

 

 魔王ギィは他の魔王達に聞く。

 

「ないない‼ アタシはリムルのことを信じてたさ‼ なんなら弟子として認めてあげてもいいけど――」

「あ、そういうの間に合ってるから」

「食い気味!?」

 

 ラミリスが少し調子に乗る前にリムルがキッパリと断る。

 

「リムルはワタシの親友だからな、お前とは仲良くしたくないそうだぞ? リムル自身が魔王となったわけだし、もうお前に気を遣う必要もあるまい?」

 

 ミリムがラミリスを揶揄うように言うと、ラミリスはショックを受けてフラフラと空中に倒れていく。

 

「うぅ~、ウィン~。ミリムが~~」

「あ~はいはい。リムルはそこまで言ってないから大丈夫?」

「だよね⁉」

「……多分?」

「ガーン‼」

 

 いや、こっちに寄ってこられても困るのだけど……とりあえずトレイニーさんとベレッタに預けよう。

 

「私は誰が魔王になろうが興味はない。好きにすればいい」

 

 魔王レオンが興味なさげに言っているけれど……クレイマンと戦っている時にも色々と興味深そうに自分とリムルを観察していたような気がするんですけどね。

 

 自分がジーっと見ていると、少しだけ目を開いてこっちを見ながら無視された。

 

「ま、いいんじゃないの?」

「うむ、ヴェルドラが認めるのなら、これ以上ない保証だろう」

 

 魔王ディーノと魔王ダグリュールもリムルを認めてくれたらしい。

 

「ミリム、少しは言葉に気をつけなさいな。あなたの方が強いのだから」

 

 カリオンと魔王フレイも異論はなさそうで、ミリムと仲良く話している。

 

「余としては下賤なスライムが魔王などと、断じて認めたくはないが……どちらかと言うと、そっちの風の魔女の方が気になるな」

 

 魔王ヴァレンタインは反対という感じで話し始めた。

 まぁリムルがスライムというのもあるだろうけど、一番の理由はヴェルドラだろう。

 

「クァーッハッハッハ。下郎、我が友を侮辱するか? おいミルスよ、従者の躾がなっておらんぞ。我が教育してやろうか?」

 

 ヴェルドラ……誰もが黙っていた事なんだから、簡単にバラしちゃいけないと思う。

 

 魔王ヴァレンタインの後ろに控えていたメイドに語り掛けるヴェルドラを止める事は叶わず、イライラした表情でメイドさんが他所を見ながら刺々しく答える。

 

「私に話しておいでですか? 私は魔王ヴァレンタイン様の侍女にすぎませんが」

「ん?」

 

 ヴェルドラはさっぱり意味が解らないと、真顔になって固まる。

 

「おい駄目だぞヴェルドラよ。バレンタインは正体を隠しているのだ、今の魔王が代理なのは内緒なのだぞ?」

「なにぃ⁉」

「ミリム……内緒話っていうのは聞こえないように喋らないと意味ないよ?」

「はっ! 聞こえていたのだ⁉」

 

 ほら、あのメイドさんが物凄い殺気を飛ばしながらミリムの方を睨んでいる。

 ミリムもすぐに気付いて、下手な口笛を吹きながら誤魔化しだした。

 

 それにしてもやっぱり……あのメイドさんが本当の魔王だったんだ。

 

「忌々しい邪竜め、どこまでも妾の邪魔をする……」

 

 もうミリムにもバラされ、諦めと苛立ちから舌打ちしながら先程までの態度から、ガラッと様変わりしていく。

 

「それに貴様、妾の名まで忘れたか」

「ミルスじゃなかったか?」

「忘れたのだ」

 

 竜二人に忘れられ、諦めの溜息を漏らしながら変装した姿を解いていく。

 

「もう良い。妾のことはバレンタインと呼ぶが良い」

 

 仮初の魔王だったヴァレンタインの男と比べても、彼女の魔素は別格だった。

 

「宜しいのですか、ルミナス様」

 

 執事のお爺ちゃんが魔王バレンタインにそっと聞いている。

 

「致し方あるまい。もはや正体を偽ることは不可能じゃ」

 

 魔王の中にも知らない人達が居たらしい。

 カリオンと魔王フレイも、信じられないという感じで魔王バレンタインの方を見ている。

 

「あの駄竜のせいでな」

 

 ギロッと彼女がヴェルドラを睨む。

 

 そそくさと自分とリムルの後ろへと逃げだすヴェルドラ。

 

「我悪くないし、隠してるの知らなかったし。バラしたのミリムだし」

「名前はミルスじゃなくって、ルミナスさんだって?」

「あぁ、ルミナスか‼ そうそう、そうであったわ」

 

 自分達の事を気にしながらも魔王ルミナスさんは、魔王ヴァレンタインと名乗っていた男に「ロイ」と声をかける。

 

「気になることがある、貴様は先に戻っておれ」

「しかし、ルミナス様」

「この前、貴様が追い払った道化の恰好をした侵入者。クレイマンの奴と何か繋がりがあるかも知れぬ、戻って聖神殿の警備を厳重にするように伝えるのじゃ」

「――承知」

 

 そう魔王ルミナスさんに言われ、魔王ヴァレンタインが体を大量のコウモリに変えて飛び立っていった。

 

 それにしても……ルミナスと言えば、西方聖教会のルミナス教の名前のまんまだけど……まさか、関係があるのかな。

 

 ところで……。

 

「ベレッタ、何してるの?」

「はっ⁉」

「なに? この数々の武器は?」

「これは失礼致しました。リムル様とウィン様に献上すべく磨いていたのですが、つい熱中してしまい……」

 

 ベレッタは壁の端っこで武器を広げながら綺麗に磨いていたのが気になっていたのだ。

 

「リムルや自分に?」

「これってビオーラとかいう、人形だよな?」

 

 広げられている武器を見ると、かなりのモノだ。

 あの木偶人形に格納されていた武具って全て特質級だったみたいだ。

 もうちょっと扱える者に渡していたら、もっと強かったんじゃないかな。

 

「でも、こういうのってラミリスも好きだよね?」

「じ、実はですね……こちらを納めて頂いた上でワレとラミリス様の居場所を提供して頂けないかと……」

「えっ⁉」

 

 リムルが何か驚いているけれど……確かに、ラミリスもそんな話をしていた気がする。

 

「ラミリスもそんなことを言ってたけどさ、ベレッタならアイツの我儘を止めてくれる思ってたんだけど」

「申し訳ありません……少々事情が変わりまして、先ほどギィに詰問されたのです、己の唯一の主は誰か……と。ワレはラミリス様と答えました。その思いに偽りはありません」

 

 確かにそんな話をしていたね。

 

「ですがワレは気付いたのです。ラミリス様ごと、テンペストへの移住が叶えば、リムル様、ウィン様のお役にも立つことが出来るのではないかと‼」

 

「リムル、朱に交われば赤くなるって言葉を、いま思い知った気がする?」

「あぁ俺もだ……主に似てきたな、お前」

「あ~、でもそれならいっそテンペストの地下にラミリスの迷宮でも作っちゃえば?」

 

 

「……なるほど」

 

 

「失礼いたします、ラミリス様。リムル=テンペスト様、そしてウィン=テンペスト様。お茶の準備が整いました」

 

 メイドさんが呼びに来てくれたけど……。

 

「え? 自分も!?」

 

「あまぁ呼ばれてるんだし、良いんじゃないか?」

 

「そうそう、一緒に行くわよ」

 

「ベレッタ、その件は保留だ。とりあえず考えておくよ」

「さぁ行くわよウィン‼」

 

 リムルとラミリスに引っ張られるようにお茶会に参加する事になってしまった。

 

 もう帰れると思ったのに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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