心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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169話 魔王達の名称

 

 

 

 

 

 

 

 数分、重い沈黙が続いている中で最初に言葉を発したのは魔王ダグリュール。

 彼は少し上を見上げながら溜息を漏らすように喋り始めました。

 

「困ったのう、また新たな名称を考えねばなるまいよ」

「幸いにも今は全ての魔王が揃っておるのだ、良い知恵も浮かぼうというものよな」

 

【リムル、なんでこんな微妙な空気が漂ってるの?】

【だから俺に聞くなって】

 

「わははあ、ワタシは今回もお前達に任せたのだ‼」

 

 ミリムはもう考える事を放棄している様子。

 

「押し付け早ッ⁉ まぁ前回は散々だったもんねー」

 

 魔王ディーノは以外にもツッコミに回りながら、マイペースな所は変わらない様子だ。

 

「うむ……幾度、ワルプルギスを開催したことか。ああいうのは考え過ぎるとダメだな」

 

 魔王ダグリュールが頷きながら魔王ディーノと仲良く話している。

 

「“十大魔王”ってのも結局は人間が呼び出したんだよな。せっかく俺達だって必死に考えたってのに」

 

 魔王ディーノが机に寝そべるようにしながら喋る。

 

「さも、建設的な意見を出したかのように語るでないわ。貴様も文句ばかり言っておったであろうが」

 

 隣に座る魔王ルミナス……もとい、バレンタインさんが横目で魔王ディーノを半目で睨みながら言う。

 

「何言ってんだよバレンタイン。そう言うお前はロイに任せっきりだったじゃねーの」

「噂に聞く悪夢が始まるのか……」

 

 ボソッと呟く魔王レオンの表情が暗い……真顔なのにね。

 

「あっちの人は知らないみたいだね」

「あぁ俺達だけじゃなかったな」

 

「8人だしさぁ、もう単純に8大魔王――」

「それは認めぬ」

「なんでだよ⁉」

 

【魔王ってさ、ひょっとして暇?】

【……まぁ、ミリムもテンペストに入り浸りだったしな】

 

「落ち着けお前達、こんな時こそ普段は見せない協調性で乗り切ろうじゃねーか」

「俺、寝る」

「アンタほんと協調性の欠片もないわね⁉」

 

 自分とリムルは良く分からないので、話を聞いているだけに回っているとヴェルドラが本をパタンと閉じて、ホクホク顔をしながらリムルの方へと歩いて行く。

 

「もういーじゃん8大魔王――」

「いや、それはない」

「ギィまで⁉」

 

 もうコントになりつつある場の空気の中で、ヴェルドラがリムルの椅子に少し寄り掛かりながら魔王達へと声を掛ける。

 

「なんだ、魔王達の呼称で揉めておるのか?」

「あぁヴェルドラ。そうなんだよ、名前なんてなんでもいいのにな」

 

 自分は嫌な予感がしてリムルの席から少し離れようとすると、ヴェルドラに肩を叩かれて止められてしまった。

 

「そういう話ならば、我が友リムルとウィンが得意としておるわ‼ 頼ってくれても良いぞ?」

「ヴェルドラ⁉ 何言ってるのかな⁉」

 

 リムルもギョッとして、目を見開きながらヴェルドラを見ている。

 

「そう言えばアタシのベレッタにもサクッと名付けてくれたもんね‼」

 

 ラミリスが更に余計な一言を付け加える。

 

「……ほう?」

 

 魔王ギィも顎に手をあてて、少し興味深そうにコチラを見てくる……しかも、物凄く胡散臭い良い笑顔を向けながら。

 

「今日、新たな魔王として立つリムルよ。君に素晴らしい特権を与えたい」

「あ、いらないんで遠慮します」

 

 リムルも爽やかスマイルで魔王ギィに笑い返す。

 

「では、隣にいる相方のウィンだったな、君にも素晴らしい――」

「リムルを差し置いて自分が貰うなんて出来ない?」

 

 自分も微笑んで魔王ギィに最後まで言わせずに言い返すと、しばらく3人の間で笑顔のまま沈黙が続く。

 

 徐に魔王ギィが手刀のようにゆっくりと机を叩くと、それを見ていた他の魔王達が椅子を後ろに下げ始めた。

 

 少し遅れて硬そうな机が激しい音をたてながら、綺麗に2つに分かれた。

 

 リムルも自分も目が真丸に見開きながら、道のように分かれた机を見つめる。

 魔王ギィがゆっくりと歩きながら、楽しそうにこちらへと机を割って出来た道を進みながら向かって来る。

 

「そうだとも、我らの新たなる呼び名をつける権利、それを君達に進呈する。これは大変、名誉なことだから当然引き受けてくれるよな?」

 

 自分はサッと立ち上がってリムルを盾にするようにして、リムルの後ろの椅子に身を隠す。

 

「あっ‼ ウィンお前⁉」

 

 ニコッと見つめてくる魔王ギィと目を合わせないように、リムルもサッと顔を横に逸らしたが、椅子に座っているリムルが逃げる事は叶わず顎を掴まれて、魔王ギィにクイっと強制的に魔王ギィの方へと向けられている。

 

「……というかよ、お前等が人数を減らしたのが、この問題の原因なんだぜ?」

「いや、フレイさんもカリオンさんも自己都合? ひぅ⁉」

 

 余計な事を言うなと魔王ギィに微笑まれて、すぐに椅子の影に隠れる。

 

「責任を取って名前くらい考えるよな?」

「わぁ~、脅迫――いえ、何でもありません」

「宜しい、お前も食っちまうぞ?」

 

 カプッとリムルの耳に齧りながら、微笑まれたのでサッと身を護るように自分の身体を抱きしめながら一歩引く。

 

「……わ、わかったよ、気に食わないからって文句をいうなよ?」

「考えるだけなら、自分も考える」

 

 魔王ギィは宜しいというように、ニコッと笑って自分の席へと戻って行く。

 

「レイン、テーブルくっつけとけ」

「はい」

 

「えーっと、八人……八人の魔王」

「頑張れ?」

「お前も考えろ⁉」

 

 リムルが唸りながら腕を組んで必死に考えている。

 

「ねぇねぇ、リムル」

「なんだよ、いま一生懸命に考えてるんだぞ」

「分かってるよ。分かってるけどさ、上を見てみなよ」

「上? 星か……」

 

 上には綺麗な星空が広がっている。

 

「そそ、今日は新月だからか夜空の星が綺麗だよ……こっちの空にもさ、星座ととかってあるのかな?」

 

 この世界の星は何て呼ばれてるのかな。

 

「……星か……“八星魔王(オクタグラム)”……なんて、どうだ?」

「元は八芒星から? ……風水や密教で八は方角を示し、幸運を呼び込み、不運や悪気から身を護るんだっけ?」

 

 魔法陣なんかでも用いられることが多いモノだ。

 前世で8を意味するオクタって言葉と、線を意味する接尾辞グラムを組み合わせた言葉だった気がする。

 確か、ギリシャ語だったかな。

 

 リムルの提案した言葉の下を少し語ると、魔王さん達が納得という感じで表情が和らいでいる。

 

 ミリムは鼻高々に胸を張りながら何故か誇らしげで、隣の魔王ダグリュールも納得という感じで頷いている。

 

 ラミリスは両手でサムズアップしながら楽しそうにしているし、魔王ルミナスさんも笑顔で「悪くない」と笑っている。

 

 魔王ディーノの驚きながら「スゲェ~一瞬かよ」と呟いていた。

 何気に魔王レオンも少し気に入ったのか、何も言わないでいる。

 

「決まり、だな」

 

 決定と魔王ギィが声を掛ける。

 

 この日より、魔王達は新たな呼称で恐れられることになる。

 

 悪魔族、デーモン。暗黒皇帝、ギィ・クリムゾン。

 竜人族、ドラゴノイド。破壊の暴君、ミリム・ナ―ヴァ。

 妖精族、ピクシー。迷宮妖精、ラミリス。

 巨人族、ジャイアント。大地の怒り、ダグリュール。

 吸血鬼族、ヴァンパイア。夜魔の王女、ルミナス・バレンタイン。

 堕天族、フォールン。眠る支配者、ディーノ。

 人魔族、デモンノイド。白金の剣王、レオン・クロムウェル。

 妖魔族、スライム。新星、リムル=テンペスト

 

 その呼び名は八星魔王、オクタグラム。

 

 新月の夜、新たな魔王の時代が幕を開ける――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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