心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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171話 グルメロードの始まり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 色々とあったが、少し時間が出来ての休暇……とはならず、ワルプルギスの前に紫苑がラーメンなんて懐かしいモノの名前を言うから、帰ってきて早々にガルド・ミョルマイルとの、ちょっとした儲け話をすることになった。

 

「なぁ頼むよミョルマイル。私と君の仲だろう?」

 

 今はいきなり押し掛けた事もあって、誰かと話している様子だ。

 

「そうですなぁ、貴方とワシの仲と言いますと……今日が返済の期日だと言うのに金がないという債務者と、踏み倒されそうで困っている債権者……ということで宜しいですかな?」

 

 流石は大商人というだけある人だ。

 金勘定にシビアで貴族が相手でもけして媚びない。

 まぁ、非合法組織の親分でもあるという、噂もあるけど……まぁ、自分は何も知らないので問題ないね。

 

 一人の男が連れ出されていって、すぐに自分とリムルが別の部屋に案内された。

 

「これはこれは、リムル様‼ ウィン様‼ 良くぞおいでくださいました」

 

 もみ手でニコニコとしながら出迎えてくれるミョルマイルさんは、さっきまで別室で話していた姿とは全然違って見える。

 

「かたっ苦しいねミョルマイル君。キミとボク達の間柄じゃないか‼」

「そう言われると嬉しいですが……それで旦那にお嬢様、今日はどのようなご用件で?」

「ん~、実物を――」

「実はだね、君に儲け話を持って来たんだよ」

 

 リムルが悪い顔をしながら、内緒話をする様にミョルマイルさんに顔を近付ける。

 

「ほう? それはどのような?」

「……リムルがごめんね? これを食べてみて欲しいの」

 

 カードを裏から表にひっくり返すと、封じ込めておいたラーメンが出現する。

 リムルの胃袋みたいなモノで、カード化することでアイテムの持ち運びが出来るようになったのだ。

 カード化した時点で時間も止めることが可能なので、食べ物を保存しておくにも便利な代物となっている。

 

「これは……?」

「名前はラーメン。味は塩風味? 他にも味噌、醤油なんかもある?」

「ほう、味が色々とあるのですか⁉ それに香りもすごく良いですな……食欲を刺激されるようです」

 

 初めはリムルのラファエル先生に頼って、リムルの記憶を再現してもらったのだが……、何というか、再現したラーメンは確かに美味しいのだけれど……レシピは様々だし、ちょっとした事でラーメンの味は変わる。

 

 何に拘るかによっても違うと、力説したせいで自分が創意工夫して作ることになってしまった。まぁテンペストの料理人ことゴブイチやハルナと共に、色々と作って、人に食べさせられるレベルのモノが……いま、ミョルマイルさんの前に出したラーメンだ。

 

「具体的なレシピはこれからだが、ウィンとウチの料理人に開発を任せるつもりだ。そして完成したら、ブルムンドまでの街道上の宿屋で提供する」

「ミョルマイルさんにお願いしたいのは、開発費の出資、開発に成功した後の食材の定期的な卸業務? そういった事をお願いしたい?」

「ほう?」

 

 もう一押しと、リムルが目を細めながら微笑んでミョルマイルさんを見つめる。

 

「ちなみに、新商品が人気メニューになったら、君が運営する系列の店でだしてもいい」

「なんと⁉ ですが、それではウィン様やリムル様が利益を独占できないのでは……」

「そこは君、先行してお金を出してもらうのだから、見返りに利益を共有するのは当然じゃないか」

「……先ずは食べてみて? それに……ラーメンはさっき言ったように味は一つじゃない? 何を添え、何をメインに、味やインパクトで様々に変わる、面白く奥深い料理」

 

 ミョルマイルさんが自分の言葉を真剣に聞きながら、目を閉じて、隣に置いてあった箸に手を伸ばす。

 

「……なるほど、面白い。ですがまずは試させてもらいますよ。“らーめん”とやらのポテンシャルを」

「あ、食べ難かったらフォークでも良いよ? 使い方、分からないでしょう」

「……後で教えてもらっても、宜しいでしょうか」

「ん、先ずは冷めて伸びちゃう前に食べてみて?」

「どうぞ、どうぞ」

 

 リムルが終始楽しそうにしている……ラーメンを食べられてかなり満足している様子だ。

 

「大金を投じるに値するのか否か……」

 

 面をフォークに絡ませてパクっと食べると、すぐに目や口から輝く光でも出ているかの如く、驚いている。

 

「うまぁ――――い‼」

 

 こうして、自分とリムルは軍資金……スポンサーの確保に成功したのである。

 

 その後はミョルマイルさんに食材を確保してもらい、実際にゴブイチと自分で調理しながら試行錯誤を繰り返して、基本的な“らーめん”というベースを作ったのだった。

 

 自分が担当したのは、塩、醤油、味噌を担当して、ゴブイチの方には豚骨ラーメンの方をお願いした。

 

 豚骨は自分にはちょっと……重いというか、匂いが……ね。

 その代わりに、自分はハルナとチャーシューなんかのトッピング品を幾つか作りながら、味の調整や、麺の事をミョルマイルさんに教えていく。

 

 太麺やちぢれ麵など、麺によってどう変わるのか、スープが如何に“らーめん”の命かなど、ちょっとしたつけ麵なんかも披露してあげた。

 

 味の濃さを変えるだけでも、別のお客を呼び寄せることが出来るなど、ミョルマイルさんは説明しないでもすぐに気付いてくれるので、時間を省いて“らーめん”を広める事が出来そうだ。

 

 ちなみに余談だが……リムルが何をしていたかと言うと……応援? いや、試食? ……まぁ、肥えた舌を唸らせることが出来たなら、それはこの世界の誰にでも通用すると見て間違いない。

 

「素晴らしい‼ 流石はウィンとゴブイチだ‼」

「うむ、美味い‼」

「良かったね、ゴブイチ」

「ウィン様の教えがあったからこそです。ラーメンについてはかなり自信がつきました」

 

 喜びに空気が漂う中で、リムルが次の爆弾を落っことす。

 

「うんうん、この調子でハンバーガーも頼むぞ」

 

 その瞬間に、自分とゴブイチ……そしてミョルマイルさんの動きが止まる。

 

「リムル。まさかチェーン店系統を網羅する気じゃあないよね?」

「ふっ、いいかいウィン、ゴブイチよ。次の仕事はレシピの開発じゃない。誰でも同じモノを作れるように、調理マニュアルを確立させるんだよ」

「リムル……調子に乗り過ぎ?」

「う、ウィンさん?」

「ふふ、別に作ることは良いんだけどね。時間や順序って言葉を知ってる? それにミョルマイルさんの財布を当てにし過ぎじゃないかな? そろそろ、怒るよ」

「は、はいっ。すみませんでした⁉」

 

 リムルを少しの間、自分が展開した魔法陣の上で正座してもらい反省を促すとして。

 

「ラーメンが軌道に乗ったら、次はハンバーガーを作って教えます。ゴブイチもそれくらいの時間があれば一緒に調理マニュアルの制作も出来るでしょう?」

「は、はい。手伝ってもらえば、なんとか……」

「ふむ、ならばそこからハンバーガーとやらの制作費を当てれば、多少の損失が出たとしても十分な儲けも出るでしょう……いえ、もしかすると、そんな損失など、簡単に帳消しに出来るやもしれません」

 

 なんか、ミョルマイルさんもリムルの悪影響を受けてしまったのか、リムルにテンションが引っ張られておかしくなっちゃったかな。

 

 そのうち、金色のお菓子でも持って来そうで怖いよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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