心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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さて……スキル名の呼び方に悩む今日この頃……


2話 スキルとカードと外の世界へ

 

 

 

 

【お、鉱石発見。いただきま~す】

「……お腹壊さないの?」

『スライムに腹痛なんて、そもそもなくない?』

 

 リムルが至る所にある鉱石やら草……薬草らしいが、魔素で感じ取った近くのモノをやたらめったら取り込んでいく。

 

【なんか「捕食者」で取り込んだモノは出し入れが自由に出来るんだよ】

「ダンジョンゲームのアイテム収集的な感じ?」

【そうそう、そんな感じだ】

『ただ取り込むのが楽しいからじゃあない?』

 

 一瞬だけビクッとリムルが反応をしめした。

 

【後々に役に立つかもしれないだろう。別にあってこまるもんでもないし、自分の能力くらいはしっかり把握しておかないとだろう】

 

 なんだろう、一生懸命に言い訳を探してもっともらしい事を言っている……様な言い回しに聞こえるのだが、確かにリムルの言う通りではあるんだよね。

 

【転生してきたんだから、ウィンだって何かしらのスキルをもってるんだろう?】

「あ~、そうだね」

 

 なんか、女の子になっている自分の状況を確認したくなくて忘れていたけれど、確かにどんな能力を持っているのかの確認は今後も大事だ。

 ヴェルドラさんのようなドラゴンが居る世界って事は、少なくとも前世の日本みたいに、平和な世界という事はありえないだろう。

 

『ウィンの「遊戯王」は腰のデッキホルスターを確認する事からかな』

「ライナは使い方が分かるの⁉」

【俺の「大賢者」みたいなもんか。どんな能力なんだ?】

「これって――」

 

 ライナに言われて、腰の所にあるカードホルスターから数枚のカードを取り出すと、そこには見覚えのあるキャラ達や緑色の魔法カード、赤色のトラップカードが入っていた。

 ただ、エクストラデッキなんかで使うようなカードが一枚もない。前世の時に扱っていたカード達なら入っていないはずはない。

 

「霊使いと、憑依装着のカード……」

【ほぼ遊戯王カードだな】

『使ってみなよ、別に大事にはならないから』

 

 遊戯王の世界じゃあカードの精霊とかを呼んでたけど、ライナみたいな感じで出てきてくれるのだろうか。それはそれで楽しみだ。

 

「じゃあ、このアウスを召喚…………?」

『ふふ、精霊が宿っている訳じゃあないから出て来たりしないよ』

【おぉ~、なんかウィンの感じが変わったぞ⁉】

 

 キャラが召喚される訳ではなく、自分がアウスみたいな茶色髪の色と杖が装備された。

 

『いま、風の力から地属性の力を操れるように変わったのよ』

「なるほど……確かに風は操れなくなってる」

 

 試しに風を感じてみようとしたけれど上手くいかず、逆に大地の力を感じ取り易くなっていて、少し意識するだけで地形を思うままに操れる。

 

【うぉぉ~⁉ 凄いな‼」

 

 ゴゴゥと地面をエスカレーター風に動かしたり、剣山を作り出したりと思うがままだ。

 

「あ、出口がわかったかも」

【なに! 本当か⁉】

『ウィンの魔素量に応じた検索範囲で地に関する事なら知れるからね』

 

 とういう事は……他の属性に変わるのもカードを手に持って使用すれば、その力の魔法使い族の能力を扱えるという事なのだろうか。

 まぁ、霊使い、もしくは憑依装着の風、地、火、水の子達しか持っていない。

 魔法カードやトラップカードに関してもそうだ。テーマに沿ったモノしかデッキホルスターには入っていなかった。

 

 腰ベルトには他にもデッキホルスターが付いているのに一枚もカードが入っていない。

 

 

「なんで他のホルダーにはカードが一枚も入ってないの?」

『条件解除されてないのと、カードが一枚もないからだね。ちなみに、同性のキャラカードしか生成できないみたいだから、男に戻りたいって感じで男性カードを生成しようとしても無駄だからね』

 

 ライナの容赦ない説明を聞いてしまい、数分程度だろうか……その場で勢いよく両手を地面に付いて落ち込む。

 

【……どんまい】

「いらない、そんな励まし。というかなんで少し嬉しそうなの⁉」

【こちとらスライムだぞ‼ 人型であるだけ羨ましいんだよ】

 

 確かに生まれていきなりスライムというのは……ちょっとな。

 

「ごめん」

【分かれば良いさ、それよりライナは色々と知ってるんだな?】

『そうだね、アタシは言うなればスキルから生まれた存在だしね~。リムルの「大賢者」みたいなモノだと思ってもらえれば分かり易いかな?』

【なるほどな。ん? あ~、なんか「大賢者」が同格の今なら「生霊の魂」であるライナとのリンクを繋ぎたいって言ってるんだけど】

『ふむ……良いですね。アタシも少し手伝って欲しい事があるのでお願いしたいです』

 

 別に拒否する事も無いので、リムルの伸ばして来た手……手? 触手……いや、手を握る様にしてお互いに魔素を流し合ってリンクを繋いでいく。

 

〈ユニークスキル「生霊の魂」の解析に成功〉

 

「ひゃうっ‼ 急に頭の中に声がしてビックリした」

【悪いな、声の主が「大賢者」だ。これから宜しくしてやってくれ】

 

『ふふ、コレで少しは動きやすくなったかな』

 

 フワッと光が強くなった途端、半透明だったライナが急に実態を持って大地に舞い降りるようにして、ゆっくりと地面に足を付ける。

 

【うぉ! こっちもかなりの美少女だな!】

『ふふふ。よろしくね、リムル。それにウィン、アタシの相棒』

 

 ライナが両手でリムルとこっちに手を伸ばして握手を求めてきた。

 

「よろしく、相棒」

【あぁ、よろしくな】

 

 

 

   ―――――――☆★☆★――――――――

 

 

 

「あ、なんか大きな蛇みたいなのが居る……二匹」

『一体はリムルが倒して、「捕食者」で取り込んじゃったほうが良いね』

【え……あんなの食いたくないぞ俺は】

〈告。嵐蛇を「捕食者」にて捕食する事を推奨します〉

「魔物種類や名前も分かるんだ。テンペストサーペントね」

『リムルの「捕食者」は対象を捕食して解析することで、そのスキルを得ることが可能だったはずだからね。強くなるのに越した事はないでしょう』

【マジで⁉】

 

 なるほど、そういう理由なのか。

 

 じゃあさっそくという感じで、「水刃」で首を落としてすぐさま倒してしまう。

 

【おい、そっちに一匹行ったぞ!】

 

 地形を少し変えて沼状態にし、動きが鈍った瞬間に生きたまま顔を覆って固める。

 

『ウィン、そのままテンペストサーペントの魔素を杖で吸収しちゃって』

「えっと、分かった」

 

 ある程度は吸い取っただろうか、すると頭の中に「コレクト」可能だと響く。

 

「なに「コレクト」って?」

『まぁまぁ、とにかくやってみて』

 

 ライナはニコニコと微笑みながら手出しせずに状況を見守ってくれている。

 

「じゃあ……「コレクト」。ひぅ⁉」

 

 予想以上に強い衝撃が手元の杖から振動して伝わって来た。

 嵐蛇が急に光の粉になってカードの形へと収縮していく。最終的に一枚のカードになって胸元へと飛んで来た。

 嵐蛇の外見のまま、遊戯王カードに閉じ込められた感じだ。某主人公のお爺ちゃんを少し思い出して切なくなるが、一体どういう事だろう。

 

『それで、その子はウィンの意のままに命令できるよ。召喚って言えば嵐蛇を出現させられるからね』

「なる、ほど」

『そういうカードを集めて、同種族、もしくは同属性のカードで一定の数を集めるとカード生成っていう感じで新たなカードを作れるから頑張って。それと一つのホルスターにはテーマに沿った子達しか入れられないから気を付けてね』

 

 モンスターカードは精霊よろしく、この世界の魔物達をカードにして呼び出し。新しく生成するカード達は、少なくとも天使族の魔素を何とかして自身に取り込み、カードを作らないと自身の力として使えないと言う感じらしい。

 

 この洞窟内で集められるだけ集めたカードで新たな力を宿せるのは……ヴァンパイアデッキのフロイラインくらいだった。

 

 モンスターカードの生成はいわば家来という感じになるそうだ。

 

 洞窟内の魔物達はこちらの事を獲物的な目で見ているのか、見つかるとすぐに襲い掛かってくる。

 出口を目指しながら歩いているだけで、向こうからわんさかと襲ってくるので、リムルと協力しながら力の糧になってもらっている。

 

 もうコウモリやら百足やらトカゲに本当に色々と襲ってきて大変だった。

 その過程で、リムルはコウモリの「超音波」で喋る練習をしながら出口へと向かう。

 

「あ、リムル止まって」

【どうした?】

『出口の外側に誰か居るみたいなんだよね。丁度良いか、流石に実体化は疲れるからアタシはそろそろ戻るね』

 

 物陰に隠れて息をひそめる。

 

「ふう、やっと開きやしたぜ。鍵穴まで錆びついちまってんだから」

「まぁ仕方ないさ、300年も手入れされてなかったんだ」

「でも、封印の洞窟を調査しろだなんて、ギルドマスターも無茶ぶりよねぇ」

 

 男二人に女の子一人。

 人間の冒険者という感じだろう。

 

【接触してみるか?】

「やめておこう……300年も開かずの扉だっていう洞窟内から喋るスライムに魔女っ娘なんて出て来た日には大騒ぎだよ。なんか調査に来たって言ってるんだし尚更ね」

『魔物だ~狩れ~‼ なんて事になりかねないね』

「とくにスライムのリムルなんて捉えて見世物にされるかもしれないね」

【……惜しいが今はやめておこう】

 

 冒険者の三人組が固まって何やら話し合っている。

 

「お二人とも、もっと寄ってくださいよ。あっしの隠密技術を発動させやすから」

 

 頭にバンダナを巻いた男がそういうと、うっすらと視界がぼやけるように透けていく。

 

【なんというドリーム技術‼ のぞき見し放題……後で友達になる必要がありそうだ】

 

「リムルのエッチ」

 

 今は女の子の体だからか、反射的にリムルをジト目で見つめながら言葉が出てしまった。男だった過去の自分を思うと、気持ちは解らんでもないのだがな。

 

『アタシはウィンの体を覗きたい放題だから、問題なし』

「ちょっとライナ⁉」

 

 そんなやり取りをしつつも、三人がしっかりと見えなくなってから外へと向かう。

 

 

 

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