心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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20話 スキルと威力と新たな出会い?

 

 

 

 

 

 

 

「各種耐性と「範囲結界」をリンク。「多重結界」を分身体に発動」

 

 リムルが作り出した分身体にしっかり結界を掛けてから、リムルが右手で炎を出し始める。炎に魔力を込めて、分身体の方へと一気に放つ。

 

「よしよし、んじゃ行くぞ。せーの……「黒炎」」

 

 イフリートの時みたいな炎じゃなく、黒色が混じった炎だった。

 

 ブワッと焦げ臭い香りと、モワッとした熱が一気に自分達の方へ襲い掛かってくる。

 

『ちょっと……せめて威力は抑えなさいよ』

「すごいね」

「……わりぃ」

 

 辺り一面がまっくろ焦げになっている。

 とっさにライナが防壁を自分達の周りに展開させてくれなかったら、「黒炎」の余波を自分もライナもくらっていただろう。

 

 しばらく黒い炎が燃えていたので、リムルは慌てて捕食で消火した。

 

『それにしても、えげつない威力ね』

「怖っ‼ なにコレ、怖っ‼」

 

〈エクストラスキル「黒炎」です〉

 

「知ってるよ!」

「森の中で使ってたら大変な事になってたよ?」

『リムルの分身は……無事みたいね』

 

 分身体のリムルは凄いだろうという感じで、ニッコリ笑顔のスライムボディを見せつけてくる。当の本人は引き攣った笑顔を浮かべているけどね。

 

「そろそろ、帰るか……、肉が待ってるし」

「無かった事にはならない?」

『なんか攻撃も防御も凄い事になってるじゃない』

「それもこれも「大賢者」とシズさんの遺してくれたスキルのお陰だな」

「……その……スキルの名前は?」

「あ~、ユニークスキル「変質者」……だな」

『名前だけで聞くと、ちょっと嫌な響きね』

 

 字面から受ける印象は良くない感じだけど、リムル曰く、イフリートの同化を受け入れつつも、シズさんの自我を守ったスキルらしい。

 

 その能力は統合と分離。シズさんは人である自分と精霊であるイフリートを一つの存在へと「変質」させていたらしい。「大賢者」さんが有用なスキルと言い、「スキルにも適応可能」という事で、リムルが任せてみたところ。

 

〈告。「炎化」とエクストラスキル「炎熱操作」及び「水操作」が統合により消失。新たに「黒炎」とエクストラスキル「分子操作」を獲得しました。更に「黒稲妻」と「分子操作」をリンクさせる事が可能です。リンクさせますか? yes/no〉

 

「お、おう……」

『へぇ、面白いわね』

「自分達もやった方が良いのかな?」

『別に大丈夫よ。リムルと「大賢者」がやって得たスキルは勝手に最新されるんだしね』

 

〈……エクストラスキル「黒雷」を獲得。続けて「熱変動耐性」に「炎熱攻撃無効」を統合、「熱変動無効」へと進化しました。――告。各種耐性と「範囲結界」をリンク、「多重結界」として身体を覆う事が可能です。「多重結界」を常時発動させますか? yes/no〉

 

「はい……」

「……ねぇ、「大賢者」さん、なんかムキになってない?」

 

〈否〉

 

『ふふ、違うってさ♪』

「煽るなライナっ!」

「もうライナ、仲良くしなきゃダメだよ」

『あら、仲は良いわよ。偶に悪戯したくなっちゃうだけでね』

 

〈続けてユニークスキル「捕食者」の“擬態”とスライムの固有スキル「溶解、吸収、自己再生」を統合。エクストラスキル「超速再生」を獲得したした。これにより「溶解、吸収、自己再生」は消失しました。更に――

 

「ライナが悪戯するから、なんか大賢者さんの圧が強くなったじゃんか」

『ふんだ、良いのよ。偶には、こっちからやり返したって罰は当たらないでしょう』

「やり返す? 何かされてるの?」

『ちょっとした能力の見せつけあいみたいなモノよ』

 

 良く分からないのでリムルの方を見るが、彼の方も分からないと肩を上下させてお互いに小首を傾げながら、ライナと大賢者さんの幼稚なやりとりを見守る事にした。

 

 そんな感じにリムルが新しい能力をポンポンと獲得していって驚いていると。リムルが懐からシズさんの仮面を取り出した。

 

「あ、それって魔力を抑える力があるの?」

「そうみたいだな……どれ」

 

〈解。わずかに漏れ出ていた妖気が完全に消失しました。この状態ならば「人間」と認識されるでしょう〉

 

『さて、おふざけはここまでにして、ウィンもスキルの試用をやるわよ。リムルみたいに慣れないスキルを使って暴走されちゃたまんないしね。簡単なところから「粘糸」とか使ってみなさい』

〈……フッ〉

『こんの、勝ち誇ったように笑ったわね!』

〈……?〉

 

「喧嘩するほど仲が良いってヤツなのかね」

「ヒータとアウスで十分なんだけど……」

 

 

 

 

 スキルの扱いをリムルと練習しつつ、大賢者さんのスキル統合が終わり洞窟の外へと出て行く。その際に、リムルは仮面を被って移動する。

 

「よし、対外向けには、この格好で出向くことにしよう」

〈はい〉

『いやいや、似合うかって事を聞きたいんでしょう』

「淡泊なのは変わらずだね」

 

 冗談交じりに談笑していると、思念伝達でアペライオから声が届いた。

 

「いまのは⁉」

 

〈個体名ランガ、及びアペライオからの思念伝達。声音から救援要請と推測――〉

 

「リムル! 乗って」

『飛ばして行くわよ』

「あぁ、頼むぜウィン」

 

 杖を召喚してすぐさま乗ると、後ろにリムルを乗せる。

 軽く地面を蹴って、一気に飛び上がりながら風操作で瞬間的に加速する。

 

 

 

    ★☆★☆    ★☆★☆

 

 

 

 自分達が着いた時に、ゴブタがお爺ちゃんに斬られて転がって来た。

 リグルはメイスを持った者に腰をつかされていて、それを庇う様にアペライオが間に入っている。ヒータは鎧を着た者と巫女っぽい格好の二人を相手に立ち会っている。

 

「……なんだ? お前ら」

「リムル、倒れてる皆は寝てるだけっぽい?」

 

「死ぬ―、死んじゃうっス~‼」

 

 ゴロゴロと転がってきたゴブタはリムルの足元に逃げてきて騒いでいる。

 

「新手か……」

「そのようですな」

 

 自分達が来た事で、相手側もいったん仕切り直しと即座に集まっている。

 

「斬られたっす、超痛いっす、死ぬっスーーっ‼」

「落ち着け、傷は浅い」

 

 リムルが両手から回復薬を出して、リグルとゴブタにかける。

 

「回復薬っすか⁉ 助かったっす‼」

「リグル、状況説明おねがい? 警備隊に何があったの?」

『ヒータ、一回こっちに戻って来なさい』

 

『はいよ……運が良かったな』

「そっちがな」

 

 上の方ではランガが二人を抑えて戦っている。

 

「倒れている者たちは無事です。魔法により眠らされているだけですから」

『後で鍛え直しだな、ったくよ』

 

 傷も無いし、寝息を立てているだけで確かに問題はなさそうだ。

 戻ったらヒータの仕置きが待ってるみたいだけど。

 

「面目ありません、強力な妖気を感じ警戒していたのですが、まさかオーガに出くわすとは思わず」

「オーガ? アレが⁉」

「けっこうスリムだね。もうちょっとボディビルダーみたいな感じだと思ってた」

 

 リムルも頷きながら「俺もだ」と言っているので、同じ想像をしていたのだろう。

 

「日本よりなのかな……」

「ありゃ日本刀っぽいもんな」

 

 一番激しくやりあっていたランガが、樹の上から敵二人に押されてこっちに戻って来た。まぁ、倒れた仲間を気遣いながらだから、全力ではないっぽいけれど、それでも押し返せるあたり、結構な実力者だ。

 

「主よ‼ 申し訳ありません。我がいながらこのような……!」

 

 お互いに態勢を立て直す感じで固まったな。

 

「相手は計6人。他には居ないみたい?」

『そうね、アタシとウィンの探索魔法にも引っ掛かる影はないわね』

 

 リムルが頷き、前へ出る。

 

「サンキューな――、おい、お前ら! 事情は知らんがウチのヤツ等が失礼したな。話し合いに応じる気はあるか⁉」

 

 やろうと思えば警備隊の皆は死んでいただろうし、リグルもゴブタも致命傷じゃあなかった事を鑑みると、なにか訳ありという感じだろう。

 

 リムルが前に出ると、巫女っぽい子が怪訝そうにリムルの仮面を見ている。

 

「正体を現せ、邪悪な魔人め」

 

 あっちのリーダーだろうか。鎧を着て日本刀っぽい刀を持った男が言う。

 

「邪悪な魔人だって……」

『やっぱり存在が邪悪なのかしらね? 変態さんだしね』

『リムルのダンナ……』

 

 冗談ではあるが、自分達3人の視線を見て戸惑っている。

 

「お、おいおいちょっと待て! 俺がなんだって⁉」

「魔物を使役するなど、普通の人間にできる芸当ではあるまい」

 

 仮面をしているせいで、人間にしか見えないから変な誤解を生んでるっぽいね。

 

「見た目を偽り、妖気を抑えているようだが甘いな。オーガの巫女姫の目は誤魔化せん」

 

【あ、やっぱり巫女なんだ……スライムさん言われてるよ】

【ただの愛くるしいスライムなのにな……】

『自分で言う? そういうこと』

 

 ジト目でリムルを見るライナと自分に、助けてオーラを向けてくる。

 

「ふん、答えを聞くまでもない。貴様の正体は全てその仮面が物語っている」

 

 いや、その仮面はシズさんが被っていたモノだしな。多分、勘違いだ。

 

「待ってくれ、何か勘違いしてないか? これはある女の形見で……」

「同胞の無念、その億分の一でも貴様の首で贖ってもらう」

 

【どうしよう、完全にやる気だ】

【一旦頭を冷やしてもらわないとね……どうする?】

【イフリート程の脅威は感じないし、受けて立って力を見せつけてみるか?】

 

 リムルが準備運動をしながら、敵方の様子を窺う。

 

「ランガ、魔法を使うのはどいつだ?」

「はッ、巫女姫と呼ばれた桃髪の女です」

「それじゃあライナが――」

『ウィンが止めてよね。アタシとアペライオ、それにランガは警備隊を守ってるからさ。それに起こしておかないと面倒だしね』

『おい、オレはあっちのねーちゃんとやりてぇ。どっちが上か分からせてやる』

 

 ヒータが胸の大きなメイスを持った女性を指差す。

 彼女の方も乗り気で、力比べをしたそうにしている。

 

「そんじゃあ男共は俺がやるか」

「半分くらいは自分が受け持っても良いんだけどな~」

 

 精神的には男なんだってば、こっちも女の子を相手にはなるべくしたくない。

 

「だ~め、お前はあっちの巫女さんな。何かあった時に動けんのはお前なんだから」

「ライナが居るのに……」

 

 仕方なしにオーガの巫女さんを見ると、彼女はかなり戸惑っている様子だった。

 

「……真勇か蛮勇か。その度胸に敬意を払い、挑発に乗ってやろう」

 

 ライナと向かい合って、互いに微笑みあっている面々と、リムルとやる気満々の男性陣営。そして、戸惑いどうしようかと悩んでいる巫女さんと自分。

 

 戦いの場面として、どういう感じだと言わざるを得ないね。

 

「なぜ……精霊種の貴方様があのような方に……」

「だからね、誤解?」

 

 向こうさんのリーダーも自分なら巫女さんでも大丈夫と思っているのか、彼女の能力を信じているのかは分からない。

 少し庇う様に立ってはいるけど、たぶんリムルが色々と荒らして戦うだろうから、巫女さんが変な事をしない様に見張ってないとな。

 

「後悔するなよ」

 

 オーガのリーダーが刀を抜いて、リムルに切っ先を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

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