心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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24話 技の習得と鍛練

 

 

 

 

 

 やっとライナ達からのお許しが出たので、外を歩き回るついでに紅丸達の様子を見ようと町中を探し回る。ちなみに、今日はヒータが看病当番である。

 

「警備隊はどんな感じになってるの?」

『そうだな、ハクロウとベニマルのお陰で統率もかなり取れて来てるな。ああいう細かい指示はオレに向かねぇからな~。すっげぇ助かってるぞ』

「アペライオは皆と仲良くやれてる?」

【問題はないですね。ヒータ姐さんのお陰で動きやすいですから】

 

 テンペストウルフの皆ともしっかり意思疎通が出来ているようで何よりだ。

 ランガと隣に立って二人のリーダーって感じで良い連携が出来ているらしい。

 

「お、ウィン様じゃあないですか」

「紅丸の様子を見に来たの、調子はどうかなって」

「力の扱いにも大分慣れましたよ。炎系の魔術ならヒータ姐さんのお陰でかなり上達しましたからね。ようやく「黒炎」が扱えるようになったんです」

『元からスジは良かったからな。後は軽くアドバイスするだけの反復練習だったしな』

 

 紅丸は嬉しそうに小さな黒炎を軽く手の平で作り出して、自分に見せてくれる。

 

『あ~、そこまで出来るなら、次は威力を意識して上げてみるか?』

「これ以上の先があるのですか⁉」

『お前なぁ、それじゃ松明に灯った、ただの黒色の炎だぜ。内に力と熱を集める様にして、敵にぶつけた瞬間に広がる様にすれば格段に威力があがるんだよ』

 

 紅丸が手の平の上に出した黒い炎と違って、ヒータはビー玉の様に綺麗なガラス玉みたいな球体を作り出し、黒い炎が球体の中心へと吸い込まれている。

 

「なんと……さすがですね」

『まぁ魔法が専門だしな。つっても技術的には上位系の基礎魔法であり、それの応用だ。黒炎を作り出すなんてレベルじゃなく難しいから、頑張れよ』

「はい! 絶対にモノにしてみせますよ」

 

 ざっくばらんなヒータが丁寧に魔法の説明をしているのを見るとは、思わなかった。

 

「おぉ~、ヒータがちゃんと師匠っぽいことしてる!」

『おいコラどういう意味だウィン。魔法に関しちゃオレだってしっかり教えてやれんだよ。アウスやライナみたく教えんのは無理だけどよ』

「はは、ヒータ姐さんもかなり教え方は上手ですよ。実際に見せながら分かり易い感覚を教えてくれるんで、助かってますよ」

 

 確かにゴブタの説明に比べれば、だいぶ分かり易いかもしれない。

 そうなると蒼影の方は大丈夫だろうか、ランガが居るからまだ平気だとは思うけど。

 

「もうすぐリムルが起きると思うから、それまで警備と修業を頑張ってね」

「えぇ了解です。リムル様が起きたらリグル辺りが知らせてくれると思うんで、すぐに駆け付けますよ。軽く修業してからリムル様の所に向かいますんで」

『はは、頑張れよ』

 

 ヒータに見せてもらった魔法の練習をすぐにでもモノにしたいと、手の平に出した炎を操りながら、球体を作ろうと頑張り出した。

 

『そんじゃ、次に行くか。ベニマルがああなったら、しばらくは声かけても無駄だ』

「ん、そうだね。アペライオ、次は蒼影の所に案内して」

【了解した】

 

 球体を作ろうとして、小さくポンという音を鳴らしてはブツブツと考え事をしながら次の炎を作って球体を作れないか、試行錯誤しているようだ。

 

 

 

 ==蒼影を探して数分。

 

 

 

【居ました。あそこです】

 

 そこまで離れている訳ではないけど、森の中で蒼影が一人立っていた。

 周りには切り株と、その上に小さな丸太が置かれている。

 

『ありゃあなにやってんだ?』

【影移動はマスターしたらしいのですが、粘糸鋼糸の扱いを極めているそうです】

「えっ⁉ もう出来るようになったの⁉」

 

 元から隠密行動は得意だったらしく、陰に潜む感覚からランガに教わったコツですぐにモノに出来たらしい。鬼人になったからなのか、元から素質があったのか、大鬼族の面々は本当に優秀な人材が多い。

 

「む……失敗か?」

 

 目の前の丸太は糸で絡めとれているけど、他のは全て素通りしている。

 

「精が出るね? 粘糸鋼糸は覚えたんだね」

「ウィン様にヒータの姐さんですか。……はい、影移動含めて覚えはしましたが、少し扱いが難しいですね」

『あそこまで使えてんだからスゲェと思うけどな』

「リムル様はもっと上手く扱えていました。アレくらいは扱えるようになりたいので」

「ん~、さっと巻き付ける感じだよね……なら――」

 

 目を閉じて輪投げを被せるイメージで輪っかを作って少しだけ糸を引く。

 

「……っ⁉ 流石はウィン様ですね」

『おぉ! 全部取ったな!』

 

 瞼を開けば、四方にあった丸太はしっかりと糸に絡めとられて宙に浮いていた。

 

「ソウエイ、輪投げって知ってるかな?」

「わなげ……ですか?」

『なんだそりゃ?』

 

 そうかヒータも知らないか。子供が遊ぶ感じの遊具なんだけど、それは前世の知識だ。

 どうしようかと悩んで、丸太が目に付いた。

 

「ちょっと待ってね」

 

 風を操って、さっと丸太を輪切りにして中心をくり抜き、手触りが良い様に軽く風を乱回転させて滑らかに研磨していく。

 

「っ⁉ それはいったい?」

『相変わらず器用な事をしやがる』

 

 なんか知らないが二人が目を見開きながら、自分の細かな作業を見ている。

 

「輪投げだよ、こうして投げて、棒状の突起部分に潜らせて掛けるの」

 

 カランと木の枝がある部分に軽く引っ掛ける。

 

「糸で絡めとるのも同じだよ、上の方で輪を作って潜らせて、掛ける様にして軽く糸を引いちゃえば全部を絡めとれる。蒼影は巡らせる感じで糸を動かしてたから、上手くいかなかったんじゃないかな?」

 

 自分の説明を聞きながら、顎に手を当てて考えている。

 

「なるほど……ありがとうございます」

 

 さっそく自分がやって見せた方法を試しながら、輪投げをマジマジと見つめている。

 シュッと手が動いて、四方の木の枝に輪を掛けようとしたが、前と左は掛かったが後ろと右側が外れて地面に落ちる。

 

「これは良い修行になりますね」

「遊びながら技術が掴めるでしょう。修行も鍛練も楽しくやらないとね」

『相変わらず遊ぶ事には全力だな』

「辛いだけじゃ続かないでしょう。楽しく学び遊んで学習、大事な事だよ?」

『はぁ……遊びが主じゃねぇか。まぁそれよかよ、勝負しようぜ』

「勝負、ですか?」

「じゃあ輪投げを掛ける所に点数を書いて、難しい位置のは高得点ね」

『よっしゃ! じゃあさっそく簡単なの作ろうぜ』

 

 人数分の輪っかと、引っ掛ける場所を全方位に作る。

 蒼影も最初は戸惑っていたけれどヒータに引っ張られ、自分も一緒になって笑いながら作業を手伝う。的が出来たら、ゲーム開始という事で、それぞれに輪っかを持って、皆で輪投げ勝負を始める。

 

「ふう、だいぶコツも掴めました。本当にありがとございます」

「いいよ、自分はただ遊びたかっただけだしね」

『ちぇ~、オレが一番ビリかよ。つかなぁ、お前らおかしいって、なんで全方位八か所に輪っかが全部入りやがるんだ! どうなってんだよ』

「ヒータが適当に投げ過ぎ? もうちょっと狙わないと」

「しかし……、ウィン様は凄いですね」

 

 順位は、一位が自分で、二位が蒼影だ。

 ゲームの終わりごろには、蒼影も自分と同じくらいには全方位に輪っかを掛けられる様になっていて、中央の難しい部分にも掛けれれる様になっていた。

 ちなみに自分は全て高得点を最初から取っていたので、まだ不慣れだった蒼影よりも点数が高いのだ。まぁすぐに慣れて、点差は離れなくなったけど。

 

「じゃあ練習頑張って」

「御意に」

『んじゃ、次に行くとすっか』

「あぁ、そろそろリムルが起きると思うから、あんまり遠くには行かないようにね」

「お分かりになるのですか?」

「潰れた状態から、いまは真丸ボディになって来てるからね。お昼には起きるんじゃないかな? 起きたらリグルかリグルド辺りが呼びに来るとは思うけどね」

「そうですか、分かりました」

 

 蒼影の忍者ぽい感じを見ていて、やっぱり忍術を使ってみて欲しいという欲が出てくる。資料はリムルにでも作り出して貰えば良さそうだし……ちょっとだけ。

 

「……ねぇ蒼影、粘糸鋼糸をマスターしたらさ、影分身の術なんか覚えない?」

「影分身の術?」

「自身の分身体を作り出して、離れた位置でも自分の代わりに行動してもらう感じの術だよ。見たモノ、聞いたモノを本体に伝える事が出来る」

「本当にそのような術があるのですか⁉」

 

 物凄く驚いた表情で、身を乗り出してくる。

 

「う、うん……資料はリムルが起きてきたら渡すから。まぁ自分でもある程度の説明は出来ると思うけど……」

「是非とも、お教えください」

 

 洞窟でリムルが分身を出していた時に、少し多めに魔素を使って出していたから影移動も出来る蒼影なら、影を使って分身体を出すイメージを教えれば出来そうな気がする。

 

『あ~あ、こりゃあ……長くなるぞ~』

 

 ヒータがどこか諦めた表情でアペライオを撫でまわしながら、自分達の方を見てくる。

 蒼影の勢いを見る限り、話さないと解放してくれなさそうだから全体的なイメージなんかを掻い摘んで説明しよう。

 

 

 

   ★☆★☆   ★☆★☆

 

 

 

『ようやく帰ってこれたぜ』

「あ~、ごめんね」

『別に良いけどよ。その分はウィンと一緒に居れたんだしな。町に居たら居たで、邪魔をしに来る奴が絶対にいるからな』

 

 ヒータがそう言いながら、ライナとアウスの方を見る。

 

『あら、失礼ね』

『独り占めはズルいんだ』

『今日はオレが当番だろうが!』

『そのセリフは、昨日の時点でお返ししてるはずよ』

『ボクの時にも邪魔しに来たくせに、よく言うよね』

「まぁまぁ」

 

 このまま口論が続くと、そのうちに魔法合戦に繋がりかねない。

 とにかく話を逸らさないと。

 

「それで、リムルの様子はどうだったの?」

『あぁ、そうそう。起きたわよ』

『いまは各面々がベニマル達を集めてる』

『リムルの旦那、起きた時に驚いたんじゃないか?』

 

 ヒータが楽しそうにライナに聞く。

 

『えぇ、第一声はシオンに対して「だれ?」だったわよ』

「それは可哀想に……まぁ分からないでもないけど」

『ありゃあ変わり過ぎだろう。朱菜の方もだが……あの怪力女がよくまぁ見た目は綺麗になったもんだぜ。秘書って言う割には、お頭は良くねぇみたいだがな』

『脳筋同士で気が合うのかもね?』

『やるか?』

『事実じゃないか?』

 

「はいはい、二人ともそこまで。リムルが起きたなら自分達も向かおう」

 

 騒がしくも、全員でリムルのテントまで皆で向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

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