心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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28話 樹妖精と進行の偵察

 

 

 

 

 

 

 

「な……⁉ なんすかこの状況⁉」

 

 来たばっかりで状況が分からないゴブタはこちらを見ながらアタフタとしている。

 

「そこのキミ。武器をカレに貸して?」

「コレを、ですか」

「そう、武器はそっちが出した方が良いでしょう。負けた時に言い訳されても困るし?」

「良いでしょう。そっちこそ武器の事で言い訳をしないでくださいよ」

「ん、じゃあゴブタ。頑張って?」

「ウィン様⁉ せめて状況説明をくださいっす」

 

 助けてと縋るような目で見て来るけれど、残念。ちょっと興味が勝っているので、頑張ってリザードマン達をやっつけてほしい。

 ヒラヒラと笑顔でゴブタを送り出してあげるだけだ。

 

「トカゲ、この者を倒せたのなら貴様の話、一考してやろう」

「なんで……」

「構いませんぞ、部下にやらせれば恥はかきませんからな。なぁ、スライム殿」

 

【む!】

 

 煽られて反応を示すリムルにライナが面白そうに眺めている。

 

「ゴブタ、遠慮はいらん、やったれ」

「ええっ⁉ なんなんすかも――」

「勝ったらクロベエに頼んで、お前に武器を作ってもらってやる」

「あ、ホントっすか? ちょっとやる気が出たっす」

 

 リムルからの提案に嬉しそうにこっちを見てくる。

 

『負けたら罰ゲームね』

「あ、面白そう?」

「負けたら「シオンの手料理の刑」な」

 

「がんばるっすー‼」

 

 面白そうだとは思ったけど、悪魔が二人ほど居る様だ。

 流石に可哀想ではと思って、シオンとリムルの方を見る。

 

「なにやら不可解な言葉を聞いた気がします」

「ぐぉっ! シオン、苦しい」

「気のせいです」

 

 気のせいではないけれど、シオンがリムルを意図的に絞めたくなる気持ちは解るので、紅丸と白老みたいに、見なかったし聞かなかった事にして、ゴブタの方に集中する。

 

「では始めろ!」

 

 ランガが合図に遠吠えで合図する。

 

「ふっ、偉大なるドラゴンの末裔たる我らリザードマンが、ホブゴブリンなんぞに――」

 

 余裕をかましてゴブタを見ずにカッコつけていると、ゴブタは槍を素早くガビルに向かって投擲する。

 

「ぬおっ⁉」

 

 飛んで来た槍を見ながら何とか避けたガビルだが、完全にゴブタから視線を切った好きにゴブタ自身は影の中へと融けて消えていった。

 

「おのれ小癪なっ!」

 

 振り返って槍を振るうガビルの先には、もうゴブタは居ない。

 

「馬鹿なっ! 消え……」

「とうっす」

 

 ガビルの陰からゴブタが飛び出して、不意の回し蹴りを一発入れた。

 

 首筋へ綺麗に決まった一撃は、ガビルを気絶させるのに十分だったようだ。

 そのまま、ガビルが倒れて勝負が終わる。

 

【まさかゴブタのヤツ「影移動」を使いこなしてんの⁉】

【あれ? リムルは知らなかったの? 白老と稽古をしてた時にもやってたよ?」

 

 リザードマン達は口を開いたままで固まり、ゴブタは「ふぅ」一息入れている。

 

「終わりだな」

 

 ランガが二ヤリとリザードマン達に睨み言う。

 

「勝負アリ、勝者ゴブタ‼」

「ほほう」

 

 ゴブタさんや、白老からコレまで以上に目を掛けられるだろうけど頑張ってね。

 ランガや紅丸にリグルド達から胴上げされて、ゴブタも喜んでいるので、今は何にも言わないけどね。

 

【最後に決めた回し蹴りって、リムルがゴブタに食らわせてたヤツだよね】

【あぁ、しかし俺もテンペストスターウルフの持つ能力は一応獲得してるが、使った事はないんだよな。それをまさかゴブタがねぇ……」

『あら、才能はある子よ? まぁ誰も言わないけど』

【っていうかみんな普通にゴブタが勝つと思ってたの? ガビルもそこそこ強そうに見えたけど……】

 

「ようやった、ようやった」

 とリグルドが褒めている横で、

「鍛え甲斐がありそうじゃのう」

 なんて白老が言っている。

 

 褒められて有頂天だったゴブタが白老の言葉に一瞬だけ固まる。

 

「お手柔らかに頼むっす」

「ほっほっほ」

 

 白老は特に何も言わずに笑って返すだけだった。

 

【てっきり――】

【ゴブタがやられて、いちゃもん付けて退治するかと思ったの?】

【……っ⁉ そ、そんな訳ないじゃないか】

 

 ジト目でリムルを揶揄う様に見ていると、なんか冷汗でも書いている様に目を逸らされてしまった。きっと、空気を読んで期待通りだった事にでもする気なんだろうね。

 

「やったなゴブタ! 約束通りクロベエに頼んでやる」

「やったっす――‼」

 

 未だに現実を受け入れられないのか、リザードマン達が棒立ちしている。

 

「そこのお前ら、見てたな? 勝負はウチの、ゴブタの勝ちだ」

「言い訳は、しないよね?」

『大人げない事を言う程、ドラゴンの末裔が見苦しい事をする訳ないわよ』

「オークと戦うのに協力しろという話なら検討しておくが、配下になるのは断る」

「次期首領が部下に負けてるのに、下に付くバカは居ないよね?」

『力の差が上をモノを下に置ける力量はあるのかしら? 無理じゃない?』

「煽るなよ、お前ら……まぁ今日のところはソイツを連れて帰れ」

 

 リザードマン達は我に返ったかのようにイソイソと動き出してガビルを引き摺っていく。ガビルの取り巻きっぽい奴等が少し残っている。

 

「い、いずれまた来るぜ!」

「然り、これで終わりではないぞ」

「おぼえてろ~~~」

 

 小者臭が漂う逃げ方だったが、部下達には慕われているのだろう。

 しっかり騎獣に乗っけて、心配している者も多数いたようだ。ガビルってお調子者ではあるけれど、キチンと部下達の心は掴んでいるようだ。

 

「はぁ、さてと……今後の方針を立てないとな」

 

 

 

 ==村の中央に立てた大きな家に、重鎮を集めて会議を始める。

 

 

 町のゴブリン達も家の周りに集まって、窓の所に張り付いている。

 

「はぁ――――? 20万――――??」

 

 リムルが驚いて声を上げる。

 

「オークの本体である軍勢だけで20万です」

「オークだけ? どういうこと?」

 

 蒼影の引っ掛かる言い方に、自分が少し聞き返す。

 

「アンデットと傀儡? みたいなモノも混じっていた別動隊がいます。こちらは里を襲った別動隊でオークが5万くらいです。本体は大河に沿って北上している」

 

 蒼影が木盤描いた地図を指差しながら、分かり易く豚の顔を掻いた石とリムル顔の丸いしなんかを置いて、山や川の図面を基に説明してくれる。

 

『本体と別働隊の動きから予想できる合流地点は、ここより東の湿地帯だね』

『つまり、リザードマン達の支配領域に集まってるって事か?』

『態々、別動隊を組んでオーガの里を襲ったって事よね。アナタ達の里は川沿いに面していないんだから』

 

 確かにライナの言う通り、山沿いでこの町と山を挟んで反対側にある。

 

「……オークの目的ってなんだろう?」

「だよなぁ~、オークの目的ってなんなんだろうな?」

 

 カイジンが髭を撫でながら「ふむ」っと考えている。

 

「オークはそもそも、あまり知能の高い魔物じゃねぇ。この侵攻に本能以外の目的があるってんなら、何がしかのバックの存在を疑うべきだろうな」

 

 カイジンは考えを纏めるよに言う。

 

「たとえば、魔王……とかか?」

 

 リムルの一言に皆が息を呑んだ。

 

「……なんてな。ま、なんの根拠もない話だ、忘れてくれ」

【本当に魔王が絡んでいたとしても、それがシズさんを苦しめたレオンって魔王とは限らないもんね】

【あぁ、シズさんの話からすると魔王は複数いるっぽいしな】

 

「……魔王とは違うんだが、オークロードが出現した可能性は強まったように思う。20万もの軍勢を普通のオークが統率できるとは思えん」

「前に話していたあれか、数百年に一度生まれる特殊個体だっけ?」

「はい」

 

 紅丸が頷いて答える。

 

「いないと楽観視するよりは、警戒すべきかと思います」

「そうだな」

 

 リグルドも警戒を強める事に賛成と声を上げる。

 

「防衛も考えないとだね……別動隊が本当にリザードマンの支配地域に集合するなんて保証もないし。別動隊に混じってる変な奴らも気になる」

『まぁリムルと紅丸達の鬼人組は本体に向かうんで良いでしょう』

『別動隊はオレらで叩くって手もあるしな』

『下手すると、不意を突かれて町が危なくなっちゃうからね。防衛はボクがやるよ』

「しかし、それでは……」

「敵討ちにしても、それを企んだボスの方が良いでしょう。本体はリザードマン達を狙ってるんだから、そっちに居る可能性の方が大きい?」

 

 蒼影が急に片耳を抑えて、何か分身体から感じ取っている。

 

「ん? どうしたソウエイ?」

「偵察中の分身体に接触してきた者がいます」

「隠れて偵察してたのに?」

「はい、リムル様とウィン様に取り次いでもらいたいとの事、いかが致しましょう」

「自分に?」

「俺に?」

 

 リムルと一緒に町で育てたジャガイモから作った、ポテチを摘まみながら言う。

 蒼影が隠密で隠れてるのに見つけるなんて、何者なんだろう。

 

「誰だ? ガビルでもうお腹いっぱいだし、変なヤツだったら会いたくないんだけど」

「変……ではありませんが、大変珍しい相手でして。その……ドライアドなのです」

 

 リムルが何やら樹妖精の話を聞いて、想像を膨らませている。

 まぁドライアドってカードゲームや物語とかに出てくるからね、色っぽいイラストが多いから変な想像をしてないと良いけどね。

 

「ほ、ほほう。お呼びしたまえ」

「リムル……」

「違うぞ、変な想像はしてないからな」

「まぁ良いけどね」

 

 葉っぱらひらっと机の上に落ちると、ブワッと風が巻き上がる。

 

「――始めまして“魔物を統べる者”“異形を統べる者”及びその従者たる皆様」

 

 ふわりと映像を映し出すように、ドライアドの姿が浮かび上がる。

 

「突然の訪問、相すみません。わたくしは樹妖精のトレイニーと申します。どうぞ、お見知りおき下さい」

 

 リムルのイメージ通りだったのか、目をキラキラさせてトレイニーさんを見ている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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