心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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35話 リチュアと其々の使い魔モンスター

 

 

 

 

 

 

「こんな事なら最初から魔法陣を描いておくんだったかな」

『ぼやいたって始まんねぇぜ』

『アレの攻撃力は驚異的だよね~』

『トラップはアタシの方でなんとかしてみる』

 

 ただのカードバトルなら裏から表に変えるだけで展開出来るモノも、この世界では魔素やら時間やらと色々な条件が付いて来る。

 まぁそれは相手も同じだろうから、別に良いとして。規模が大きくなると発動までに時間も掛るし、魔法陣を描くのも一苦労だ。

 

「アイツらの攻撃に当たったらお終いだからね」

『分かってるって、なんとか凌いでみせるさ』

『あっちが戦いに慣れるまでは、時間も稼げるんじゃない?』

『生け贄は良いとしても、豚頭魔王の魔素にかなりやられてるんじゃない? 自我が残ってるかも怪しそうね』

 

 光の護封剣で抑えられてはいるけれど、ネーレイマナス以外は結界の方を何度も殴り、ただ暴れている様な感じだ。

 

『ただ、展開させてるのも結構疲れるんだから、早めになんとかしてよね』

『了解、とりあえず下の二体はオレとエリアでやるぞ』

『そうね。それじゃあウィンは一番面倒そうなサメちゃんの方でよろしく』

「え⁉ アレが一番強そうなんだけど!」

『頼りにしてるぜリーダー』

『一人一体、しっかり仕留めましょう』

 

 ヒータとエリアがジールギガスとソウルオーガを引き付ける様に攻撃を仕掛けに行く。

 

 武具で装飾されたサメとくっ付いている様に見える女性の魔法使いは、ジッとこちらを見て動かない。青い髪色は少しだけエリアに似ている気がする。

 

『ここは、良い力に満ちているな』

「そう? なら楽しく一緒に暮らすって手もあると思うんだけど……」

『我らにくれるという事で良いか?』

「それはダメかな? 独り占めって良くないよ?」

『ふむ、残念だの。まぁお主の力もかなり良さそうだのう』

「海に帰ってほしいな」

『我が一族の悲願があるのでな、それはできん相談だ……それには良い贄もいる』

「資源がそんなに欲しいの?」

『力もな、其方……ガスタの出だろう。我と共に歩まんか?』

「遠慮するかな。自分は楽しく皆で遊んで暮らす方が好きだから」

 

 リチュアのストーリーって色々とごちゃついてるんだよね。

 少なくともインヴェルズのせいで、氷結界から離反して出来た組織もあるくらいだ。

 

『そうか、残念、だ!』

「はっ⁉ くぅ⁉」

 

 水鉄砲の様な魔法を放たれて、それにぶつける様に空気砲を放つ。

 カードゲームと違うのは、相手の攻撃に気を付けていればある程度は何とかなるという事だろう。本来だったら、攻撃宣言で破壊されて終わりだった。

 

 たしか儀式モンスターの{イビリチュア・ネーレイマナス}の攻撃力は3000だった気がする。防御力はその半分くらいだから、憑依装着状態なら相手を倒せるだろうけど……そういう隙は与えてくれそうにない。

 

 連続で放たれた魔法に最低限の空気砲を当てて退路は確保する。

 

『ほう、逃げるのは得意なようだの』

「それはどうも?」

 

 さっきまで自分の居た場所を見ると、地面がボコボコになって地形が変わっている。

 相手は小手調べという感じで余裕たっぷりだ。

 

『ほれお前も遊んでやれ』

「そっちの意識は別であるの⁉」

 

 コンとサメを杖で小突いて、自分の方へとけしかけてくる。

 サメは地面を抉るように噛みつき、自分ごと嚙み砕く勢いでなんども迫ってくる。

 

『ほれ、我もおるぞ』

「わかってる? そこ、でしょ!」

『ぬっ! やりおる』

「というか、分離できるの⁉」

『人魚も魔法で尾っぽを足に変えて歩いておるだろう。魔法使いを舐めるでないぞ』

 

 不意を突こうと後ろから迫った魔女さんに、振り向かず風の刃を放つ。

 杖で叩きつぶされたが、多少のダメージは負ったようだ。

 攻撃に気を取られた瞬間、サメの尻尾が襲ってきたので猫の様に体を丸めて尻尾の上を転がりながら、相手の攻撃を回避した。

 

『随分と戦い慣れておるなぁ』

「色々と、頑張ってるから?」

『左様か、やはり欲しいのう』

 

 ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべて値踏みするように全身を見てくる視線が、なんとも気持ち悪く感じる。

 カヤックみたいにサメの上へ戻ると下半身がサメに埋まっていく。

 

 まぁ、遊んでくれているお陰で大分完成したから、良しとしよう。

 

『次は何を見せてくれる』

「気付いてて無視してた?」

『当り前だのう、隠すならもう少し見えんようにするべきだ』

「相変わらず余裕たっぷり?」

『格が違うからのう』

「……まぁ、良いけど。命取りにならないと良いね」

『なんじゃ? 怒ったか?』

「どちらかというと……呆れ?」

『ほう、その言葉は些か――――ッ⁉』

 

 リムルの方までカバーしながら描いたから少し時間が掛かったけれど、しっかりとした魔法陣が完成した。

 確かにカードレベル的に自分は星が3つ。相手は星が10個も付いている。格下と言われてもしょうがないし、それは事実だろうね。

 

 ――それでも、場が整えば。

 

『なんだ? なにが起こっておる⁉』

 

 低レベルだろうが、元の攻撃力が低かろうが――、

 

『なにをした貴様⁉』

「アナタを倒す準備?」

 

 相手を倒せる。

 

「これが私達のフィールドマジック」

『へっ、やっと来たかよ』

『逃げるの疲れた~』

『良いなぁ~、アタシも参加したい~』

 

 杖を地面に思いっきり刺して辺り一面を自分の魔素で覆っていく。

 

 ヒータとエリア、それに自分もカードを1枚取り出してモンスターを召喚する。

 

 エリアは子供みたいなリザードマンに似た{ギゴバイト}。

 ヒータは子ぎつねの尻尾に火が灯るモンスター{きつね火}。

 そして自分の隣には、小さくて黄色の小さな龍{プチリュウ}。

 

『そんな雑魚モンスターを召喚して一体どうするというのだ? なめているのか⁉』

『慌てんなよ、お前らを倒してくれる相棒だぜ』

『なめていると、痛い目をみるよ~』

「別に、貴女の事はなめてない? それに、彼らは一段進化する」

 

 チラッとプチリュウの方を見ると可愛らしく鳴いてイビリチュア達を威嚇している。

 雑魚と言われて怒っているようだ。

 

 周りに広がる魔法陣から力を得て、魔素の煙がプチリュウ達を包んでいく。

 

 すぐに飛び出して来たのはエリアのパートナーだった。

 ギゴバイトから進化して{ジゴバイト}へ。

 リザードマン達よりも筋肉質で全身に雷の様な電気を纏っている。

 

 続いてヒータのきつねが{稲荷火}

 尻尾だけに灯っていた小さな炎が尻尾全体へと広がり、炎の揺らしながら大きな狐に変わっている。目付きは鋭く、相手を威嚇するようにヒータに擦り寄っていく。

 

 そして最後に魔素の殻を破る様に飛び出して来たのが、{ランリュウ}へと姿を変える。

 細長い胴体に羽を生やし、自由に空を舞いながらウィンの後ろへと降り立つ。

 

「なめてるのはそっち、次は痛い目にあうよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 








 すみません、今日は短めです。
 やっぱりバトル描写は難しいですね( ;∀;)
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