心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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39話 鬼人達の先、オーク達の未来

 

 

 

 

 

 

「リムル……ちょっと良い?」

「どうした?」

 

 休憩の最中に、少し気になる動きをしているオークが居たので、リムルと一緒に気配を消しながら後を付ける事にしたのだ。

 

 黒いフードのオークが紅丸達の後を追い、集会場から離れてから紅丸達に声を掛けた。

 

「オーガ……いや、鬼人の方々よ」

「……なにか用か? オークの生き残りよ」

 

 紅丸達が振り返って黒いフードのオークを見る。

 

【どうするか……】

【見守ろう、変に介入するのは……きっとダメなんだと思う。紅丸達にも、彼の為にも】

【そう、だな】

 

 観察して見ていても、黒いフードのオークからは殺気なんて微塵も感じない。

 何か企んでいるという感じでもない……むしろ、迷いながら言葉を必死に探しながら、覚悟をもって紅丸達に声を掛けている。

 

「……本当は、今でも里を襲ったオークを根絶やしにしたいのだろう」

 

 フードを取って素顔を晒し、ゆっくりと両膝をついて首を差し出すように頭を下げる。

 

「弱肉強食とは言っても、憎しみはそう簡単に割り切れるものではない」

 

 両手を付いて、深く、地面に額を擦り付ける寸前まで頭を下げる。

 

「詫びて……詫びきれはしない。虫のいい話であるのは重々承知している。だが、どうか、この首一つで……ご容赦願えないだろうか……!」

 

 紅丸はじっとオークを見下ろしている。

 白老や紫苑も、蒼影だって何も言わずにオークを見つめていた。

 

【……止めるか?】

【……決めるのは、紅丸達だと思うから】

【そうだな】

 

 本当は止めに入りたい。

 でも、そんな事をしてしまったら、彼の覚悟や願いを……それに、紅丸の思いも無下にしてしまう。平穏無事に、それは自分の勝手な思いで、押し付けるべきじゃないモノだ。

 

 リムルも自分も、固唾を吞んで見守るしかなかった。

 

「……会議の前、リムル様とウィン様に呼ばれた」

 

 紅丸が静かに語り始めた。

 

「鬼人族は今後、どうするのかと」

 

 オーク達の処遇も、紅丸達が今後どうするかも口出しはしないという事を伝える為に、会議の前に話し合った内容だ。

 

「我らに帰る里はもはや無い。今後もリムル様、ウィン様の下にあり続けたいと伝えたら、俺たちに役職を下さった」

 

 勧誘も含めて、改めて誘う前に向こうからの申し出が来たから、リムルと一緒に歓喜しながらノリノリで重要な役職どころを任せようと考えたのだ。

 

【あん時は嬉しかったなぁ~】

【リムルはアレだけ強くなった紅丸達に戦々恐々だったもんね】

【お前が無駄に鍛え過ぎたからだろう】

【忍者はロマン職だもん】

【紅丸は?】

【あれはヒータが勝手に盛り上がって術の練度に磨きが掛っただけ?】

【ほ~ん】

 

 リムルのジト目が痛いが、今はそんな事よりも彼等の話だ。

 

「今回の働きを見て、考えてくださったらしい」

 

 紅丸はチラッと紫苑の方を見て、オークに紹介してやれと合図する。

 

「私は「武士」リムル様の護衛役ですよ」

 

 護衛役という所がミソである。ライナ曰く、アレに秘書をやらせると物事が力任せになって進まないからダメだと言われた。アウスがそこに加わって、紫苑を納得させた上で秘書に近しい役はどんなものかと考えた上で出たのが護衛役だ。

 

 鬼人という事もあってリムルも自分も、役処の名称は和風っぽいモノが良いとお互いの意見があったので、戦国時代や時代劇に出てくるモノという感じで統一したのだ。

 

 そこからは早かった。

 

「ハクロウは「指南役」。ソウエイは「隠密」だそうだ。この場に来ていない二人も授かった。戦の最中にそんなこと考えてんだから余裕あるよな」

 

 ちなみに、朱菜は「巫女姫」で黒兵衛は「刀鍛冶」という役職になる。

 

「……で、俺は「侍大将」の座を賜った」

「侍大将……」

 

 オークは頭を下げながら、しっかりと紅丸の話に耳を傾けている。

 

「軍事を預かる役どころだ。そんなところに就いちまった以上、有能な人材を勝手に始末するわけにいかんだろう」

 

 紅丸はそう言いながら、オークに背を向けて歩き出す。

 自身の耳を疑うような驚きと戸惑いで、言葉が出ないオークは顔を上げて紅丸達の背中を目を見開きながら見ている。

 

「リムル様、ウィン様に仇なす存在ならば、容赦はしないが……同盟に参加し盟主と仰ぐのなら敵ではない」

「仇なすなど……‼ あの方々は我らを救ってくださった。従いこそすれ、敵対などあり得ん!」

 

 オークは立ち上がって、力一杯に答える。

 

「では、俺たちは同じ主をいただく仲間だ」

 

 片手を上げて、顔だけオークの方を向けて続ける。

 

「せいぜいリムル様とウィン様の役に立て。それを詫びとして受け取っておこう」

 

 紅丸に続いて紫苑や蒼影達も、少し微笑みながら去っていく。

 

「父王ゲルドの名に誓って……!」

 

 オークはギュッと目を瞑りながら立ち上がったまま頭を下げて言う。

 

【一件落着だな】

【そうだね。はぁ~よかった】

【まったく、これだからイケメンは……】

【カッコ良かったね~】

【なんだ? 惚れたか?】

【それはない……リムルが惚れたんじゃないの?】

【それもない。可愛い女の子の方が俺は好きだしな】

【それはそれで、どうなんだろう?】

 

 

 

    ★☆★☆   ★☆★☆

 

 

 

 

「山ー633、山ー634、山ー635――――――」

「泉ー1F、泉ー2F、泉ー3F――――――」

 

 自分とリムルは今、オーク達の名付けを頑張っている。

 

「そこ、はみ出てるよ、列を乱さないで」

「リムル様、次は湖の部族っす」

『ウィンは泉の部族が終わったら、北川ね』

 

 戦いで数が減ったとはいえ、総数が15万は居るのだ。

 

 

 

 

 ==ジュラの大同盟が成立したその日、最初に浮上したのは15万の飢えたオーク達の食料問題だ。とりあえず、代表者を集めて知恵を絞る事にした。

 

 

 

 飢えた状態で各地にオークを散らせても、移住先で食事情を脅かしてしまっては元も子もないし、不満が溜まって争いの火種になってしまう。

 

 魚などを捕まえて食べていっても、根絶やしにしてしまう可能性が高いのだ。

 

「それならばわたくしが、お役にたてるかと」

「当てがあるのか?」

「えぇ、わたくしの守護する樹人族も同盟に参加させて頂くのです。出し惜しみせず森の実りを提供致しましょう」

 

 名乗り出たトレイニーさんがスッと立ち上がって提案してくれる。

 

『なるほどね~、なら人手がたりなくなるわね』

「はい、ですのでウィン様かリムル様に人手を借りたいのですけれど」

 

 ライナがすぐにトレイニーさんの言いたい事を察したようで、チラリと紅丸とリムルの方に目をやった。

 

「では俺が運搬の指揮をとります。テンペストウルフを借りていいですか?」

「ランガ」

 

 リムルは紫苑の膝上に乗りながら、ランガを呼ぶ。

 

「……我が一族を外に待たせてある。好きに連れて行くといい」

「なに? お前は行かないの?」

「我はリムル様のお側にいます」

 

 そう言ってランガはリムルの陰に入って行く。

 

【甘えんぼさん?】

【まぁ、休ませてやろう】

 

「じゃあ行ってきます」

「頑張って? あ、エリア……手伝ってあげてよ。水の魔法も役にたつ?」

『おっけ~、それじゃあ行こうか!』

「あ、あぁ。よろしく頼む」

『それじゃあ、アタシも手伝うわよ』

『人手が居るんだろう、さっさとやっちまおうぜ』

 

 紅丸が少し戸惑いの表情を浮かべていたけれど、エリアに背中を押されて出て行った。

 

「聞くが、今すでに飢え死にしそうな者はいるか?」

「王亡き今、「飢餓者」の影響も弱まってきています。体力のない者から倒れるのも時間の問題かと……」

 

 たしかオーク達は「飢餓者」の影響で一時的に魔素が増えていた。けれど今は豚頭魔王が死んだ事で、それは徐々に失われているはず。

 弱った者は死ぬかもしれない。

 

 それを防ぐには、魔素が失われる前にリムルか自分が魔素を取り込み、同量の魔素を与える。……与えるという行為は名付けで出来るので、問題は無い。

 

 魔法陣を展開して、自分に取り込んだ後に名を与えれば定着して安定するので、豚頭魔王ゲルドがあたえた分の魔素も失われずに利用できる訳だ。

 

 

 

 ==というわけで、始まったのが、この名付け地獄だ。

 

 

 

「リムル様、次で最後の集団っす」

 

 自分の方が先に終わり、後はリムルを待つだけだ。

 

「何人くらい?」

「約2千人っす」

「……了解」

 

 チラっとリムルが期待の眼差しで、こっちを見てくるが無視を決め込む。

 

「お願いがございます」

 

 最後の集団から一人のオークが前に出てきた。その者は、豚頭魔王ゲルドの側近、黒いフードのオークだった。

 

「我らは豚頭親衛隊の生き残り。この力、あなた様方のお側で役に立てたいのです」

「わかった」

「うん、よろしくね」

 

 数が数だったから、2千という数字が少なく感じる不思議。

 もう最後の一人になって、一番最後に残っていたのが豚頭魔王ゲルドの側近さんだ。

 

【彼にはリムルの魔素を与えるの?】

【そうだな、そんな気がする。それにコイツには継いでもらいたい名前があるからな】

 

 

「お前には豚頭魔王の意思を継いでもらいたい。名はゲルド。死の間際まで仲間を想った偉大なる王の名を継ぎ、ゲルドを名乗れ」

 

 少し驚き、目の端に涙を溜めながら跪いて、顔の前で手を組んだ。

 

「その名を賜ることの重み、しかと受け止めました。我が忠誠を貴方様方に!」

「期待しているぞ、ゲルド」

「ははっ!」

「でも一つ約束して」

「なんでございましょう」

 

 ゲルドが顔を上げてこちらを見るのを少し待つ。

 

「一人でやろうとしない、皆で笑い合えるように仲間に頼ることや皆との会話をしっかりすることを、共に笑い合う事を――絶対に忘れないで……。誰よりも豚頭魔王ゲルドの傍に居続けた貴方なら、解るでしょう」

 

 始めは不思議そうに見ていたゲルドが、自分の言葉を噛み締める様にしっかりと自分の眼を見つめて、また力強く頷いて忠誠を誓ってくれた。

 

 

〈告。低位活動状態へ移行します〉

 

 その話が終わった直後に、リムルが一気に萎れていってスリープモードになってしまう。自分も疲れが出て、その場にペタンと座り込む。

 

「リムル様!」

「大丈夫、ちょっと寝てるだけだから」

 

 

『あとの事後処理は任せて、休んでなさいよ』

 

「お願いねライナ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 






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結果 発表

(50) 御巫
(32) 六花
(5) ヴァルニカ
(6) マドルチェ
(17) 小悪魔
(44) ウィッチクラフト
(88) 閃刀姫
(21) アロマ


という事で、次の解放テーマは

 閃刀姫
 御巫

になります。_(._.)_

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

  • ウィッチクラフト
  • エクソシスター
  • 蟲惑魔
  • 妖怪少女
  • 六花
  • 海晶乙女
  • アロマ
  • ティアラメンツ
  • 白き森
  • イビルツイン
  • ドラゴンメイド
  • ラビュリンス
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