心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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42話 働き手と便利な道具

 

 

 

 

 

 

「今日はここから、この道の端までですね」

 

 ゲルドは今日も忙しく働いている。積極的に重い荷物を持ってテンペストウルフが曳く荷車に乗せていく。

 

「今日までに此処の基礎は今日中に完成させたい。道の方は夕方までに、頼めるか!」

「「おうっ!」」

「「お任せ下さい! 仕上げて見せます」」

「それが終わったら隣の区画のフォローに行くぞ!」

 

 しっかりと現場の指揮を取れているので何も言えない。

 ただ、自分とリムルはゲルドをジト目で見つめている。

 

「だからさぁ、働き過ぎだって! お前は少し休め!」

「むぅ~。そうだそうだ! 休むのも仕事だってば!」

「いや、しかし……」

 

 体が丈夫だとか、力仕事が得意だからとかいう事ではなくゲルドは本当に働き過ぎだ。

 後ろめたさというのもあるのだろうが、それで身体を壊しては元も子もない。

 

 だから定期的にリムルと自分でゲルドの事を見ているのだが、いくら説得しても自分から休んでくれる様子がないので心配になる。

 

「もう、こうなったら強制的に休んでもらうからね!」

「そうだな、お前は明日は休みだ」

「そんなっ⁉」

『あら、別にアナタが無理をしているとは思ってないけどね。アナタの後ろを追いかけている仲間が働き過ぎで怪我をしたらなんて言うの? 情けないとでも言う気かしら?』

 

 ライナが急に出てきて、自分の背後からゲルドに向かって少しトゲのある事を言う。

 

「そんな事を言う訳がありません!」

「なら休むべき、トップが休まないと下は休み辛いと思う」

「そういうことだ! だから明日は休みな!」

『のんびり町を見て回ってみなさいな。アナタが頑張ったおかげで笑ってくれている人達をゆっくりと見て回るのも、ゲルドの仕事でしょう』

 

 ライナのおかげでゲルドがちょっと悩みながら頷いて了承してくれる。

 

「ありがとうねライナ」

「助かったぜ」

 

 リムルがライナにお礼を言っている間に、少し気配を消してライナ達から離れる

 

『ふふ、お安い御用よ……ところで、ウィン? どこへ行こうとしてるのかしら』

「ひゃい!」

 

 ライナに襟首を掴まれてしまう。

 

「あ、そういやなんでウィンが此処に居るんだ? お前は確か仕事の……おまえ」

『悪いわねリムル。彼女を連れて行くわよ』

「あぁ、しっかりと監視して仕事をさせてやってくれ」

「そんなぁ!?」

「仕事をほっぽりだして抜け出したお前が悪いよ」

「いや~、あんなにいっぱいの木簡書類を見たくない! 押し潰される~」

『そんな事にはならないでしょう。あと少しなんだから頑張りなさい』

「まったく、ウィンはやればさっさと仕事も終わるのに……すぐに逃げ出すんだから」

「なんでリムルよりも木簡書類が多いのさ!」

 

 リムルに比べると、木簡書類の数が5倍は多い。

 コレでは嫌になるのも当然というものだ。

 

「自業自得だ! お前が考え無しに遊び道具を作り過ぎなんだよ!」

 

 リムルにそう言われて顔を逸らせて、何も言えなくなる。

 

『面倒事は早く片付けるに限るわよ。さぁ、行きましようね~』

「あぅ~~」

 

 ズルズルとライナに引きずられ、また書類の地獄へと連れ戻されてしまった。

 

 

 

    ★☆★☆   ★☆★☆

 

 

 

 元居たホブゴブリン達やゴブリナ達にハイオーク達。鬼人族。皆の家が出来て終わった頃に、別の集落に暮らしていたゴブリン達が働かせてほしいと一族郎党を引き連れてやってきた。その先頭を歩いていたのは、大同盟時に代表者として顔を出していたゴブリンだったと記憶している。

 

 ここまで数が増えると、井戸なんかも増やさないとダメだろう。

 そう思って、井戸を作るなら組み上げ式のモノを作ろうとリムルと話し合って、それなら水洗式のトイレも作れるんじゃないかと水タンクの付いたトイレも提案。

 

 流石に各家に水道を引く事は難しいので、そういう意図で提案したら皆興味を持ってくれて積極的に作ってくれた。

 

「ねぇウィン君や……」

「えっと……なにかなリムル……」

「これは、なにかね?」

「え~っと、噴水?」

 

 町の中央広場に何か良いモノはないかと、リグルドや重役に付いているホブゴブリン達に聞かれたので、前世の記憶からノリで教えたのが噴水だ。

 あったら夏とか暑い季節には涼し気だし、噴水の出方で水の増減率が解るから、川なんかが氾濫しそうになってるかもわかるんじゃないかって冗談で言ったのだ。

 

 そこからエリアとアウスが水脈とジュラの森に流れる小川とを繋げ、噴水を作るという計画が進行してしまったのだ。

 

「見栄えが良くなったよね」

「そうじゃないだろう……まぁ、お前の案は確かに良いモノだったから良いけどさ」

『流石はウィンよね~』

「面白がって話を広めたのはライナだと思う?」

『あら、あの場にはアタシ以外にも居たでしょう? 事の発端はウィンよ」

「むぅ……」

「まぁ、今回噴水の事は良いんだよ。なんで石像が俺なんだ⁉」

 

 町のシンボルとして建てた噴水だから、この町はリムルがメインだと印象付ける為にリムルの像を作ったのだ。

 丸っこくてツルツルしてるし、像としても可愛いからスライムの像を設置した。

 

「お前も代表者だろうが!」

「え、嫌だよ。恥ずかしいもん」

『本当はウィンも居る予定だったんだけどね~』

「じゃあ、その石像が出来たらウィンのも設置な!」

「えっ⁉ 要らないんじゃないかな!」

『リムルの許可が下りればすぐにでも、皆が設置してくれるわよ。アタシから話も通しておくから、カイジン達にも伝えておくわね』

 

「さすがライナだな。じゃあ頼むな」

 

「なんで⁉」

『また、仕事が増えるわね……ウィン』

 

 ライナは妖艶に微笑みながら揶揄ってくる。

 

「やだ、遊びたい!」

「お前が発端だ、頑張って終わらせろよ」

『トレイニーさんも小川をこっち側に伸ばすのは賛成してくれているから、大丈夫よ』

「話が大きくなってない⁉」

「流石だな、ウィン」

 

 リムルが人型に変わって、自分の肩にポンっと手を置いて哀れんできた。

 涙目で睨んでも、首を横に振ってライナへと変わり、仕事部屋へと連れられていった。

 

 

 

  ★☆★☆   ★☆★☆

 

 

 

 とある日の食堂にガビル一行のリザードマン達が食事をしていた。

 

「なんで君たちがここに?」

「なんでいるんだろうなぁ?」

 

 紫苑に抱っこされながら、リムルと一緒にガビルを見ながら呟く。

 

「これはリムル様‼」

「斬りますか?」

 

 紫苑が背の刀に手を掛ける。

 

「あっ、ちょっ、待たれよ。吾輩の話を聞いて頂きたい‼」

 

 

 ==約10分くらいガビルの経緯を聞く。

 

「……つまり、アビルさんに勘当されたと。で? だからってなんで俺たちんところに来るんだよ」

 

「必ずお役にたってみせます! どうか我輩達を配下にお加え下さいませ」

「お願いします‼」

「何卒‼」

 

【他に行く当てもなさそうだよ?】

【はぁ、しょうがないなぁ。別にいいか】

 

「まぁ、いいぞ」

 

 リムルがそう言うとリザードマン達が湧きたった。

 

「でも、なんで親衛隊長までここに?」

 

 ガビル達は分かるけど、彼女は別に何もしてなかったと思うけど。

 

「あ、私は勘当された訳ではありませんよ。リムル様から名を賜った父の統率は100年は揺らがないでしょう。見分を広めよと私を送り出してくれたのです」

 

 自分達の前に出てきて、改めて膝をついて頭を下げてくる。

 

「吾輩を慕って付いてきたのでは?」

「いえ、違います。一応は兄上を尊敬しておりますよ。でも、それよりもソウエイ様に憧れておりまして……」

 

 蒼影もイケメンさんだし、たしか彼女は蒼影に何度も救われてるからね。

 惚れるのも無理はないだろう。

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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