心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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44話 宴と田植えにお祭り騒ぎ

 

 

 

 

 

 

 

 兼ねてより作っていた中央広場近くに建てられた議事堂が完成して、皆で騒いでいるとリグルドが手をワキワキさせながら、自分とリムルに寄ってくる。

 

 

「リムル様、今度の宴の準備は致しましょう」

「宴? えーと……何かあったっけ?」

「ははは、お忘れですかな。我々ゴブリンと出会ってからちょうど500日目の記念ですよ」

 

【……面倒な彼女さんかな?】

【やめろウィン。変な想像をしちまっただろうが】

 

「ならば、次は牙狼族との出会いの宴を!」

 

 近くで話を聞いていたランガが、それならばと声を大きくしながら主張する。

 

『町の引っ越し記念もやろうよ』

「旦那、竣工祝いはやんねぇとな」

「いいっスね!」

 

 ライナからカイジンと宴の話が一気に盛り上がっていく。

 

「それなら大鬼族の名付け記念もお忘れなく!」

 

 紫苑が声高らかに混ざって来た。

 

「我輩達もぜひ仲間に!」

「それにそれに――!」

 

 次々に宴を開こうという案を皆が喋り出して来た。

 

「なんか、大変な事になっちゃったね」

「わかったわかった! やるから、全部やるから!」

 

 出会いの数だけ賑やかになっていっている。

 

「まぁ、毎日お祭り騒ぎは出来ないから、いくつかは纏めた感じの宴になるかな?」

「そうですね、まだまだ畑の数も少ないですし、開墾してしっかりと食糧を確保できるようにならないとです」

 

 ゴブリナのリリナさんが、資料の木簡を手にして唸りが言う。

 

「なら明日からは、開墾をメインで進めていこう?」

「そうだな、他の部族も呼んで、自分達の場所でも田畑を作れるようになってもらうか。自分達で喰う分くらいは自分達で賄うべきだしな」

「それならば、我輩達が他の場所に居る者達に声を掛けてきますぞ!」

 

 ガビルが高いテンションのまま、申し出た。

 

「ソウエイも伝達を手伝ってやってくれ」

「……御意に」

「ソーカも、頑張って?」

「はい、兄上の手綱はしっかりと握っておきます」

 

 一抹の不安があるガビルだけではなく、ソーカと蒼影が居れば滞りなく集まってくれるだろう。ガビルの場合は、ちゃんと相手方に伝わるかの不安が一番大きいからね。

 仕事自体はしっかりとやってくれるだろうけど……。

 

『それじゃあ先ず、宴はどのように纏めて、どの順番でやるかっていうのを決めないとですね。ウィンが提案していたお祭りについても、話を煮詰めていきましょう』

 

 ライナが急にウキウキしながら、周りの者達を纏めだしている。

 

「そうですね。お祭りには色々な催しモノや、服装なんかも特別なモノを用意した方が良いですものね。腕がなります」

『開墾は明日から始めるとして、メンバーはリムルの旦那にウィンが筆頭として、能力的にはエリアも開墾組だな』

 

「俺らは祭り組だな。建設やヤグラだったか? それらの案も出さねぇとだからな」

「ささ、リムル様、ウィン様。皆のやる気がある内に取り決めをしましょう」

 

 紫苑に背中を押されて、出来立ての議事堂へと押しやられていく。

 

「お、おう……」

「そうだね……なんか、皆の連携が良い気がする?」

 

 少しだけリムルと一緒に戸惑いながらも、場の雰囲気に流されるしかなかった。

 

『気のせいだよ~。皆のやりたい事が一致してるからじゃない?』

「じゃあ皆、開墾組は道具の準備と場所決めを始めるぞ」

「歩きやすいよう、道の整備に回れる者は付いて来い、暗くなる前には終わらせるぞ」

 

 紅丸とゲルドが率先して、開墾する場所と道を作ろうとメンバーを集めて動き出した。

 

「なんか……動きが洗練されたみたい?」

「これも鍛練のおかげかねぇ?」

 

 それにしては初めから打ち合わせでもされたかのように、集うスピードも動きも早い気がするんだよね。それに紫苑や朱菜にライナ達霊使いメンバーの統率が異常に高い。

 

 怪しい気はするけれど、何を考えているかは流石に分からない。

 まぁ、楽しいお祭りや宴っていうのは自分も乗り気だし、早くやりたい気持ちもあるから別に良いんだけどね。

 

 

 

 

   ★☆★☆   ★☆★☆

 

 

 

 

 

「古来より――メシの美味い土地はいい土地だと言う。うちもぜひそうありたい――」

 

 

 オーク達や紅丸達のおかげで、大まかな開墾は終わり。坂を利用した段々畑になっている。柵を作って区画を決めて、植えるモノも其々に分けてある。

 

 リムルと自分のスキルを駆使して、品種改良やら病気に強くなるよう畑に魔法陣を組み込んだりとしているので、早々に枯れる事はないだろう。

 

「まぁともかく、自分達が喰う分は自分達で作り育てる。今日は他の部族も一緒にやる」

「開墾の仕方はオーク達が居れば分かる? けど畑の作り方はしっかりと学んで帰ってね、自分達の住む場所でも出来ることだし、飢えるのは辛いからね」

 

 自分とリムルが前に立って集まってくれた皆に向けて声を掛ける。

 

「腹が減ってはなんとやらと言いますからのぅ」

「子供達を飢えさせたくはないですな」

 

 白老とゲルドが呟く。

 

「そうだろ、そうだろ。あははは」

「わかります! 美味しいものを食べたいですよね⁉」

 

 紫苑が何時の間にか良く分からない食べ物を用意していた。

 

「さ――――植え付け開始‼」

 

 リムルが必死に見ない様に、植え付け開始の合図を送る。

 

「リムル様ぁ~」

「紅丸?」

「いや、知らないですよ、ウィン様‼ 決して逃げた訳ではありません!」

 

 紫苑の料理管理は紅丸の仕事だったが……まぁ、忙しかったから仕方ないか。

 

『おいコラ! だから劇物を持ち込むんじゃねぇ!』

「劇物とはなんです!」

『畑の野菜が駄目になるだろうが! 近付けんな、そんな毒物を!』

「毒物とまで言いますか!」

『浄化してやるからよこせ!」

「これはリムル様にたべてもらうんです!」

 

 ヒータが手に炎を纏わせながら、なんとか紫苑の料理を奪おうとしている。

 

「ヒータ、頑張ってくれ!」

「頼みますヒータ姐さん!」

 

 リムルと紅丸が祈る様にヒータを応援している。

 そんな良く分からない戦場を他所に、黒兵衛がゴブタの方へと歩いて行く。

 

「ゴブタ君、リムル様から頼まれていた物が出来ただよ!」

「マジっスかクロベエさん‼ 待ちわびたっスよ!」

「その一振りで大地を砕き切り裂く、オラ会心の業物だべ!」

「す、すげえっス!これさえあればまさに鬼に金棒――かなぼう……っス?」

 

 巻かれた布を解いていくと、出てきたのは短刀ではなく、鍬だった。

 

『ふふ、サボっているから罰でも当たったのかしらね』

 

 エリアが悪い顔をしながら微笑む。 

 

「うおぉぉぉん」

 

 ゴブタは一心不乱に硬い地面を耕していく。

 

「すごいぞゴブタ!」

「硬い地面があっという間に耕されて! 耕されて!」

 

 ゴブタと仲の良い警備隊メンバーが褒めているが、彼の眼からはキラキラと水が飛び散っていた。

 

「なんか、間違ってただか?」

「ゴブタには後で短刀を作ってあげて、前にガビルが来た時に勝ったご褒美だから」

「あぁ、悪いが短刀を頼むよ」

「そういえば、ありましたなぁ。そんなことも……あの時の自分を殴りたい」

 

 ガビル達リザードマンにも来てもらったのは、米作りに適していそうだからだ。

 

「ガビル達には稲を植えてもらう」

「湿地帯がホームなら適材だと思う?」

「ありがたき幸せ! では歓喜の歌を」

「それはいい」

「ここならいかなる戦でも負けませんな! なんなら技のキレ具合をボルテクスピアの演舞でもお見せいたしましょう」

「戦わないし、いらない?」

「いっとくけど、米の改良と栽培はわりと本気でとりくんでるからな! 浮かれたりしてると……」

「なんと! 失礼いたしました我ら龍一族一同、誇りに掛けて! では――そのお気持ちに応えるべく神聖な舞を」

「いいから早くはじめてくれませんかねぇ」

 

 なんかガビル達とのやり取りは、いつもコント交じりになるね。

 

 

 少し落ち着いて周りを見て回っていると、ゲルドが色々な場所に荷を運んでいる事に気がついた。

 

「せっかくだからゲルドも植えよ?」

「そうだな、ゲルドも植えてみろよ」

「いえ、俺は運び役で……」

「いいから!」

 

 自分の持っている苗を持って、リムルはスライムボディでゲルドの肩に乗りながら優しく苗の植え方を教える。

 

「そうそう、等間隔に、苗を潰すなよ」

「これでよし、夏には実がいっぱい食べられる?」

「実が……」

 

 小さな植えたばかりの苗を、優しく守る様に手を添えてゲルドは見つめている。

 

「見に来ても良いでしょうか、時々……」

「おう、皆で見に来ような」

 

 リムルと自分は優しく微笑みながらゲルドの声に耳を傾けた。

 

「リリナさん……ゲルドがよく来るだろうけど、よろしくね」

「はい、大歓迎ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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