心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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45話 休みと七夕、神楽舞い

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日間は開墾と田植えを他のモノ達に教えながら、ゴブリン達も作業に慣れて、自分やリムルがそこまで忙しくなくなってきたお昼休憩。

 

 ゴブリンの子供達も畑仕事を色々と手伝ってくれていて、今では賑やかになっている場所の一つと言っても良いと思う。そんな子供達が紅丸の下へと寄っていく。

 

「どうしたら、ベニマル様みたいに強くなれるんですか?」

 

 教えて欲しいと、何人もの子供達が群がる。

 

「そうだな……」

 

 足元にあった適当な石を手に持って、軽く握る様にして砕いて見せる。

 その光景に子供達が目を輝かせて、口々に「すごい」と褒めていたり驚いたり。

 

「好き嫌いなんかせず、なんでも良く食べることかな。まずは強い体を作るんだ」

「は~い、ありがとうー」

「おう、しっかり食って強くなれよ。チビッ子共!」

 

 その光景をライナとジーっと見つめていると、朱菜がお味噌汁を用意している所に紅丸が近付いていく。少し周りを気にしながら、内緒話をするように声を潜めだした。

 

「いや、だからちょっとニンジンよけてくれって……」

「あら、強くなれませんよ?」

 

 何度か交渉していたが、肩を落とす紅丸。朱菜はニコニコの笑顔でその様子を見守っている様だった。――アレは、残さない様に見守る姿だね。

 

『締まらないわね』

「紅丸、カッコ悪い?」

『あらあら、ウィン……人の事は言えないんじゃないかしらね』

「…………コレは人の食べ物?」

『人の食べ物よ! しっかり食べなさい』

 

 ジーっとピーマンを眺めながら、お箸で突くとまたライナに怒られた。

 

 皆で休んでいるのを見て回ると、ゲルドの所は特に子供が多く居た。

 

「……子供、好き?」

『モテモテね♪』

「いや……好きというか、何故かこうなるんですが」

 

 小さな子供達に群がられて、体を登られたり、すっぽりと腕の中に入って落ち着いている子達なんかも居る。

 

 ゲルドの巨体に上っている子が落ちそうになると、さっと手で抱えてあげて優しく抱いているのが良く分かる。それを喜んでいるチビッ子も居たりする。

 

 

  ==そんなこんなで、開墾も無事に一段落。

 

 

 お疲れ様会という事で、小規模な宴で盛り上がっている。

 酒や串焼きなんかを振る舞いながら、皆で親睦を深める為のモノでもある。

 種族は違うが、それぞれがお酒や肉を持って楽しそうにお話をしている。

 

「皆さん、お疲れさまでしたね」

「まぁ本当に大変なのは、これからだろうな」

「そうですね、収穫までは色々……」

 

 樹人族のトレイニーさんがリムルと自分の間に座ってお話をしているのだが、自分は少し震えながら縮こまっている。

 リムルは完璧に忘れている、もしくは気付いていないのだろう。

 絶対にトレイニーさんは一緒に開墾や畑仕事の助言や手伝いをしてみたかったと……表情に出ているというのに。

 

「でも今年はきっと良い作物がとれますよ」

「おっ、トレイニーさんのお墨付き! 植物の専門家だもんなー」

 

 その言葉に、自分はビクッと反応してしまう。

 

『アンタ、天然で抜けてるわね』

「あ~、なんだよライナ?」

『見なさい、アンタのせいでウィンが可哀想じゃない』

 

 呆れの眼差しでリムルを見ながら溜息を吐き捨て、憐みの眼で自分の方を見てくる。

 ただ、ライナの声音は何処か楽しそうに聞こえるのは気のせいだと思いたい。

 

「えぇ、専門家ですよね……ウィン様?」

 

 自分は何も言えずにコクコクと頷くだけだった。

 

「わ、忘れていた訳じゃないよ⁉ 忙しいのかなって思って、ですね」

 

 あたふたとしながら言い訳を探している姿をリムルが見つめて、やっと目を見開いてトレイニーさんの方を見る。

 自分は涙目でリムルに助けを訴える。

 

「待っていたんですよ、私……お・さ・そ・い」

 

 手には小さなスコップを持ちながら、地面をツンツンと突いている。

 

【忘れてた⁉】

【トレイニーさんなら勝手に参加しているものかと思ってたよ……】

 

「ドライアドなのに、管理者なのに――」

「いや、収穫時には、声かけますから!」

「うんうん、それにこれから色々とアドバイスを求めると思うから」

 

 しょげているトレイニーさんを何とか宥めようと、リムルと二人でご機嫌取りに忙しかったのは良い思い出だ。

 

「あー、なかせたなかせた~」

 

 ゴブタが揶揄を入れて来るが、今は構っている暇は無い。

 

 トレイニーさんに釣られるように、空模様が怪しくなってきたので、宴に出ていた皆は少しずつ片付けを始めて、家の中で宴の続きをする感じへと変わる。

 

「最近、雨が多いな」

「毎日これじゃあ、気が滅入るっスねー」

「あらあら、そんな事を言わないで下さい。雨は必要なんです。天からの恵みを大地がたっぷりと受け止めて、緑は茂り虫達が増え、小動物が繁殖しまたそれが土に――そうして森は着々とおおきくなっていくのですから」

 

「へー。だからちょっと太ったんすね」

 

 ゴブタの一言で、その場に居た全員の動きが止まる。

 

「ゴブタっ⁉」

『このおバカ⁉』

『やべぇ、なんか雨の勢いが⁉』

『みんな急いで! 僕とエリアが雨よけの結界をはるから!』

『いや~、ゴブタくん……君は外にでも出てるかな?』

「リグルド、早く窓閉めろ!}

 

 ポテチの新味やトレイニーさんのご機嫌取り大会みたいな感じになったのは言うまでもない。ちなみに、この雨で思いついた雨傘をトレイニーさんにプレゼントして、やっと何事もなく……そう、何事もなく終えた。

 

 ゴブタが皆に張り倒されたのは……自業自得という事で、見なかった事にしよう。 

 

 

 

 

================================================================================

 

 

 

 

 雨が多い季節という事で、ちょっと思い出したお祭り行事がある。

 

「ねぇトレイニーさん」

「あらウィン様、なんでしょうか?」

 

 樹羅というスナックに来れば、大体の確率でトレイニーさんに会えるのもどうなのだろうかと思いつつ、聞きたい事の続きを聞く。

 

「竹ってあるかな?」

「竹ですか……はい、ありますね」

「中が空洞になって、緑色をした細長い葉が沢山ついて、成長も早い?」

「良く知っていますね」

『なに? またなんか思い付いたの?』

「七夕祭りって言うのがあってね。お星さまに願い事をするという感じの……まぁ元来、農耕や機織り、学問を祈願する神事とか言われている感じなんだけど……まぁ、お祭りで皆で楽しもうって行事だと思ってくれれば良いかな? それで笹が欲しいんだけど、良い場所ってしらない?」

 

 あらかた説明をして、トレイニーさんに聞く。

 

「なるほど、それでしたら良い場所がありますよ?」

『じゃあガビルとゴブタにでも取りに行かせましょう』

「リムルには自分から話を持っていくよ。きっと良い返事で返してくれると思うから」

『そんじゃあオレは会場場所や設置物の事をカイジンやクロベエに話を持っていけば良いか? どういうことをする祭りなんだよ?』

「大きな舞台設置もお願い、どうせなら神楽舞いって巫女さんがやる神事もやりたい」

 

 笹があるなら、しっかりと七夕祭りも出来るだろう。

 という事で、善は急げとアウスやエリアも巻き込んで各場所に話を持っていく。

 

 

 ==ただ、下手な事を提案しなければよかったと、すぐに後悔する事になったけど。

 

 

 リムルもノリノリで七夕祭りの準備が、何故か急ピッチで進められていく。

 ガビルやゴブタも笹を取りに行って、数日で戻ってくるし。皆のやる気が異様に高い気がする。

 

「シュナ様、短冊に願い事を書かないんですか?」

「巫女は願いを受け取る側ですよ。私はリムル様とウィン様直々に神事を任されているんです! リムル様、ウィン様の信頼があれば、他に何も――」

「じゃ私は書きますね。り~む~る~さ~ま~と~……」

 

 なんのやり取りをしてるんだろうか、朱菜と紫苑は……なんか知らない攻防をしていて、ちょっと怖いんですけど。

 

『それよりもさぁ~、神事の舞いっていうならシュナちゃんがメインなのは良いとして、一人だけっていうは味気なくない?』

 

 急にライナがニヤニヤと悪巧みをする時に浮かべる微笑みを見せる。

 しかも、こっちの方を見ながらだ。

 

「あ~確かに、そうだな……朱菜がメインだとしても、それを盛り上げるバックは必要だな……良さそうな人材は――」

 

 リムルも確かにと唸りながら、巫女服で踊る人物を想像していく。

 

「それでしたら、一人絶対に入れて頂きたい方が居るのですが……」

 

 朱菜がニコニコと微笑み、チラッとこっちを見た気がした。

 全員の視線が集まろうとしていたので、自分はゆっくりと椅子から腰を上げて、音をたてないように出て行こうと忍び足で部屋の外を目指す。

 

「ウィン……」

 

 リムルの圧がある視線が背中に突き刺さってくる。

 思わずビクッと寒気が走り足を止めてしまったのが運の尽きだった。

 

「なに、かな?」

「発案者は、お前だな?」

「ちょっとした発端みたいなモノで、後は皆がのっただけ?」

『トレイニーさんもせっかく、良い笹がある場所を教えてくれたのに?』

『そういや~、あん時は仕事から逃げ出した時だったな、ウィンさんよぉ?』

「あらあら、またウィン様はお仕事から逃げ出したんですかぁ?」

「それは反省して貰わないと、ですよねぇ」

 

 いつの間にか、朱菜が目前に居て紫苑が後ろに立っていた。

 

『こんど逃げ出したら、お仕置きだってリムル君が言ってたよねぇ』

『その話はボクもしっかり聞いているからね。此処に居るメンバーは全員が知っている』

 

 左右にアウスとエリアが立ちはだかって、逃げ場を塞がれてしまう。

 

『やっぱり町のトップに居る人物が神事の中心事に参加しないというのは、良くないと思うのよね~。リムルは会場の方で忙しいだろうから、逃げ出すくらいの余裕があるウィンが舞の練習含めて、シュナちゃんと一緒にやるべきだと思うわよ』

 

 空に逃げようにも、ライナとヒータによって窓と入り口は塞がれてしまう。

 

「町の皆も喜ぶだろうな~、きっと楽しんでくれるぞ。巫女姫のサポート、しっかりとたのんだぞ。ウィンなら出来るだろう」

「リムル……自分は――」

「今は、女の子だもんなぁ」

 

 逃げ出した罰だというなら仕方ない。

 

『これを逃げたら、しばらく遊びに出歩くの禁止にするわよ』

 

「あ、悪魔っ⁉」

『あら、アタシを陰険な闇属性と一緒にしないでほしいわね』

 

 

「そうだな、ウィンにはそれが一番効きそうだし……巫女姫であるシュナのサポートをしっかりとやりとげたら、今までのことは不問としようじゃないか」

 

「うぅ~、わかった……ちゃんとやる」

「それでは! しっかりとウィン様の巫女服を御作りします!」

 

 なんか朱菜の目が輝いているきがする。

 

 しかも何故か皆の顔がしてやったりという感じに見えるのは気のせいなのだろうか……絶対に、みんなして自分を嵌めたような気がする。

 

 

「リムル様に巫女服を着て頂けなかったのは残念ですが……ウィン様だけでも、一緒に舞えるのなら安い物ですね」

 

 

 という朱菜の声が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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