心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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47話 御巫と名付けと、ちょっとした攻防

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え~、とりあえず……なんだ。ウィンの知り合いで良いのか?」

 

 急に現れた御巫の三人娘を連れて、部屋の中で話し合いが行われている。リムルが場を取り持ってくれているので、何とかなっているが……今にもキャットファイトでも始まりそうな雰囲気がある。

 

「知り合いというか……、こっちに来る前に使ってたデッキの一つ、かな?」

『はい、主様に大事に扱われていましたね』

 

 マウントを取る様に剣の御巫である、赤髪の美少女が前に出て言う。

 その瞬間、ヒータが睨むよう見ながら彼女の肩に手を置く。

 

『はぁ、それならオレ達だって変わらねぇよ』

『さっきから何なんです? 主様との時間を邪魔しないでください』

『そりゃあこっちのセリフだってんだ』

 

 フシャーと二人の背後で何かが争っている幻影が見える。

 

「ネズミとマングースか? ……いや、それよりもだ。おい、ウィン! いい加減に帰って来い、話が進まん」

 

 ペチッとおでこにデコピンをされて、ハッと我に返ってこれた。

 

「あ、あぁ。ごめんなさい?」

「いや、いいよ……アレは、オレでも驚くしな」

『そうですよ~。あんないきなり抱き着かれたらビックリして当然です。大丈夫ですか』

 

 なんかエリアが含みのある言い方で自分の頭を優しく撫でながら、御巫の三人に視線を送りつつ、にっこりと微笑んだ。

 

『私共も突然の事で不安だったのです。主上の波動を感じて強く思っていたら、急にあのような場所に……でも、目の前には主上が居たので心強く、安心できる場所だとすぐに分かったのですわ』

 

 青髪の御巫さんが、ウルっと目尻に涙を浮かべて自分にしな垂れようとしてきたみたいだけれど、それをエリアが割って入って止める。

 

『そうですか~、それは良く分かります』

『あら、分かって頂けるのですか……チッ』

 

 こんな状況を一人、楽しそうに見つめている人物が居るが……とりあえず、今は無視だ。ライナの事だから、いま助けを読んだら何を言われるか分かったものではない。

 

「まぁとにかく、ヒータもエリアも落ち着いて」

『たく、ウィンがそういうならしょうがねぇな』

『別に私は……はぁわかりました~』

『ふふ、今はまだ、ですね』

『あらあら、仕方ないですわね』

 

 なんとか変な空気になりそうなのを止められた。

 

『あるじぃ……名が、欲しい』

 

 いつの間にか近くに来ていた緑色の御巫が袖を引っ張りながら言う。

 上目遣いに不安そうな顔で見てくるので、流石に無視も出来ない。

 

「あぁ、そうだね。名前は無いのは不便? じゃあ――」

『あ、ちょっと待ちなさ――』

 

 元々のカード名でも記載された名前を言う。

 ライナが止めようとしていたが、もう思いついていた名前なので、先に口から出てしまっていた。

 

「剣の御巫は“ハレ”鏡の御巫は“ニニ”珠の御巫は“フゥリ”で――あれ?」

『はぁ、だから待ってって言ったのよ』

 

 フワッと優しく包まれる様に誰かに抱き抱えられる。

 

『ふ……ありがとう、あるじ様』

『アンタ、やるわね……』

『……ブイ♪』

 

 そこから意識はなくなっていく。

 

「なるほど、傍から見るとこうなる感じなのか」

 

 

 

  ♦♦♢♢♦♦ 視点:リムル ♦♦♢♢♦♦

 

 

 

『リムルだと融けた感じになるわよ』

「うわ、そうなのか……ウィンは普通に寝る感じなんだな」

 

 フゥリと名付けられた狐っぽい緑髪の美少女はウィンの寝顔を堪能するように、ちょっとだけ頬を突いたりして、物凄く幸せそうな蕩けた顔をしている。

 

 しかし、俺と同位の力を持つウィンが三人に名付けをしただけでスリープモードって言う事は、コイツらは鬼人達と同じくらい強いって事だ。

 見た目的にはそんな感じはしないんだけど……。

 

 その辺りは、ウィンが起きた時に聞ければいいか。

 

「それで、実体化をしているって事はだ。お前ら、この町に住むって事で良いんだよな? まぁウィンの傍を離れるって選択肢はなさそうだけど」

『もちろんです! 主様とはずっと一緒にいるんですから』

『そうね、主上とは永遠に離れられない運命なのよ』

『……ん、もう逃がさない……』

「あ、そう。そういう感じなのね」

 

 赤髪のハレと青髪のニニは良いとして……、一番の曲者は緑の狐っぽいフゥリだな。

 白老みたいな動きで、いつの間にかウィンの隣に居やがった。

 

「とりあえずウィンが起きるまでは保留だが、この町に住むなら仕事はキチっとしてもらうからな。巫女って事で良いなら、朱菜の手伝いをしばらくはして貰う感じになるけど、良いよな? 役職自体は、ウィンから付けてもらった方が良いだろう」

 

 俺がある程度の条件を出すと、ちょっと考えてから三人が頷いて答える。

 

「ライナ、ウィンを寝かせてやってくれ」

『りょうか~い。それじゃあ皆、お先に失礼』

 

 なんか妙に煽る感じでウィンクしながら、しっかりとウィンをお姫様抱っこで抱えて部屋を出て行く。

 

 その瞬間に、一瞬だが嫉妬と苛立ちのオーラが部屋中に充満した気がしたが……気のせいって事にしておこう。

 

 こんだけ巫女さんがいるなら、神社でも建てた方が良いかもしれない。

 

 巫女って事は浄化能力とかありそうだし、朱菜を筆頭にすれば何とかなるだろう。

 運営は主に、この三人に任せてウィンが監視しとけば……上手く廻るはずだ。

 

 きっと、多分……おそらくな。

 

『さて、それじゃあウィンも居なくなった事だしよぉ。少しお話といこうぜ』

『そうですね、話し合わなければならない事が沢山ありそうですわ』

 

 ヒータとニニが睨み合いながら、何か作っている。

 

『主様、大丈夫かな~』

『……ん、ちょっと心配』

『だからって見に行っちゃだめよ~』

『はぁ、こういう時ってライナが得だよね……で、なに? ボクが居ない間にどういう状況になってるの? リムル君、説明を求める』

 

 ライナと入れ違いにアウスが一仕事終えて、部屋に入ってくる。

 

「簡単でいいか? 細かくはこの場に居ればすぐに分かるだろう――」

『まぁ、そうだね――』

 

 

    ★☆★☆ ★☆★☆

 

 

 

 

 意識が戻ってから、デッキホルスターのベルトを改めて見ると御巫のデッキがしっかりとくっ付いている。

 

「あの時に増えたって事だよね?」

『えぇそうね。条件とウィンのスキルレベルでも上がったんじゃないかしらね』

「スキルってレベル上がるの?」

『例えで言っただけよ。基本的には進化って感じね。使いこなせていけば、スキルは自ずと持ち主に答えてくれるのよ』

 

 デッキホルスターの場所には、まだデッキが増えそうな場所が空いているので、まだ更に増えていく可能性もあるってことかな。

 

『はい、リンゴ食べるでしょう』

 

 そういってカットされた林檎を見ると、ウサギさんの形になっている。

 

「うん……ライナ、いつの間にウサギさんカットなんて覚えたの?」

『教えてもらったのよ。ウィンにもこういう感じの事はよくありそうだし』

 

 当番制で自分の付き人をしていない時に、調理場に行って習ってたのか。

 

『ちなみにね、もう一つぐらいデッキの解放があるかもしれないわね。なんか条件と力の溜まり具合からして……何が出て来るかは、アタシにも流石に分からないけれど』

「また増えるの⁉」

『そういう予兆があるってだけよ。別にすぐって訳じゃあ無いと思うわよ……多分』

 

 そう言いながらも、ライナはフィと自分から顔を逸らして言う。

 

「なんか不安なんだけど」

『コレに関しては、アタシじゃあなくてウィンによる事だしね。何とも言えないのよ』

 

 確かに自身のスキルなのだから、自分がしっかりと把握しておかないとダメな話だ。

 まだリムルみたいに捕食っていう分かり易いモノで、尚且つ「大賢者」っていう優秀なサポーターが居れば、話は別だろうが……。

 

 自分のスキルに関しては、「遊戯王」なんて良く分からないスキルだ。

 

 サポーターは内緒ごとや、あまつさえ自分を揶揄う為に全力で楽しむライナという存在しかいない。

 

『ちょっと、なによ? そんなジト目で見つめないでくれる』

「はぁ……ちょっとリムルが羨ましくなってきたな」

『あ~、アタシじゃ力不足とでも言いたいの!』

「いや、そういう訳じゃない? でも、偶には色々と素直に教えてくれても良くない?」

『それはアタシに遊びで勝ってからいってよね~』

「うっ、ライナが強すぎるんだよ」

『ふふん♪ 遊びに関してはウィンより強い自信があるもんね~』

 

 将棋も囲碁も……未だにライナには勝てていない。

 別の遊びでは勝った事は何度かあるけれど、戦略とか運が絡んでくるとすぐに負けが続く事が殆どだ。

 

 

 

「なにか変な手を使ってないよね?」

『いつも言ってるでしょう。何もしてないってば~』

 

 

 その言い方が、なんか嘘くさいんだけどな。

 

 

 まぁライナと遊ぶのは常に全力で挑めるから、楽しいんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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