「リムル~今日はお休みだし、夏らしい事をしよう?」
「何故疑問形……というか、お前は仕事終わったのかよ? また逃げてきた訳じゃあないよな、この前なんてゴブタと一緒になって、かくれんぼの如く町中を逃げ回ってたじゃないか」
確かに数日前に、自分が低位活動モードで寝ている間に溜まった仕事が嫌になって、ちょっと町へと出かけた際にゴブタと会ったのが始まりだった。
「あれは……面白そうだったから?」
「面白そうで、かくれんぼと鬼ごっこを混ぜた遊びをするんじゃねぇ。なんで町中で警察と泥棒のおにごっこをやらにゃならんのだ」
前世の記憶だと地方によって呼び方の違う遊びだったモノを、こっちで出来るとは思わなかったな……泥棒ではなく、仕事を逃げ出した奴らっていう感じだけどね。
「でも今回は終わらせたよ。リムルと一緒に遊びたかったし」
「そういや、最近はお互いに忙しくて遊んでなかったか……主に、誰かさんのせいっていうのもあるんだけどな」
リムルのジト目が自分に突き刺さってくるので、何も言い返す言葉も浮かばなかった自分は、そっと目を逸らして口笛を吹く。
なんだかんだと、ゴブタと一緒になって逃げ回り、町の警備の薄い場所や気付かなかった抜け道、裏通りなどがあったりなど、遊びのついでに色々と見えてくるモノもあったので、そこまでお咎めはなかった……仕事量は10倍くらいに増えたけど。
警備隊の訓練にも応用できるし、町でそういう事が起きた時に町全体がどう動くかの訓練や確認なんて名目も出来てしまったのだ。
「まぁゴブタは良いとして、ウィンとライナを捕まえるのに俺とソウエイにハクロウとベニマルが総出じゃないと捕まえられないとは思わなかったぜ」
途中からライナも加わり、フゥリなんかも参加しだして、町全体を使った遊びに発展するという事態になったのだ。
==逃げ出した二人の追跡と確保。
♦♦♢♢ 視点:リムル ♦♦♢♢
「おや~。俺もゲルドの事をいえないよな……何かしてないと暇すぎて仕方ない」
仕事でも探そうと部屋を出ると、此方に向かってくる気配が幾つもある。
「リムル様っ⁉」
「すみません、ゴブタのヤツを見ませんでしたか⁉」
『リムル君! ウィンを見なかったかな? ボクが目をはなした隙に逃げられたんだ』
リグルドにリグル、アウスが詰め寄ってくる。
「いや、知らないけど……アイツら、逃げ出したのか?」
ゴブタは警備と称してサボりながら逃げ出すし、ウィンのヤツも仕事自体はキチンとこなすのだが……一定量処理しきると、すぐに遊びに行きたくなって逃げ出す癖がある。
ウィンの厄介な所は、遊んだ後でも片付けられる仕事量を残す事だろう。
重要なモノは一番最初の方に処理し、速攻で終わらせられるクセに納期内で重要性が低く、簡単に片付けられる仕事を残して遊びに出掛けやがる。
終わらせれば誰も文句を言わないというのに、だ。
「それで、なんで皆してオレの所に来たんだよ?」
「これがライナ様から届けられまして……」
リグルドがなんとも言えない顔をしながら、ライナが送って来たという木簡を見せてくれる。そこに書かれている内容は、なんとも挑戦的で警備隊に宛てた文章だった。
「なになに――」
『ウィンとゴブタに逃げられた諸君へ。警備隊を使っても良いし、リムルに助けを求めても良いわよ。ライナ、ウィン、フゥリ、ゴブタ、シオン。これらの人物を捕まえてみなさい。最近、平和になってたるんでいる人達には丁度良い訓練になるんじゃないかしらね。ちなみに、アタシ達は町から出ないから大丈夫よ♪ 健闘を祈るわ。
日没まで逃げられたら、アタシ達の勝ちって事で良いわよね。
追伸、ウィンがリムルなんかに捕まりはしないから大丈夫って言ってたわよ』
というか、シオンまで何で混じってるんだ。
「なるほど、用件は理解した……お前ら、全力で奴等を捕まえるぞ!」
「「「はい!」」」
『簡単にはいかなそうだね』
「ライナの野郎、絶対に楽しんでやがるな」
『あの二人が組むと、本当に厄介なんだけど……』
気だるい感じでアウスは言うが、すぐに杖を取り出して空からウィン達を探すと言って、窓から飛び出して行ってしまう。
それからの行動は、御巫のハレとニニ、それにシュナも加え、エリアとヒータにも声を掛けて仕事から逃げ出した面々を捕まえる為の協力を頼む。
ベニマルとハクロウの二人は、すでに警備隊と一緒に行動しながらウィン達を探し回っているようだった。
「状況はどうなってる?」
「はい、現在ヒータさんとハレさんによる包囲網で囲んでいるそうですけど……フゥリさんによって突破されたとの事です。別の場所ではゴブタと接触した者が居るそうですが、すでに逃げた後の様でして、気配と痕跡を消されたと報告が――」
すぐに捕まえられると思っていたが、案外と粘られているな。
「ソウエイの方はどうだ?」
隣に立っているソウエイに声をかけると、少し言い辛そうにしながら答えてくれる。
「確保を試みたのですが……ウィン様により罠関係は突破され、ライナ様によって設置した糸は切られてしまっています」
「そりゃあ相手が悪かったな」
「シオンの方も厄介ですね。捕らえようにも警備隊連中じゃあ軽くあしらわれている感じでして、姿を常に見せている分、楽ではあるんですけど……アウスが何とか抑え込もうとしているんですけど、あの怪力ですから」
ベニマルがため息を付きながら補足情報をくれる。
「さて、どうするかなぁ。とりあえず、俺も出るぞ……ウィンは俺じゃないと捕らえられそうにないからな」
ちょっと大賢者に聞くかと思ったら、大賢者の方から回答があり、シオンにはゲルドとシュナを向かわせ、ゲルドに力比べと称してガッチリ逃げられない様に捕まえてもらい、そこをシュナとエリアが確保する感じが良いとのこと。
ゴブタに関して、警備隊で包囲しつつアウスが抑え込めば良いらしい。
ライナには、ヒータ、ハレ、ニニそれにベニマルとランガを向かわせて、包囲しながら注意深く逃げ出せないようにすれば、時間は掛るが捕らえれる。
問題はフゥリとウィン。
アウスは終わり次第にフゥリを捕まえる様に動いてもらうとして、シュナとエリアとゲルドが揃えば、捕まえられるかもしれないらしい。
「――こんな感じで他のメンバーを捕まえてくれ。ウィンは俺が何とか確保して見せる」
もう日が傾きかけていて、このままではこちらが負けになってしまう。
「それじゃあ皆、頼んだぞ!」
向こうに勝たれた時に見せられる勝ち誇った笑みを見たくなくて、全員の気持ちはいつの間にか一つになっている。
俺も窓から飛び出して、ウィンを見かけたという場所へと急ぐ。
大賢者にも探させて、魔力感知でも隠れられそうな場所を特定してもらう。
〈……個体名ウィン=テンペストが居そうな場所を発見。右斜め下の小屋です〉
「サンキュー、大賢者」
「あ、リムルが来た?」
魔力感知で探ってもらった場所をしらみつぶしに探してみると、ぴょこっとポニーテールの緑髪が見えた。
「あぁこれ以上は時間を掛けたくないからな」
「えへへ、でももうすぐ自分達の勝ち?」
「そうはいかねぇよ!」
粘糸鋼糸を使って捕まえようとするけれど、軽く風を纏わせて切り刻まれてしまう。
「厄介だなぁ、その風は」
「リムルの方が厄介でしょう。そんなスキル使ってさ」
ちょっとだけ頬を膨らませて文句を言ってくるが、ウィンの方がどう見ても厄介だろう。
風の力で索敵も出来るのに、魔力感知でも探れるのだから。
ランガが影移動でウィンを捕らえようとするが、さっと避けられてしまった。
「む、流石はウィン様ですね」
「危なかったよ?」
「その割には余裕で躱してるじゃないか」
「まぁゴブタの影移動を何回も見てるから?」
そう言ってニコニコしながら、俺達と距離を取ろうとしている。
「大人しく掴まれ!」
「や~だよ」
地面を蹴って一瞬でウィンに近付いたて、捕らえようと手を伸ばすが組み手の様に払われてしまう。
「この、ちょこまかと⁉」
「それはリムルの方でしょう?」
何度も掴んでは払ってという繰り返しをしながら、移動していると何かがキラッ見えた。
【ソウエイか?】
【はい、いま後方に糸を設置しました】
【よし、このまま追い詰めるぞ】
「うわぁ!」
ウィンは俺に気を取られ過ぎて、足元に作り出されたソウエイの糸を踏んでしまう。
「これで終わりだ」
そう言いながら、俺はスライムボディに変わってしっかりとウィンを捕獲する。
「あぅ、まけちゃった」
「たく、町全体をつかった遊びをするんじゃねぇ」
「かなりしてやられましたね」
「まったくですな」
「これは、警備の見直しが必要ですね」
いつの間にか他のメンバーもウィンを捕まえに揃っていたようだ。
次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで
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