楽しく読んでいただけたら感激です。暇つぶしでも貴重なお時間を割いて読んでいただいただけでも感謝です。
誤字脱字のご報告、本当にありがとうございます_(._.)_
この場にて、改めて感謝申し上げます。
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『さすが、としか言えないわね』
「リムルの動きが悪い訳じゃないんだけど、ね」
それ以上にガゼル王とやらの実力が桁違いに高い。
剣だけの勝負では、リムルは赤子の様にあしらわれている。
どんな角度、スピードの緩急、フェイントなんかも混ぜているけれど。
その全てが受け流されている。
しかも、リムルが力を籠めて叩きつけようと、押し出そうとしている動きにも、剣一本で受け流されていて、ガゼル王は一歩も動いていないのだ。
スキルを使えば勝てる可能性はあるだろうが……剣での勝負という事で言えば、リムルの完全な敗北と言っていいだろう。
「どうした? そんなものか?」
「うるさい! まだ本気を出していないだけだ」
リムルもそれが解っているから、スキルを使わずに刀一本でガゼル王に挑んでいる。
それを見たガゼル王が少し笑うと、威圧感が一気に増していく。
体全体が痺れるようになって、リムルが動けなくなっている。
というか、次いでとばかりに自分にも、同じモノを向けてきている。
【動けない】
『面白い事をしてくれるじゃない』
【お前らもかよ⁉】
〈告。エクストラスキル「英雄覇気」です。対象を畏縮させ、屈服させる効果があります〉
【なんだそりゃ、対応策は⁉】
〈……気合です〉
【は⁉ なんて頼りにならない返事だ】
まったくリムルの言う通りだよ。
久しぶりに「大賢者」さんがポンコツだ。
ただまぁ、とばっちりにしても故意に自分にも掛けただろうガゼル王は、鼻で笑ってこっちを見ている。
「……ここまでか、そろそろおわらせて――」
リムルへとゆっくり歩いて近付いていくガゼル王に向かって、怒りと共に覇気を押し返す。
「……物凄く、ウザい?」
『こういうのは、アタシ達に向けるもんじゃないでしょうに』
ライナの声に反応してか、ガゼル王が放った英雄覇気に反応したのかは分からないが、自分のデッキホルスターの一つが光輝いて、声が聞こえてきた。
『そうですね私の大切なウィンに対して、無礼がすぎる』
パキッと空間を切り開くようにして、出てきたのは。閃刀姫のレイだった。
「“レイ”⁉」
『もう私に名をくれるとは‼ 流石はウィンだ』
「いや、ちが……くはないけど。え、なんで⁉」
『ん? どうしたのだ?』
ガゼル王が驚いた顔で自分達の方を見て、立ち止まる。
【なんでお前ら動けるんだよ⁉ つうか誰だ! そいつは⁉】
【気合い? レイに関しては知らない……なんか、急に出てきたんだもん】
『解放条件でも満たしたんじゃない?』
【そうかよ、気合ねぇ。あぁわかったよ。大賢者、お前はいつも正しいもんな。あとで話を聞くからな! また勝手に良く分からない美少女を呼び出しやがって】
【そういうのはガゼル王に勝ってから言ってください? 動けないくせに……】
リムルよりも先に動けるようになった自分は、ちょっと勝ち誇ったように笑う。
「ぅ……うおおおぉぉぉおあああっ」
リムルもなにやら小さく震えて、息を吐き出すよう叫び出した。
「む……」
抑え込まれていたリムルの魔素が噴き出すように、少しだけ周りに風が巻き起こる。
「……解けたぞ」
リムルはもう一度だけ大きく息を吸って、ガゼル王に向かって刀を構える。
「……そう、こなくてはな」
ニヤっと笑い、ガゼル王はリムルを見据える。
「次はこちらからだ」
ガゼル王が小さく呟きながら言うと、剣を構えずに自然体で立っていると……リムルの目の前から突然、気配が消えた。
リムルから見たら、誰も居なくなった場所から急に斬撃が襲ってくるように見えただろう、白老と初めて会った時に、同じような動きをされたはずだ。
辛うじてリムルが躱して、一歩後ろに下がる。
次の攻撃を、記憶と訓練で偶にやられる白老の動きを思い出した感じの反射的な動きで、ガゼル王の攻撃を受け止めた。
「……はは、クロベエの刀じゃなかったら、真っ二つだったな」
「……ふっ、ふはははははっ! こやつめ俺の剣を受け止めおったわ‼」
受け止められたことに驚きながら、それがさぞ楽しく、愉快だと豪快に笑いながら、ガゼル王はリムルに背を向けた。
「お、おい?」
「降参だ。俺の負けでいい」
ガゼル王がそう言って、英雄覇気で吹き飛ばしたシズさんの仮面を広い、リムルへと渡す。
「邪悪な存在ではないと、判断した。良ければ話し合いの場を設けてもらいたい」
「――――では。勝者、リムル=テンペスト!」
トレイニーさんが勝利を告げると、皆が騒ぎ出した。
『……あれ? 私の出番はなし?』
「レイが出ていったら、この辺が荒れ放題になるからダメ! ただでさえ一騎当千っていう強さがあるんだから」
「ふむ、そちらの女性とは一度手合わせ願いたいものだな」
『分かってるねおじ様。ウィンに無礼を働いた借りは剣で返してあげたいもの』
「ははは、言いよるわ」
「いや、ガゼル王さん。お願いだからやめて? 彼女はこう見えてまだ13歳ぐらいだから……ボディラインが13歳くらいのそれじゃあないけど……」
『えぇ、私なら大丈夫なのに……それに容姿の事ならウィンと変わらないと思うぞ』
「いや、自分の体と比べないでよ」
『無駄よレイ。ウィンの自己評価は下の方だと思ってるんだから』
『えぇもったいないな』
ぷくっと頬を膨らまして不満だと主張するが、自分はここで譲る気はない。
「あ~、なんだ。話がそれたが、いいのかよ?」
リムルは自分とレイを呆れた顔で見つめながら、ガゼル王に近付いて聞く。
「無論だ。元より殺し合いが目的ではないからな」
【受け止められたのは偶然なんだけどな。ハクロウの技に似ていたから……】
【リムル、それが答えだよ?】
【は? 何言ってんだウィン?】
朱菜に心配したと抱き着かれ、紫苑は流石とリムルを褒め称えているのを横目に、ちょいょちとガゼル王に近付く白老を指差して、リムルに教える。
「ほっほっほっ。お見事でしたな、リムル様」
「ハクロウ」
「ですが打ち込みの方はまだまだ。明日からもっと厳しくせんとなりませんな」
「うへぇ……」
ガゼル王がようやく白老の存在に気付いて、驚いた様子で目を見開いている。
「失礼ですが、剣鬼殿ではありませんか?」
「……先ほどの剣気、如何なる猛者かと思ってみてれば、ずいぶんと成長なされた」
「剣鬼殿にそう言って頂けるとは、恐縮です」
「ふむ、森で迷っていた小僧に剣を教えたのは、懐かしき思い出。あれから三百年になりますか」
リムルはガゼル王と白老の会話に終始驚き、目を見開いたままで二人の顔を行ったり来たりして見つめている。
「さぁ、早く案内してくれリムル。上空から見たかぎりじゃ美しい町並みだったぞ? 美味い酒くらいあるのだろう?」
「……まぁ、あるけど」
『話を聞いてると、リムル君っておじ様と兄弟子関係になるのではないか?』
「あぁ、言われてみれば。刀の使い方から修業まで白老に習ってるなら、確かに?」
「む? 剣鬼殿に剣を教わっているのか! ならば確かにそうなるな!」
『不思議な縁ね。まさかドワーフ王国の王様と、弟弟子の関係になるなんて』
「それよか、ハクロウがガゼル王に剣を教えていた事のほうが驚くだろう⁉ 道理で太刀筋が似てる訳だよ‼」
「自分の事は良いの?」
「ん? 俺は女児に向ける刃は持っておらんぞ?」
「女の子扱い禁止!」
「そう言うな……それに、お主は剣を持たぬだろう。それなら英雄覇気を突破した事で終いだ。お主よりも、そっちの突然現れた娘の方と試合をしたいのう」
ガゼル王が少しだけ困った顔で頭を掻いている。
『私は何時でも手合わせ出来るが……ウィンが駄目だと言って譲らんのだ。この場では出来んな。いつか時とタイミングが合えば手合わせ願う』
「あぁ、その時は宜しく頼むぞ。レイ殿」
互いにがっちりと握手して、なにか火花を散らしているように見えた。
★☆★☆ ★☆★☆
出会いはピリピリした感じだったのに、今では宴という状態の中で其々が気楽に喋りあっている。まあ、和気藹々という感じではないけれどね。
お互いの情報交換も含んでいる感じの会合とでも言った方が良いのかもしれない。緩く宴会風なのりだけど。
「魔物の危険度?」
「そうだ、大まかな区分だがな。“
「例えで言うとオークロードは、どうなるの?」
「厄災級だ。軍勢は別だがな」
チラッとリムルと視線を合わせる。
最終的には魔王に進化していたけど……そうなると、危険度のランクも上がるよね。
「魔王はどこに区分されるんだ?」
リムルがシレっとガゼル王に聞く。
「魔王ならば、災禍級だな。怒れる魔王など災禍そのものだ。うっかり出会っても、手などだすなよ」
「はっはっは、出さないって」
リムルはそう言っているが、たぶん――、
【シズさんの仇、以外は?】
【あぁ、分かってんじゃねぇか】
思念伝達で聞くと、案の定な返事が返ってきた。
「それにしても、ここの料理は美味いな」
「腕のいい料理人がいるからな……それと、無駄に料理のアイディアを提供するヤツも居るんだよ……まぁ、美味いモノが出来てくるから良いんだけどな」
「ほう、そのような者がおるのか……」
アイディア提供は主に自分だけれど、リムルだって何だかんだと色々な料理を教えたり、作らせたりしている。
まぁ、朱菜に協力してもらって調味料の挑戦やら、甘味の量産体制やらのアイディアを出しているのは……主に自分ではあるけどね。
そんなジト目で見て来なくても良いと思うな。
「そのアイディアを、我が国にも流してくれると嬉しいのぅ」
「なんか面倒そうな雰囲気があるから却下で!」
「ふむ……のう、リムルにウィンよ。俺と盟約を結ぶつもりはあるか?」
飲んでいた麦茶を思わず吹き出しそうになるのを何とか堪える。
リムルにいたっては、目を見開いて驚いた表情で固まっている。
「おい「何言ってんだこのオッサン」みたいな顔をするんじゃない」
自分とリムルの顔を見て、半目で睨まれながら怒られた。
「この町は素晴らしい造りをしていた。ここはいずれ交易路の中心都市となるだろう。後ろ盾となる国があれば、便利だぞ?」
「……いいの?」
「それは自分達を……魔物の集団を国として認めるということだぞ?」
「無論だ」
「……そちらの国にも、利があると?」
「これは王として言っておる。当然だが善意の言葉ではない。双方の国に利のある話だ」
リムルも思わず自分の方を見ていて、視線を合わせながらガゼル王を疑いの眼差しで見つめてしまう。
「ホントにぃー? 俺達だまされてない?」
「ふははははっ。恩師やドライアドを前に、その主達を謀ろうなどとはせん」
豪快に笑いながら、ニヤリとどうするかという顔で見てくる。
リムルと見合って、お互いに頷いて答える。
「条件は?」
「とりあえず二つだ。一つ、国家の危機に際しての相互協力。一つ、相互技術提供の確約。なに、答えは急がずともよい。よく考えるがいい」
「……ん」
「いや、この話、喜んで受けたいと思う」
「ふっ! 王者に相応しき決断力だ! さすがは俺の弟弟子よ!」
バンバンと力強くリムルと自分の背中を叩かれる。
次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで
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