心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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62話 魔王の計画と各国の動向

 

 

 

 

 

 

 

 ミリムの事をオモチャという武器で釣り、情報を聞き出すのにお菓子という甘味で口を滑らせ易くする。

 ちょっと罪悪感はあるけれど、テンペスト連邦国にとっても重要な事だし魔王達に目を付けられているとなると、それ相応の対策をしておかないと手遅れになるかもしれない。

 

 

「リムルが悪代官に……」

「お前もだろうが、露骨にデザートをチラつかせてたくせによく言うよな」

 

 聞き出した情報によると……。

 ミリムを含め、魔王四名の企みで傀儡の魔王を誕生させるという計画だったらしい。

 

「……これって俺たちが魔王の計画を邪魔したってことだよな」

「ですね……」

 

 近くで話を聞いていた紅丸が頷く。

 

「想定していた状況とは違いますが、他の魔王もここへ干渉してくるでしょうね」

「大変なことです。トレイニー様にも相談せねばなりませんな」

 

 紅丸とリグルドがどうるすべきかと真剣に悩んでいる様子だ。

 

「大丈夫です。リムル様とウィン様ならば他の魔王など恐れるに足りません!」

 

 頭を抱える問題だ。約一人……紫苑だけを覗いてね。

 ミリムは喋り疲れたのか、ソファーの上で気持ちよさそうに寝ている。

 

【ねぇリムル……】

【なんだ?】

【ミリムに飽きてもらうより、しばらくはジュラの森に居てもらう方が良くない?】

【……確かにな……餌付けでもするか】

【そんな小動物みたいに……まぁやる事は変わらないんだけどさ】

 

 どうやっても魔王達から狙われている状況なら、町に一番友好的なミリムに居てもらった方が良いだろう。

 

「ところでリムル様、ウィン様」

「どうしたリグルド?」

「ん?」

『…………リグルド、トレイニーさんにはアタシから報告しておくわね』

『あ、私も行きますよ‼ 神社に御神木となる木を生やしてもらいたいんですよ!』

 

 ライナとハレが何かを察した様に、そそくさと部屋の外へと出ていった。

 

『私は場所の全体的な構図を元に、御神木を生やす場所をゲルドさんと決めてきますわ』

『……一緒にいく』

「わかりました、お供します」

 

 ニニとフゥリも続いて、ゲルドを連れ出して部屋を出ていく。

 

『オレは町の警備に戻るぜ』

『私は町の修繕に協力してくるね~』

『ボクも手伝うよ』

 

 それに続いてヒータやレイ達も自分とリムルに手を振って部屋を後にする。

 

「こんな場所で寝たら風邪を引いちゃいますよ」

「私が部屋まで運びますよ!」

「自分とソウエイは町の警備の見直しに行きますんで」

 

 朱菜と紫苑がミリムを布団で寝かせる為になのか、二人して部屋を出ていき、紅丸と蒼影も急いで部屋を出ていった。

 

「なんか、リグルド怒ってる?」

「いえいえ、滅相もない。さて、ミリム様による被害報告ですが――」

 

 リグルドに手渡された木簡を読むと……夥しい量の物品が書かれていた。

 

「ドアノブに窓ガラスに食器多数?」

「ま、まぁ、ああ見えて魔王だし。天災級にしてはかわいらしい被害じゃ――」

「……実はそれ、今朝のもので、こちらがお昼までの被害報告です」

 

 もう一枚、違う木簡を差し出された。

 

「え、リグルド怒ってないか?」

「滅相もない」

「ちょっと、顔が近い?」

「はっはっは、気のせいですよウィン様」

 

 もう一枚の木簡に目を通すと、思わず「うわっ」と声が漏れてしまう。

 何も言えずに、そっとリムルに木簡を回すと、リムルも見たくないモノを見るようにおずおずと手を伸ばして、そっと内容を読んでいく。

 

「中央通りの石畳100mに街路樹13本。農園の柵、水門のハンドル、「ジュラ」看板⁉ 建国記念碑‼ 基部……――」

「これは、ひどい?」

「わ、わかった。ちゃんと俺たちから言っとく! 国の代表として、ミリムの友人としてちゃんと強めに……」

「……リグルド……その手に持ってる木簡って?」

 

 自分もリムルの言葉に頷こうとリグルドを見ると、まだ手には木簡が握られていた。

 

「そしてこれが、さっき届いた被害報告です」

「リグルド、怒ってる?」

「滅相もない、ははははは」

「目が、怖い?」

「ははははは、気のせいですよウィン様」

 

 その後の報告でもリグルドのがクワっと開く事はなかったが、目力の圧が凄かった。

 

 

 

   ★☆★☆   ★☆★☆

 

 

 

 カリオンの部下が来たが、それからすぐになにかある事もなく、食事をしながらのんびりと過ごす日々が続いている。

 まぁ、色々と対策はしているけど、待ち構えすぎても良くないだろう。

 

「ミリム様、お野菜もきちんと食べてくださいね」

「えー。これニンジンそのままではないか!」

 

 ミリムがフォークでニンジンをツンツンと突きながら文句を言う。

 紅丸もニンジンと睨めっこをしている。

 

「ちゃんと調理してるよ?」

「そうですよ。ウィン様とゴブイチさんがちゃんと調理してくれていますよ。甘くておいしいですから」

「嫌なのだ! ニンジンは匂いがきつくて口にあわないのだ!」

 

 嫌がるミリムに同意するように、紅丸が頷いている。

 

「好き嫌いしてると、大きくなれませんよ」

「平気なのだ! ニンジンなど食べなくても魔王にだってなれるのだぞ!」

 

 紅丸は何も言わないが、ミリムを応援するように華やいだ笑顔になっている。

 

「ん~、じゃあね。こうすればどうかな?」

 

 風で軽くニンジンを花型に切ってみた。他にもハート型や星型など色々な形を作る。

 それを見ていたゴブイチが何か衝撃を受けた感じで感動していた。

 

「これは……可愛らしいですね」

 

 朱菜はウサギ型に切ったニンジンをみてうっとりしている。

 

「かわいいのだ! 美味しいのだ! これならいくらでも食べられるのだ!」

 

 紅丸が裏切られたような顔でミリムを見て絶望している。

 

「さっさと喰え」

「ク゚っ……」

 

 紅丸に呆れながら蒼影がツッコミを入れている。

 

「朱菜はよくミリムにはっきりものが言えるな。一応アレは魔王だぞ、ヤバイ級の」

『ニンジン喰えとかって言うモノね~』

「アレだなんて失礼ですよ。ライナ様もミリム様に対して普通に喋ってますよね?」

『そうかしら?』

 

 ヒソヒソとリムルと朱菜とライナが三人で内緒話をしている。

 

「たしかにミリム様は無茶苦茶な所もありますけど、ちゃんとお話しすれば道理を通してくれる聡明さを持ち合わせたお方です。だからこそ、リムル様もウィン様もお友達になられたのでしょう?」

「まぁ……そういえなくもないか?」

『どっちかっていうと、巻き込まれたついでに、絡めとられたって感じの友達宣言だったわよね……あの時のリムルは滑稽だったわ』

「お前なぁ、いつかウィンにその性格を修正してもらえ!」

『まぁでも、シュナはよく言えるって思うのは確かね」

「えぇ、無茶しかしなくて、考えなしな娘をずっと見てたのでわかるんです」

 

 その無茶しかしないという人物はもしかして……。

 

「ふふ、ミリム様は実に幼稚ですねぇ! 私など好き嫌いなく食べられるというのに……あぁ、だからそんなに貧相な見た目なのですか?」

「おん、なんだ。その邪魔に育ったモノをモギトッテやろうか? 醜く垂れる前に」

「私のお胸は毎晩鍛えているので垂れたりしません!」

「垂れるのだ! 鍛えていようが、魔王になろうが、垂れるものは垂れるのだ! 実際ワタシは垂れそうなのを一人しっているのだぞ!」

 

 朱菜って本当に苦労をしていたんだな。

 

 今日も一日、平和に過ごせそうで良かった……うん、本当に平和だねぇ。

 また、リグルドのお小言とか聞かされるのかな。

 朱菜には後で、デザートの新作でもあげようかな……どっかのおバカさん達には食事中に暴れた罰として、今回の甘味は抜きにしてもらおう。

 

「あ、紅丸? ニンジン食べたら後でデザートをあげるから、頑張って食べなね?」

「うっ! わ、わかりました……」

 

 絶望の淵から、希望でも見えたかのように震える手でニンジンを頑張って食べ始めた。

 

【ウィン様、頼まれていた調査ですが……やはり、動きがありました】

 

 蒼影から思念伝達で話しかけられる。

 

【やっぱりね……まぁ、動かない方がおかしいかも? ……情報を集めつつ、後でリムルにも報告してあげて】

【御意に】

 

 魔王まで動いているのに、ジュラの森に隣接している国々が動かない訳がない。

 ドワルゴンは別の意味で特例だろう。

 

 

   ★☆★☆  ★☆★☆

 

 

 

    ♦♦♢♢ 視点:蒼影 ♦♦♢♢

 

 

 

 ==動きがあった国の一つ、ファルムス王国。

 

 その大国は領土の一部がジュラの大森林に接している国の一つ。

 

「馬鹿な‼ オークの軍勢……しかも、豚頭帝出現の可能性大だと⁉」

 

 ブクブクに太った偉そうな人間が机を叩きながら、頭を抱えて叫んでいる。

 情報としては古く、その問題はすでに解決しているのだが……真相を知るのは魔物の国の国民を覗いて一部の者達だけである。

 情報収集能力も、そこまで高い国という訳でもないようだ。

 

「騎士は町の警備に必要だし、調査団を組織するには人員と金がないし……そうだ」

 

 森に接する領土を治める肥えた伯爵は悩んだあげく、何かを思いついた様子で。辺境調査団という組織を誕生させた。

 矯正施設に収容されていた者達を強制的に駆り出して、森へと送り出すそうだ。

 

「森の調査ねぇ……こりゃあアレか。強欲な伯爵サマにとって俺たちは捨て駒ってか」

 

 辺境調査団の団長に指名された、ヨウムという男が怒りをにじませた声で悪態を付いていた。

 

 

 

 ==そしてもう一つ、ブルムンド王国。

 

 この国は、リムル様とウィン様との交流があった冒険者達がいる国。

 

 自由組合支部長の男か片目に傷がある、そこそこの手練れだと解る。

 

 この国も豚頭帝出現の噂が流れていて、その調査の結果それが事実であると判明したらしく、対策に追われている様子だった。

 

 影移動で執務室に張り込み、支部長の男が真っ先に気配に気付いた様子。

 

「き、貴様、いったいどこからっ!」

「リムル様、ウィン様から伝言だ、心して聞け。「悪い悪い言うの忘れてた?」「オークロードの件は片付いた」……だ、確かに伝えたぞ」

 

 リムル様とウィン様の知り合いらしい、三人の冒険者がお互いに顔を見合わせながら、話し合っている。

 

「リムルにウィン……その名は聞いている。スライムと少女でありながら、魔物の町の主だとか」

「リムル様、ウィン様は人間とも共存共栄を模索しておられる。豚頭帝の噂を流したのも、お前達が対策をとれるようにするためだ」

 

 こちらの話を聞きながら、支部長は驚きの表情をこちらに向けてくる。

 

 

「敵対よりも融和を選ぶ方が賢明だと忠告しておこう。では……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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