「レイ、警備隊とヨウム達の様子ってどうかな?」
『そうですね……仲良くやっておりますよ。むしろ、運命共同体と言っても過言ではないくらいには、連携が取れて来ていますね』
それは、良い事なんだろうか……。
白老の扱きに耐えているから出来た、友情的な何かじゃないのかな。
「まぁ仲良くなってくれているなら、問題はなさそうだな」
『それが、そうとも言えないのよね~』
ライナが困った様子で頬に手をあてながら自分とリムルを見てくる。
そして、早く聞き返してくれと言わんばかりの溜息を何度もついていた。
「えっと、なにが問題なんだよライナ?」
『連携は良いのよ。問題は、個人個人で能力差があり過ぎて訓練にならない事が多いって感じかしらね』
『そうですね、剣の稽古ならハクロウさんで回ります。ただ、基礎的な回避や防御、体力面などで、どうしても後れてしまう事が多いです。そして、一番の問題は集中力でしょうか……元々の負けず嫌いな性格で耐えてはいますが、このままでは脱落者なんかも出てきてしまうかもしれません」
「息抜きは必要ってこだな……だが、それだけじゃあ意味ないよな?」
『そうね。せめて稽古という感じがしない訓練方法なら、ヤル気もでるんじゃないかしらね……、偶にやらせている尻尾鬼なんかも、体力作りにはもってこいだし。楽しそうに遊んでいたわよ』
『あれは良いモノですね! 尻尾を地面に垂らしてしまえば足で踏まれてすぐに取られてしまいますし、真っすぐに逃げるだけでもダメですから! さすが主ですよ、あんな訓練方法は思いつきません!』
「ここにも一人、尻尾鬼にハマった子がいたね」
まぁレイの場合は誰かと一緒に遊びながら訓練が出来るって事に感動してるんだと思うけどね……たしか、彼女のテーマって周りにロボットばかりの世界観だったはずだ。
「――ということでウィン。なにか良い案はないかね?」
「え?」
『話を聞いてなかったわね』
『主なら別の訓練方法も、すぐに思いつきますよね』
レイが目を輝かせながら見つめてくるし、ライナは面白い事を考えなさいという圧と遊びたいという欲が混じった笑みで微笑みかけてくる。
「防御や回避、それに攻撃の訓練にもなる遊びなんてあるか?」
「あ~……ドッジボール、かな?」
「あぁ! そういやあったな! たしかにソレなら良い訓練になるぞ!」
『なによ、それ?』
『お二人だけで分かりあっているのは、なんかイヤな気分になりますね……』
「ごめんね、説明する?」
「それならハクロウやヨウム達を呼んで、実際にやりながらの方が良いだろう。善は急げだ、ほらほら早く行くぞ!」
リムルのヤツ、絶対に一緒に混ざって楽しむ気だ。
まぁ自分も楽しむつもりではいるので、別に良いかとリムルの後を追って行く。
★☆★☆ ★☆★☆
「さて、集まってもらったのは今から君たちにちょっとした遊びをしてもらいたい」
「あそび? 突然集まれっていうから来たら、いったい何をしようっていうんです?」
「コレを使って遊ぶの」
ポイっとリムルと一生懸命考えて創ったボールをヨウムに向かって投げる。
大きさは人の頭くらいで、スポンジみたいに柔らかい。ただ、周りは猫の毛みたいに少しフサフサしつつもしっかりとした皮で出来ている。
ヨウムは興味深そうにモフりながらも、周りに居る者達にもボールを渡していく。
初めは普通にビーチバレーで使う感じのボールにしようと思ったのだが、もしも紫苑やミリムが参加した場合…………死者が出る可能性を考慮して、柔らかくて当たっても衝撃を柔らげ、ある程度は丈夫であるモノを作ろうって話になったのだ。
そして投げ難い柔らかさならば……紫苑やミリムでもある程度は加減できるのではという考えもある。
レイも似た感じの強さがあるので、その辺は試作段階で検証済みだ。
「すごいっスね……それでウィン様、この球で何するんスか?」
白老もボールを持ちながら潰してみたり、軽く手の平の上で投げてみたりしている。
『今から遊ぶ上でのルールを説明するから待ちなさい』
まず10メートル四方を2面作って、中央線と円を描く。
チームは入れ替わりで……人数的に15人チームとして、味方から対面コートの外側に5人が立ち、中には10人。
それぞれの名前が書かれた札を箱の中に入れ、赤と青色が先端に塗られた棒を引いてチームを分けていく。
「最後まで、ボールを当てられずにコート内に残っていた人の勝ち」
「ボールを当てられたヤツはどうなる?」
『それはアウトってことで、こっちの端っこベンチへ移動ね』
「あぁ、もちろんアウトになったヤツには腕立てや腹筋なんかをやってもらう。しっかり逃げ切る様にな」
「そ、そうっスか」
ゴブタみたいなヤツは絶対、最初にあたってしまえば楽できるとか考えてると思ったので、しっかり罰ゲームも用意してある。
「ちなみにだ、相手が投げたボールは捕れるなら捕ってしまってかまわないぞ。だから投げる方もしっかりと工夫して投げることをオススメする」
「だがよ、それだと体格差とかで、有利不利が決まっちまうんじゃねぇか?」
ヨウムがチラッとロンメルの方を見て言う。
「それなら大丈夫かな?」
「それは、いったいどういうことで?」
このボールはライナがちょっとだけ手を加えている。
『魔力を加えることで、威力が一定値出るようにしてあるのよ。投げてみなさい』
「は、はい!」
ロンメルに渡されたボールは意外なほど早くすっ飛んでいく。
スキンヘッドの男が何とかキャッチするが、掴み方がイマイチだった為に手の中で暴れて取りこぼしてしまっている。
「す、すごい……」
「こりゃあ、簡単には捕れそうにねぇですぜアニキ」
「あ、あぁ……避ける方が無難そうだな」
「少し魔力を工夫していれるとね、ボールを曲げることも可能?」
お手本としてヨウムを軸にしながら、横にいたリムルへと戻ってくるように魔力を籠めてボールを投げる。
「な……なるほど、ですっ⁉」
「コレなら、魔術師の人も鍛練できるでしょう?」
「すごいですね! なるほど、魔力の籠め方ですか……たしかに、意識して考えたことは今までなかった……魔法への応用として扱うには良い訓練になりそうですね」
ボールをマジマジと見ながら、小声でブツブツと呟き出してしまった。
『避けた方が無難ですが、それでは攻撃されっぱなしという事も忘れてはいけません』
「そうか……攻撃するにはボールを奪取する必要もあるんですね!」
「ふむ、たしかにコレは良い訓練になりそうですなぁ。さすがはウィン様ですじゃ」
「あと、勝者には夕食にデザートを追加? もしくはお酒類や好きな食べ物を食べられる権利なんかもある?」
今まで話に参加していなかったはずの紅丸が何時の間にか近くにいた。
「それは、本当ですか!」
「え? うん。だって、勝った方にご褒美がないとつまらないでしょう?」
「ベニマルも参加するか? それならライナが持っているクジを引いてくれよ」
「もちろんです!」
紅丸の狙いは、デザートかな……なんだかんだで朱菜や紫苑なんかの女性陣に取られてしまう事が多いからね。
というか、皆が意外なほどにヤル気に満ち溢れている。
「あのお酒、美味しかったからまた飲みたかったんすよ」
「スイーツってヤツも最高に美味かったですよね!」
「自分はウィン様が作ったというカクテル? とか言うモノが気になります!」
「あぁぼくでも飲める飲み物もあるみたいでしたね! これは負けられませんね」
「馬鹿野郎! あんな美少女の手作りってだけで価値がたけぇのに! とんでもねぇ美味さだってんだからなぁ……ヤル気出てきたぜ!」
なぜだろう、たしかに言い出したのは自分なのだが……なんか、皆して自分が作ってくれる事が前提として話が進んでいる気がする。
しかも主にヨウム一行さんと、カバル達もいつの間にか混じっている。
「ちょっとちょっと! ウィンちゃんのデザートと聞いては引き下がれないよ!」
「料理の腕もかなりのもんだったしな。また喰いてぇなぁ!」
「そうでやすなぁ……敵になっても手加減は出来ないんで」
「はっ! 当たり前だ⁉ ぜってぇに負けねぇ」
「勝つのは私なんだからぁ! 邪魔しないでぇ!」
いや、だから誰も自分が作るとは一言も言ってない。
「り、リムル――」
「お前の発案だからなぁ……やっぱり言い出した者がしっかりとやりきらないと、ダメだと俺は思うんだよ。頑張れよ!」
言い笑顔でサムズアップしながら言うリムル。
思わず殴りたくなる拳を振るわせながら、絶対にリムルを負かしてやろうと誓う。
『とりあえず、始めるわよ!』
『最初はルールを覚える感覚で、私とライナが審判を務めますね。流れを覚えながら実戦形式でやりますよ』
日が暮れるまで続いたドッジボールは、いつの間にか紫苑や朱菜、ミリムなんかも加わって白熱したモノへと変わっていった。
ミリムにも手加減というモノを覚えるいい機会になっただろう。
無理やりに上限値以上の力を籠めれば、ボールが破裂してしまうのでミリムはその時点でアウトになる。それは紫苑にも当てはまるようで、何度か無意識にボールを破裂させていた。
彼女等には是非とも力加減というものを覚えてもらいたいね。
次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで
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