「なんと! あの「天空の支配者」が復活ですと⁉」
「あれは遥か昔に封じられたはず。理由もなく封印が解けるなど考えられませぬが……」
リグルドも知っているようだし、白老は流石は年の功というか……詳しく知っている様子だった。というか、封印されていたような存在なんだ。
「事実でございます。我が姉トレイニーが足止めを行っておりますが、あまり長くは持ちません」
トライアさんを迎えて、重役たちを集めた会議室は緊迫した様子である。
一部の者達を覗いてだけど。
リムルと自分は知らないから、誰かに聞きたいんだけど……聞ける雰囲気じゃあないせいでカリュブディスというヤツがどんな存在なのかが分からない。
ちなみに霊使い達や御巫達にレイも同様に、存在は分からないが焦っている様子は全く無い……この中の誰でも良いから、カリュブディスなる存在がどういうヤツなのか、聞いてくれないかなって、リムルと自分が淡い期待をしていたりする。
「伝説では、異界の魔物を従える能力があるとか……」
「魔法が通じないという話も聞いたことがあります」
ホブゴブリン達の会話に耳を傾けていると、何やら聞き捨てならない単語が耳に残った。異界の魔物を従えて……魔法が通じない、という。
「これもヴェルドラ様消失の余波かもしれませんな……」
【……あっ! リムル! 大賢者さんに聞けばいいじゃん!】
【はっ!? その手があったか!】
〈…………暴風大妖渦。知性は無く本能のままに殺戮を繰り返す、災厄級魔物。死亡しても一定期間で復活を果たす性質を持ち、勇者により封印されていました。……なお、物質体を持たない精神生命体であるため、その復活には屍などの依代を必要とします〉
なんか大賢者さんの呆れと、なぜ自分に聞かないんだというような感じの出だしだったけれど、しっかりとリムルを通じて、自分の方にも教えてくれる。
――けど、復活したというなら誰かが封印を解いて、依代になるモノを用意したことになる……ただ、封印が解けたって事はないということだね。
故意による封印の解放。
誰かが依代を用意して、復活させたとして知性は無いと知っている者が多いのなら……復活させた人物は、混乱を招くことが目的かな。
魔法に関しても通じないという話があるなら、操ることは不可能だろうし……復活させたヤツの目的が全然分からない。
というか……普通、知性が無いならその場で暴れ回るんじゃないのかな。
なんでこの町を目指しているのか、更に謎だよ。
「トライアさん……真っすぐこの町に向かって来てるの?」
もう考えても分からないから、この際だから聞いてしまえと話しかけた。
「はい、そうです」
「その場で暴れる事なく?」
「え、えぇ。大人しくという訳ではありませんが……」
「知性が無いのに、真っすぐに向かってくるって……少し変かも?」
「あっ!」
厄災級の魔物が復活したことで頭がいっぱいだったのか、思いつかなかったという感じで口元に手をあてて驚いていた。
会議に集まっていた者達も全員が喋っていた声を止めて自分の方を見てくる。
「確かに……変だな」
リムルも気付いた様子で、自分と一緒に考え込んでいる。
「まぁ、いいや……今は別に」
「いや良くはないでしょう、ウィン様の仰った通り、確かに変な話ですよ!」
紅丸がつっこんで聞いてくるが、それよりもやる事がある。
「紅丸? 最初にやるべきはカリュブディスをどうにかするんじゃなくて、町にいる人達の安全確保が優先じゃないの?」
ここに居る誰もが口にしていない事を、少し怒りながら自分が言う。
ホブゴブリン達の重役達も気付いたようで、ポカンと開けていた口を閉じて真剣な顔付に変わっていく。
「ウィンの言う通りだな。先ずは町の者達を集めてくれ。前にやった避難訓練だ! 出来ないとは言わせないぞ」
「はい、お任せください!」
リグルドや重役のホブゴブリン達が一斉に動き出し、それぞれに与えられた役割を果たす為に町のあちこちに向かって走り出していった。
少し静かになった室内で、ライナが意味深にのびをしながら一息入れる。
『それじゃあ今回は、私達が町の人達の護衛をする方が良いかしらね』
『なんか聞いた話じゃあ魔法関係があんま効果ねぇんだろう。足手纏いは御免だぜ』
『まぁ私達なら適任じゃないかな~。カリュブディスとかいうの以外なら普通に戦えるし、広範囲を見舞われる方がいいでしょう』
『ライナが居れば、ガゼル王の方とも簡単に話を持っていけるでしょうし。ボクらなら、色々な事にも対処は可能だと思うよ』
ライナを筆頭にして、霊使い達は町の人達を護る感じの陣形になりそうだ。
『では私達は町の方を守りましょう!』
『そうね、せっかく神社だって出来てきたというのに壊されてはたまりませんもの!』
『ん……返る場所は大事』
御巫の皆は、結界と町の守りがメインという感じになりそうだ。
『では私はウィンと一緒に戦地に行きます! ハクロウさんと稽古をした自分の動きも見てほしいですからね!』
『レイ、ウィンが無茶しないように見張ってなさいよ! アンタも一緒になって突撃していきそうで怖いんだけど』
『ライナは心配性ですね! ご安心ください。しっかりとウィンを守って見せます』
なんかレイが初めての戦闘でイキイキとしている様子で、ライナの方はレイの事を半目で見ながら心配だという視線でこちらを見てくる。
「無理はしないから、大丈夫?」
『無茶もダメっ!』
しっかりと釘を刺されてしまったが……まぁ、大丈夫だろう。
「じゃあシュナと俺、ウィンとレイで広場の壇上に立つぞ。他の皆は情報収集に町中で逃げ遅れた者や、話が行き届いていない者達への伝達だ! 時間は限られているから迅速に動け、ただ焦らず、冷静に対処していけよ!」
リムルの掛け声に、皆の返事が一つなって動き出す。
「……ウィンとライナの遊びから訓練紛いのモノが、こういう感じで役にたつ時がくるとはなぁ~」
『あら、良い事でしょう?』
「発端はどうであれ、やっていてよかった?」
「あぁ、サンキューな」
「はい、こればかりはいきなりで動けるものではありませんもの。ウィン様やライナ様はこういう事態を考えて動かれていたのですね」
「流石はウィン様にライナ様ですね!」
紫苑と朱菜が持ち上げてくれるのは、素直に嬉しいのだが……自分とライナは本当に遊んでいただけに、なんとも言えない気持ちになってくる。
『……結果良ければってやつよね』
「そう、だね……なんか良心が痛む音が聞こえる……」
『気にしちゃダメよ。それに耳を傾けちゃダメ……とくに、今のシュナとシオンの目を見る事はオススメしないわね』
「まぁ感謝してるのは本当だからさ、お前らも、町の皆の事は任せたぜ」
リムルが部屋に残っている全員を見ながら言う。
最近、急に暑くなってきたり、大雨だったりと体調管理などが気になるこの頃。
楽しく読んでいただけたら感激ですし、暇つぶしでも貴重なお時間を割いて読んで頂けただけでも感謝です。
誤字脱字のご報告をしてくれている方々には本当に感謝しております。
ありがとうございます。_(._.)_
さて、アンケートの途中経過のちょっとしたご報告。
一位、ドラゴンメイド。
二位、蟲惑魔。
その下に、僅差でラビュリンス、エクソシスター、等々という感じになっています。
次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで
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