楽しく読んでいただけたなら感激、暇つぶしでも貴重なお時間を割いて読んでいただけただけえでも感謝です。
誤字脱字の指摘報告をしてくださって、本当にありがとうございます。
自分はとりあえず、切らさないよう一気に書き上げて投稿しているので、どうしても見直し過程で目が滑りながちでして。すっごく助かっております。
さて、アンケート現在は閃刀姫が1位、続いてウィッチクラフト。御巫、六花と並んでいる感じです。
…………閃刀姫、あの子達は今だ完璧に扱いきれていないのですよ……難しいデッキでもあり、面白いデッキでもあるんですけどね( ;∀;)
なんとかライナとアウスの二人を捻じ伏せて、リムルとランガの背中に乗せてもらってドワーフ王国へと向かっている。
時速はおよそ80㎞。落ちないようにリムルが粘糸で身体を固定してくれている。
まぁ、自分には特に要らなかったりするんだけどね。
風霊使いである状態なら風の抵抗は無いに等しく、あっても心地良いそよ風程度の風圧しか感じない。ただ、谷を駆け下りる時などは恐怖体験だったけど。
風の防壁を作れるのは自分の周りだけで、ゴブリン達は風圧で凄い顔になっていた。
「あいつらの体力が心配だ……でもこのスピードじゃあ会話もままならないな」
「ん? リムルの持ってるスキルを使えば?」
〈牙狼族より獲得したスキル「思念伝達」を使用しますか?〉
「お、そういやそんなもん手に入れてたっけ。するする」
「リムル……自分のスキルくらいは把握しておこう」
「ゔっ……そうだな」
そう言いながらも、自分のスキルもどんなものがあったのか把握していないな。
リムルに言っといてなんだが、もしかしたらリムルよりもスキル把握はしていない可能性があるかも、リムルには「大賢者」が付いていてくれるが、自分にはそういう事細かに教えてくれる存在はいない……。
ライナは面白がって内緒にしたりするしな。
下手するとライナとアウスの方が自分のスキルを把握していそうだ。
【お~い、お前達、大丈夫か?】
「リムル様?」
流石はリグルだな、この速さの中でもしっかりと返答を返そうとしている。
【ご心配には及びません。進化のお陰か我々もそれ程疲れなくなっております】
【そうか】
移動はテンペストウルフの子達がしてるんだし、お話でもしながらいこう。
【そう言えばリグル、キミのお兄ちゃんも誰かに名前を付けてもらったんでしょう】
【あぁ確かにそんな事を言ってたな。進化はしてたのか?】
【はい、ですが我々程の変化はありませんでした】
【リグルのお兄ちゃんに名前を付けた者って知ってたりする?】
【兄はその昔、村に立ち寄った魔王軍の幹部ゲルミュッド様に命名されたのです。いずれは部下に欲しいと】
【へぇ……】
名付けによって進化する度合いは名付けした親によって、その程度も異なるのね。
【しかし今、なんかすごい単語を聞いたぞ】
【……魔王軍だって】
【やっぱりあるのか、そういうの‼】
【なんで少し興奮してるのさ】
【人間の国とか攻めたり、世界征服とかやっちゃうのかな?】
【その場合さ、自分達はどっちの陣営になるの?】
【…………どっちだろうな……】
【はぁ、争い何て楽しくないんだから無縁が一番だよ。それよりも遊んで楽しい事に労力を使った方が断然良い】
【口癖のように言うな~。まぁわかるけど】
【勝負事で平和的に解決した方が良いでしょう、デュエルなら喜んで受けるけど】
【それはそれでどうなんだ?】
==少し休憩という事で、たき火を囲いながらご飯を食べる……ちゃんとたき火で焼いた肉を食らい付く様になったのは進歩だと思う。
「ゴブタ、お前はドワーフ王国で物々交換に行ったことがあるんだよな?」
「は、はいぃい!」
急にリムルが直接話を振るから、ゴブタがびっくりしちゃっている。
ゴブタは丸顔のゴブリンだから他のゴブリン達よりも見分けやすい。鼻も真丸だし。
便乗して自分もゴブタとリムルの話題に加わろう。
「どんなところなの?」
「え、ええっとすね。正式には「武装国家ドワルゴン」というっす。天然の洞窟を改造した美しい都っすよ」
やっぱりドワーフだけあって洞窟に住んでるんだ。
「ドワーフだけでなく、エルフとか人間もいっぱいいるっす」
この世界ではドワーフとエルフはいがみ合っているとかは、特に無いらしい。
――それにしてもエルフねぇ。
チラッと膝上のリムルを見ると、案の定という感じで何かを想像している。
エルフって言ったら美男美女がお約束だもんね。
「はっ! 別にやましい事は考えて無いぞ」
「……ふ~ん。あっそう」
自分の視線に気付いたリムルが咳払いをしながら、話の続きを促す。
「会って見たいな、純粋な気持ちでな‼」
「そこまで言っちゃったら誤魔化しは無理」
「……ごほん。でも、魔物の俺たちが入っても大丈夫なもんなのか?」
ジト目の視線を何とかしようと、リムルが頑張っている。
「ドワルゴンは中立の自由貿易都市、王国内での争いは王の名において禁じられておりますから、ご安心ください」
リグルがすぐに疑問に答えてくれた。
「ほう」
「噂では、この千年。ドワーフ王率いる軍は不敗を誇るのだとか」
「エル……千年⁉」
リムル……エルフの女性しか頭になかったな。
「なるほどね、無敵のドワーフ王の不興を買おうとする人は少ない?」
「じゃあ、自分からちょっかい出さなければ大丈夫かな」
「ええ――」
「自分が行った時は門の前で絡まれたっすけど」
「トラブルなんて起こり得ませんよ」
【なんか今、盛大にフラグが立った気がする?】
【やめろ、俺も思ったけど。ゴブタが頼りないだけかもしれないだろう。大丈夫だ‼】
「そろそろ休みましょう。明日も早いですし。ライナ様とアウス様からウィン様をしっかりと寝かしつけて下さいと言われているので」
「別に守らなくても」
「後でグチグチと言われたくないからな、しっかり寝ろよウィン」
「リムルまで……」
==ゴブリン村を出発してから丸三日。
眼前にそびえる大山脈。その麓に広がる牧草地。
武装国家、ドワルゴンに到着した。
徒歩で2か月かかる距離を自分達は3日で走破したのだ。
「る、留守番……ですか?」
「さすがに腰布とデカイ狼の集団じゃ悪目立ちするからな」
リムルが説得している事は半分で、もう半分はライナとアウスによる監視の目を無くす目的もある。ゴブリナの子達が居るのが良い証拠だろう。
だからドワルゴンに着く少し前に思念伝達でリムルに「エルフに会いたかったら無害そうなゴブタだけで」という感じで交渉を持ち掛けたのだ。
少しだけ悩んだようだが、欲には負けたのだ。
「ここから先へは、自分とリムル。案内のゴブタだけで行く」
「リグル達は、俺達が戻るまで森の入り口で野宿していてくれ」
「はい……」
雄の方はすぐに(落ち込んでいたけれど)納得してくれた。
「しかし私達はライナ様とアウス様から――」
「分かってほしい。キミ達は可愛らしく可憐な容姿なんだ。変な輩に目を付けられたら大変だしトラブルの元だから、守る為でもあるの」
「ウィン様……」
「……そこまで私たちの事を‼」
【………………お前、段々と演技派になってきたな。そんな潤んだ瞳を向けるだなんて】
【いわないで。血反吐を吐き出しそうなのを頑張って耐えてるんだから】
なんとか誤魔化せて、渋々ながら承諾してくれた。
――全責任は、リムルが取るという事でね。
「ちょっと気の毒っすね」
「まぁ、仕方ないさ」
「みんな連れて行ったら……エルフに会えないよ?」
「……みんな、しっかりとオイラが堪能してくるっす」
★☆★☆ ★☆★☆
大きな門にはしっかりと門番が立っていて、一人一人入念にチェックされている。
素通りという訳にもいかないので、王国に入るのに行列が出来ている程だ。
「結構しっかりチェックするんだな」
「列が進まないね」
「中に入ったアトは自由に動けるんすけどね」
「ふ~ん」
そんな感じで話をしていただけなのだが、やはりフラグと言うのはしっかり建っていたようで、列の横から変な男達が近付いてきた。
「おいおい、魔物がこんなところにいるぜ?」
「まだ中じゃあないしな、ここなら殺してもいいんじゃねぇの?」
「オイ、荷物置いてけよ。それで見逃してやるよ」
「ゴブタ君……前に俺が言ったルールの3つ目、覚えているかね?」
「はいっす!「人間を襲わない」!」
敬礼しながら、ゴブタはしっかりと答える。
「うむ、では少し目を瞑り耳を塞いでおくんだ」
「え? よくわかんないっすが、了解っす!」
さて、自分はどうしようかな……あの程度ならリムル一人でも問題なさそう。冒険者っぽい人達は、どう見積もっても強いとは言えないし。
「おい! 雑魚い魔物のくせにこっち無視してんじゃねーよ!」
「雑魚?」
――あれ? リムルってば雑魚って言われて怒ったかな。
少しだけど、魔素が漏れ出ていた。
「てめーに決まってるだろうが! スライムなんざ雑魚中の雑魚だろ!」
「喋るのは珍しいけど」
喋る時点で知性が高いって証明されてるでしょう。
普通はそこで違和感に気付こうよ。
「ほう? 俺がスライムに見えるのか?」
「どっからどー見てもスライムだろうがよ!」
「こいつ、ふざけやがって……」
「どうやら痛い目見ないと自分の置かれた状況が分からねぇみたいだな……」
「ククク、いつから俺がスライムだと勘違いしていた?」
「違うってんならさっさと正体を見せな‼」
あ~あ、変に煽るから冒険者達が襲い掛かって来てるじゃん。
近付いてきた途端にリムルが「擬態」のスキルを使用した。
「なっ……⁉」
「どうだ? これが真の姿(ウソ)だ」
黒嵐星狼というテンペストウルフの上位互換に変身した。
――リムル……気付いてないみたいだ。魔素を仕舞い込んでたらスライムだった時と気配が変わらないんだから、あんな弱そうな冒険者じゃあ相手の力量を読めないって。
「ハッタリだろ? 見た目だけ厳つくしてもスライムはスライムだぜ!」
「おい、お前らも来い! 5人でやっちまうぞ!」
案の定である。
冒険者達がむやみやたらに、リムルに攻撃を仕掛けていく。
「お前ら、いい加減にしろ‼」
「……あぁ……はぁ、おバカ」
〈威圧の効果を報告します。逃走16名、錯乱68名、失神92、失禁――〉
「いや……被害報告とかいいから」
「こら~! そこのお前~‼」
「は? スライム?」
「え~っと……てへぺろ」
ドワーフ王国警備隊の皆様が走ってこっちに向かってくる。
リムルが捕まって、連れていかれてしまった。
「お嬢ちゃん。大丈夫だったかい?」
「はぁ、これはそっちの失態。列の整備と警備をしっかりと増やす事を進める」
「す、すまない」
「ちなみに、悪いのはあそこに転がってる冒険者5人」
「え?」
「中立国家が聞いて呆れる。魔物だからと捕らえて、捕らえるべき人間を捕まえていない」
「ど、どういう、事だい?」
「先に魔物だからと、追いはぎ紛いな事をして事態を悪化させたのが、あっちの冒険者5人だと言ってる。魔王配下の魔物だったら取り返しがつかないんじゃないの? 中立国家が聞いて呆れる。それともドワルゴンは魔物だから悪いと決めつける?」
杖の先に風の球を集めて、さっきまでのやり取りで何があったのかを録音したかのように流し始めれば、すっかり警備隊の皆様は押し黙ってしまった。
物凄く青い顔をしているのが気になるが、たとえ話を本気にされても困る。
「たとえ話だから、別に魔王なんて関係してないよ」
「そ、そうか」
「でも……」
「え、あ~、なんだい」
「この王国には少し失望?」
「「「……っ!」」」
それだけ言って、リムル達の後を追う様に歩き出した。
しまったな、お嬢ちゃんとか、現場の検証をやらずにリムル達が問答無用で連れて行かれたのがそうとう頭にきちゃってたみたいだ。
この体になったせいか? 前世ではそこまで怒りっぽくなかったと思う。