心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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80話 其々の行動と使節団

 

 

 

 

 

 

 カリュブディスと戦って数日、ミリムとの修行も良い感じになってきた。

 

「ごちそうさまでした。よし! ワタシは今から仕事に行ってくるのだ!」

 

 ご飯を食べ終わったミリムが急に仕事に行くと、胸を張っていう。

 

「え、仕事って……」

「帰っちゃう?」

「心配するな、終わったら帰ってくるのだ」

 

 それはそれで大丈夫なのだろうか。

 もうここに住む感じの話し方になっているが、本来なら仕事に行くとか言っている場所がミリムの帰るべき場所なのでは……と、思う。

 

「突然だな、今すぐか?」

「うむ!」

 

 部屋から町へ駆け出し、いつも修行している広場の方へと向かう。

 

「他の魔王達にも、この地に手出しせぬよう言い聞かせておくのだ」

「あ、ありがとう?」

「お、おう……ということは、他の魔王に会いに行くのか?」

「ウム! 仕事だからな」

 

 いつものオシャレな格好から魔素を使って初めて会った時の服装に変わる。

 

「えっと、騙されて変な人に付いてっちゃダメだよ?」

「む~ウィンは心配性なのだな。じゃあ、行ってくる!」

 

 体にオーラを纏わせる感じで光り始めて、地面を蹴る様にして一気に空を飛んで行ってしまった。

 ほんの数秒でミリムの姿が見えなくなってしまう。

 

「来る時も突然だったが、去る時の唐突さも凄まじいな」

「嵐みたいな子だから?」

「まぁ、これでミリムの監視役もひとまず終了か……」

「町はリグルド達でも回るし、警備の方も紅丸達がいるから問題はなさそうだね」

「あぁ、細かいところはアウスたち霊使いの子達がいるし、シュナを筆頭に治療や町の者達の体調管理は御巫達が居てくれるしな。ハクロウとレイも細かな所を見ていてくれるし……俺達もそろそろ、出発時期を考えないとな」

 

 シズさんの心残りを、しっかりと自分達が解決してあげないとね。

 他国との交流も得られた今こそ、人探しが出来る環境になったと言える。

 

 まぁまだ、やる事がある状態ではいけないけど、それが片付けば向かえるところまで来たと思う。

 

 

 

「そういえば、カリュブディスの核を喰ったんだよね? そのスキルってどんなの?」

「ふふ……見よ!」

 

 スライム姿のリムルが空中に浮く。

 ふわふわと漂う感じで、気持ちよさそうに空中で遊んでいる。

 

「ふ~ん、面白そう……ちょっとごめんね。その展開してる魔素を少し頂戴?」

「おうっ」

 

 リムルの魔素を少し貰い、自分の中に取り込んでみる。

 使っていたスキルは「重力操作」ね。

 

「あのカリュブディスがどうやって浮いていたのか気になってたんだよね。「魔力妨害」がありながら、自身は浮いているんだからスキル関係だとは思ったけど「重力操作」って色々と面白そうなことが出来そう?」

「だよな~、研究のしがいがありそうなスキルだな」

 

 この重力操作があれば、無駄に風の魔法を使いながら飛ぶ必要がなくなるんだし、飛びながら魔法を使うにも便利だ。

 ただ、飛ぶのと違って浮く感じだから……このスキルは使い慣れないとダメっぽい。

 前に進むだけでも、ちょっとふらついてしまう。

 

 リムルの方も、部分擬態で吸血蝙蝠の羽を出しながらじゃないと安定しないようだ。

 たしか吸血蝙蝠の羽にも、重力操作が備わっていたはずだからね。

 

「もっと使い慣れないと、ミリム並みのスピードで飛べるようにならない?」

「そうだな……うぉ! ウィンこっちに飛んで来るな!」

「そんな細かな操作は、まだ出来ないっ⁉ うきゃっ!」

 

 ふわふわと浮いて遊んでいたら、リムルとぶつかってしまった。

 

「ふふ、相変わらずに仲の良いお二人ですね」

 

 朱菜がくすくすと笑いながら、歩いてくる。

 

「シュナ!」

「うぅ、恥ずかしい所を見られた?」

「こほんっ……もう時間かね?」

「はい、兄もリグル殿もすでに準備は完了しています」

「そういうのはリムルだけで――」

「ウィン様も、この国の主なのですからダメです」

「そうそう、俺だけなんて嫌だしな」

 

 魔王カリオンからの提案を受け、魔国連邦と獣王国ユーラザニアは互いに使節団を派遣することになった。

 

 使節団に任命したのは幹部候補のホブゴブリンが数名と、その取り纏め役としてリグル。そして、団長には紅丸を指名した。

 

「威厳のあるお姿を、見せてくださいませ」

 

 

 

 ★☆★☆   ★☆★☆

 

 

 

 リムルも自分も前世でいうスーツ姿で舞台に立ち、町の全員が集まる広場にはゴブリン達やオーク達、リザードマン達が沢山集まっている。

 

 暮らしぶりはゴブリン村だった頃に比べ、とてつもなく贅沢になった……けど魔国連邦、テンペストはまだまだ国として全ての面で経験不足である。

 

 ユーラザニアと良好な関係を築くことが出来れば、正式に国交を結べる日もとおくないだろう。

 使節団には頑張って交流を確かなものにしてもらわないとね。

 

「えっと、諸君? 是非とも頑張ってきてほしい……はい、リムル」

「あズルいぞ! 俺が言おうと思ってたことを」

 

「……それだけですか?」

 

 ニコニコと笑っている朱菜さんのオーラが怖いので、すぐさまリムルと自分は咳払いをしながら取り繕う。

 

「えー……じゃあもう少しだけ?」

「いいか、お前ら。今回は相手と今後も付き合っていけるのかを見極めるという目的もある。我慢しながらじゃないと付き合えそうもないのなら、そんな関係は、いらん」

「君達の後ろにはリムルや自分が居ます。そして仲間達が居る事を忘れないでほしい?」

「恐れず、自分達の意思はキッチリ伝えろ」

「友誼を結べる相手か否か……自身のその目で確かめて欲しい?」

「頼んだぞ!」

「無理はしちゃダメだよ?」

 

 そう言い終えると、会場の全員が歓声を上げている。

 

 こういう雰囲気に慣れていない自分もリムルは早めに舞台から降りる。

 

「任せたぞベニマル」

「アウスも紅丸の補佐を頑張ってね」

『うん、任せてよ。ベニマルの出来ない細かな作業は得意だからね』

「ははは、頼りにしている。実際、細かな部分はアウスが居ないと周りそうにないからな。カリオンが信用に足る人物か、この目で見極めてきます」

「リグル達も頑張って? 良い点はどんどん取り入れてたい?」

「見聞を広めて参ります!」

 

 リグル達の服装はちょっと軍服っぽいデザインになっている。

 紅丸の服は和服の将軍という感じで、ちょっと豪勢な感じで方部分にモフモフな毛が付いていたりする。

 

 ちなみに、舐められないよう馬車……曳くのはテンペストウルフたちだけどね。あれ、ということは曳くの狼なら狼車とでも言うのかな? 犬車? どっちだろう。

 そんな感じの乗り物を用意してある。

 

『じゃあ行ってくるよウィン!』

「気をつけてね」

「では行くぞ!」

「はい!」

 

 紅丸の掛け声で、狼車? に乗り込んで移動を開始する。

 

 町の整備された道には、紅丸やアウス達を見送る町の魔物達が手を振りながら送り出してくれている。

 

「迎賓館の料理人はどう?」

「はい、十全に」

 

 朱菜は自分の問いににこやかに答えてくれる。

 

 

 

 

 ==獣王国からの使節団を迎え入れる準備をしていると、ヨウム達の一団がテンペストに帰ってきたという報告が入ってくる。

 

 

 

 

「――なんか忙しそうな時に来ちまったかな」

「タイミングとしてはバッチリ? 丁度いい練習相手になる」

「あぁ、せっかくだし接客の練習相手になってやってくれ」

「接客? 誰か来んの?」

「もうじき魔王カリオンとこから使節団が来るんだよ」

 

 ヨウムが飲み物を含みながら、リムルの一言で固まった。

 自分はサッとリムルから離れてリムルもヨウムが噴き出す飲み物をサッと躱している。

 これもミリムとやっていた修行の成果だろうか。

 

「魔王カリオン!? なんだってそんなことに……⁉」

 

「話せば長い?」

 

「まぁまだまだ時間はあるし、ゆっくり話してやるからちょっと待ってろ――」

 

 そう言って、残っていたメガロドンの揚げ物を用意して、酒のつまみにしながら経緯を話すことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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