心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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83話 リムルの計画と国の技術

 

 

 

 

 

 

 使節団の到着から数日はアルビスとスフィアがいたが、色々と満喫してテンペストの事を伝える為か、二人はユーラザニアへと帰っていた。

 

 では他の面々はどうしているのかというと。

 彼女等の配下達はいまだにテンペストの首都であるリムルへの滞在を続けている。

 

 黒兵衛の武器を見ていたり、カイジン達が作る道具類にも興味があるようだ。

 

「湯がでるのはどういう仕組みなんだ?」

「刻印魔法ってやつさ。ウィン様やヒータ姐さん達。俺らは霊使い魔女様って呼んでっけどよ。ウィン様達のおかげで、お風呂や台所なんかの水回りや台所、排水なんかも大助かりさ」

「よっと、コイツを見な」

 

 蛇口の取っ手を上に引き抜き、獣人たちに見せると、取っ手部分にはヒータが描いた熱の魔法を付与する刻印が刻まれている。

 

「こうして、魔晶石を内蔵させた蛇口のハンドルに、熱の魔法を刻印することで――魔力を持つ者が捻れば、水がお湯になるってワケだ」

「さすがドワーフの職人……‼」

 

 ドルドは照れながらも、自分の方をチラチラと見てくる。

 

「うん、ドルド達がいなかったら完成しなかったよ?」

「いや、そうは言いますがねぇ。こういう知恵をくれたのはウィン様ですから」

「自分は便利になって、皆が笑顔になったら良いなと思っただけ?」

 

 実際に、魔晶石を加工して魔法の刻印を刻むことが出来たのはドルド達が居たからだし、もうちょっと自分達の技術力を誇っても良いのになぁ。

 

 

 工房の外の方では、ヨウムとグルーシスが話しをしているようだ。

 

「――――お前さん、他のやつらみたく工房とか見学しなくていいのか?」

「俺はいいんだよ。リムル様のお役に立つようにってフォビオ様の命令だからな」

「グルーシスさん、見回りに行くっすよー」

「おう、今行く」

 

 なるほどね、彼はそれで警備隊メンバーに混ざっているのか……おや、この風って。

 

「なるほどねぇ~。どれ、俺も手伝っ……」

「おぬしは、剣の修行じゃ」

『逃げようったってそうはいきません。サボっていて剣の腕が鈍ったなんてダメですよ』

「……はい」

 

 あぁ、ヨウムはどうやら白老とレイに捕まってしまったようだ。

 二人に捕まってしまい、連行される様に修行場所へと連れ去られてしまった。

 

 

 

 ==それから少したって、更に数日後にはこちらから送った使節団も帰ってきた。

 

 

 

 話は主に紅丸とリグルから聞く感じになる。

 

「獣人達の強さは流石の一言です」

「一兵卒に至るまで徹底的に鍛え上げられていました。やはり魔王カリオンと獣王千師団の影響力が大きいようです」

「そのためか王宮には贅が凝らされ、一般市民の住居は質素なものでした。ですが悪い意味ではなく、住民がそれを望んでいるようです」

 

「へぇ……」

 

 リムルが少しだけ声を漏らす。

 

 魔物は元々、弱肉強食だけど獣人は特に強者を讃える傾向があるみたいだ。

 

「それからお土産をもらったのですが……ぜひ、リムル様とウィン様に召し上がって頂きたいとのことです」

 

 ゴブリナのハルナが丁重に果物をカットして、食べやすくした状態で出してくれる。

 

「おお、果物か!」

「色々ある?」

 

 リムルが果物をみると、すぐに人化して席に着く。

 机に並べられたモノは、リンゴやナシ、メロンにパパイヤだろうか……この世界ではどういう呼び名なんだろう、同じなら多分、味も似た感じだろう。

 

「どれどれ……甘い!」

「でしょう」

「うん……甘い。美味しい」

「素晴らしい品質だな、天然のものなのか?」

「何代にも渡って改良をかさねたそうです」

 

 紅丸も特に甘味の強い果物を中心に、味わって食べている。

 

「へ~」

「リリナ?」

「はい。生産管理部門から次回の使節団に加わる者を選出します。ぜひ、その技術を我が国にも取り入れましょう」

「うむ、期待しているぞ」

 

 そう言ってリムルは椅子から立ち上がる。

 

「じゃあ俺はドワルゴンへ行く準備があるから、あとの取り決めは頼んだぞ、リグルド」

「お任せください」

「リムル様」

 

 リムルが部屋を出ていこうとしたのを、紅丸が声を出して少し止める。

 

「お許しいただけるならば、次回からはリグル殿を使節団の団長に指名してやってくださいませんか?」

「なにか問題でもあったか?」

「いえ、魔王カリオンは信用できる人物だと判断しました。彼の御仁が我らを闇討ちするような心配は皆無です」

「ふ~ん、紅丸は自分とリムルが留守の間、国の守りとしてここに残りたい?」

「さすがウィン様ですね、その通りです。お二人がいない間、ここに残るほうが有用でしょう」

「……わかった、そうしよう。お前にそれだけ言わせるのなら、カリオンは力に頼るだけの王ではないんだろうな」

「ええ、実はケンカを売ってみたのですが、笑っていなされました」

 

 自分とリムルはビックリして、話を聞きながら歩いていた歩みを止めてしまった。

 

「えっと、大丈夫、だよね?」

「おまっ……それ……」

「コテンパンにされましたね。俺もまだまだです。ミリム様に鍛えられて少しは強くなったつもりだったんですがねぇ」

 

 リムルと自分は冷汗が止まらない。

 

「あ、ですがフォビオには勝ちましたよ」

「そう、なんだ?」

 

 チラッとリムルと目を合わせる。

 

【……紅丸には悪いけど、テンペストの守りに専念してもらおう】

【あぁ、こいつは外に出してはいけない男だったな】

【ところでウィン……翌日にはドワルゴンに行くわけだが……ちょっと相談が、ある】

【……武装国家ドワルゴンに行くだけじゃないの?】

【いや、ちょっとだな、その~、行きたい場所があるんだよ】

【ふ~ん、まぁ別に良いけど……買い物に朱菜達を連れて出れば良い感じ?】

【おう、そういうことで、女性陣は女性陣で楽しんでくれよな】

 

 リムルのヤツが急に元気になって頼んでくる。

 

【ねぇ、元は自分も男なんだけどさ】

【いや、ああいう店は女の子が来るにはちょっとアレだろう……お前なら良いけど、さすがにシュナやシオンを連れて行くわけにはなぁ】

 

 呆れの混じった視線をリムルに送ると、彼はそ~っと視線を逸らせて空を見上げている。

 

「どうしました、リムル様、ウィン様?」

「ううん、気にしないで?」

「そうそう、何でもないから」

 

 何処から朱菜の耳に入るか分からないから、紅丸にも言えないよね。

 下手をすれば朱菜に言ってしまう可能性が高い紅丸なら尚更。

 

 ちなみに、武装国家ドワルゴンに行くのに使う乗り物は使節団が使っていた狼車になっている。

 自分とリムル、ライナと朱菜や紫苑といったメンバーが乗る狼車はランガが曳いてくれる。護衛として、ゴブタ率いるゴブリンライダーが付く感じだ。

 

 本当は紫苑には残ってもらう予定だったのだが……。

「えっ シュナ様がリムル様と旅行!? ズルいですズルイです‼ シュナ様だけリムル様にウィン様と遊びに行くだなんて!」

 という感じで、泣くわ喚くわ暴れるわ……、置いていったらリグルド達が可哀想なので連れて行く形になった。

 

 朱菜は元々が姫様という立場にいたことから、礼儀やマナー面で頼りになり、最近ではベスターから色々と学んでいて、自分もリムルも頼りにしている部分がある。

 特に礼儀やマナーの面では、正直……自分やリムルは当てにならないからね。

 

 ガゼル王へのお土産だって、きちんとした布に包み。

「こういうの形も大切なんです」と、教えてくれた。

 初めはリムルが胃袋に入れて運ぼうとしていたからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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