心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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84話 ガゼル王との飲み会と報告会

 

 

 

 

 

 

 

 カリュブディスのせいでボロボロになった道はもうほとんど片付いている。

 

「さすがはアウスとゲルド達だな」

『アウスはこういうの得意だからね』

「ランガ、路面工事してるゲルド達が居ると思うから、見かけたら止めて欲しい?」

「はッ、了解です」

 

 すぐに石畳を敷き詰めているゲルド達が見えてきた。

 

「アウス様、石材の追加をお願いします」

『了解、すぐに用意するよ』

「アウスさんのおかげで、予定よりも早く作業が進んでいます」

『そこはゲルド達が頑張ってるからだと思うよ。ボクは地を均して石畳を並べやすくしてるだけだからね』

 

 アウスとゲルド達は良い連携が取れているようだ。

 

「お~いゲルドー、アウスー」

 

 リムルが二人を大声で呼ぶ。

 ゴブタが狼車を二人の場所まで近づけて停車させてくれる。

 

「今日が出発の日でしたか」

『気をつけて行ってきてね。くれぐれも相手方に失礼のないようにお願いしたい』

 

 チラッとアウスが心配そうに自分とリムルを見てくる。

 

「そ、そりゃあもちろんさ。それにしても、道が整ってるから揺れも少なくて快適だよ」

 

 そう言いながらリムルがスライムボディの中から樽を取り出して、ゲルド達の横に置く。

 

「これ、よかったら皆で飲んでくれ」

「これは……」

「麦芽酒だ、飲みすぎるなよ」

『……カッコつけているとこ悪いけど、それをガゼル王の前でやらないでよ?』

「わ、わかってるさ。いやだなぁアウスは……あははは」

「……じゃあ頑張ってね?」

 

 ジト目で呆れが混じった視線が自分とリムルに突き刺さり、早めにこの場を去ることを選んで、ゴブタにすぐ出す様に伝える。

 

 しっかりと見抜かれてしまっていた。朱菜がいなければ普通にリムルの胃袋からお土産の品をガゼル王に出していただろう。

 

 本当に朱菜がいてくれてよかったと思う。

 

 

 ==テンペストから出発して四日目、ドワルゴンに到着した。

 

 

「開門――!」

 

 大きな門が自分達を迎え入れる為に開いていく。

 

「ようこそおいで下さいました。我が王ガゼル・ドワルゴが王宮にてお待ちです」

 

 たしかペガサスナイツの団長さんだったドルフさんだったけかな、彼が自分達を迎えてくれている。

 

「こちら、ジュラ・テンペスト連邦国国主。リムル=テンペスト陛下。並びにウィン=テンペストにあらせられます。どうぞガゼル王へのお取り次ぎを……」

 

 朱菜がしっかりと礼儀作法に沿って自己紹介とお辞儀をしながら案内してくれる。

 

 この国の住民達は興味津々と集まって来ていて、口々に「どこの姫様方?」という感じの言葉を言っている。中には「かわいー!」と言っている人達が何人か混じっている。

 

「では、こちらへ」

 

 王宮へ着いてから、誰かと何かを話すときはライナや朱菜が代わりに話してくれている。いつの間に勉強したんだか……二人共、凄いの言葉しか言えないリムルと自分だった。

 

 とりあえず、リムルは終始笑顔を崩さずに、挨拶をしていただけで……あとはよく覚えていない感じだった。

 自分は周りの人達の観察を楽しんでいたので、話半分という感じだ。

 客人として扱われてはいるが、しっかりと自分とリムルには監視が付いているようだし、それが護衛も兼ねている感じで周りの者達が動いていた。

 

 この辺は自分達の国にも取り入れられそうだから、蒼影達と相談してみるのも良いかもしれない。

 

「ふははは、外交などハッタリが全てだぞ。アレでは甘く見られても文句は言えぬな。少なくとも、ウィンくらいは堂々としていた方が良いな」

「ぐっ……」

 

 ぐうの音もでないようで、ガゼル王にちょっと叱られているリムルはちょっと可愛い。

 

「……さて、今は大臣たちもいない。迂遠な言い回しや腹の探り合いは無しだ。本題に入ろう。貴様の国で高出力の魔法兵器を所有しているというのは事実か?」

 

 ガゼル王がリムルを見ながらも、チラッと此方を見てくる。

 

 自分とリムルからしたら「……あぁ、それ」という感じの話なのだが……。

 とりあえず、ガゼル王には包み隠さず、ただ余計な事は言わずにミリムの事を教える。

 

「なにぃ? 魔王ミリムだと?」

「ん、嘘じゃない?」

「うん、カリュブディスを葬ったのはあいつの一撃だよ」

「ドルフさんは、魔法兵器を疑ってたみたい?」

「あの日もそう言っておられましたが……申し訳ないが信じられません。その場に居たというのですか? 天災級、カタストロフの魔王が……」

「そもそも、ツインテールの女の子がそう?」

「俺の近くに居ただろう? あれだよアレ」

 

 自分とリムルが説明していくと、ドルフさんが驚愕という感じの表情で固まった。

 

「そういえば、いた!」

 

 まぁ、驚くのも無理はないだろうね。

 

「ある日突然「挨拶にきた」とか言ってさ。そのまま流れで友達になったんだよ。俺もウィンもな」

「まぁ……信じられなというのもわかる?」

 

 細かな事は教えなくても良いだろう。

 下手に教えてしまうと、混乱を招きそうだ。

 魔王達にオークロードの事を見られていたとかって説明をしだすと……大変面倒な事になる未来しか見えないからね。

 

「くっくっく、ホラにしては荒唐無稽がすぎるな! 結果と相まっていっそ真実味がある。よかろう、信じるぞリムル、ウィンよ」

「どーも」

「ふむ……それにしても、土産にもらった、この酒は美味いな」

「お、さすがはガゼル王、お目が高い」

 

 リムルが朱菜に合図を送って、次のお酒を注いでもらう。

 

「りんごで作った蒸留酒なんだ。果実類を輸入できる目処が立ったんでね」

「ほう?」

 

 説明をしながら、ライナと朱菜が他の面々にもお酒を配る。

 

「お二人もぜひ……」

『美味しいわよ』

「ああ、これはどうも」

「かたじけない」

 

 さすが美女のお酌だね、嬉しそうに受け取ってくれる。

 

「このドワルゴン以外にも、貴様達と国交を結ぼうという者が現れたか」

「うん、獣王国? のユーラザニア?」

 

 自分がそういうと、半ば咳き込みながらガゼル王と側近達がリムルと自分に顔を近付けてくる。

 

「ユーラザニアか⁉」

「う、うん?」

「知ってたのか?」

「当然だ、誇り高き獣王の治める国を知らぬはずがあるまい」

 

 とりあえず、落ち着いて欲しいと皆が席に着くのを待つ。

 

「貴様ら、獣王にも懐かれたのか……? たらしか?」

「む、別に誑してない?」

「そうだそうだ、魔王カリオンの部下を助けただけだよ! ひくなよ……」

 

 そんな無節操みたいに見られるのは心外である……。

 リムルはそれっぽい所があるかもしれないが……。

 そう思ってリムルを見ると、何故かリムルの方も自分の方を見ていた。

 

 何故か気まずい感じになったので、お互いに視線を逸らせて見なかったことにする。

 まさか、リムルも同じことを考えたのではあるまいな……。

 

「まぁ……んで、交易を申し込んでみたら了承してくれたってわけ」

「だとしたら、テンペストの重要性は一気に跳ね上がる」

「いずれはファルムス王国に代わる貿易の中心地になるやもしれん」

「うむ、確かにな。少なくとも、これは我が国がファルムスから輸入するどの酒よりも美味い」

 

 ファルムス王国……たしかヨウムの出身地だ。

 ヨウムはあんまり故郷のことをよく言わないけどね。

 

「ファルムス王国って、どんな国なんだ?」

 

 リムルがガゼル王に聞く。

 

「まぁ、西方諸国でも一、二を争う大国だがな……。ここだけの発言だが、俺はあの国王は好かん」

「そうなのか」

「ふ~ん……あんまり良くない感じ?」

「だから是が非でも、ユーラザニアとの貿易を成功させろ! そして兄弟子にも酒を融通するのだ」

 

 リムルにグイっと言いよる兄弟子……というよりは、伯父的な位置の関係性に見える。

 

「兄弟子は関係ねーだろ」

 

 リムルも呆れながらツッコミを入れている。

 

「大丈夫です!」

 

 急に紫苑がリムルの後ろから身を乗り出して来た……というか、紫苑からお酒の匂いがかなりする……これは、酔ってるね。

 

「リムル様とウィン様ならきっと、ユーラザニアとの貿易もぱぱーっとステキにまとめてくださいます‼」

「シオン!? あなたまさか飲んで……っ!」

「我らの食卓にも、ウィン様のおかげで当たり前のように美味しい料理が並ぶようになりました。そこにリムル様が進める計画でお酒が加わるのも、きっともうすぐです‼」

「もうっ シオンったら……」

『……もしかして、すすめちゃマズかった人物?』

「飲ませたのはライナかよ!」

『ちょっと気になってるみたいだったから、つい?』

「ついじゃないよ……どうするの?」

 

 朱菜が止めようとする前に、紫苑がお酒を一気に飲み干していく。

 飲み終えると、フラッとそのまま後ろへと倒れていく。

 

『……よっと。コレはダメね』

「おい元凶が言うなよ」

「この娘は本当にもう……」

 

 つんつん、と紫苑を突いてみるが、もうすっかり眠ってしまって反応がない。

 

「悪いな、ウチの秘書が」

「よいよい、早く部屋に連れて行ってやってやれ」

 

 ガゼル王がそう言ってくれて、この場はお開きとなった。

 

「……もう、恥ずかしい……」

「本当にな」

 

 リムルが紫苑を背負いながら、部屋へと連れて行く。

 

「ライナも反省?」

『うっ、悪かったわよ』

「けどまぁ、ここまで信じられると、応えてやりたくなるんだよなぁ」

「頑張って?」

「おい、お前も頑張んだよウィン。明日の演説は大丈夫なんだろうな?」

 

 そっと明後日の方向を見ながら口笛を吹く。

 

「よし、シュナ。明日の演説の原稿、もう一回読み直そう」

「はい!」

「えっ! もう寝ようよ!」

『ウィンも頑張りなさいね』

 

 ライナと朱菜に引きずられながら、リムルの部屋へと引きずり込まれてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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