一夜明け、今日は二国間の友好宣言の式典である。
そんな中にスライムボディのリムル、その隣に魔女の少女である自分。そしてこの国の王であらせられるガゼル王が立っている訳だが……なんとも表現し辛い絵面だ。
真ん中の豪勢な台座にリムルがちょこんと乗っているし、その隣は魔女の少女だし……魔国連邦のイメージを背負って立つ自分達は、大丈夫かなって思ってしまう。
すでに書面の上では友好国なわけだが……国民に向けて「自分達は仲良しです」をアピールする場というわけだけど親子的な感じに見えていそうだ。
「えー初めましてドワルゴンの皆さん。ジュラ・テンペスト連邦国。略してテンペストの盟主、リムル=テンペストです」
「こほん、同じくウィン=テンペストです」
さすがに子供に見えるからと侮られても困るし、ちょっとだけ力を見せようかな。
軽く魔素を放出して、風の風霊術とライナの力をちょっと借りて、光の花をドワルゴンの国民達全員へと届ける。
光に触れた者は多少の怪我や傷、女性なんかは肌が若返るように手荒れや肌荒れが癒されただろう。
「これは皆さんと仲良くしていく一歩です。自分はまだまだ子供に見えるかもしれませんし、リムルはこの通りスライムですが……力の一端はお見せできたでしょうか?」
ニコッと微笑んで、国民達を見る。
「人と魔物の橋渡しとなるような国家を築きたいと願っております。ここドワルゴンはまさに共存共栄がなされた国であり、私の目標です。こうして友誼を得ることが出来、ガゼル王には感謝の念に堪えません」
「我が国には魔物が多数所属しています。ですが、その心根は皆となんら変わるところはないと思って頂きたい? できれば、恐れるのではなく。新たな友として、受け入れて欲しく思う」
「この言葉が本心であることを、ここに近い、私達の挨拶にかえさせていただきます」
ドワルゴンの国民達は拍手喝采で返事をくれる。
【……うん、まぁまぁのスピーチだったんじゃなかろうか】
【どうだろう……自分もリムルもカチコチだったよ?】
【まぁ、それは仕方ないだろう】
==ちょっとの反省を胸に、挨拶も終わってガゼル王が待つ部屋へと行くと。
「短すぎる、謙りすぎる、情に訴えかけすぎる。はっきり言って零点だ」
ん~、なにも言い返せないね。
「まぁ、ウィンの方は多少甘く見て、及第点だな。最初に力と威圧を駆使して力の差をしっかりと見せたのは評価しよう」
「くぅ~、ウィンだけかよ~」
「国を治める者が国民に謙るものではない。ましてや他国の住民に下手に出れば、舐められるだけだぞ」
ただでさえ見た目で不利な要素が沢山だもんね。
リムルはスライムという、誰からも下に見られる程に有名な魔物だ。
自分なんて小さな女の子と言われれば、それまでだ。
「こうなったらいい、などと甘えた統治は厳禁だ。素晴らしいものとは自然にやってくるのではなく、自らが掴み取りにいくものなのだからな」
一言一言が厳しいが……ガゼル王は自分達に心からの忠言であるのは間違いない。
「……肝に銘じて、今後の課題にするよ」
「み、右に同じ?」
「同じっていうなら視線を逸らすなよ! 逃げるんじゃないぞ!」
「うぅ、そういう感じのはリムルがやってってば。自分には向いてない~」
「ははは、せいぜい励め、危うくて見ておれんわ」
【まったく、本当に自分やリムルは縁に恵まれてるね】
【ガゼル王とここまで仲良くなれたのは、本当によかったよ】
==さて、このドワルゴンに来たということは……リムルはやっぱり行きたい場所があるという事で……その生け贄に自分は女性陣を誘導しておかなければならない。
「えっと、朱菜や紫苑は行きたい場所とかないのかな?」
『あら、アタシには聞いてくれないの?』
「いや、そういう訳じゃなくって。ライナも一緒にドワルゴンを見て回るでしょう?」
『ふ~ん、えぇそうねぇ~』
何故だろう、ライナには何も言っていないのに……物凄く疑われる様な視線を感じるのは気のせいだろうか。
「そうですね。リムル様が前に行ったというお店の人達に会いたいですね」
「いや、そこは別に行かなくても良いと思うよ?」
「何故です? お世話になったのなら、しっかりとお礼をしておかなければなりませんよ? ウィン様だってもてなしてもらったのでしょう?」
紫苑、こういう時に正論が飛び出してくるは何でなのかな? 普段はもっとポンコツだろう。今は、そういう鋭い感じは要らないんだよ。
「リムル達が直にお礼しに行くから……自分達は、ほら、色々なお店を見て回った方が良いんじゃないかな? せっかくドワルゴンに来たんだし、さ」
『そうね~、アクセサリーの類は色々とあるものね……ただ、どうしてウィンはそんなに目が泳いでいるのか、ちょ~っとお姉ちゃん気になるな~』
ライナは絶対に何かに気付いていながら、自分で遊ぶ為に朱菜達を味方に付けて根掘り葉掘り聞き出すつもりだ。
「気のせいだよ」
『そういえば、リムル達は何処に行ったの?』
「なにか用事があると言って、何処かに行かれてしまいましたよ?」
「こんな美女たちを置いて、何処へ行ってしまわれたのでしょうか」
『男なら、こういう場所ではエスコートをすべきよね?』
「紳士の嗜みですね」
「あ、そういえばゴブタ達もいませんね?」
『あらあら、男達が殆ど居なくなってるの?』
「いや、ゴブゾウが部屋にいるはずだよ……」
留守番という事で、ゴブゾウだけが男部屋に残っている。
『ねぇ、さっきからウィンはリムル達から私達を遠ざけようと、してないかしら?』
無理やりにライナが目を合わせようとしてくるので咄嗟に目を逸らせてしまう。
「……もしかして、ウィン様はリムル様が何処に行かれたかを知っているのですか?」
「いや、知らない?」
「それにしては、目を合わせてくれませんね?」
「それは、朱菜や紫苑達が顔を近付けてくるから――」
『あら、女の子同士じゃない。気にしないでも良いでしょう?』
ニヤニヤとライナが更に近付いてくる。
「そうですよ、お風呂だって一緒に入ってくれませんし。もうちょっと女の子同士のスキンシップというモノをしても良いと思います」
「恥ずかしがり屋さんですよね、ウィン様って」
「それは、今は関係がないと思う?」
『ん~、じゃあ~、リムルの事を教えてくれないなら、アタシ達と仲良くお風呂の刑ってどうかしら? 何かを隠しているのは明確なんだし』
「なんでそうな――」
いつの間にか、壁の隅へと追いやられていて、逃げ場がない。
「では、リムル様の居場所。教えてください」
「いや、だからね――」
「そこまで拒む理由が分りませんね……こうなったら、ゴブゾウにも聞きましょうか」
「ちょっと待っ――」
紫苑を止めようとしたが、ニコニコと微笑む朱菜とライナによって口を塞がれ、逃がさないというように腕を絡められてしまった。
「前にリムル様と行ったお店、案内してくださいね」
『アタシ達、リムルがそこまでして行きたいと思うお店に行きたいだけなのよ』
これってバレたら絶対に自分も罰として色々とされるってことだよね。
非常にマズイ……。
せめてゴブゾウが紫苑に情報を漏らさないことを願うばかり――。
「シュナ様、ライナ様! リムル様達の向かった先が分かりましたよ」
「あぁ、きっとカイジン達が元居たこうぼ――」
大声を出して紫苑の言葉を遮ろうとしたが、ライナがまた口を塞いできた。
ライナのヤツ、絶対に自分とリムルを弄り倒して楽しむ気だ。
ここに来て絶対にリムルが行くであろう楽園を餌にして。朱菜と紫苑を味方に付けた事で、罰と称して自分達に何をさせようというんだ。
『ウィンもリムルを止めておけば、良かったのにねぇ~。これでしばらくはウィンを色々と可愛がれるって訳ね……いっぱい、可愛くしてあげるわよ。心も体もね……』
ライナがそう耳打ちしてきた。
次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで
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