心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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89話 カバル達との冒険

 

 

 

 

 

 

 

 旅する間は人型にシズさんの仮面をアクセサリーっぽく頭の横に付けている。

 服装もちょっと旅人っぽくマントにモフモフの毛が首周りに付いたモノを着ている

 

「……さすがに、旅の間はウィンの服も動きやすいズボンとかで良いんじゃないか?」

『あら、ウィンにはその辺は必要ないわよ。浮遊のスキルで遊んでたみたいからちょっとした所なら浮いて移動出来るわ』

「それでも、スカートは無いと思う?」

「う~ん、でも可愛いしぃ。良いと思うなぁ」

「ウィンの姐さんなら、道とか切り開いて行きそうでやすしね」

「まぁ旦那やウィン姐さん達は俺たちについてきてくれればいいぜ!」

「ど――――んと、任せちゃってよねぇ」

「あっしの本領発揮でやすね!」

 

「任せたぞ」

「ん、よろしく」

『しっかり頼むわよ』

 

 この世界に転生して二年近くは経ったかな。

 人間の国へ行くのは初めてになる……まぁ、リムルや自分の種族が違うから向かう事も出来なかったし、色々と忙しかったっていうのもある。

 

 テンペストの皆が元気よく送り出してくれる。

 ただ、やっぱり心配そうに自分やリムルの事を見ながら見送りをしてくれている。

 

 

 

  ==進むこと数時間。

 

 

 

「リムルは疲れないの?」

「人型とはいえ、スライムだからなぁ。疲れ知らずだな」

『木漏れ日が気持ち良いわねぇ』

 

 自分の足で歩くっていうのも、なんか新鮮で森の中を歩いているだけなのに、色々な発見があって楽しい……。

 

「鳥の巣って多いのかな?」

「いや、あれは……同じ鳥の巣じゃないか?」

『枝の形や、巣がある位置だって同じだもの……この辺って、ゲルド達が道を作ろうとしてる場所の近くよね?』

「なぁ、ひょっとして――」

 

 前を歩いて道案内していたはずのカバル達は、なにやら身を寄せ合ってコソコソと話しているのだが、内容は簡単。

 

「どうするのよぉ!」

「どうするったって! こっちに真っすぐ進めば良いはずなんだぞ!」

「なんでグルグル同じ道を行ってるのか、分からないんでやす」

「ギドの仕事でしょうよぉ」

「全員で確認しながら歩いてたんだ、なんでか同じ道に来ちまうけど……」

 

 ということで、完璧に迷っているらしい。

 

「……ひょっとして、迷ったのか?」

「シズさんが「あぶなっかしい」って言ってた意味が分かったかも?」

『フューズも苦労してたみたいだしねぇ』

 

 自分達からジト目と呆れの混じった視線を浴びて、三人が申し訳なさそうにぺこぺこと頭を下げて謝ってくれる。

 

「すんません‼ すんません‼」

「いーよ……少し戻れば工事作業員用の現場宿舎があるから」

「今夜はそこに泊めてもらう?」

 

 空も暗くなってきたし、今なら戻ればしっかりと休める場所という事で、ゲルド達が居るだろう工事作業員用の現場宿舎に泊めてもらう話でまとまった。

 

「悪いなゲルド、寝床の空きあるか?」

「ええ、皆、リムル様とウィン様のご来駕に喜んでいます」

「ははは」

「喜んでくれてるなら、なにより?」

 

 言えない……ちょっと迷って戻ってきたなんて……。

 本当は寄る予定じゃなかったんだけどね。

 

 後ろにいるカバルやエレン、そしてギドなんて特に落ち込んだ様子でしょんぼりとしている。

 

「何であんな所で迷ったんだろう……」

「ちょっと自信喪失だよねぇ……」

「あっしなんて、道に関してはプロなんでやすよ? お二人以上にショックでやす」

 

 夕ご飯を食べながら落ち込んでいるカバル達の話を聞いたゲルドが、なにか思い当たる感じで少し部屋の奥へ行ってから、何か布に包まれたモノを持ってきた。

 

「もしや、これが原因ではないか?」

 

 ゲルドが布に包まれたモノを解き、見せてくれる。

 

「周囲に幻覚作用をもたらす花だ。こいつのせいでオレ達の工程にも遅れが出た」

「あ――――ッ! 幻妖花‼ 薬の原料にもなる、すっごい貴重な花なんですよぅ」

「樹木の伐採の前に採取したものが倉庫にまとめてある。欲しければもっていって構わん」

 

 リムルと一緒になって幻妖花をマジマジと見る。

 

「なるほどな……それでか」

「気付かなかった……」

『全員が気付かなかったんだし、仕方ないんじゃないかしら?』

「そうだな、なら明日は幻妖花に惑わされないようにしないとだな」

「もうリムルが進路上の森を喰っちゃえば?」

「あぁ~、その方が手っ取り早いな」

『ゲルド達の作業も、それで早く進むんじゃない?』

 

 ゲルド達も幻妖花のせいで作業が遅れていたんなら丁度良い感じになりそうだ。

 

 カバル達は首を傾げながら、自分達の話を聞いていた。

 

 

 ==翌朝、昨日の遅れを取り戻すためにも早めに出発するということになった。

 

 

「こっから先は幻妖花に惑わされないためにも、進路上の森はウィンの案で喰ってくことにする。キレイに伐採していくわけじゃないから、後の整備は頼んだぞゲルド」

「御意」

 

「旦那、森を喰うってどういう――――」

「グラトニー」

 

 右手から真っ黒な霧状の靄が渦巻く様に真っすぐ道を作る様に放たれた。

 リムルの黒霧が森を抉り取る様に喰われていく。

 

「ええ……っ⁉」

「ほら、呆けてないで行くぞ」

 

「あ、お、おう!」

 

 届かなかった範囲から、またリムルが同じように真っすぐ道を作る様に森を喰って進んで行く。

 

 道中には崖登りも、本来ならあったのだが……自分とライナが居る事で楽々に越えて行けるので、エレンが物凄く喜んでいた。

 

 道中でなんやかんやあったりもしたけどね……主に、誰かさんが魔物の巣をつっついたりして、無駄に魔物を狩ることになったりした。

 

「リムルさん! ウィンちゃん! ずっと一緒に冒険しましょうよ!」

 

 リムルに抱き付いて勧誘してくるエレン。

 嬉しい申し出だが、今の自分達は責任のある立場だし、無理だろう。

 遠い将来にテンペストの皆に必要とされることがなくなったなら、その時は自由な冒険者になるのもいいかもしれないけどね。

 

【……そういえば、スライムの寿命ってどのくらいなんだろうな】

【さぁ? でも自分達が生きている間に、カバル達は老いて逝っちゃうだろうけどね】

【あれ? ウィンの寿命って?】

【ないね。カードの精霊っていうのが元だからさ……ミリムも、そんな感じだったんじゃないかな】

『まぁこの世界の魔素がなくなれば、身体の維持は出来ないでしょうけどね……』

 

 寿命って概念がないリムルや自分だから、もしかしたらミリムは友達として自分達を認めてくれたのかもしれない。

 大事な友人を作っても、先立たれてしまう事が続くなら……孤独を選ぶようになっても不思議じゃないと思う。

 

「リムルの旦那? ウィン姐さん。どうしたんだ? もうすぐブルムンド王国だぜ」

「……ああ、今行くよ」

 

【なぁウィン……ライナ……】

【ん? なに?】

【お前らが居てくれて、良かったよ……】

『ふふ、感謝しなさい』

 

 少なくとも自分もリムルも、同じような時を生きる友として、一人になる事は無いのだから、初めてこの世界に転生してきて、出会えたのがお互いに寿命のある種族じゃないだけで、ここまで救われた気持ちになる事もなかったのかもしれない。

 

【ミリムが帰ってきたら、たっぷり遊んであげよう?】

【そうだな、仕事をしてきたアイツを一番に労ってやるか】

『それまでに楽しいモノを増やしておかなきゃならないわね』

 

 なんでライナは期待するような眼差しで自分の方を見てくるんだろう。

 

「なに不思議そうな顔をしてんだよ。遊びを考えるのはウィンが一番得意なことだろう」

『そうそう、ちゃんと色々な遊びを考えておいてね。これから会いに行く子供達と仲良くなるのに必要かもしれないでしょう』

「たしかに? ……うん、何か考えてみる?」

「はは、頼むぜウィン」

 

『頼りにしてるわよ』

 

「少しはリムルもライナも考えても良いと思う?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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