心にデュエリスト魂を持って転スラ世界に・・・   作:風月八泉

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91話 リムルの飛び級試験

 

 

 

 

 

 

 

 

「お……おいおいジーギスさん、そりゃちっとやりすぎだ!」

「そうよぅ! Bランクの相手ってリムルさんにとって不利な相手だしぃ」

 

 カバル達が心配して声を張り上げて言ってくれる。

 

【リムルにとって不利な相手だって】

【危なくなったら助けてあげましょうか?】

【まぁ危なくなったら頼むよ……危なくなったらね】

 

「外野は黙ってろ! 決めるのは受験者本人だ! ふん……だがまぁ、逃げるチャンスはやろう。こいつの姿を見て、勝てないと思ったら降参するがいい」

 

 今までよりも少し時間をかけて召喚魔法を展開していく。

 

「……来いっ。レッサーデーモン!」

 

 下位悪魔の召喚……ねぇ。

 出てきた悪魔は少し羊っぽい角に顔立ち、身体はやせ細った感じで筋肉質ではあるものの骨骨した感じに見える……翼も、しっかりと付いているが、少しボロボロだ。

 

「おお……」

【ねぇねぇ、ちょっとその悪魔の力を盗っちゃダメかな?】

【俺もちょっと喰べてその能力を奪いたいが……人前でグラトニーを使ったら大騒ぎだし、お前のスキルも同じだろう】

『ん~、ちょっと力をこっちにも撃ち込んできてくれれば、なんとか盗れそうなんだけどねぇ』

 

 そんな事を話し合っている自分達と違い、魔法陣の外ではちょっとした大騒ぎになっている。

 

「ギド! ギルマス呼んで来い」

「へい!」

 

〈告。召喚魔法「悪魔召喚」を習得……成功しました〉

 

【えっ、マジで⁉】

【あ~、リムルってばズルい!】

『そんな簡単な魔法じゃないでしょうにねぇ……彼も可哀想ねぇ』

 

 ジーギスの方を見ると、下位悪魔を召喚した影響か、かなり息も絶え絶えと言った感じで、涙目じゃなくって白目って表現の方が近い気がする。

 

「さ……さぁ決めろ。戦うか否か」

「そんなの決まってる。魔法の連続行使であんたはもう精神力が尽きかけてるだろ」

「ふん……子供に見破られるとは、情けないな……」

「すぐ、楽にしてやる。試験を受けよう。お前らは手出し禁止なっ! 特にライナは」

『はいはい、アタシが手伝ったらすぐに終わっちゃうものね』

「じゃあ、頑張って~」

 

 自分達のやりとりが意外だったのか、ジーギスが戸惑いながらこちらを見つめている。

 

「全員でやらないのか?」

「必要ないよ?」

『まぁ、なにかあったらアタシが倒すしね』

「俺だけ何もしてないって言うのも、格好悪いだろう?」

「……ふっ、よくぞ言った。レッサーデーモン‼」

 

 レッサーデーモンはリムルを標的に定めて、襲い掛かって来た。

 

 リムルは一撃目を軽く躱して、レッサーデーモンの背後に回る。

 すぐに胃袋から刀を取り出して、レッサーデーモンを横に薙いで胴体を切った様に見えたが、レッサーデーモンは傷一つ負っていない。

 

「手応えがなさそうだった?」

 

『レッサーデーモンは精神生命体よ。物理攻撃は無効にされるわ』

〈告。精神生命体に物理攻撃は無効です〉

『……ふふ』

〈…………〉

 

 なるほど、それでエレンがリムルには不利だって言っていたのか。

 

 というか、なんかライナが大賢者さんに張り合っているように説明してくれたのは気のせいかな。

 

「アイシクルランス‼」

 

 リムルがレッサーデーモンの顔面に氷の礫をぶつけるが、特に効果があるという訳でもないようだった。

 

「……魔法の効きもいまいちか」

 

 リムルのことだから喰えば終わるけど……この衆人環視で手の内を見せるのはまずいだろうし、下手するとリムルの正体もバレてしまう。

 

「剣か魔法……あるいは、その両方か」

 

 レッサーデーモンの攻略を考えているリムルの動きが止まったのを見逃すことなく、レッサーデーモンが鋭い爪先をリムルに振り下ろす。

 

「り……リムルさん‼」

 

 ハラハラとしながらエレンとカバルは心配そうにリムルを見ているが、自分とライナはぼけーっと見学しているだけだ。

 少し疲れたから、杖を取り出して浮遊のスキルを使って周りから浮いた杖に座って観戦している様に見えるだろう。

 

「なんであの子達は動かねぇんだ?」

「そりゃあ、あの子が一対一でやるって言ってんだ。手なんか出すかよ」

 

 リムルに襲い掛かっているレッサーデーモンだが、動きは単調。

 特に強い魔法攻撃をしてくるでもなく、何かしらのスキルを駆使した特殊な攻撃もしてこない……ただ、持ち前のパワーでリムルに襲い掛かっているだけだ。

 

 ただ、自身にダメージがないから出来る手段だと言えるけど……リムルはそんな優しい相手じゃないと思うな。

 

 もう動きを見切ったリムルはレッサーデーモンの背後に飛び上がって、剣に魔法の闘気を纏わせていく。

 

『あら、もう終わるわね』

「魔法はイメージの具現化。あのリムルが刀に纏わせている魔法のイメージは強化、破壊……一番は、切断?」

 

 クルンと身を回転させながら、レッサーデーモンの背中から頭にかけて、一気に切り裂いていく。

 

〈告。エキストラスキル「魔法闘気」を獲得〉

 

『あれってウィンの魔法をイメージしたんじゃないかしらね』

「うにゅ? 自分?」

『えぇ、ウィンって本当に何でも切れるような風を扱う事が多いから』

「そうかなぁ……」

 

 あんまり自分ではそういう事を考えていないから、分からない。

 

「それでジーギスさん。Bランクは合格か?」

 

 鮮やかに倒されて、リムルの動きに魅了されていたのか……ハッと我に返ったジーギスはゆっくり目を閉じて頷く。

 

「……見事だ。おみそれしたよ。カバル達の紹介だから、インチキだと思い込んでいた、非礼をお詫びする」

「なんでだよ!」

「ひっどぉい」

 

 まぁ、ジーギスの気持ちが分からなくは……ないね。

 エレンやカバル達の行動を日頃から見ている人物なら、疑っても仕方ないだろう。

 

「今後、あなた達の身分は自由組合が保証する。むろん、三人共Bランク冒険者としてだ」

 

 試験が終わり、魔法陣の結界が解除されると見ていた冒険者の人達が一気に流れ込んできて、自分達に次々に話しかけてくる。

 

「すげー‼ アンタ格好いいな!」

「さっきの何!? 魔法剣?」

「近くでみるとちっさいな!」

「ちょっと仮面とって顔見せてくれよ!」

「俺達とパーティ組まないか⁉」

「いやいや、ウチに来てくれよ」

 

 そうやって騒いでいると、入り口の方からフューズの気配が……。

 なんか、物凄く怒っている気がする。

 

「討伐部門の、試験だとぉ……? リムル殿やウィン嬢になにかあったらブルムンドが滅びてもおかしくないのだぞ? なぜこんな事態になっておるのだ……‼」

「ぎ、ギルマス!?」

「静まれ! 貴様らぁああぁ‼」

 

 

 

 ==ギルドマスターであるフューズが鬼の形相で入ってきて、一瞬にして騒いでいた冒険者達が固まってしまった。

 

 

 フューズを宥める事の方が、どの試験よりも大変だった気がする。

 

「ったく……ブルムンドに到着したら、すぐに、俺のところまでお連れしろと言っておいたのに……」

 

 ギルドマスターの部屋でカバル達三人が正座させられている。

 

「ま、まぁ、おかげで身分証も手に入りそうだし」

「初めから私に言ってくだされば、支部長権限でBランクまで取り立て出来るんですがね」

 

 いまだに試験会場に現れたフューズの怖さは忘れられない……あれは、レッサーデーモン以上の迫力だったよ。

 それくらい迫力を有していないと荒くれ者の冒険者達をまとめ上げるのなんて、出来ないのかもしれないね。

 

「……我々は貴方様方が邪悪ではないと知っています。ですが、他の者達はそうではないのです。もしリムル殿やウィン嬢の正体が多くの魔物達を束ねる主だと知れたら……」

「……たしかに、ちょっと自重が足りなかった?」

「……そうだな。ブルムンドとはまだ正式に国交を結んでいるわけじゃないし。悪かった、俺も自重するよ」

 

 フューズはちょっとしたジト目が、自分達に刺さる。

 

「……実は、リムル殿、ウィン嬢の到着を知り、ブルムンド王が極秘会談を希望されています。イングラシアへ急ぐと聞いておりますが……」

 

 予定外ではあるけれど、これは逃す手はないチャンスでもある。

 

 

 リムルとライナも同じ考えを持っている様で、三人で視線を合わせて頷く。

 

 

「ぜひ頼む」

 

「わかりました。では、三日後に場を設けるよう掛け合います」

 

 

 ドワルゴンに続いて、二国目の承認がえられるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで

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