「やぁ、男爵。ひとつお願いがあってきたんだ」
フューズにも手伝ってもらって、ベルヤード男爵の屋敷にやってきた自分達は、彼の待つ応接室へと執事に案内してもらって室内に入る。
「……聞きましょうか」
ちょっと警戒しているようだけど、リムルは構わずに笑顔で話しかけて続ける
「すみません男爵。お邪魔してます……」
「ジーギス、なぜ彼までここに?」
「それは……実演販売? しようかなって思って?」
自分がそう言うと、きょとんとした顔をしている。
「実演販売?」
ベルヤードは不思議そうな声を上げている。
「ジーギスさん。これを」
「あ、ああ……」
リムルが胃袋から取り出したフルポーションをジーギスに手渡して、飲む様にすすめる。
この辺は、フューズに協力をしてもらってジーギスには文句を言わずに飲んでもらう約束を取り付けているので、彼もリムルから渡されて、すぐに飲んでくれる。
ギルドでのちょっとした罰ということで、別に毒ではないと説明しているので、少し戸惑いながらも、ジーギスはフルポーションを飲み干してくれる。
「彼に何を飲ませたのです?」
『完全回復薬よ』
「は?」
「フルポーションだから安心してくれ」
「いえ、そういう事を聞いたのではなく……。からかっているのですか? フルポーションはドワーフ王国ですら……」
「まぁ、見ててくれよ」
こうして見てると、ちょっと怖い感じで足が再生していくけど……しっかりと欠損した部位の再生が始まっている。
ジーギスの脚についていた義足は、再生の過程で自然と外れて床に落ちる。
「……え、義足……?」
その光景を間近でみていたベルヤードは最初に義足に目がいき、次にジーギスの脚へと視線が移動していく。
「あ……、あああぁ……」
「ジーギス?」
フルポーションの話はしていないフューズも驚いた顔で、ジーギスの事を見ている。
「足が……生えた……‼」
義足が付いていた足は、しっかりと綺麗な素足がしっかりと床を踏みしめている。
その光景を見ていた二人の男はジーギスに飛びついて行くように再生した足を掴みに掛かって、ジーギスは勢いにおされてその場に座り込まされている。
「馬鹿な‼ 部位再生級の回復薬など、神聖魔法に匹敵するぞ‼」
「おい足よく見せろジーギス‼」
「いてっ! 乱暴に触るなって⁉」
「しっかり神経もあるのか!」
「ばかばか、見せるから変な方向に曲げようとするな!」
なんというか、変な絵面が出来上がっている。
『なによ、この図は?』
「いや、俺に聞かれてもなぁ」
「まぁ驚く気持ちは解るかも?」
真剣な表情でベルヤードとフューズはジーギスの再生した足の様子を確かめていく。
「どこでこんな、ものすごい薬を……?」
ベルヤードは戸惑いを隠せない様子で、動揺しながらリムルの方を見る。
「どこってウチの特産品だよ。といってもまだ、そんなに出回ってないんだ」
「だからここでも、販路を開拓したい?」
『他では作られない代物でしょう。どうかしら』
十分にベルヤードを驚かせたので、ちょっと満足。
「特産品!? これが量産されているというのか⁉」
「欲しがる人は多い……いや、政治や戦争の概念をも覆しかねんぞ……」
なんかフューズとベルヤードが深刻そうに話している内容は……物凄く物騒な方向へと進んで行っている。
「……あれ?」
「軽い意趣返しのつもり、だったよね?」
『まぁ、彼らの懸念も……分かるわね』
そこまで考えていなかったから、逆に自分達の方が変に緊張してしまう。
「ありがとうリムル殿、ウィン殿。まさか冒険者に戻れる日が来るとは思わなかった」
ジーギスには感謝してもらえたし……とりあえずは良いという事で、さっそくハイポーションについての話し合いも、ベルヤードと話をしないといけない。
フューズにはちょっと睨まれたけどね。
「なんで隠してたんですか……」
『あら? こういう事をポンポンと教えられると思ってるの?』
「いや、確かにそうですが……」
「ベルヤードの事を黙ってたフューズに言われたくない?」
「うぐっ! それとこれとは……」
リムルの方はベルヤードとハイポーションを定期的に卸すことも決まって、とりあえずブルムンド王国でやるべきことは――。
「ところで……王妃様から、ウィン様に聞きたい事があると……いつ、美容品を売ってくれるようになるのか、正確な日を聞いておいて欲しいと言われたのですが……」
「は? なんの話だそれ?」
あ、リムルには美容品に関してまだ言ってなかった。
「アレは、まだ色々と試作途中? しっかりと完成させてから……」
リムルと目を合わせないようにしていると、横からライナの視線も刺さって逃げ場がなくなっていく。
『実はね、フルポーションが完成した後に……ベスターのところに次の研究について、ウィンがちょっとした好奇心で作ってみたいモノって事で、話を持ち掛けたらしいのよ』
「ほ~ん……俺はなんにも聞いてないんだけどなぁ~」
「いや、ほら。女の子の悩み的なモノってあるでしょう……朱菜とかリリナとかさ、よくやってくれてるから、喜ぶモノでも作ろうかなって思ってね?」
フルポーションも完成して、研究も一段落ついたのなら……そこから研究費を稼げるアイディアとして美容系の薬品を作ってはどうかと持ち掛けただけなのだ。
「はぁ、そういうのはちゃんと報告をしてくれよな」
「……リムル、そういうデリケートな問題は簡単には報告出来ないと思う?」
「なんでだよ!」
『……せめてアタシには説明しなさいよ。リムルは乙女心を学んでからにしときなさい……前に女子の脱衣所に体重計を設置した時のことを思い出しなさい。またシュナ達を怒らせたくはないでしょう』
リムルは過去にやらかしていることから、ライナにちょっとジト目で見られながら指摘されて気まずそうに自分の方を見てくる。
「乙女、心ねぇ~」
「お願い、こっちを見ながら言わないで……」
『ふふ、シュナ達と一緒に色々と教えてた成果って所かしらねぇ』
「お前……もう、戻れないんじゃないか?」
「違う、違うの……ほら、ちょっと手荒れとか気にしてる朱菜やリリナ達にね、プレゼントしようと思っただけなんだよ? 自分が使うってつもりは別になかったというか……」
必死にリムルに理解してもらおうとしているのだが……ポンポンと肩に優しく手を置かれて憐みの視線を向けられる。
「コホン……まぁ、そのなんと言いましょうか……王妃様も首を長くして待っていますので、是非とも早めの完成をお願いしますね」
「あぁ、俺からもベスターに伝えておくよ……ウィンにもしっかりと完成させるように言い聞かせておくから安心してくれ」
「リムルっ⁉」
『諦めなさい。美容品なんて作り始めたウィンがいけないのよ』
ライナも完成させるようにと物凄い圧がある笑顔で、自分に迫って来る。
もう何も言えずに、ただただ頷いて答えるだけだった。
次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで
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