話し込んでしまった事もあって、外はもう暗くなっている。
カバル達はギルド内の端にあった大きなソファーで眠ってしまっている。
「悪いことしたな」
「話し合いもそうだけど……リムルとユウキの漫画タイムが一番時間かかったんじゃないかな? アレがなければ、もっと早かったかも?」
「あはは、お前も読んでたじゃんか……おい、目を逸らすな」
『アタシも読みたかったなぁ~』
「テンペストに帰った時にでも作っておくよ。それで勘弁してくれ」
まだ読めていない漫画もあるし、それは楽しみだ。
「おーい」
リムルがちょっと声を出してカバル達を呼ぶと、身体をビクッとさせてカバルが目を擦りながら、ぼーっとした顔でこちらを見てくる。
「旦那……お嬢……」
「お待たせ?」
「よう、待たせたな」
==さすがに待たせた分は、ご飯を奢るということを言ったら喜びながら食堂の方へと案内された。
「まさかここまで長く話し込むとは思わなかった。悪いなずっと待たせちまって」
「気にしないで下さいよ!」
「ねぇねぇ、グラマスと目的の話は出来たのぅ?」
「ん、できたよ?」
「それで、お前らに言っとかなきゃならないんだけど……」
「なんでも言ってくれっす‼」
ギドがシチューを食べながら言い。カバルは肉にかぶりつきながら、笑顔で頷く。
「突然だけど、ここまで案内ありがとう?」
「旅は中断だ」
リムルと自分がそう言うとと、三人が食べている手が止まる。
「へ?」
「え?」
「……クビ?」
少し時間を置きながら三人が互いに視線を巡らせて、最後には涙目で見つめてくる。
「違うよ?」
「そうじゃねーよ! シズさんの代役を務めることになってな」
「シズさんの代役?」
カバルが首を傾げながら聞いてくる。
「シズさんの代役って……なんでやすか?」
「英雄とかぁ」
エレンとギドもかなり気になっている様子だ。
別に隠すことでもないので、リムルと頷き合いながら話すことにした。
「子供達を助けるために……」
「教師だ」
リムルがなぜか白い髭を取り出して、決め顔で言う。
「……それって前にゴブリン達を集めた時にやってた校長のやつ?」
『誰も反応してくれなかったってヤツね』
「言うなよ‼ 良いだろ、こういうのは雰囲気が大事なんだ!」
なんかごちゃごちゃと言っているが、リムルは何かネタを挟まないと喋れない病気にでも掛かっているのだろうか……。
「その目は止めろ‼」
「まぁそんな訳で、明日からは自分とリムルはここでやる事があるから、解散?」
「無視か! 泣くぞ!」
『馬はこちらで用意するから大丈夫よ。あと、新しい装備もリムルから受け取ってちょうだいね』
「そうですか、寂しくなりやすねぇ」
「何かあったら連絡してくださいよ」
「おう、また頼むな」
「寂しかったら呼んでよねぇ」
「うん、ありがとう?」
エレンが自分とリムルをぎゅうぅぅっと抱きしめながら言う。
==とりあえず今日は宿に泊まり、早朝にはカバル達を見送りしてからリムルと一緒に図書館へと向かう。
住む場所はユウキが手配してくれた。
といっても場所は自由学園。ユウキが理事を務める学校で、自分とリムルは寮の一室に部屋を借りるという感じになる。
もちろん、自分とリムルは教師として。
ライナは付き人(保健の先生)という感じで自分と一緒だ。
『やっぱり無いわね』
「……ここにあればシズさんが解決してるよね?」
「だよなぁ……そこまで期待はしてなかったけど、有意義な時間ではあった」
〈告。魔法書の網羅が完了しました。これにより無詠唱での魔法の行使が可能となりました〉
「調べ物をしにきたのに?」
『さすがねぇ』
〈…………〉
「ついでに大量の魔法書を解析する大賢者さん、さすがです」
特に良い解決法が載っている本などなかったので、そのまま三人で図書館を後にする。
「あの子達、すごい勢いで本を取っては棚に戻してを繰り返してたけど……」
「あれで内容把握できてるのかねぇ」
リムルというよりも、「大賢者」さんが読みたかったって感じだしね。
「なにか言われてたのか?」
「速読を疑う感じ?」
『まぁリムルは読んでないものね』
「良いんだよ俺は、大賢者さんが凄いんだ……っと、そろそろ時間だな」
==そのまま自由学園へと向かう。
「いや、理事長の紹介ですので信用したいのは山々ですが……あの子達の面倒は難しいですよ? まして君達も子供じゃないですか……」
「大丈夫ですよ。見た目より、年は行ってるので」
「はぁ……ああ、ここです」
子供達のクラス前まで着くと、ドアが少しだけ開いていた。
「ああっ、またこんなイタズラを‼」
「ははは、可愛らしいじゃないですか。案内ありがとうございます」
「ありがとうございます?」
『さて、どうなるかしらねぇ』
校長は常に緊張しているのか、汗を拭きながら戸惑っている様子だった。
まぁ紹介された人達が、子供みたいな三人が来たんだ。あちらさんからしたらたまったものではないだろう。
「は、はぁ。では、ワシはここで……」
チラチラとこちらを気にしながらも、後は任せて……というよりも、あまり関わらないようにという感じで去っていった。
「さて、コレどうしようかな」
古典的なイタズラで学校の定番的な黒板けしをドアの上部分に挟んでおく、パッと見はバレバレな悪戯である。
「あえて引っ掛かってみる?」
『ウケ狙い? 止めときなさいよ」
「俺に任せとけって」
まぁ、初日から舐められるようなことは避けた方が良いかも。
とりあえず、リムルが先に入るという事で話は纏まった。
「ちーっす。今日から君達の担任に――」
リムルが中に入って行くと同時に、子供が一人飛び掛かってきた。
「どりゃああぁぁぁっ」
リムルは素早く襲い掛かって来た子の後ろへと避ける。
「剣ちゃんかっけー‼」
「それ必殺技だろ? ついに完成したか!」
「詰が甘いわね、避けられてるじゃないの!」
なんという学級崩壊。
普通に斬りかかってきたよ、しかも炎を纏わせた感じの攻撃で……。
「得物はちゃんと握ってた方が良いよ?」
「は? なにいって――」
『必殺技とやらが決まって嬉しいのは分るけど、手元が甘いわね』
コンと軽く頭に襲い掛かって来た子が持っていた剣を乗せてあげる。
「いつのまに……」
「はぁ、とりあえず席についてくれ」
そう言うと、子供達は大人しく自分達の席に座り始める。
「えー先生の名前はリムル=テンペストだ」
「自分はウィン=テンペスト」
「アタシはライナよ。よろしくね」
なんか自分とライナの挨拶に男達は少し緊張した感じだった。
生意気そうな女の子の方は、何故か自分の事をジーっと見てくるのが気になるけど。
「皆の顔と名前も覚えたいので、呼ばれたら返事をするように」
「アリス・ロンド」
「……はぁい」
自分が呼ぶと、さっきまで見つめていた子がアリス・ロンド。なんかプイッとしながらも、返事をしてくれる。
綺麗な金髪でサラサラした質感の髪をしている。ウェーブの掛かった長い髪の美少女だ。
『アリスって子。ウィンの事をライバル視してるんじゃない?』
こそっとライナが小さく耳打ちしてくれる。
何もしてないはずだけど……なんでだろう。
「ゲイル・ギブソン」
「……はい」
彼は理性的なのか、それとも茶髪で大柄な感じからして、皆のお兄ちゃん的なポジションにいるのかもしれない。
なんか、アウスと相性が良さそうな感じがする子だ。
「クロエ・オベール」
「はい……」
黒髪に少し銀髪が混ざった髪質の美少女で、長いストレート髪の女の子。
本が好きなのか、小さな体で大きな本を抱くように本を持っている。
雰囲気で言えば、物静かな子で学園モノのお話に出て来そうな窓際や図書室にでも良そうなミステリアスな美少女ってところだろう。
「リョウタ・セキグチ」
「は、はい」
パッと見は弱気そうな少年だったはずだが……名前を呼ぶと、大きな声で手を上げて答えてくれる。
黒髪の可愛らしい少年だ。
「ケンヤ・ミサキ」
最初にリムルに斬りかかってきた子である。
「ケンヤ・ミサキくん?」
「呼ばれたら返事しなさい」
「お……おーぼーだ……」
『まぁ、ご愁傷様?』
「ん? 先生の奥の手がどうかしたかね?」
「こんなのおーぼーだ‼ ちょっと強い犬を従えてるからって卑怯だぞ‼」
ランガがケンヤを甘噛みしながら待機している。
「ライナ、治してあげて」
『了解~』
「着任初日の先生に斬りつけるのは、横暴とは言わないのか?」
「そ、それは……っ。シズ先生なら簡単にかわせるし……」
「なるほど?」
「一理あるな」
多分、いまこの子達に必要なのは……仲良くなる為に距離を縮める事とかじゃなく。
しっかりと向き合っていると、伝えてあげることが必要そうだ。
それも……自分達がどれだけ本気かってことを、直に伝えてあげた方が良いだろう。
「リムル……」
「あぁ、やるか」
同じ考えなのか、リムルも頷いて生徒たちの目を見る。
「よし、予定変更。今からテストをする」
リムルがそう言うと、子供達が嫌そうな顔をして「え――ッ!」非難の声を上げる。
「え――、じゃない」
「ふふ、大丈夫。別に難しいことはしない?」
次の解放テーマ、ワルプルギス終わりまで
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