ここだけ先生が技術力を持ったオタクの場合   作:ゑりおっと

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初回放送記念、2話連続掲載。プロット出来た順で考えればこちらの作品がハーメルン処女作となるものです。先に書き始めた方も勿論書いておりますがマジでリアルが忙しいので(今年は特に)早くて週1、最長ひと月はかかるので先連載共々気長にお待ち頂けると幸いです。おのれES…おのれ面接…おのれ試験……。

そして忙しい時に限って自分が一番楽しみたいエンタメがあるのホントにもう(ブルアカアニメ、キョウリュウジャー×キングオージャー、ファイズ20th、etc...)


序章 サンクトゥムタワー奪還作戦
はじまり、はじまり(1)


カチカチと、時計の音が無音の部屋に響き渡る。吾輩(おれ)は乾ヨスガである、記憶は殆どない。ただ日本生まれ日本育ちの特撮、特に仮面ライダーが好きな何処にでもいたオタクの一人…というのは覚えている。

 

ここに来るまでの経緯を思い出す。気がつくと電車にのっており、片手には【キヴォトス連邦生徒会招待のお知らせ】と書かれたくたびれた紙を持っていた。

 

通行人に道を聞きながらようやく着いた件の建物にて、受付で招待状なる紙を見せ、ご案内します、とロビー奥の部屋に案内され、お掛けになってお待ち下さい、と通された部屋はどう見てもお偉いさんが座るようなエグゼクティブデスクにふかふかの肘掛けのついた椅子があるだけの広い部屋。

 

椅子もそこにしかないからあそこに座っていろというのだろうか。椅子はキャスター式の現代的なものだが肘掛けとクッションはかなり上質な造りに見える。

 

おお…座ってみればすぐさま沈み込むクッションはなかなか。これなら何時間でも作業できそうな気がする。

 

自分の名前と自分が特オタということだけしか覚えていないとはどういった記憶喪失なのだろうか。

 

心なしか電車からここまでの道のりでも二足歩行をした人というか犬というかロボというか…思考を巡らせるほど段々と頭が重くなる。

 

ふかふかの椅子にもたれ、まだ午前中であろう明るい日差しの中で俺は眠りについた。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

我々は望む、七つの嘆きを

我々は覚えている、ジェリコの古則を。

 

 

……私のミスでした。

 

私の選択、そしてそれによって招かれたこのすべての状況。

 

結局、この結果にたどり着いて初めて、あなたの方が正しかったことを悟るだなんて……。

 

……今更図々しいですが、お願いします。

 

 

ヨスガ先生。

 

 

声が聞こえる。少女が語りかけているのは自分に向かっての謝罪だ。天使の輪を頭に浮かべた、面識があるようで、覚えがない少女は続ける

 

 

きっと私の話は忘れてしまうでしょうが、それでも構いません。

 

何も思い出せなくても、おそらくあなたは同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから……。

 

ですから……大事なのは経験ではなく、選択。

 

あなたにしかできない選択の数々。

 

 

自分への嘆願を聞いて、自分の使命が決まったように思えた。

 

 

責任を負う者について、話したことがありましたね。

 

あの時の私には分かりませんでいたが……。今なら理解できます。

 

大人としての、責任と義務。そして、その延長線上にあった、あなたの選択。

 

それが意味する心延えも。

 

 

先生…先生……?

 

 

ですから、先生。

 

私が信じられる大人であるあなたになら、この捻れて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を……。

 

そこへ繋がる選択肢は……きっと見つかるはずです。

 

だから先生、どうか……。

 

 

任せて

 

私があの世界を、あの子達を導いてみせる。

 

この世界をバッドエンドになんかさせない。

 

だってこれは…

 

 

 

 

そう言うと、目の前の女の子は微笑んだ気がした

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「先生、起きてください」

 

「…ん?」

 

景色が変わる。先程までいた血濡れの少女や水平線が見える薄明の空ではなく、元いた部屋の中だった。

 

「少々待っていてくださいと言いましたのに、お疲れだったみたいですね。なかなか起きないほど熟睡されるとは…。」

 

目の前で話す少し大人びた少女が話しかける。少女の服装は先程の白昼夢?で見た少女と似たようなもので、特徴的な頭の輪と、ヒトのそれとは違ういわゆるエルフ耳と呼ばれる尖った耳が生えていた。

 

「えっと…君は?」

 

「夢でも見られていたようですね。ちゃんと目を覚まして、集中してください」

 

「…………ですね。いい年()いて眠ってしまうとは、こちらとしてもお恥ずかしい姿を見せてしまいました」

 

「……そこまでかしこまらなくても宜しいです」

 

「そう?ならもう少し砕けてもいいかな?こんな感じ?」

 

「…はぁ。では、私の自己紹介も含め今の状況をお伝えします」

 

少女の名前が七神リンであること、ここが「キヴォトス」という場所であり、自分が先生として連邦生徒会長とやらの指名でここにいることが告げられた。

 

「どうしても、先生にやっていただかなくてはいけない事があります」

 

リンが真面目な眼差しでこちらを見ながらそう言い放ち、背を向け、扉の方へ歩くリンの後を追うために立ち上がる。ふと、スーツの腰ポケットと内ポケットに違和感を覚える。ポケットに手を突っ込み、違和感の正体を突き止める。

 

「…ファイズフォン?それとベルトのバックルだけ?なんで持ってるんだ?」

 

こんなもん電車に乗ってた時入っていたか?どうも記憶が曖昧だ。勿論ライダーファンとしてCSMのことは知っている。自分のことを禄に憶えていないくせに。

 

二つ折りに重なった携帯を開けば、上部分はいつものコードが書かれた印刷じゃなく真っ黒のノングレア液晶。これが意味する所は、これがおもちゃの類ではない本物の携帯電話であること。もう片方はファイズドライバーの、携帯を装填するバックル部分のみがコンパクトに収まっていた。

 

しかし、それについて思考している間にもリンは足を進めるため、ひとまず手に持ったそれらをポケットに戻し、後を追う。

 

エレベーターの背はガラス張りになっており、外の景色がよく見える。巨大なビル群に遠目に見える空に浮かぶ円に、その中心にある光の柱が、自分がよく知る空とは違い、別世界であることが分かってしまう

 

「キヴォトスへようこそ。先生」

 

エレベーター内でリンがこのキヴォトスについての説明をしてくれる。

 

曰く、数千の学園が集まった巨大学園都市で、自分の勤務地であること。

 

曰く、自分は「連邦生徒会長」という子が選んだのであるということ

 

そうこうしているうちにエレベーターは止まり、

 

「ちょっと待って!代行!見つけた、待ってたわよ!連邦生徒会長を呼んできて!……うん?隣の大人の方は?」

 

ざわざわと騒がしいホールから一際大きな声が聞こえた。

 

「首席行政官。お待ちしておりました」

「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が、今の状況について納得の行く回答を要求されています」

 

ぞろぞろとこちらに近づいてくる少女達。羽が生えていたり、耳の形が妙にファンタジックだったり、いろいろとツッコミどころがある服装の者もいるが、どの少女達にも共通しているのが、リンと同じような輪っかを頭に浮かべていた。

 

「ああ…面倒な人たちに捕まってしまいましたね」

 

露骨にリンが顔をしかめる。そこまで分かりやすく機嫌を損ねなくても…と思うのもつかの間

 

「こんにちは、各学園からわざわざここまで訪問してくださった生徒会、風紀委員会、その他時間を持て余している皆さん。こんな暇そ……コホン、大事な方々がここに訪ねてきた理由はよく分かっています。今、学園都市に起きている混乱の責任を問うために……でしょう?」

 

目が笑っていないまま笑顔で対応するリン。なんだかここに来る前によく見たような…。中間管理職というのは子どもであっても気苦労は絶えないらしい。

 

「そこまで分かっているなら何とかしなさいよ!連邦生徒会なんでしょ!数千もの学園自治区が混乱に陥ってるのよ!この前なんかうちの学校の風力発電所がシャットダウンしたんだから!」

 

「連邦矯正局で停学中の生徒たちについて、一部が脱走したという情報もありました」

 

「スケバンのような不良たちが、登校中のうちの生徒たちを襲う頻度も、最近急激に高くなりました。治安の維持が難しくなっています」

 

「戦車やヘリコプターなど、出所の分からない武器や不法流通も2000%以上増加しました。これでは正常な学園生活に支障が生じています」

 

「こんな状況で連邦生徒会長は何をしているの?どうして何週間も姿を見せないの?今すぐ会わせて!」

 

それぞれの言い分を聞いていたリンが口を開く

 

「連邦生徒会長は今、席におりません。正直に言いますと、行方不明になりました」

 

その発言で騒がしかったその場は一瞬で静寂に包まれた

 

「結論から言うと、サンクトゥムタワーの最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です。認証を迂回できる方法を探していましたが…先程までそのような方法は見つかっていませんでした」

 

「それでは、今は方法があるということですか、首席行政官?」

 

「はい。この先生こそが、フィクサーになってくれるはずです。」

 

「…私が?」

 

「キヴォトスではないところから来た方のようですが…先生だったのですね」

 

「はい、こちらのヨスガ先生は、これからキヴォトスの先生として働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です」

 

「行方不明になった連邦生徒会長が指名…?ますますこんがらがってきたじゃないの…」

 

「ど…どうも…」

 

「こ、こんにちは、先生。私はミレニアムサイエンススクールの…い、いや、挨拶は今はどうでもよくて…!」

 

「そのうるさい方は気にしなくていいです。続けますと…」

 

「誰がうるさいって!?…わ、私は早瀬ユウカ!覚えておいてください、先生!」

 

「よろしくね」

 

「…先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げた、ある部活の担当顧問としてこちらに来ることになりました」

 

「連邦捜査部『シャーレ』。単なる部活ではなく、一種の超法規的機関。連邦組織のため、キヴォトスに存在するすべての学園の生徒たちを制限なく加入させることすらも可能で、各学園の自治区で、制約無しに戦闘活動を行うことも可能です。なぜこれだけの権限を持つ機関を、連邦生徒会長が作ったのかは分かりませんが……。シャーレの部室はここから約30km離れた外郭地区にあります。今は殆ど何もない建物ですが、連邦生徒会長の命令で、そこの地下に『とある物』を持ち込んでいます。先生を、そこにお連れしなければなりません」

 

「モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど…」

 

取り出したスマホの画面からボサボサのツインテールにポテトチップスを携えた女の子が映し出された。

 

『シャーレの部室……?ああ、外郭地区の?そこ、今大騒ぎだけど?』

 

「大騒ぎ?」

 

『矯正局を脱出した停学中の生徒が騒ぎを起こしたの。そこは今戦場になってるよ』

 

「……うん?」

 

「は?」

 

思わず声が出てしまった。集まった少女たちは皆銃を携行していたり、戦車の不法流通が従来の20倍も増加したりといった部分は考えるだけ無駄だろうし、後でリンに聞こうかとも思ったが…。間違いない、キヴォトス(ここ)滅茶苦茶治安が悪い。

 

少なくとも銃を携行していたのが法的機関で、生活で目にすることなんてゲームの中くらいでしか無かったこれまでの生活と比べるとかなりギャップを感じる。

 

『連邦生徒会に恨みを抱いて、地域の不良たちを先頭に、周りを焼け野原にしてるみたいなの。巡航戦車までどっかから手に入れてきたみたいだよ?それで、どうやら連邦生徒会所有のシャーレの建物を占拠しようとしてるらしいの。まるでそこに何か大事なものでもあるみたいな動きだけど?』

 

リンの顔がさっきの群衆を目にしたときなど比でないくらいに目から光が失われる。

 

『まあでも、もうとっくにめちゃくちゃな場所なんだから、別に大した事な…あっ、先輩、お昼ごはんのデリバリーが来たから、また連絡するね!』

 

こんな大変な状況であるにも関わらず、随分と呑気な事情で通話をぶち切りしたモモカ。面倒だから関わりたくなくて丁度いい横槍が入ったことで切断したのもあるかもしれないが。

 

「………。」

 

「大丈夫?深呼吸でもする?」

 

明らかに怒っている。プルプルと小刻みに体が震えている。顔が上を向いているせいでメガネが照明を反射し、彼女の目元が見えないのが余計怖さを感じる。

 

「だ、大丈夫です。……少々問題が発生しましたが、大したことではありません」

 

じーっと私ではなく集合している少女たちを見つめ、何か思いついたかのようにほくそ笑んだ。

 

「ちょうどここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので、私は心強いです」

 

「…えっ?」

 

「キヴォトスの正常化のために、暇を持て余した皆さんの力が今、切実に必要です。行きましょう」

 

さっさと足を運ぶリン。

 

「ちょ、ちょっと待って!?何処行くのよ!?」

 

後を追うユウカに私もついていくことにした。

 

 

 


 

 

 

所変わって外…

 

 

銃声と爆発音に思わず耳をふさぐ

 

「なんで私たちが不良たちと戦わなきゃいけないの!!」

 

「サンクトゥムタワーの制御権を取り戻すためには、あの部屋の奪還が必要ですから…」

 

「それは聞いたけど…!私これでもうちの学校では生徒会に所属してて、それなりの扱いなんだけど!なんで私が……!って痛!痛いってば!!」

 

信じられない光景を見た。確かにユウカには銃弾が数発当たった。しかし今、彼女はなんて言った?痛いで済むのか…?

 

「あいつら違法JHP弾使ってるじゃない!?」

 

「伏せてくださいユウカ。それにホローポイント弾は違法指定されてはいません」

 

……どうやらここの住民が異常なのは頭に浮かんでいる輪っかだけではないようだ。普通の人間はホローポイント弾を受ければ良くて肉が抉れ、大抵は死ぬ。それが痛いで済む?嘘だろ???

 

「うちの学校ではこれから違法になるの!傷跡が残るでしょ!」

 

「今は先生が一緒なので、その点に気をつけましょう。先生を守ることが最優先。あの建物の奪還はその次です」

 

「ハスミさんの言う通りです。先生はキヴォトスではないところから来た方ですので……。私たちとは違って、弾丸一つでも生命の危機に晒される可能性があります。その点ご注意を!」

 

どうやらここ以外の住民は普通に銃弾で死ねる可能性がある。ということは理解してるようだ。とは言っても、中高生位の、元いた場所に居る同年代よりも大人びているとはいえおそらく10数年のみの人生経験且つ、ここから出たことが無いのだったら「銃弾一発で死んじゃうだなんて弱いなあ」という認識なのかもしれない。

 

「分かってるわ。先生、先生は戦場に出ないでください!私たちが戦っている間は、この安全な場所にいてくださいね!」

 

「え、いや…」

 

分かっている、自分は今のままでは超人的な体力や体質を持っていないただの人間で、銃弾だって当たれば死んでしまうかもしれない、でもただ隠れて彼女たちに一任するのは、違うと感じる。自分にだって何か出来るはずだ。だから、前線ではなく

 

「指揮と援護射撃をするから、任せて」

 

「え、えぇっ?戦術指揮をされるんですか?しかも援護射撃って…狙撃銃も持っていないのにどうするんですか?」

 

「それは、これで」

 

懐にしまっていた物を出す。いくら相手が不良で、自分よりも身体能力が高いからとはいえ、その実は自分よりも年下の子を変身してまで対応することには思えないし、これの扱いには細心の注意が必要だと直感が言っている。

 

シン・仮面ライダーでも本郷猛は一般人の頭蓋*1をいともたやすく粉砕していたじゃないか。恐らくカタログスペック通りの出力でも彼女たちは死にはしないだろうが、いきなり少女に殴りかかるほど俺は人間を捨てていない。こちらに銃を向けているスケバン以外にも、すぐ傍にいる彼女たちにも悪印象を抱かれかねない。

 

何より、先程で彼女たちがどれくらい頑丈かを知れたから、今度はどれくらい戦えるかを私は知りたい。私が、この場所で生徒を導く職に就くのであれば、彼女らが何を出来るかを見定めるのは義務だと思う。

 

何でこれを持っているのか、どうしてこれが、と疑問は尽きないけど、これをやっておいたほうが正解だと、俺の中の何かが言う

 

「…ええっと、それは?」

 

「あ、この形の携帯電話知らない?」

 

「いえ、ミレニアム生である以上その骨董品がどんなものかは分かりますけど…。」

 

「…………まあ、うん、そうだね…うん……骨董…」

 

「先生!急に頭を抱えるだなんて、どこか具合でも悪いのですか!?」

 

「大丈夫…大丈夫…ジェネレーションギャップなんかに私は屈しない…っ」

 

「その虚ろな目をされても説得力がありません!その端末で何をするかの説明を早急にお願いします!」

 

「…ごめんごめん。これは簡単に言えば、銃に変形する携帯電話だよ。エネルギー式のレーザー銃だから変形で生じる脆弱性とか弾詰まりの心配はないよ」

 

本来の使い方を伏せ、ファイズフォンを開ききる。コード入力103。実際に使った記憶は無いが、何度も見てきた動作を行う。

 

 

〈Single Mode〉

 

「…理解が追いつきませんが、なぜわざわざそのような形に?仮にスマホの形にしても厚みが出るだけで、そっちのほうが便利なのでは?」

 

「一番の理由はこれが作られたのがこの形の携帯電話が普及していた時代だったから。次にこれの通信範囲が衛星通信も出来るくらいには高性能だから連絡手段としてまだまだ使えるからかな。ここで使えるかは分からないけど…あ、威力の問題なら心配ないよ」

 

舗装から剥がれた手頃なコンクリートの塊に向かって撃つ。

 

「まあざっとこういう感じ」

 

ピュン。と銃声のそれと比べるとおもちゃのような音から発せられたエネルギー弾は容易く瓦礫を粉々にする。自分も内心驚いているが、不思議なことに落ち着いている。それに対して部隊に組まれた少女たちは目を見開く。特にユウカなんかは口までぽかんと開けてしまっている。暫く沈黙の時間が続くので、こちらから話し始める。

 

「取り敢えず私がどういったことが出来るかを示したから、みんなの名前と使っている武器種、その他みんなに把握しておきたいことを手短に教えてくれる?」

 

「では私から、トリニティ総合学園に附属しています、正義実現委員会の羽川ハスミです。武器はボルトアクションライフル。定点射撃が得意です。よろしくお願いします」

 

「同じくトリニティ総合学園所属の自警団の守月スズミです。主武装はサブマシンガンですが、閃光弾を使った撹乱が得意です」

 

「ゲヘナ学園風紀委員会所属の火宮チナツです。風紀委員では主に回復の後方支援の担当をしています」

 

「ゲヘナ…」

 

「なんですか?…ああ、そういえばあなたは根っからのゲヘナ嫌いでしたね。こちらでもよくお話は伺っていますがこの状況でもいがみ合いをしようとする魂胆、流石と言えますね?」

 

「…(イラッ」

 

「ちょ…ハスミ先輩!チナツさんもどうしてそう挑発的に…」

 

「こほん!良いかしら…?良いわね?改めて、ミレニアムサイエンススクールセミナー所属の早瀬ユウカです。武装はサブマシンガン二挺。いざというときは電磁シールドを張り、銃弾を弾くことが可能です。…なんで私が前線なんかに」

 

「羽川さんに守月さん、火宮さんに早瀬さん。よろしくね。あ、苗字呼びとか名前呼びとかどっちがいい?」

 

「名前呼びでお願いしたいです」

「私もそちらのほうが慣れています」

「(コクン」

「名前呼びで」

 

「じゃあみんな名前で呼ぶね。これからよろしく」

 

「ご歓談中すみません、よろしいでしょうか先生」

 

こちらの出来ることを皆に共有していると、リンがこちらに向かってくる。

 

「こちらで預かっていた物品となります。他の荷物もタワーの制圧と共に居住スペースのお部屋に運ばせて頂きます」

 

集結した各学校の生徒と会話をしていた間にどこかへ行っていたのであろう彼女が持ってきたのは、唯一持っていた手荷物であるミリタリーバックだった。…大容量なので使い勝手が良く、何やかんや長年使っているものだ。確か中身は決して軽いものではなかった筈だが、彼女はそれをずだ袋を持つように軽く片手で担いでいる。

 

「私のリュック?どうしてここに?」

 

「…先程の待合室に置きっぱなしになっていましたよ。自分の持ち物すら忘れるほど熟睡するとは、一度健康診断を行っては?」

 

「…ごたごたが終わったらそうするよ」

 

リュックのジッパーを開け、中身を見る。持っているべき物達が入っているのを確認して安心する。…一部なんでこんなものが、とツッコミたくなる物騒なものが入って居たが無視だ無視。今回私がやるべきことは、あくまで援護と指揮なのだから。

 

「それじゃ…作戦開始!」

 

 


 

 

「もうシャーレの部屋は目の前よ!」

 

『今、この騒ぎを巻き起こした生徒の正体が判明しました』

 

ある程度暴れているチンピラを無力化しながら進み、オフィスビルの入り口が目視出来る距離に近づいたところでリンから通信が入る。

 

『ワカモ。百鬼夜行連合学院で停学になった後、矯正局を脱獄した生徒です。似たような前科がいくつもある危険な人物なので、気を付けてください』

 

「その子の写真とかある?」

 

『はい、今端末に送ります』

 

そう送られてきたのは黒と赤の和服風改造セーラー服に黒の長髪、そこにぴょこんと生えた狐耳。そして狐の面を被り人相が分からない少女が映された。

 

「…お面を外した写真とか無いの?」

 

『大抵犯行に及んだ際はこの面を付けており、拘束された時も、投獄された時も面を付けたままとのことで…』

 

「……今度から人相の分かる写真を取るように」

 

「っ!前方からヘルメット団の集団を確認。あれは…戦車!?」

 

「今更驚くようなことでも無いけど滅茶苦茶だね、ココ…」

 

「そうでしょうか…?あの戦車はうちの学校でも使用されている型ですが、旧式の廃止されたモノですので、迅速な破壊を提案します。」

 

「了解。これより奪還部隊、あの戦車の撃破を開始!」

 

「「「「了解!」」」」

 

 


Side 羽川ハスミ

 

 

「ハスミ?今からポインターで示せる部分を狙ってもらえる?」

 

「わかりましたが…肝心のポインターが見当たりませんが…。え?」

 

先生が取り出したのは懐中電灯?のようなものだった。形からレーザーポインターなのは分かるがあの大きさはいささか過剰ではないだろうか。慣れた手付きで持っていた銃…もとい携帯にポインターを装着する。

 

〈Ready, Pointer on.〉

 

硝煙によってなのかレーザーの赤い軌道がくっきり見える。私は線の先…赤い点が照らされている部分に照準を合わせる。

 

「再確認だけど本当に壊していいものなんだね?」

 

「はい、戦車が爆破されても先生の危惧されている敵側の損傷は大したものではありません」

 

「なら良かった、履帯を破壊するよ!」

履帯ごと破壊…?流石に難しいのでは、と思った矢先

 

〈Exceed charge〉

 

先生の持つレーザーポインターから何かが発射された。赤い線の一部が太くなったと思えば、それは巨大な円…いや、三角錐型の赤い物体となった。

 

「円の中心が白ばんでいるでしょ?そこを狙って」

 

「…了解!」

 

道中で時々飛んでくる援護射撃には助けられ驚きの連続だったが、今しがたの熟考は時間の無駄だと判断した。今はターゲットに集中するのみ…!

 

「ターゲット確認…発射!」

 

狙いを定めて白い光に向けて発砲。普段であれば外装が凹む、上手く行けば装甲を貫通させる程度で終わるはずの一撃はとんでもないものに変わり果てた。

 

履帯だけに留まらず、戦車の動力部でもある天輪がきれいさっぱり抉り取られたような形にくり抜かれ、壊れたおもちゃのような外観へと様変わりしてしまった。

 

放たれた槍のような一撃はそのまま地面に突き刺さり、大爆発を引き起こし、車体を大きく吹き飛ばした。

 

「………」

 

爆発音の後には静寂しか残っていなかった。先生の方をちらりと見ると、彼も私達と同じように口が半開きだった。

 

「と…取り敢えず任務完了!先に進むよっ!」

 

「ええ……」

 

凄まじい力、圧倒的上位性。それらを兼ね備えた代物の持ち主は締まらない声で私達に指示を飛ばした。

 

 

 

*1
公式の出してる怪人図鑑によると、初代ライダーのショッカー戦闘員は通常の人間の数倍の力を持った下級改造人間だったりクローンだったりと媒体によって違うが大方常人の数倍の力を持っていることは共通している。しかし庵野版のシン・仮面ライダーに於いては戦闘員は同様の記述で肉体強化はされているものの、ライダーに一撃喰らっただけで爆散しているため、恐らくオリジナルよりも防御面が弱いと思われる。まあ表現規制の問題とか演出の差があるかもしれない(大方の理由はそっちだろうと思われるが)。




いかがでしたでしょうか。今回は初回&長らく書きたかったものということで張り切ってしまいました。私がそもそも思いついたら衝動で物を書く性分なので現在連載中のもの以外にも沢山書き溜めております。構成という点に於いてはこちらの方が進行度高いので(最終編までの大枠が出来ている)皆さんに見て頂けている限り私は自分のペースで書き切ろうと思います。

最後に、感想・評価・批評頂ければ私がとても喜びます。
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