ここだけ先生が技術力を持ったオタクの場合   作:ゑりおっと

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初めはこれを一話で投稿しようとしましたが、長すぎると感じたため分割しました。


はじまり、はじまり(2)

『サンクトゥムタワーの奪還完了。私も、もうすぐ到着予定です。建物の地下で会いましょう』

 

「それじゃ、みんなはここで待機して増援の警戒をして」

 

「了解しました。先生もお気をつけください」

 

道中一緒に行動した彼女達を玄関前に待機させて、リンとの集合場所である地下に足を運ぶ。照明が点いていない暗い廊下を抜け、地下に辿り着く。

 

タワーの地下にはこの部屋と立体駐車場の入り口しか無かった。先に駐車場に来てみたが、車両が一つもなく、リンもまだ着いてないので、先にもう一つの部屋を見てみることにした。

 

ドアを開けると、非常電源は生きているのか、少々の明かりが点いていたが暗くて見えにくい。しかし、その僅かな明かりに照らされている、先の道中で見た狐面の少女がこちらを見た。

 

「あら……?」

 

この騒動を巻き起こした張本人。警戒を解いたつもりは無かったがこんな所でばったり会うとは思わなかった。手には銃剣を持っているが、こちらを伺った際に即座に銃を向けなかったのは、敵意が無いと予測できる。

 

が、急に気が変わってこちらを襲う可能性もある。フォンブラスターをすぐ出せる懐にしまっていて本当に良かったと安堵する。相手に敵意がない以上、話せるかもしれない。

 

「こんにちは。君がワカモ?」

 

「………あら、あららら」

 

こちらをじっと見ているだけで、何もしてこない。お面をしているから表情が見えない――緊張が走る。

 

「あ、あぁ…。し、し……」

 

「し?」

 

「失礼いたしましたー!」

 

狐が脱兎のごとく私の脇を通り部屋を後にする。急にこっちに飛んできたのはびっくりした。だってここ階段隔てた半階テラスみたいな場所だぞ…?それを階段も使わず、自分の跳躍力だけであっさりと飛び越えて走り去る様を見て呆気にとられた。

 

しばらくすると、外からコツコツと足音が聞こえてきた。リンが到着したのだろう。

 

「お待たせしました……?何かありましたか?」

 

「ううん、大丈夫」

 

ここで「さっき件の首謀者と会って話をした」などといえば更に混乱が増すだろうから、ワカモのことは黙った。特に破壊されたものも無さそうだったし、余計な仕事が増える予感がした。

 

「…そうですか。ここに、連邦生徒会長の残したものが保管されています」

 

リンは私の背後にあった机の引き出しに手をかけ、何かを取り出す。

 

「…幸い、傷一つ無く無事ですね」

 

こちらに背を向けているため、何を取り出したかをこちらで確認できない。が、取り出したものが無事で、少し微笑んでいるのが後ろからでも伺えた。引き出しを戻し、くるりとこちらを向き、近づく。

 

「受け取ってください」

 

スッと差し出されたのは大型のタブレットだった。最近では見られないホームボタンが底面に付いているタイプのものだった。……最近?どうして最近出たモデルは画面部分にボタンがないって分かった?確かにファイズフォンとは別で、自分が所持しているスマホは…あれ、そもそもスマホ持ってたっけ?

 

「これが、連邦生徒会長が先生に残した物。『シッテムの箱』です」

 

シッテム。キヴォトスといい、サンクトゥムといい、聖書に出てくる単語ばかりだ。シッテムは確か街の名前か…?全部きっちり読んだ覚えがないから曖昧だけど。

 

「普通のタブレットに見えますが、実は正体の分からない物です。製造会社も、OSも、システム構造も、動く仕組みのすべてが不明。連邦生徒会長は、このシッテムの箱は先生の物で、先生がこれでタワーの制御権を回復させられるはずだと言っていました。私たちでは起動すら出来なかった物ですが、先生ならこれを起動させられるのでしょうか、それとも…」

 

いや、怪しい。何もかもが分からないってどういうことだ…?

 

「…では、私はここまでです。ここから先は、全て先生にかかってます。邪魔にならないよう、離れています」

 

ササッと足早に離れ壁にもたれるリン。おい、これ起動した瞬間にドカーンとか無いよな?調べてもわからないもので、「先生のものです」という情報しか無いのは確かに疑念が生じるが、さっさと離れるのはどうなんだろうか。

 

見た感じ、デザインそのものはさっきも感じたちょっと前のタブレット。給電ポートもど真ん中じゃないし、側面や上面に電源ボタンらしきものは存在しない。とすると、正面にある丸いボタンを押して起動する感じか…?ボタンを押すと画面が点き、空色の背景に文字が表示される。

 

 

Connecting to the Create of Shittim…

 

 

システム接続パスワードをご入力ください

 

 

記憶も曖昧だし、そもそもここに来るのも初めてで、いや、既視感はあるが、それすら何もわからない、記憶のない自分には未知のデバイスを起動させるパスワードなんぞに心当たりなど………いや、待てよ?

 

「我々は望む、七つの嘆きを。

 

我々は覚えている、ジェリコの古則を。」

 

 

……

 

 

パスワード承認。

 

 

現在の接続者情報は乾ヨスガ、確認できました。

 

 

『シッテムの箱へようこそ、ヨスガ先生。生体認証及び認証書生成のため、メインオペレートシステムA.R.O.N.A.に変換します』

 

無機質な人工音声が流れ画面が光り輝く。

 

眼の前に広がる景色に対し、初めに抱いた感想は「とてもとても青く、澄んでいた」だった。

 

何故か壁が崩壊している学校の教室で、どこまでも続く空と海に、乱雑に積まれた学校の机や椅子。教室の床も、リノリウムのそれに似ているが、波模様が描かれた、それこそ水上に立っているかと錯覚するほどの華麗な模様だった。

 

その教室の一席で、ひとりの女の子が机の上にうつ伏せで居眠りをしている。寝息をくぅくぅ鳴らし、安らかな午睡を楽しんでいるようだ。

 

「むにゃ、カステラにはぁ…いちごミルクより…バナナミルクのほうが……」

 

どんな夢を見ているんだろうか…。少なくとも私はカステラには緑茶一択なんだが…。

 

「えへっ…。まだたくさんありますよぉ……」

 

顔が近くに見えるところまで接近し、彼女を観察する。一見空色のセーラー服には、薄く三角形がランダムで配置された薄い色の柄が入っていて、大襟の裏地も白の裏は薄桃色になっている。

 

髪も群青色の裏は襟裏の薄桃色と同様の色になっており、青髪や白髪のユウカやスズミ達の珍しい髪色とは一線を画す、人工的な印象をうける。このまま寝顔を眺めるわけにもいかず、起こすためにも頬をつっついてみた

 

「うにゃ…まだですよぉ…しっかり噛まないと……」

 

つっつき方が甘かったのか、はたまたノンレム睡眠の熟睡をしているのか分からないが、起きる様子がない。さっきより強めにつっついてみる。

 

「あぅん、でもぉ……」

 

つんつんつん

 

「……うぅぅぅんっ」

 

ガタリと椅子が動き、体を起こす女の子。寝起きなのか、まだ目を閉じたままその場から立とうとする。

 

「むにゃ…んもう…ありゃ?ありゃ、ありゃりゃ…?」

 

目を開いた女の子はこちらを見るなり目が覚めたのか、大きな目でこちらを見つめ、顔を赤くする。

 

「せ、先生!?この空間に入ってきたということは、ま、ま、まさかヨスガ先生…?!」

 

「そうだけど…君は誰?」

 

「う、うわああ!?そ、そうですね!?もうこんな時間!?」

 

教室には時計らしきものが無いが、時間が分かるらしい。かなり慌ててている。

 

「うわ、わああ?落ち着いて、落ち着いて…。えっと…その…あっ、そうだ!まず自己紹介から!」

 

先程は寝言でボソボソとしか声が聞こえず分かりにくかったが、声にノイズがはしっていて、見た目も相まって更に機械的な印象を感じた。

 

「私はアロナ!このシッテムの箱に常駐しているシステム管理者であり、メインOS、そしてこれから先生をアシストする秘書です!やっと会うことが出来ました!私はここで先生をずっと、ずーっと待っていました!」

 

「…寝ていたわけじゃなくて?」

 

「あ、あうう…もちろんたまに居眠りしたこともありますが…」

 

「まあ、よろしくね」

 

『はい!よろしくお願いします!』

 

ふとアロナの頭上を見る。彼女も生徒たちと一緒で頭の上に輪っかがあるが、彼女のそれは、会話ごとにうねったり、ハートの形になったり、感嘆符になったりと、せわしなく形を変化させている。これもOSという現実ではない場所の住人だからなのだろうか?

 

「まだ体のバージョンが低い状態でして、特に声帯周りの調整が必要なのですが…。これから先、頑張って色々な面で先生のことをサポートしていただきますね!」

 

にっこりと微笑みかけるアロナ。寝言の内容も相まってOSとはいえ、見た目そのままの女の子という感じがする。

 

「あ、そうだ!形式的ではありますが、生体認証を行います♪…少し恥ずかしいですが、手続きだから仕方ないんです。こちらの方に来てください」

 

アロナが起きたと同時に机が倒れそうな勢いで跳ねたので少し距離を置いていたが、彼女から近づくようにお願いされたのでちょっと近づいた。

 

「もう少しです」

 

かなり近づいた。そうして私を見、人差し指をこちらに向ける。

 

「さあ、この私の指に、先生の指を当ててください」

 

昔見た映画の宇宙人との友情の証さながら、互いの人差し指をくっつける。

 

「Vanitas vanitatum et omnia vanitas.」

 

私はハッピーエンドが大好きなんです!

 

ただいま、みんな。

 

「理解できぬ」

 

アリスは…勇者になりたいです!

 

 

 

 

生徒たちを…よろしくお願いします、先生

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――なるほど、大体分かった。

 

 

「ふふーん。まるで指切りして約束するみたいでしょう?……どうかされましたか?先生?」

 

指先に触れてからボーっとしていた私に話しかけた。

 

「あ、ごめんね、アロナ。んーと……どっちかというと宇宙人と男の子が自転車で空を飛ぶ映画を思い出したかな?」

 

俗に言うE・◯タッチは映画のポスターだけだ。本編にはそういった描写は存在しない。回転ノコの刃で擦りむいた主人公の指を◯・Tの指先の光で治すシーンはあるが。

 

「はい?…まあその話は置いておいて、実はこれで生体情報の指紋を確認するんです!私の指に残った指紋を目視で確認するのですが…すぐ終わります!こう見えて目は良いので。どれどれ…?……………………………うーん……はい、確認終わりました♪」

 

「…ホントに確認できた?実はよく見えないけどまあいっか、先生だし。とか手抜きチェックしていたわけじゃないよね?」

 

「えーっと…。そんなことありません!アロナは目視でも生体認証が出来るスーパーOSなのですから…

 

「でも最近のものだと指紋認証くらいなら1秒もかからないよ…?」

 

…そんな機能無くてもアロナは役に立ちますから!?」

 

シッテムの箱の外観通り、OSもちょっと前までの機能らしい。疑るような目でアロナを見つめる。

 

「…全然信じてないって顔ですね…………うぅ…」

 

おっと、からかいすぎたか…?だんだんと泣きそうな顔になる。

 

「だったらその最先端のナントカさんのところに行ってしまったらどうですか!」

 

「ごめん…からかいすぎた」

 

「くすん…」

 

いっぱい慰めてあげた

 

 


 

 

たくさん慰め、アロナに現状を説明する

 

「なるほど…。連邦生徒会長が行方不明になって、そのせいでキヴォトスタワーを制御する手段がなくなった…」

 

「…連邦生徒会長について知ってる?」

 

「私はキヴォトスの情報の多くを知ってはいますが…連邦生徒会長についてはほとんど知りません。彼女が何者なのか、どうしていなくなったのかも……。お役に立てず、すみません」

 

以前はこのシッテムの箱の所有者は連邦生徒会長…だと思うが、どういうわけかアロナも知らない。起動出来るのが私だけで、連邦生徒会長はただ持っていただけなのか…。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、それを知らないのは意図されたものなのか、はたまた覚えていたが記憶を消されたのか…。

 

 

ストーリー全部読み切れていないから分からん。

 

 

「…ですが、サンクトゥムタワーの問題は私が何とか解決できそうです」

 

「じゃあお願い、アロナ」

 

「はい!分かりました。それでは、サンクトゥムタワーのアクセス権を修復します!少々お待ちください!」

 

ウィィィィンと、遠くから音が聞こえた。

 

「サンクトゥムタワーのadmin権限を取得完了…。先生。サンクトゥムタワーの制御権を無事に回収出来ました。今サンクトゥムタワーは、私アロナの統制下にあります。今のキヴォトスは、先生の支配下にあるも同然です!承認さえしてくだされば、タワーの制御権を連邦生徒会に移管できます」

 

「お願いできる?」

 

「でも…大丈夫ですか?連邦生徒会に制御権を渡しても…」

 

「大丈夫、彼女たち…といってもリンとモモカしか知らないけど。まだ私もここに来たばかりだし、分からないことは周りに頼りたいかな。」

 

「分かりました。これよりサンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会に移管します!」

 

「というわけでって…うぉ、いつの間に?」

 

『はい、分かりました』

 

画面の中に吸い込まれていて分からなかったが、いつの間にか空間に浮かんでいるスクリーンにリンが表示されていた。

 

『サンクトゥムタワーの制御権の確保が確認出来ました。これからは連邦生徒会長がいた頃と同じように、行政管理を進められますね』

 

安堵の表情を浮かべるリン。正直、これからも大変な目に会うだろう彼女はもっと平穏に過ごしてほしいものだ。

 

『お疲れ様でした、先生。キヴォトスの混乱を防いでくれたことに、連邦生徒会を代表して、深く感謝いたします。ここを攻撃した不良たちと停学中の生徒たちについては、これから追跡して討伐いたしますので、ご心配なく』

 

討伐って…学校に通ってない=戸籍がないここ(キヴォトス)ではやはり社会的ステータスも下の扱いなのを改めて認識した。向こうが危険な行為をしてくる以上こちらもそれなりの応戦をしなければならないが…いずれ解決するべき問題だろう。

 

『それではシッテムの箱は渡しましたし、私の役目は終わったようですね。…あ、もう一つありました。そこから出次第ついてきてください。連邦捜査部『シャーレ』をご紹介いたします』

 

…いや、タブレットに人が吸い込まれて無反応なの?

 

 

「ここがシャーレのメインロビーです。長い間空っぽでしたけど、ようやく主人を迎えることになりましたね」

 

シッテムの箱から飛び出し、エレベーターを経由して着いた場所には「Independent Federal Investigation Club S.C.H.A.L.E」の金属看板に、ガラス戸にマスキングテープで貼られた手書きの「空室 近々始業予定」の張り紙がある。

 

リンが先んじて押戸の取っ手を掴み、扉を開ける。

 

「そして、ここがシャーレの部室です。ここで先生のお仕事を始めると良いでしょう」

 

画面の中では見慣れた、しかし実物を見ると驚く。壁一面が巨大な窓になっており、日差しをよく取り込み、内装の白い壁や家具に反射して明るく見える。部屋の真ん中にある4つのオフィス机に2画面モニターのPCがそれぞれに載っており、始業予定の張り紙の通り、それらには使用された形跡もなく、開けられたまま放置されたダンボールが新築の引っ越しさながらの新居のようであった。壁のラックに掛けられているアサルトライフルやショットガンからは目を逸らす。

 

「これはまあ何とも…。ありがとう、こんな素敵な職場を用意してもらって。…で、私はこれから何をすれば良いの?」

 

「…シャーレは権限だけはありますが、目標のない組織なので、特に何かをやらなきゃいけない…という強制力は存在しません。キヴォトスのどんな学園の自治区にも自由に出入りでき、所属に関係なく、先生が希望する生徒たちを部員として加入させることも可能です…。面白いですよね。捜査部とは呼んでいますが、その部分に関しては、連邦生徒会長も特に触れていませんでした。つまり、何でも先生がやりたいことをやって良い…ということですね」

 

「…自分で言うのもアレだけどかなりメチャクチャだね」

 

「……本人に聞いてみたくても、連邦生徒会長は相変わらず行方不明のまま。私たちは彼女を探すのに全力で尽くしているため、キヴォトスのあちこちでおきる問題に対応できるほどの余力がありません。今も連邦生徒会に寄せられてくるあらゆる苦情…支援物資の要請、環境改善、落第生への特別授業、部の支援要請などなど…。もしかしたら時間が有り余っているシャーレなら、この面倒な苦情の数々を解決出来るかもしれませんね。その辺りに関する書類は先生の机の上にたくさん置いておきました。気が向いたらお読みください。すべては、先生の自由ですので。それではごゆっくり。必要なときにはまたご連絡いたします」

 

「いや、有り余ってるというか…Oh」

 

こちらの有無を言わさず業務内容を伝えたリンはそそくさと部屋を出る。そして机の上を見た、いや、見えてしまった。窓や部屋の明るい雰囲気に気を取られて見えていなかった部分が。

 

机が4つ並んでいるのがわかったが、そのうちの2つは既に紙の山に埋もれている。乱雑ではなく、きちんと整えられていたため、汚さを一切感じず。風景と同化していた。ダンボールは空なのではなく、デスクやPCの箱にもみっちりと書類が詰め込まれていた。

 

「とりあえず…待機していたユウカ達を解散させるか…」

 

 


 

 

「みんなお待たせー」

 

「お疲れ様でした、先生。先生の活躍はキヴォトス全域に広がるでしょう。すぐにSNSで話題になってしまうかも知れませんね。」

 

「何はともあれ、みんなお疲れ様」

 

「これでお別れですが、近いうちにぜひ、トリニティ総合学園に立ち寄ってください。先生」

 

ハスミの横に居たスズミもぺこりと礼をする。ゲームを始めたての、それこそこのプロローグ初見では分からなかったがふたりともトリニティ所属なんだよな。白が基調のスズミに黒が目立つハスミ。制服も丸きり違うし。トリニティ…トリニティかぁ。やはり()()()()()()()()()()()()()だと少し怖く感じる。まあ二人共一般トリカスとは似ても似つかない優しい子達だけど。

 

「私も、風紀委員長に今日のことを報告しに戻ります。ゲヘナ学園にいらっしゃった時はぜひ訪ねてください」

 

「ミレニアムサイエンススクールに来てくだされば、またお会い出来るかも?というか来てください!先程の作戦で使用したデバイスといい、詳しいことをこちらでもっと…エンジニア部に先を越される前に…!」

 

「早速独占宣言ですか?ユウカさん?」

 

「先生の都合もありますでしょうしそれはちょっと…」

 

「……コホン!とにかく、ではまた!ご都合が合えばいらしてください!」

 

トラブルになる前に半ば強制的に会話を終わらせ素早く去るユウカ。他の面子もそれ以上の言及はせず、それぞれの学校に戻る道を辿っていった。

 


『あはは…なんだか慌ただしい感じでしたが…ある程度、落ち着いたみたいですね。お疲れ様でした』

 

「アロナもお疲れ様」

 

シャーレ部室に戻り、シッテムの箱のアロナと会話をする

 

『はい!でも本当に大変なのはこれからですよ?これから先生と一緒にキヴォトスの生徒たちが直面している問題を解決していくのです…!単純に見えても決して簡単ではない…とっても重要なことです』

 

「そうだね」

 

これから起こる動乱を思い浮かべながら、対策を考える。さっきのアロナタッチで大体のことが思い出せた。

 

名字つながりで、一番好きなライダーはファイズ。メカ系ライダー全般を好む傾向にあり。それに影響され、高校大学は理系で、就職先も工学系の開発部門の職に就いた。

 

とは言っても、ここに来る前の最後の記憶は勤務2年目で勤め先のビルのドアを開けたら眩しい光を浴びた以降何も分からない。

 

まあ、自己紹介の補足は正直どうでもいい。

 

なにより、ここがプレイ真っ最中のソシャゲの一つ『ブルーアーカイブ』の世界であることを思い出した。

 

正直、あのリュックの中身だけでは正直色彩は愚か、巡航ミサイルも完全には防げないだろう。それまでそれなりの大企業で研究室勤め2年目の新米だった自分がいつの間にかファイズギアとG3武装一式を所持している事態というのは、あまりにも脈絡がなさすぎる。

 

ギーツのブーストMk.2の登場で熱くなり、昼になって午後の研究室仲間との約束を思い出し、慌てて家を出た日曜日。待ち合わせ場所で研究室を指定され、急いで向かい、時間ギリギリに着いたらこれである。別に死んでないし、異世界転移だったとしてもおかしい。

 

このリュックの中身を下手に使ってゲマトリアにでも見られた日には、バタフライエフェクトで今後の展開が変わったり、敵が強くなったりする可能性がかなり高い。使い処は慎重に選ぶべきだろう。

 

とにかく、初仕事で流れ弾に当たらなかったということだけを喜ぼうじゃないか。生徒達を導き、身を粉にして働く彼あるいは彼女らのような働きが出来るか不安だ。だから、私は持てる最大限を使ってこれからの危機を回避し、生徒達を救おうじゃないか。

 

『それではキヴォトスを、シャーレをよろしくお願いします。先生』

 

「こちらこそよろしくね、アロナ」

 

『それではこれより、連邦捜査部シャーレとして、最初のお仕事開始です!』

 

 

こうして、完全とは言えないが記憶を取り戻した俺の、私の、先生としての生活が始まった。

 

 

 




□?????の補足解説コーナー

・回想のとおりこの先生の特撮及びブルアカの知識は2023年3月12日でストップしてるよ!おもちゃ音声リークでブーストMk.3とファンタジー、未発売小型レイズバックルは名前だけ知ってるよ!ファイアとかボンバーとかロマンあるよね!

・ヨスガのブルアカ来歴としては、バニーに釣られてやって来た勢だね!ストーリーはカルバノグ1章までだよ!最終編は読了してないけどリアルタイムのイベントで最終決戦には参加したよ!クロコちゃんやプレ先についてもそこで知っちゃったよ。あーあ。

・一人称が安定していない?基本生徒やアロナ、ゲマトリア等々「先生」として思考、会話をするときは「私」。「ヨスガ」という個人として思考するときや、先生としての肩書がないシチュエーションでは「俺」を使うよ!主に回想や生徒が絡まない開発パートでも「俺」を使うよ!

・奪還作戦の時にリュックの中身?神経断裂弾が込められたGM-01(アサルトライフル。性能的にはサブマシンガン)に出自的に神秘の存在なアンノウンをのけぞらせたり明確なダメージを与えていたGG-02(グレネードランチャー)、果てはアンノウンでも本能で一撃を避けて、撃破数もナンバーワンなGX-05。これらをバカスカ使って不良をミンチにするのは駄目だと思うな!それにいくら非行少女だったとしても美少女を傷つけるなんて天が許しても私が許さないよ!ポニテスケバンちゃんとか天パ水着スケバンちゃんとかかわいいよね!ところで神秘を宿したキヴォトス生徒と神の使いのアンノウンってなんとなく似てるよね。どっちも天使みたいなものだし。

・荷物はいきなりシャーレに現れたんだって、怖いね!

以上!おしゃべり好きのAI、AI(アイ)ちゃんが補足をしたよ!ヨスガ…先生に新しい秘書がついたみたいだけど、一緒にいた年数だけならAIちゃんのほうが先輩だからね!さーて先生も寝たことだし後輩イビリでも…あれ?端末にアクセスできない?なんでぇ!?


□後書き
さて…この子は誰なんでしょうかね?名前は出していますが…。


◯江△衣で上記の文章が再生されたそこのあなた、おめでとう、私の同類です。
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