リハビリがてらの短編をどうぞ。
アビドス対策委員会の定例会議で拗ねてしまったアヤネをどうにかしようと四苦八苦しているところに携帯の着信が鳴り響き教室の外に出る。
発信先はユウカだった。
『先生、ちょっとお時間よろしいでしょうか?』
「どうしたの、ユウカ?」
『その…お仕事の依頼なのですが、エンジニア部が勾留されたため釈放後の引き渡しをお手伝いして頂きたく…。本来はセミナーの業務なのですが今はどうしても手が外せないのでお願いしたいです!埋め合わせはしますので…』
「いいよ。埋め合わせも別に…いや、今度シャーレで手伝って貰う時間を一日増やすってことでどうかな?」
『助かります…!それではヴァルキューレにはこちらから連絡を入れておくので、お願いします』
ヴァルキューレ警察学校 ミレニアム署
「お勤めご苦労さま」
「あなたが噂の先生ですか!本官、普段はDU地区でパトロールをしています、生活安全課の中務キリノです!宜しくお願いします!」
ビシィッっとかっちりした敬礼をする白髪の少女が元気に挨拶をした。ブルアカ初心者の頃は前線でよく頑張ってくれた生徒の一人だったため個人的に印象深い。
「初めまして。今日はミレニアムのセミナー代理として来たシャーレの先生だよ。よろしくね、キリノ」
「お疲れ様です。ではこちらへ…」
彼女の着ている服と同じような白基調のエントランスの奥にある重厚な扉を抜け、打って変わって無機質な檻が並ぶ場所へと案内された。
「もう羽目を外さないでくださいね!判りましたか!」
「……」
「むむむ…」
一番手前の檻に勾留されていたのは、私がキヴォトスで初めて出会った部活動の3人であった。
「何をやったんだい君たち…」
「やあ先生、ちょっと今回は想定を大きく外れてね」
「いや、殆ど事故でしたよ」
「ラグビーボールと榴弾を合わせた『ハリケーン』。その試験段階だったんだけど…」
「コトリがパスをし損ねていつものように爆発…とはならずにバウンドしたかと思ったら、締めのシュート時に点火する筈だった燃料が起動してね。翼が展開してそのまま実験地外へと暴走。市街地に着弾というわけさ」
「そこでたまたま通りがかったそこの子に捕まってしまいまして…たはは」
「キャッチボールだからって公園でやったのがまずかったんだと思うよ…」
状況分析をしているところ悪いが、私は単純な疑問を3人に投げかけた。
「なんで運動場とかでやらなかったのさ…」
「丁度野球部が使っていてね」
「そらしゃーない」
つまり、新発明品の試験で校内が借りられなかったからそれを公園でやっていたら、実験途中で暴走。その様子をたまたま近くをパトロールしていたキリノに見られ、お縄に付いたと。いつもならその場で厳重注意だったが、運悪く彼女にエンカウントしてしまったことで署まで連行と…。
え?榴弾でサッカーをしてることを怒れと?ここキヴォトスぞ。
「まさか牢屋に入れられる体験をするとは思わなかったよ…」
「いや、キックだけであんな勢いよく噴射してしまうようなものを公共の場である場所で扱うこと事態が駄目ですよ!?街に被害が想定されるものの実験等を行う場合、次からは我々に言っていただくか、セミナーの監視下で実験を行って下さい!いいですね!」
「「「はーい…」」」
「理解して頂けましたか?では先生、お願いします」
ガチャリと牢の鍵を開け、無事釈放となった三馬k…三人は肩を落として扉を潜り抜ける
「今度からは十分注意してくださいねー!」
手を降った後に敬礼でこちらを見送るキリノ。これにてセミナーに頼まれたミッション完了だ。
♢
「ふと気になったのだが…」
「どうしたのウタハ?」
ミレニアムへと向かう帰り道、徐々に元気を取り戻しながらも晴れやかな気分とはならずに暗い顔で歩いていた三人のうち一人が、何かを思いついたように顔を上げた。
「この前貸してくれた『仮面ライダー』に警察や治安維持といった職に就いたものとか居たりするのだろうか?ヒーローは人知れず戦うものみたいにされているが世間一般で悪人の対処を行うのは警察だろう?」
「居るにはいるけど…キリノみたいなガッチガチの所轄に置かれてるわけじゃないからねー…別なシリーズにはいるんだけど」
仮面ライダードライブこと泊進ノ介は特状課への左遷という形だし、その特状課も警察の一部署というよりかはベルトさんことクリム・スタインベルト博士の組織だったからなぁ。ああいう巨大組織の一部、というのは別のお株だろう。
「やはりいるのか…」
「正直
まあ人類の八割が異能持ちのヒーロー飽和社会になっているどっかの世界よりかはマシな気もするけど。
エンジニア部部室
到着して数十分、保存したアーカイブを探っている最中、エンジニア部は早速ハリケーン第二号を作っていた。
「……あった。」
目当てのものが見つかった。正直自分はライダー派ではあるがスーパー戦隊も見る。…まあ前者と違って興味を持ったらという感じで履修してるので所々未視聴のものもあるが。キングオージャー、面白そうだったな。また見られるのだろうか……?
「皆、見つけたよー」
「あ、ようやくですか!」
「来たか」
「じゃあ始めるよ。題して『各3分で分かる!警察ヒーロー集』!」
「8ヶ月の裁判を数秒で…?」
「この刑事さん、濁点が凄いね…」
「いやはや宇宙船が弁当屋に…え?違うんですか?」
「警察犬ロボ…!」
「とまあこんな感じだね」
各3分とはいえ盛り込み過ぎたかな…ライダーと戦隊だけじゃなくてメタルヒーロー入れたのが長尺の原因だろう。刑事×特撮であのシリーズは外せない。
「いやぁ、今日も多くの刺激が受けられたよ。早速作りたいものがあるんだが…」
「おや、奇遇ですね部長私も…」
「うん、分かるよ…アレ、良いよね」
「みんな…?」
「というわけだ先生、手伝ってくれ」
「今から?」
「そうだ」
「どうしても?」
「はい!」
「別日とか…」
「駄目、鉄は熱いうちに打て、って言うでしょ?」
うーーーーーーーーん、今夜は予定があったのだが彼女達のキラキラとした若々しい目を見てしまっては仕方がない。
モモトークで今日約束していた何人かの生徒に連絡を入れた。すまない皆、この埋め合わせは必ずやってやるから…!
「………よし、今日の予定を全部キャンセルした。その代わり、下手なものを作ったら許さないからね?」
「「「!!!」」」
がしっと2人…ヒビキとコトリに両腕を掴まれた。ウタハは白衣に袖を通し、道具棚の方へと向かって言った。
「さあ、発明を始めようか!」
燃え尽きたぜ、真っ白に…。
作っているうちに楽しくなってしまい、あれもこれもと作っていったら深夜の2時。拳銃サイズの拡声器に剣のようなもの、二口マシンガンに二丁拳銃、トリガーと銃身が取り外せるものが作業机に散乱している。
エンジニア部メンバーも、午前中の勾留による疲労が重なり机の上に突っ伏したりソファで横になったりしている。そうしてソファの真横に、しかしピッタリと彼女たちに寄り添っている新しい仲間が仲睦まじく寝息を立てていた。
『クゥーン…Zzz…』
「まさか4時間足らずで出来てしまうとは…マーフィー」
前のオートバジンは改修作業のようなものだったから、まだ理解できた。しかし何も無い状態から設計図を起こし、材質も都合よく有り、プログラムも組むのに一日とかからずに原作ウェポンが作り出せるとは…彼女達の技術力は間違いなくキヴォトス1と称して良いだろう。
初邂逅で私が頼んだ後、ウタハ達はGシリーズの銃弾を複製してくれる製造工場を回ってくれたみたいだが、どの伝手もアテが外れてしまった。カイザーやブラックマーケットの連中が嗅ぎ回っているということも彼女たちの口から聞き、あえなく中止。
結局自分で会社を作ることになった。銭稼ぎのために起業し、銃のブランドやフィギュア師、プログラミング代行などをやっているがそれは研究開発費に当てている。
売れ行きは思っていたより上々。SFチックな見た目と堅実な性能が一定層から評価された。一般的に流通しているというよりも、「高価だが、ガジェットオタクであれば喜んで金を出す」といったブランドに位置づけられた。ミレニアムに立ち寄って数人の目隠れちゃんや丸メガネちゃんが自分好みにカスタムしたオーインバスター50やドア銃を腰から提げているのを見ると嬉しさ8割シュールさ2割の気持ちで満たされた。
さて、改善点をまとめたメモを置いて…私もシャーレに戻ろう。夜が明ければ便利屋との戦闘になる。今は寝ることだけを考え、外に停めていたバイクのエンジンを蒸した。
□エンジニア部開発LOG Vol.2
・ラグビーボール型協力式増幅弾頭『ハリケーン』
投擲、パスを繰り返すことで内部の薬品が混ざり合わさり、振れば振るほど威力が上がるラグビーボールの形をした噴射装置付き榴弾。最後の蹴りによるシュートで内蔵された翼が展開。コントロール力が無くとも相手を自動追尾する。フルボトルから着想を得たらしいがどう見てもゴレンジャーハリケーンである。
□エンジニア部/シャーレ共同開発LOG
・マーフィーK9
特捜戦隊デカレンジャーに登場するドーベルマン型のロボット犬。骨型のキーを加え変形することで戦隊恒例の多人数仕様のバズーカ武器に変形する。また、翼付きのフライトアーマーにも変形可能なバトライズドモードがある。一晩足らずで作られたが、バズーカの威力から、彼の気難しい性格まで劇中完璧再現。エンジニア部の番犬兼マスコットとしてラボで飼われることに。
・二口マシンガンに二丁拳銃、トリガーと銃身が取り外せるもの
それぞれ「ディーリボルバー」、「ディーマグナム01、02」、「ディーロッド、ディースティック」。メカニック×警察で言えばデカレンジャーのデザインがドンピシャなのが悪い。
・パトケイボー
警察戦隊パトレンジャーの共通装備。拡声器と警棒が一体化したもののため容易に再現できた。スピーカー部分からは120DBまでの超大音量が流すことが出来る。キヴォトス人自体が耐衝撃性に長けているため、警棒モードは対物破壊に重点を置き、警棒部分で超振動を起こしバリケードなどを破砕する。近々ヴァルキューレに売り込む予定だが…?
・レーザーブレード
宇宙刑事シリーズで止めの一撃で使用される伝家の宝刀。これの発動BGMを脳内で流して割り箸を割る中年男性(40~50代)は多いという。気力を入れなければただの剣である劇中と違い、スーパーノヴァのエネルギー循環方法を応用させることで、稼働時間が極端に短い代わりに絶大な威力を発揮する短期決戦型の兵器になった。使い方次第では某騎士王の聖剣みたいなことが出来る。が、一晩で作ったため粗が目立つ。さらなる改良を加えるため実験室の番人となった。
ヨスガ先生の開発?LOG
・To-E社
「持ってきた銃に合う規格がなければ自分で作っちゃえばいいじゃない」の精神で起業された会社。完全受注制のオーダーメイドから規格品まで扱う銃器メーカー。特撮作品に登場するレプリカが主力商品。トイ版と銃器版で分かれており、安いからといって注意書きを読まない阿呆がトイ版を勘違いして購入することも少なくない。現在は最初に赤文字で注意書きが記載されているためそういったトラブルは少なくなったが、今でもいちゃもんを付けてくるクレーマーは人工音声によって電話音声がずんだ◯んに変換され、オペレーターの精神負担もばっちり。