ラブコメ展開に恵まれるけど告白されたら死に戻る呪いをかけられた   作:管章 眞曽

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処女作ゆえ、至らぬ点も多々ありますがよろしくお願いします


ラブコメ展開に恵まれるけど告白されたら死に戻る呪いをかけられた

高校の入学式前夜、高校生活三年間ラブコメ展開に恵まれるけど告白されたら死に戻る呪いにかけられた。

 

何言ってるかわからないと思う。俺もそう思う。

さらにおかしなことを言うがこの『呪い』ってのは夢の中で神やらなんやらがお告げして説明された上で喰らったと言うことでもなく、宇宙から謎生物が飛来してかけたってわけじゃない。

ただ、入学式当日の朝目覚めるとなんも根拠も覚えもないのにそんな呪いをかけられたっていう認識を抱いた。

ほんとうに何言ってるんだろう、俺。

 

初回の俺は不思議と呪いについて納得している自身を「バカじゃねぇのw」と一人ごちながら高校生活を始めたが、端的に言えば高一の夏休み前に幼馴染の里奈に告白されて本当に呪いが発現して死んだ。

そして入学式当日に戻っていた。

わけがわからなかった。

 

確かに4,5月に常識で説明できない色々なことがあったけれども!

でも、人生で初めて告白を受けて喜ぶのも束の間、痛みが走ったと思えばコンセントをいきなり抜かれたテレビのようにブツンと意思が途絶え、気がついたときには入学式の朝を再び迎えているだなんて!

本当に呪いがあるだなんて!

 

理性では理解が及ばなかった。

でも本能?だろうか、とにかく心の奥底では『やっぱり』って感覚があって自分の心なのに思ったより取り乱さず二周目の人生を受け入れてるってことに混乱した。

そして二周目も訳がわからないまま告白されて死んだ。

どんな文面なんだよ。ひでぇな、おい。

 

それでは俺に起こったここでおそらく呪いによる摩訶不思議現象についてお話ししよう。

 

まず第一にいつの間にか人気急上昇中のネット上を中心に活動する正体不明のバンドグループ、ホライゾンのギタリストとして一員になっていた。

再三言うが俺も何言ってるかわからない。

 

俺の記憶だとネット上でキャーキャーもてはやされ、時には信仰の如き人気を得ることのできる歌唱力など身につけていないはずだった。

ましてや10代半ばのガキが、である。

しかし現実には俺はRenー本名二宮蓮斗の一部を切り取っただけというド安直ネーミングであるーとして二年前から活動を開始し、まだまだ界隈の末席ではあるものの期待の新星として最近注目を集めていると言うのである。

 

これ本当に俺?まだまだガキなのに?

ギタリストとして活躍できる物なの?

なんで現実では普通の男の子なのにネットで活躍できるの?

普通に怖すぎる。

なによりも怖いのはこれを元からそうだったように受けいれこれまた素知らぬ他のメンバー(リーダーである大学生中心に計4人)となんも支障なく交流し活動を続けられている俺自身だ。

まったく触れたことがないギターを弾きこなし、知らない曲を知らない仲間に合わせて弾いてみせる。

さらには指摘された修正点を直してみせる。

なんなんだ俺は!?何者だ?

 

次にマジでラブコメ展開が起きるようになった。

少しネット小説を齧った諸兄ならば前述の状況をみてわかるかもしれない。

そう、学校では冴えない男子が実はネットでは〜ってやつだ。

そんな展開だからかなのか高校ではあんまり存在感を出せていな…いや、元来の性なのかもしれない…。

 

そしてなんか知らんけど見下してくるやつが出てきた。

本当に謎。

今まで絡みがなかったのにひょっこり出てきては絡んできて(なんで?)見下す感を出してくるのである。

言い方悪いけどまさに舞台装置、物語のアクセントの立ち回りである。

精神的に負担がかからない絶妙な低頻度でやってくる彼らは俺のユーチューブチャンネルのリスナーであった。

 

この展開におけるヒロイン(身勝手な言い方だな)は我が高校の生徒会長、岩崎咲良だ。

 

彼女は文武両道で完璧超人として知られ同学年のみならず全校から慕われている傑物であるが実は俺が所属するバンドの初期からの大ファンで俺はひょんなことから彼女に正体ーギタリストのRenであることを知られ、以来親交をもつと言うわけである。

といっても彼女にとってはギター弾いてるだけの俺より声を聞いていたボーカルの方が重要だろ。今まで顔見えなかったし。

と思ってたんだけね…。

 

他には幼稚園以来の幼馴染と小学生の頃、父の再婚によりできた義妹がいる。

二人とも美少女だ。

俺は人の機微にすっっっごく聡いってほどじゃないが鈍感ではないと自負している。俺と彼女らの間に親愛はあるけど恋愛要素はなかったはずだ。

なのに高校に入ってから俺と彼女たちの間になんかもじもじとした、じれったいというかなんか変な空気が流れ始めることが頻発した。

 

一言で言えばラブコメの波動!リアルにこの言葉がぴったり当てはまるものとして使うなんて思っても見なかった。

ちなみに初周の死因は幼なじみー安藤里奈からの告白である。

死因‥‥‥ひでぇ言葉だ。

 

さらには入学式当日、余裕をもって出て登校ルートもしっかり把握してたはずなのに迷った。

スマホの地図アプリを使ったのに迷った。どゆこと?

 

遅刻しそうだったので走ると曲がり角で人とぶつかった。

そのぶつかった人は綺麗な黒髪の長髪の美少女で偶然にも同じ高校に通う同級生の宮崎秋葉であった。

彼女は気が強くビシッと一本芯が通った子で最初はぶつかったことに険悪な雰囲気になったがこちらが真摯に謝れば誠実に対応してくれた。

 

その後一緒に登校する機会に恵まれるも走って息も絶え絶えだったので会話は交わせなかった。

というか男なのにこちらが先に走ることに音をあげそうだった。無事に学校の集合時刻間に合い、一時は解散したがさらに偶然なことに彼女と同じクラスであった。

詳細は省くが俺はのちに彼女の偽装彼氏(!?)になることになる。

 

定番の幼馴染からネット小説のテンプレートまでここまででお腹いっぱいだが俺を襲うラブコメはまだある。

 

中学の頃に転校生として英国からやってきたカノンだ。実は幼馴染の里奈に次いで告白された回数が多い。

出会った当初の彼女は慣れない土地に困惑していたので親切心から俺は助けようと…嘘、嘘です。金髪碧眼で丸メガネをつけ、文学少女然として柔和な雰囲気を漂わせていた彼女に惹かれた俺はそういう下心から話しかけていた。

 

でもそれが功を奏して?現時点で第二位の死因になってるんだからわからないもんである。

いや、呪いによる補正かもしれんな。

はぁ…死ななければハッピーエンドなのになぁ…。

 

1、2、3…計5人か…。多い、多すぎる。現実には一個でもあったらすごいねってのが呪いの究極パワーでヒロインが大渋滞を起こしてる。

 

学校では冴えない俺、実は人気バンドのギタリストで完璧超人の生徒会長から好かれてます〜クラスの人気者は実は俺の幼馴染と偽装彼女で、彼女達からも好かれてます、ちょっと辛いです〜ってか

なんやこいつ盛りすぎやろ、くたばれや。何度もくたばったわ、クソが。

 

…はぁ。ここまでハイテンションで述べてきたがそうでもしないと正気を保てないのである。

某ゼロから始まるやつとは違って死の痛み、苦しみこそ激しくは感じないものの、背筋が毎回凍りついて一瞬恐怖が体を支配する感覚は襲ってくるのだ。

 

正直、最初はそうそうご縁がない目の覚めるような女の子達との自分にはありえないと思ってたラブコメ体験ができることに心を躍らせていたが、流石に何度も繰り返される毎日、何をやっても逃れらない運命(ラブコメ展開)ーバンドの活動をやめる等のヒロインとの邂逅回避、告白を妨げる、常識はずれの行動で嫌われる等、ラブコメ展開から逸れようとすると頭痛が起こったり、違った形で展開することになるーに辟易してきたのが本音だ。

 

仮にこの三年間を抜け出せても健常な生活を送れるだろうか…?

いや、弱気になってはいけない。

俺はこの呪いを乗り越え必ず、明日を掴む。

かかってこいや!ヒロインども!

俺は君たちを乗り越え…違う、かかってくるんじゃなくてこんなクソ思考してる俺じゃないもっと素敵な人を見つけてくれ!

 

ありがたいことに今のところ俺は高校一年の間に必ず誰かに告白していただける。

20を超えたあたりから死に戻りカウントは辛くなってやめたが尽くバレンタインデーを乗り越えられず終わってしまうのだ。

 

初めてバレタインデー当日を迎えることができた周、当然告白を警戒していた俺はスマホの電源を切りメッセージを受け取らないようにして登校した。

休まなかったのは不運なことにバレンタインデーが創立記念日で一日中部屋にいる義妹から逃げるためだ。

登校して時間を潰し遅くに家に帰って即寝る。これが俺のプランだった。

 

しかし登校するとロッカーにラブレター(死の宣告)が入ってた。

このスマホ全盛期の時代にッ!?古典的すぎるっ!やられた!

無視することはできなかった。しようとすれば死に戻りより辛い悶絶級の頭痛がしたのである。

こうして一回目のバレンタインデーチャレンジは幕を閉じた。

 

その後も数度バレンタイデーを迎える機会に恵まれたがどれも悉く失敗。

行けばラブレターor呼び出しからの死に戻り。

休めば義妹or幼馴染or稀に他の子がやってきて告白。

まさしく鬼門であった。

 

これが三回もあるのか…。おのれ、聖バレンチヌス!こういった理由でかの偉人を恨むことになろうとは…。

目下の目標は行動のチャート化、バレンタインデーを乗り切る秘策の考案だ。

 

もう何度聞いたかわからないつまらない入学式の祝辞、知ってる通りの動きしかしない世界。

突然の雨に憂いたり、テストの結果に一喜一憂したり、今まで知らなかったことを体験したり、あんな日常がこんなに尊いだなんて‥

ここまで既知に溢れる世界がつまらないだなんて思ってもなかった。

早く高校二年生になりてぇなぁ…。はぁ…。

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