ラブコメ展開に恵まれるけど告白されたら死に戻る呪いをかけられた 作:管章 眞曽
ラブコメ展開に恵まれたけど告白されずに高校生活が終わった。
それは果たしてラブコメなのか?これって要はラブ抜きラブコメ、コメだよね。と思う人もいるかもしれない。
俺もそう思う。
あれから十数年が経ち、素敵な彼女たちは何も言わず逃げていったゴミ野郎な俺をすっぱり忘れ、各々良き相手をみつけ交際の末、幸せな結婚を遂げることが届いた招待状に書かれていた。
ってなったらいいなあ…
実際はまだ一年も経っていない。いまだに俺はクヨクヨと女々しく未練を引きずり連絡アプリは怖くて返信できないどころか既読もつけられない。
雫だけに辛うじて連絡できている状態である。
といってもどこかギクシャクしていてあまりメッセージを交わせていない。
いつだったか、彼女の寂しさを埋める!!っと決意したくせにお父さんがしばらくは実家周辺を拠点に活動するということに甘えこのざまである。もはやクズの兄。クズちゃんである。
あの学校を抜け出せた卒業式の日。泣きながら駅まで歩いて東京までの旅路は泣きつかれて眠ってしまった。
目覚めた瞬間、ふと『呪い』が解けたなあって感じた。根拠もなく。理性的に考えればそんなの最初からなかったように。
ちなみに受験期間中はお休みを頂いたバンドは呪いが解けたのに未だ所属している。なんで?
だけど俺がおかしくなければ告白されるたびに死に戻った記憶はおぼろげながらも確かに存在していて、やっぱり本能がそのことがあったのを受け入れているのだ。何言ってるんだ、俺?
長い高校生活が終わってさあ新生活へと意気込みたいがそうはいかない。
彼女たちに
それこそが『呪い』が解けて第一にすべきこと、俺がやりたかったことなのだ。
自称張本人によれば解呪後は『呪い』について話したり伝えたりできるらしい。
謝罪や罰は咎人のためにあるとはよくいったものでこれも俺が前に進むための行為だ。
単に俺が罪悪感から逃れたいだけ。またもや自分勝手。最悪の偽善者だ。
しかも直接対面じゃないし。
もちろん夏ごろには直接出向き、ビンタなりなんなりの責め事を全身で受け止める所存でございますが…
万が一、万が一ですよ。仮に彼女らのうち誰かが俺の突拍子もない頭おかしい罪業を、受け止めてそれでも、それでもね。
…そのぉ、俺に好意をむけて頂いたら、たぶん心が傷だらけで愛に飢えている今の俺は性懲りもなく断れないといいますか…即、首を縦に振っちゃうと思うんですよ。
だから今はいけなくてぇ…回復の時間が必要でぇ…
さっきから誰に言い訳してるのだろう?断罪者としての俺?三角様に裁かれるべきか?
閑話休題。
ともあれそのために必死に一年から自分が何したかを思い出して手紙の文面を毎日、起きてから眠るまでずぅぅぅっと考えてるんですよ。
いざ、手紙を書こうってなると、どう書くべきかわからなくてね。
しかも内容が内容だし。いやぁ、これ信じてもらえるかなあ?マジで俺の自己満じゃねえか?
百枚あった便せんはいつのまにか一通分も書き終わることなく消え、大学の準備をほとんどなんもしないまま入学式を迎えていた。
書き終えたころにはゴールデンウイークを終えていた。取り組んだ時間の長さはともかく内容だけみれば受験勉強や部活よりきつかった。
文字がびっしりつまった便せんでいっぱいになった封筒を郵便箱に入れるときとか「俺、本当になにやってるんだろう…さすがにこの量を読ませるのは迷惑極まるのでは?」と小一時間悩んでうろうろする不審者になっていたからね。
意を決して投函したわけだがひと月経った今でも反応がありません!誰からも!!
ブロックとか虚言乙メッセとか来ると予想してたのになにも来ない!
住所を間違えたか?いやそれはないはず…何周も前から知っていて今周も一応確認したし…
やはりキモ過ぎて関わっちゃいけない奴判定されて無反応が正解ってなったのか?
だったらブロックしてくれぇ~
手紙みた?ってメッセ送るか?催促してるようでキモ過ぎる!!
ーーーいや、もともと俺の自己満だし。差し出した首をどう処理しようと彼女達の勝手だから俺がとかく言うもんじゃない。
座して沙汰を待とう、死ぬまで!!!でも、気になっちゃうんだよなあ(クソチキン)
と俺がやきもきしながら日々を過ごして夏休みに差し掛かろうとした時、封筒が届いた。
それも立て続けに複数。
差出人には彼女たちの名前が書かれていた。
どうやら読んでくれたらしい。
中身を見るのはどうしようもなく怖かったが俺は何もない予定のない日に一気に見ることを決めて意を決して封を開けた。
蓮斗君へ
こうしてお手紙を互いに送るのは幼稚園で試しに書いたとき以来だね。
手紙を書くのってなんだか、気恥ずかしいや。
君からのお手紙全部読ませてもらったよ。
私、実は安心したんだ。君が私を避けていたのはちゃんと理由があるんだって。
ずっと不安だった。私が気づかないうちになんか酷いことをやってしまったのか。
幼稚園や小学校の時のように一緒に仲良くすることはもうできないのかな?って。
だから真っ先に告白しちゃったのかもね。
手紙の中に見える君はどれも変わらなくて、こう書くのは恥ずかしいけど私を大切に思ってくれてることがわかったよ。私の思い違いじゃないよね?
今度はなんだかんだ言って避けちゃ嫌だよ?不安にさせた分、今後は思い違いじゃないことを今後は示してね。
追伸
遊びに行くのでその時は東京を案内してください。実は東京行くの憧れだったんだ!
里奈より
秘めていたはずの兄への禁断の慕情が筒抜けだった挙句、知らない私が既に告白していた件について~今更取り繕っても、もう遅い。兄が捨てた子達と最強パーティを作ります~
はい。わかりますか?私の気持ちが。
私は隠し通せてると思ってアタック(私基準)をしたり甘えたりして、それが実は親愛じゃない感情に基づいてやっていることを知られていたことをした私の気持ちが。200文字以内に答えよ。(配点、パンチ10発)
不正解の場合はキック10発だよ。私、鬼教師だから!!
はっきり言って鬼畜野郎です。ゲスです。女の敵です。妹の敵です。
そりゃぁ、最初はなんだこの設定wお兄ちゃん、エイプリルフールは早いぞw新人賞応募の住所はここじゃないで~すwwって思ったのに。
手紙の私に既視感を覚えた自分に驚いたんだよね。
それと一つ言いたいんだけどさ、お兄ちゃん『呪い』?がある前から前からラブコメ展開してたよ?
中学校が違うのに親交がある幼稚園からの幼馴染という里奈先輩に、幼少の時、仲良かった瀬那先輩に、私も今回で初めて知ったんだけど中学の時に攻略したカノン先輩に、なによりも私!!!
私、お兄ちゃんが中学三年の頃から好きだったからね!!言わせんなよ、恥ずかしい!!!
だからまあ、よく頑張ったね!偉い!頑張ったお兄ちゃんには私を永久に愛でる権利を与えます!
もう『呪い』もないからノーリスク!!ノープロブレム!!
とりあえず妹√から選んじゃいなよ、YOU!今度の選択は一回こっきりだがな!!
貴方の愛すべき妹より
告訴状
告訴の趣旨
貴方の供述する行いは乙女翻弄罪等にあたるとして被告人を厳罰に処罰することを求めて、告訴に及びます。
告訴事実
被告人は私の慕情、その内実を知っておきながら知らないふりをして私を弄びました。断じて許される行いではありありません。重罪です。
さらに被告人はこの期に及んで小学生時代、私とどのように交流したかを覚えていない様子。
当時の私からしたら男子からは訳もわからずいじられ、同性からはある時を境に急に疎んじられたところを貴方だけは普通に接して自身が茶化されるのを省みずいじられるのを庇って貰ったことが印象深かったのに当の被告人はたいしたことない過去の出来事として処理しています。余罪です。判決は厳しくなります。
しかし、被告人の供述には真摯さといっそ過剰なほどの反省の色が見えました。
情状酌量の余地ありです。自分を責めるのはやめるよう。
許すも責めるも貴方に権利はありません。おとなしく私の裁きをうけなさい。
以上のことをもって被告人を私との縁切りを禁じ、終身刑に処します。
東京に行ったからと逃げられると思わないように。
P.S. 裁判官なのか原告なのかといった、くだらないツッコミは禁止です。
宮崎秋葉
一筆申し上げます。
夏の夜の涼風が窓辺をそよぎ、月明かりが情緒を照らし出す頃合いに、この手紙をお届けいたします。
蓮斗様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
私事ですがスマホを持つことが当たり前となり手紙を書く機会が稀になりつつある今の世にこうして文通を交わせることを大変喜ばしく思っています。
お手紙拝見いたしました。
どうやら私がご迷惑をおかけしたようでその節は申し訳ございません。
蓮斗様の心中察するに余りあります。
心優しい貴方がどれほど傷つきながら決意をしたのか勝手ながら共感の念に堪えません。
失礼ながら言わせていただきますと貴方の文面にはご自身への嫌悪感が浮かんでいましたが貴方が何も気に病むことはありません。
自身の行動を卑下しておりましたがそれがなんだというのです。未来のために行動するのは当たり前です。私が言うのもおかしいですけどね。
私は貴方の意志の強さに感服いたしました。
だからどうぞ、胸を張って私と接してください。
この手紙と共にイギリスへのチケットを送付いたしました。ぜひ。
嘘です。探しても封筒にありませんよ。冗談です。
また貴方と文学について語れるのを楽しみにしています。
かしこ
カノン・チェンバレン
蓮へ
せっかくあんなにたくさんの手紙を貰ったからこっちも書いてみたよ!!
電話でもメールでもいいのに何故か手紙がいいなって思ったんだ。
で、手紙を書こうとしてみたんだけど結構難しいね!
あの時もそうだったんだけど気持ちを言葉にするって難しいよ。
だから思ったことをそのまま書いてみることにしたよ!拝啓とか季節の挨拶?なんていうのかわかんないけど、とにかく気の利いたことは書けないからよろしく!
手紙を書いてて思ったんだけど手紙って素敵だね!!
伝えたいことをなんとか言葉にして相手を想ってああでもない、こうでもない、って試行錯誤してさ。
かけた時間にその人への愛が現れているようで乙女じゃん!!
蓮、君の私への愛、受け取ったよ!!ひゅー!
さて、私たちはまだ親友かな?君はなにか勘違いしているのか『これからも、まだ俺たちは絆を結んでいられるか?』とか書いてたけど【この私と君】より君は私といるんだから下がるどころか普通ランクアップするんじゃないかな?
私のこともっとわかってていいんじゃないかな?
言葉なんかじゃ私たちはおさまらない。
私は君を信じてるから君がどうであろうずっと好きだよ。
好きっていうのもなんかしっくりこなくて違和感あるけどね。
永遠に仲良くしてよう!なんてね。
瀬那より
先輩、遠慮とかないんですか??
どうしてこんなことできるんです??
この手紙の私はまるで色ボケ女じゃないですか!!
先輩の激しい妄想だと言ってくださいよ!!新手の告白とかじゃありませんよね!?
でもよかったです。先輩がただのハーレムクソ野郎じゃなくて。
女の敵でよかったです。ん?いいのかな?
手紙のことについてなんですけど正直、半信半疑ですね。半分信じてもらってることにむせび泣いてください。
でも半分疑われていることに不安になる必要はありません。どうでもいいんで。
先輩は先輩です。死に戻りで違う私に何しただとか、自分勝手に私に対し酷い対応しただとか覚えがないんでどうでもいいです。
馬鹿じゃないですか?自分が知覚できない自分とか他人ですよ。だからこれで、うわっ、傷つくわ~ってのはちょっとなあ…そんなに感受性高くないです。
すべてが先輩の言う今周のことと、手紙に書いてあることなら許します。
逆に他になにかあるなら場合によっては許しませんから白状するなら今のうちですよ?
こんなの私だけですよ?私、ちょー健気じゃないですか。自分で自分に惚れてしまいそうです。
ところで先輩の大学、難しすぎません?先輩のくせに生意気ですよ。
今度、通話で勉強教えてくださいね。
あとサークルとかでハメを外さないでくださいよ。特に女性関係。
これ以上増えたらマジで愛想尽かしてぶっころしてやりますからね!!
俺は大学生活最初の夏休みに無事入ることができた。
ちょーっと、友達作りをおろそかにして、試験が死にかけたね。
危なかったぜ。
ループでコミュ力鍛えてなかったら終わってたぜ。
でもよー、俺周りより精神年齢は圧倒的に高いはずなのに大学生活ギリギリなんだぜ?
ヤバくね?
しかしまあ、夏休み長いね!!まるで死に戻りループみたいだね!
ーー冗談でも使わないほうがいいわ。トラウマががが。
初動は遅れたが趣味の合う友達は作れたし、入ったサッカーサークルは程よく活躍できて一躍人気者になれて超楽しいし、バンド活動もようやく板についてきて、自分の実力で弾けてますって部分も増えてきた。
バンド活動といえば我々ホライゾンはメジャーデビューを果たし、近々ライブをするとか。
時々、大学構内でホライゾンの名を聞くこともあるしこりゃ、えらいこっちゃ。
かぁー!なるか!!大学のスターに!!人気者に!!
まぁ、いうて俺はギタリストなんですけどね。はいはい、変わらずモブですよーと。
そんなこんなで俺は借家の最寄り駅に来ていた。
妹がオープンキャンパスに行くついでに泊まりにくるらしいのでそのお出迎えである。
あの手紙を交わして以来、メッセージを時折交わして以前のように戻れた?けどやっぱり直接対面するのはちょっと気恥ずかしいなーって思ったり。
約束の時間の20分前に駅の改札前に来ると見覚えのある美少女が。
どうも妹です。こちら私の自慢の妹でございます。ぜひ、お見知りおきを。
「おーい、雫!よく来たなー!こっ…ち…だ、ぞ…!!!?!?!?」
孫がやってきたときのおじいちゃん、おばあちゃんっぽく雫を出迎えると雫の背後に見覚えのある美少女がいた。
複数人も。というか、これーー
「はは…お兄ちゃん久しぶり…」
「久しぶり!蓮斗君!」
「神妙にお縄に着きなさい。逃亡犯。」
「また会えるのを楽しみにしていました。蓮斗君♪」
「やっほー!蓮!さっそくまた遊びに来たよ!」
「どうも、どうもー♪先輩、プレイボーイですね♪なあ、おい」
どうしよう。
みんな来ちゃった。えええ!!??どうすればいいんだ!!潤彰先輩もハッサクもいない!!
「そりゃあ、君。告白イベントを回避しただけで好感度調整はミスってるからね。こうなると思ってたよ。」
岩崎咲良!!なぜ、ここに!!
「君はまだ、面白いからね!!」
「読心するな!!!」
夏真っ盛りの今日。
背中を伝う汗は恐怖の冷や汗なのか。
正直、あとは自然消滅だと思ったのにすごいことになった。
これは…そうそうに答えを出すべきだよな…
この状態はクズすぎるもんな…
皆は笑顔のまま、改札をくぐりいつの間にか近くにやってきた。
道行く人の視線が痛い。はい、私は罪人です…
現実にはほぼありえない状況が俺の目の前に広がっている。
一言で言えばラブコメ展開。いや、これはラブコメなのか?
岩崎咲良は愉快そうに笑っていやがる。
もう、俺に『呪い』はないけどこれは、これは…間違いなく…
告白されたら死ぬしかなさそうだ…
今後主人公君は間違えられない一回こっきりの世界で困惑しながらなんとか一人を選ぼうと苦心しますが、幼馴染は毎年泊めることを迫ってくるし義妹は妹だから!のごり押しで明らかにそうじゃない方の接近をしてくるし、元同級生は隙あれば実家に連れ込もうとするし、偽装彼女はいつまで経っても関係解消しないし、昔馴染みはだれとどうなろうとしれっと部屋に入り浸る、距離感も変わらないし、後輩は同じ大学にやってきて同じサークルに入ってくるし、先輩は一生笑ってくる。
明日はどっちだ!
今まで拙作をありがとうございました。
これにて完結となります。(番外編をまた書くかもしれませんが。)
感想、誤字報告、評価大変ありがとうございます。
また、機会がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。。