ELDEN ARCHIVE 〜褪せ人inキヴォトス青春記録〜 作:通りすがりの料理人
本編とは関係ない、狭間の地からキヴォトスに来たばかりの色々ヤバい思考のシードル君です。
本編→敵対者でもキヴォトスでは殺人はヤバいから自重しよう。オートマタは問答無用で破壊するけどな!生徒や獣人の『コイツは存在したら駄目な奴だ』みたいなのは誰にもバレないように殺そう。(まだキヴォトスで殺しはしてない)
番外→敵対者は殺す。生徒・オートマタ・獣人関係なしに皆平等に殺す。土下座するなら命は取らない。代わりに武器を貰う。敵対しなければ基本無害。
本編時空のシードル君はキヴォトスという牛乳でマイルドになっているカフェオレ。番外時空だと狭間の地という世紀末のヤベー世界観に染まったままのブラックコーヒーです。
開校!エルデン学園!
──舞台は巨大な学園都市【キヴォトス】
透き通る様な世界観で贈る、ブルーアーカイブ!
……そんな世界観の筈のとある学園のお話。
血で血を洗う、異能系学園バトル!
そしてとある生徒の転校により、彼等彼女等の物語は大きく動き出します!
それでは、いってらっしゃーい!
学園都市【キヴォトス】 《フロム自地区》
「いっけなーい!遅刻遅刻☆」
もう、お兄ちゃんたら起こしてくれないなんて!*1
あ、自己紹介が遅れました。私はメリナ!キヴォトスにあるエルデン学園に通う2年生!*2
この子は霊馬のトレント!今日もお願いね!
『ボフッ』
トレントに乗って走り出す。やっぱりトレントは速いわね。お陰様で寝坊してもなんとか間に合うからね!
あ、曲がり角。でもいつも通るけど、人なんかほぼ通らない道だし急いでるから止まらなくてもいっか!
ドグシャッッ!
「あ」
…………轢いちゃった☆
「いっけなーい!遅刻遅刻☆」
俺、シードル・クラウン!前世で死んでエルデンリングの世界に転生した、いわゆる転生者ってやつ!
今朝目が覚めると見慣れた円卓では無くて見知らぬ部屋にいたんだ!現代文明のテレビやらスマホやらがあってびっくり!
そして机の上には転入手続きの書類や学生証、制服があったんだ!学校の名前は【エルデン学園】というらしい。
何だ?この学パロ時空は??
しかも軽く調べてみるとこの世界は学園都市キヴォトスと言い、ヘイローと言う光輪を頭に浮かべた少女達が銃撃戦を繰り広げる世界らしい。いや、マジで何なの??
そして、問題はエルデン学園だ。どうやらキヴォトスでも異質な銃を使わない自地区らしい。剣や弓、魔術等を使う…。つまりエルデンリングの能力を使う学生がいる自地区って事。
更に調べるとキヴォトストップクラスの治安の悪さらしい。マジか…。いや、エルデンリング世界の治安と変わらなさそうだし当たり前か…。
そして気づいたら登校時間ギリギリ。
「やべぇ!転校初日に遅刻はマズイ!」
とりあえず色々入ったスクールバッグを持ち、制服に着替えてローファーを履いて家を出た。頭には兜を着けているが制服の防御力には不安が残る。
だが今は急いで向かわなければならない。幸い学生証に地図が挟んであったので道は大丈夫だ。
「それにしても、まさかトレントが居ないとは…」
そう、相棒である霊馬トレントを呼び出す為の【霊馬の指笛】が何処にも無かったのだ。改めてトレントが居ない不便差に歯痒い気分になる。
そんな時、聴き慣れた音がした。
そう、蹄の…千年以上聞きつづけた相棒の蹄の音が!
「トレント!」
勢いそのままに角を曲がる。
ドグシャッッ!
そして俺はトレントに轢かれたのだった。
YOU DIED
…なんて事だ。フロムプレイヤーたるこの俺が角待ち攻撃を受けて死ぬとは…!俺もまだまだだったか…!
さて、見た感じ家に戻ってしまったらしい。また始めからか…。
再び家から出て走り出す。道は頭に叩き込んだのであとは角待ちに気おつけて進むだけだ。*3
すると何やら困っている様子の女性が前方にいた。そしてコチラを見てギョッとした顔を一瞬したが直ぐに戻し、コチラに手を振る。
“ちょっと良いかなそこの君〜!”
「どうした!?遅刻ギリギリだから手短に頼む!」
”あ、ごめんね!私はシャーレの先生なんだけど、エルデン学園に行く道が解らなくて…。君もエルデン学園の生徒だよね?案内してほしいんだ“
シャーレ?先生?
何だろうかシャーレとは…。先生と名乗ったからにはシャーレと言う名の学校の教員だろうか…?時間が無くてリサーチ不足だったな。帰ったら詳しく調べてみるか。
「よし、解った。ただ俺も今日が転校初日。学校までの道は解るが校内は解らないぞ」
“え!今日が転校初日なの!?そんな時にごめんね!”
「構わない。さあ行くぞ先生!」
そうして走り出す俺と先生。
しかし先生の走る速度は遅く、このままでは置いていってしまう。かと言ってスピードを落としたら遅刻してしまう……。
致し方無し。
「失礼」
”え?きゃっ!?“
俺は先生を横抱きにして走り出す。
“ちょ!?これお姫様抱っこ…ッ!?”
「すまんが時間が無いんだ!我慢してくれ!」
最初は顔を赤くしていたが、だんだん慣れてきたのか『うわ!凄い筋肉!服越しでも分かるなんて沢山鍛えたんだね!』等と言ってきた。………あんまり胸を触らないでほしいんだが?
”そういえばまだ君の名前を聞いて無かったね“
「む、そうだったな。俺はシードル・クラウンだ。よろしく」
“うん!よろしくねシードル君!”
それから学校に着くまで凄い話しかけられた。『何で兜被ってるの?最初凄いびっくりしたよ』とか『銃は使わない自地区って聞いたけどシードル君も剣とか使うのかな?』とか…。
あの、全力疾走中なんで会話は控えたいんですが…?
「見えてきたな、アレがエルデン学園か…」
”おぉ!トリニティやゲヘナやミレニアムに負けないくらい大きいし広いね!“
トリニティ、ゲヘナ、ミレニアム……。確かキヴォトスでもトップクラスにデカい学園だったか?それに引けを取らないとは中々だな…。
「………なんか、壁とか地面に血みたいなのがあるんだが…?」
“……壊れた剣の残骸みたいなのがあらゆる所に刺さってるね”
「”……この学園、そうとうヤバいのでは?“」
俺達の考えは一致した。学園に近づくにつれてコンクリートの地面や塀に血が大量に付着しているのだ。あ、今一瞬路地裏に倒れて血を流してる人影がいたような…?傍らに血濡れた剣を持った人影がいたような…?
………よし、見なかった事にしよう。
それはそうと…
「……おすすめの学園ってある?」
“転校初日なのにもう転校しようとしてる…!?”
そりゃそうだろ。もうゲンナリしてるよ?現代文明なのにあらゆる所に血がついてるんだぜ?まだファンタジー世界の狭間の地なら良いが、流石にコレはちょっと…。
”うわ…。なんか今ドラゴンみたいなのが飛んでたよ…?“
「飛龍までいるのかこの学園は…!?」
世界観にあって無いよ。
“あ、あそこが学園の入口みたい”
「ッ!?」
学園に通じる巨大な入口。その左右には黄金の鎧を着た馬に跨る、これまた黄金の鎧を身にまとった騎士が2人いた。その手には巨大なハルバードと大盾を持っていた。
「ツリーガード…!?しかも2体も…!」
マズイ。先生を抱えた状態で…しかも鎧でなく制服の今、2体も相手にして勝てる自身が無い。せめて先生がいなければなんとでもなるのだが…。
足を止めた俺に不思議そうな顔を向ける先生。そしてツリーガードの一体がコチラに気づいた。
(クソッ!狭い路地裏に逃げ込むか…?だが…路地裏も何が潜んでるか解らない…。先生だけ逃がして足止めに専念する…!)
「そこの君!早く入らないと遅刻するぞ!」
「え?」
「ふむ?初めて見る子だな?」
「あ、先輩この子じゃ無いですか?転入生って?」
「ああ、そういえば今日から転入してくると聞いていたな。とりあえずあそこの入口から入って事務受付に書類を出して職員室に向かって」
「…………………あ、はい。ありがとうございます……」
「それと貴女は…?」
”はい、私は連邦捜査部S.C.H.A.L.Eの先生です“
「おぉ!貴女があの噂の先生ですか!」
“ようやく落ち着いてきたので今は色んな学園に挨拶をしております”
「そうでしたか!この自地区は何かと問題が多くて、シャーレの先生の力を貸して貰えると有り難い!さぁ、どうぞどうぞ!先生も彼と同じく事務受付から職員室へ!」
”ありがとうございます“
………ふむ、どうやらシャーレとは中々凄い所らしい。あと学校じゃ無かったのか…。
“さ、行こうシードル君!”
「ああ」
◇ ◆ ◇ ◆
その後、俺は先生と別れて教室に向かっていた。まさか担任がギデオンだとは思わなかった…。ちなみに担当教科は歴史らしい。
「それにしてもずいぶんと珍しい。新しい生徒がエルデン学園を訪れるなど…」
「はぁ…。そうですか…」
「……教師としてひとつ忠告しておこう。君はまだこの学園の真の生徒になった訳では無い。いわば体験入学のようなものだ」
「…?書類なら確かに提出しましたが…」
「そんなものは関係無い。この学園に真に相応しきかどうか、まだ洗練を受けていない貴公にはな」
「洗練…?」
「フン、せいぜい頑張るが良い」
(…この世界でも感じ悪いな…。それにしても洗練か)
そしてクラスについたようでギデオンが先に教室に入る。
「静粛に。皆知っているだろうが今日より新たな生徒を迎え入れた。……まぁ、見た感じ長続きはしないだろうとは思うがな」
何だとこの野郎。
「さぁ、手早く自己紹介をするといい。時間が勿体ない」
「……今日より転入してきたシードル・クラウンだ。好きな物はエビで趣味は骨董集め。特技は裁縫だ。よろしく頼む」
まばらな拍手を受けながら周りを見ると何人か見知った顔がいた。元の世界とは違う人物とは知っているが少し安心した。
空いてる席に座ると隣の席の生徒が話しかけてきた。
「やあ、私はディアロス・ホスローだ。隣の席どうしよろしく頼む」
「あ、あぁ。シードル・クラウンだ。こちらこそよろしく頼む」
こうしてディアロスとまた話せるのは中々に喜ばしい。俺の知るディアロスは既に死んでいるが別人だとしても友との再開は嬉しいのだ。
「よう。俺は泣く子も黙るエルデン学園のならず者、ビック・ボギー。お前エビが好きなんだって?エビ好きに悪人はいねぇ。よろしくなぁ」
「あぁ、シードル・クラウンだ。よろしく」
反対側はまさかのならず者とは…。コイツにもエビカニで世話になったからな。
そして授業は進み昼休みに入った。
「良かったらちょっとした案内ついでに昼食をどうだろうか?」
「それは助かる。だいぶ広くて困っていたんだ」
「なら決まりだな。君もどうだビック・ボギー?」
「フン、良いぜ。暇だし付き合ってやる」
何だかツンデレみたいな奴だな。
こうして2人に案内されて歩いて居るとシャーレの先生の姿を見つけた。向こうも気づいたらしく笑顔で手を振りながら走ってきた。
”シードル君!今朝振りだね!知らない人ばかりで心細かったよ〜“
「まぁ、先生は戦闘は出来そうにも無いしな。厳つい連中が多い様だし不安だったろう」
初期装備褪せ人より貧弱そうだし、さぞかし怖かっただろう。するとディアロスが不思議そうな顔をしながら尋ねてくる。
「貴女は誰だろうか…?生徒では無さそうだが教員に貴女のような人は居なかった筈だ」
“うん、私は連邦捜査部S.C.H.A.L.E.の先生だよ。よろしくね”
「あのシャーレの先生か!」
「あん?シャーレ?なんだそりゃ?」
「あらゆる規約や法律による規制や罰則を免れ、どんな学園の問題たろうと関与する事が可能な超法規的機関…それが【連邦捜査部S.C.H.A.L.E.】だ」
「法律を無視できて罰則も無しだと!?スゲェな!?」
いや、本当に凄い組織の人だった…。かなりフレンドリーだったから敬語も何も無かったがマズかったか…?
「そ、そこまでじゃ無いよ!?まだキヴォトスに来てから日も浅いし!それより今からお昼?私も一緒にいいかな?」
「ああ、俺は構わない。2人はどうだ?」
「私も大丈夫だ。初めまして先生、エルデン学園2年のディアロス・ホスロー。以後お見知り置きを」
「俺も構わねぇよ。俺は泣く子も黙るエルデン学園のならず者、ビック・ボギーだ。よろしくなぁ」
そうして先生を加えて食堂に向かいそれぞれ注文を済ませた。
俺とならず者は海老フライ丼(大盛り)ディアロスはステーキ、先生はペスカトーレだ。
「…それでだ、担任のギデオン…先生は『洗練』がどうのこうのって言ってたんだが、2人は何か知ってるか?」
「……この学園には様々な派閥が存在し争っている。数えると切りが無いがその派閥が君を見定めるつもりらしい」
「こんな時期の転入生だ。悪い意味で目立っちまったのさ。有益なら屈服させ派閥に取り込み、駄目なら潰す…。見てみな、周りの奴らもテメェを見てやがる」
「……なるほど」
真の意味での生徒では無い…。つまり派閥に入って居場所を手にするか、潰されて学園に居られなくなるかのどちらかという訳だな。
「別に派閥に入らない奴だって大勢いるんだぜ?俺みたいにな。だが時期が悪かったな。今は派閥どうしの小競り合いが増えて一種即発の状態だ」
「自派閥の強化になるか邪魔な存在になるか解らない危険分子って訳だな俺は…」
”は、話しには聞いてたけど本当にゲヘナより治安悪いんだね…“
「道のりでだいたい解ってはいただろう?何処を見ても血・血・血だった筈だ。我々にはキヴォトス人みたいにヘイローは無い。つまり防御力に関しては先生よりは強いくらいだ。銃弾一発で大ダメージになる」
「だから俺達は防具着用が許されてるんだぜ。…まぁ、だいたいの奴は頭にしか着けて無いがな」
“全身鎧はカッコいいけど生徒かどうか解らなくなりそうだからね…”
確かに、殆どの生徒は制服に兜スタイルだ。たまに籠手やらを着けているが。
「っと、話しが逸れたな。つまり今日の放課後にでも君は『洗練』を受ける事になる。……が、どうだろうか?私の所属する派閥に来るのは」
「あぁ、なるほどな。先に派閥に入れちまったら洗練は受けなくて済むって訳だ。だが、テメェの派閥かぁ……」
ふむ、ディアロスの所属する派閥…か。円卓か?いや、直ぐに居なくなったしな…。
…………まさか。
「私の派閥はデミゴッドの1人、ライカード様をトップとした【火山館】だ」
っすぅ────。
「…気持ちは有り難いが、俺は大丈夫だ。腕には自信がある」
「そうか……。だが、腕に自信があるからと言って油断はしない様に。せっかくこうして仲良くなったのだから君には学園に残っていてほしい」
「まぁ、なる様になるさ。さてそろそろ時間だし戻るか。先生はこれからどうするんだ?」
”せっかくだからシードル君のクラスの授業を見てみようかな。許可は貰ってるし“
「なら一緒に行くか」
食器を下げて4人で教室に向かい、午後の授業を受けた。
◆ ◇ ◆ ◇
”いや〜。まさか魔術の授業なんてあるんだね“
「教科書もあるのか…」
まさかの教科書化された魔術の本を先生と読みながら放課後を迎えた。いや、それにしても教科書だけで複数の魔術を覚えられるのは凄い。狭間の地だといちいちスクロールを探しては誰かに渡して教えて貰うしか無かったからな…。*4
1年、2年、3年生で学ぶ魔術の難易度が違うらしい。因みに俺は全ての魔術を扱えるから特に学ぶ事も無かったな。
「さて、いよいよか」
“……本当に大丈夫なの?”
「問題無い。腕に自信があると言ったろ?」
「慢心は良くないぞ。足元を掬われる」
「ま、頑張れよ。餞別の茹でエビだ」
「ありがとう」
そうしてクラスを出て、更に校舎を出た瞬間に複数の生徒に囲まれた。見覚えのある兜から派閥が何処なのか理解し、思ったより簡単に終わりそうだと少し安堵した。
「こいつ等は…ゴドリック兵!気を付けろデミゴッドの派閥だ!」
ディアロスがそう叫んだ瞬間、ドシドシと足音を鳴らしながら巨大な人物が現れた。
「フン、貴様か。転入生とは」
「…あぁ、そうだ。大層なお出迎えだな」
”な、何なの…!?あんなに大っきいし、腕も沢山ある…!?“
「あの人物こそがデミゴッドの1人、黄金の君主【接ぎ木のゴドリック】」
“接ぎ木…?”
「生徒の身体の一部を奪い自身の身体に繋ぎ我が物にする儀式を行っているんだ。…なんと悍ましい」
お前の派閥のトップもだいぶ悍ましい事してるけどな?…と口から出そうなのをグッと堪えてゴドリックを睨む。
先生は接ぎ木の実態を聞いて青ざめ、しかし次の瞬間にはゴドリックの非道な行いに怒り目付きを鋭くさせる。
「…さて、貴様に問おう。我が派閥に降るか、我が一部となるか……。何方にする?」
ニタニタと醜悪な笑みを浮かべるゴドリック。俺は返答する事も無く名刀月隠を引き抜く。
それをみたゴドリックは表情を歪めて虫を見るかの様な目を向ける。
「愚かな…。自身の立場すら解らぬとはな。……殺れ」
その言葉にゴドリック兵達は抜剣し斬り掛かってくる。
「…戦技【束の間の月影】」
そして俺はそいつ等をたった一振りで薙ぎ払い倒した。本来の威力より遥かに強く、範囲も広い光刃にゴドリック意外の全ての兵が倒れた。
「なっ!?」
驚愕するゴドリックや俺達を眺めていた野次馬の生徒達。ディアロスやならず者も目を見開いている。ただ1人、先生だけは何が起きたか解らずポカーンとしていた。
「……弱いな」
「くっ…。ふ、ふん!雑兵を倒した程度で図に乗るな!」
「おっと、危ない危ない」
斧を振り降ろしてきたゴドリック。その攻撃を難なく避けた俺はクイックステップで近付き懐に入る。
「魔術【アデューラの月の剣】」
左手に装備した杖が冷たい魔力の大剣を形作り、連続で冷気の刃を放ちゴドリックを切り刻む。
「グオォォォォッッ!!?」
膝を付き傷口を押さえて苦しむゴドリックを見て周りがどよめきだした。
「嘘だろ…!?あのゴドリックが一方的に…!?」
「いくらデミゴッド最弱とは言っても、一般生徒とは比較にならないんだぞ!?」
「あんな魔術も見たことがないわよ!?」
「いったい何者なんだあの転入生は!」
そして先生達も信じられない物を見るような目で見ていた。
”す、凄い…“
「ああ、まさかこれ程とは…」
「は、はは!あのデミゴッドを倒しちまうのか…!?」
“す、凄い凄い!”
「せ、先生…?」
”リアル魔術!魔法!ウィザード!さっきの刀から出した光の斬撃も凄くカッコいい!“
「「そっちの方の『凄い』…?」」
先生だけは元の世界の映画やアニメでしか見たことの無いリアル魔法に大はしゃぎしていた。
「ぐ、くそぉ…!いったい何なのだ貴様は…!」
「何って…一般褪せ人Cだが?」
『お前のような一般人が居るかぁッ!?』
この場の生徒の満場一致の答えだった。
「おのれェ…!馬鹿にしおって…!転入生風情が不敬であろう…ッ!」
立ち上げったゴドリックは斧を力強く地面に突き地を揺らす。その表情は怒に染まっていた。
「地に伏せよ、我こそは黄金の君主なるぞッッ!!」
ビリビリとした覇気を受け大半の生徒は後退り唾を飲む。
「あの覇気、やはりデミゴッドは伊達では無いか…」
“シードル君…!”
「不敬?地に伏せよ?」
瞬間、ゴドリックを上回る異様な程の覇気を放ったシードル。余りの威圧に何名かは白目を剥き倒れ、ゴドリックですら冷や汗を流した。
「いきなり転校だ何だと考える暇すら無く…」
左手の杖を聖印に変え、祈祷【黄金樹に誓って】を発動。
「来る途中で愛馬に轢き殺され…」
更に祈祷【火よ、力を!】を発動。
「担任は冷たい態度だし、洗練だの何だのと…」
左手から炎が迸る。
「挙げ句の果てに派閥に降るか接ぎ木になれ…?」
炎は火球へと変わりどんどん巨大になる。
「どいつもこいつも…この俺を苛立たせる…ッ!」
まるで小さな太陽。そう表現するのが適切な火球へと変貌したソレを放った。
「貴様が地に伏せろッ!」
ゆっくりとした動きで近づく火球。それを喰らったらマズイと判断したゴドリックは回避しようとする。幸い動きが遅いので避けるのは容易いだろう。
しかし、火球の直ぐ後ろには武器をグレートソードに持ち替えたシードルがいた。
「俺こそがエルデの王だッッ!!!」
フルスイング。
まるで野球の様に、バットでボールを打つ様に、グレートソードの腹の部分を使い火球を打ち出した。
「え」
さっきまでとは比べ物にならないスピードで飛んでくる火球に唖然とする。そして避ける隙すらなく直撃。後に大爆発を引き起こした。
祈祷【超豪速球悪神の火】
その破壊力に周りのゴドリック兵達も吹き飛ばし巨大なクレーターを作り出した。
「あ……がぁ………!?」
そのクレーターの真ん中、満身創痍のゴドリックが倒れていた。
そんなゴドリックは恐怖に支配されていた。まるでかつての自分が喧嘩を売り無様に敗北したマレニアとの戦いの様に。
否、それ以上に恐怖した。
ザッ…ザッ…
「……ッ!??」
満身創痍ながらも誰かが近づく音に反応し、見てしまった。
「まだ生きていたか…」
巨人砕きを二刀流にしながら勇者の肉塊を喰らうシードル・クラウンの姿を。
「ひっ、ひいぃぃぃぃぃッッッ!!??」
絶対絶命。まともに動かない身体にムチ打ち這いずって逃げる。あまりに無様。だが本能レベルの恐怖に抗うことはできない。
一歩、また一歩と後ろからゆっくりと…だが確実に近付く死の気配に涙を流しながら這いずる。
「どうだ?地を這う気分は?」
「無様だな。さっきまでの威勢はどうした」
「デミゴッドとしての…黄金の君主としてのプライドは無いのか?」
「もういい…。今楽にしてやろう……死ね」
振り上げだ巨人砕きが振り降ろされた。
”駄目ッ!“
「ッッ!!?」
しかしゴドリックを庇う様に先生が間に割り込んだ事により咄嗟に軌道を変えて攻撃を逸らした。
「あっぶ…!先生!何をしている!?死にたいのかッ!」
“もうこれ以上は止めて!殺すなんて駄目だよ!”
「ハァッ!?」
“勝負はついたんだよ!だからこれ以上は攻撃しないで!死んじゃうよ!”
「殺そうとしてるんだよコッチは!ソイツだって俺を殺そうとしたんだ!殺して何が悪い!!?」
”私の目の黒いうちは大事な生徒に殺しなんてさせないし誰も死なせない!“
「ッ!」
真っすぐな強い意志を持つ瞳をシードルに向ける先生。その瞳にゴドリックの威圧ですら下がらなかったシードルを後ずらせた。
「……震えているじゃ無いか…。怖い筈だろう…なのに何故そこまでして……」
“それは私が…先生だから”
「……………はぁ。理解できん。…だが解った此処は大人しく引くとする」
”…!シードル君!“
遂に折れたシードルは武器をしまい踵を返した。それに先生は嬉しそうに笑顔を向けた。
「だが勘違いするなよゴドリック。次は無い。殺さないだけで二度とまともに動けない様にしてやるからな」
「……ッ!?」
こうして彼の学園生活は幕を上げる。
「ゴドリックが敗れた?それは本当か…?」
「は、間違いありませんモーゴット様」
「ガッハッハ!中々に骨のある奴だ!気に入った!」
「どうしましょうかラダーン様」
「我には関係の無い事だ。そんな事よりミケラだ」
「モーグ様…。放っておくのですか…?」
「タニスよ…。新たな英雄を迎え入れよ」
「畏まりました…」
「ふふ。面白い子が来たようだねマレニア」
「いかが致しますか、兄様」
「ラニ、どうする?」
「今は様子見だブライブ…」
そして、様々な派閥が動き出した。
更に他の学園にすらも影響は及ぶ。
「ヒナ委員長!エルデン学園の情報が…!」
「……そう、一波乱ありそうね。……引き続きあの学園には注意をはらっておいて」
「ナギサ様、エルデン学園の事でご報告が…!」
「……これは…。エデン条約目前にまた新たな不安の種が…。引き続き動向を探って下さい。特に彼についてです」
「リオ様…」
「えぇ、解っているわトキ。彼はあまりに危険過ぎる。この都市に害をなす程に…」
こうしてキヴォトスに吹いた一陣の風は、大きな嵐となり学園を揺るがす。
………半神たるデミゴッド達はそれぞれ動き出す。ある者は危険な存在故に排除しようと、ある者は我が派閥に取り込もうと、ある者は気にも止めず、ある者は利用しようと、ある者は面白い物を見つけたと、ある者は見極めようと……。
………更に様々な学園も動き出す。
キヴォトスでもっとも異質でもっとも危険な学園に警戒していた彼女達は更なる脅威と判断し、警戒する。
こうして彼の新たな物語は始まる。
波乱に満ちた
「メリッ!?私の出番はッ!!?」
【生徒紹介】
「今日からエルデン学園に転入してきたシードル・クラウンだ。よろしくな先生」
【プロフィール】
名前…シードル・クラウン
レアリティ…☆3
役割…STRIKER
役割…FRONT
クラス…アタッカー
武器種…刀
遮蔽物…使う
攻撃タイプ…爆発
防御タイプ…貫通
学園…エルデン学園2年生
部活…未所属
誕生日…???
年齢…1000歳以上(書類では16歳)
身長…187cm
固有武器…名刀月隠
市街地戦闘力…S
屋外戦闘力…S
屋内戦闘力…B
【EXスキル】超豪速球悪神の火(コスト5)
FPを消費し、円形範囲内の敵に攻撃力の400%分のダメージ
【ノーマルスキル①】束の間の月影
FPを消費し、敵1人に対して攻撃力の300%分のダメージの光刃を横と縦の2回放つ。EXスキルの使用時、『黄金樹に誓って』にスキルが変化
【ノーマルスキル➁】黄金樹に誓って
FPを消費し、80秒間、自身を含めた味方全員に攻撃力15%増加、全タイプカット率を10%上昇させる。EXスキル使用時、『束の間の月影』にスキルが変化
【パッシブスキル】聖杯瓶
赤雫の聖杯瓶でHPを、青雫の聖杯瓶でFPを回復させる。使用回数は合計で6回(最大強化で14回)
【サブスキル】不死
HPが0になり消滅してから15秒後にHPが全て回復した状態で復活する。聖杯瓶の使用回数も回復する
続く?
『お前絶対生徒って年齢じゃ無いだろ!?』とか『死人出てない!?』とか『普通に教師いるの!?』とか色々あると思いますが…頭空っぽにして読んで下さいね。
追記
この世界線のユメ先輩は!!生きてますよ!!!
ホシノと喧嘩→砂漠で迷子→干からびかける→ビナー現る→死を覚悟→愛馬と遠駆け中の一般通過星砕きの英雄にビナー君轢かれる→その衝撃波でユメ先輩吹き飛ぶ→アビドス高校の窓を突き破って帰還→ホシノ驚愕→生存√→ビナー死す
最後に、4話の『総力戦!カイザーVSアビドス+その他大勢』で次回のカイザー理事との決着で先生と共に駆け付けるメンバーのアンケートを取りましたが、『もうシードル1人でいいんじゃ無いか?』に50票以上が投票されてました。ホシノや写し身の雫ですら10票ちょっとだったのに、『もうシードル1人でいいんじゃ無いか?』は50票以上です。
人の心とか無いんか???
では本編では可哀想ながらもシードル君1人で戦って貰う事にします。
あー!可哀想だなーッ!!!