ELDEN ARCHIVE 〜褪せ人inキヴォトス青春記録〜 作:通りすがりの料理人
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アーマード・コアのデカールで作った便利屋黄金林檎のエンブレムです。ユメやサオリ達はワッペンにして付けたり、服に刺繍してあります。因みに刺繍はシードルがしました。
【ビナーの追憶】
アーカイブに刻まれた
デカグラマトン第3の預言者ビナーの追憶
求道者を名乗る『デカグラマトン』によって感化された生命の樹の名を冠する預言者の一体。
異名は『違いを痛感する静観の理解者』
シッテムの箱により、主の力を得る事ができる
また、使用により莫大なルーンを得ることもできる
前回までのあらすじ
トキ「今日から貴方は『戦友』です」(戦パン)*1
写し身の雫「シードル、オレァ クサムヲ ムッコロス!!」
カイザー理事「この……野蛮人どもがああああああ!」
シードル「爆発オチなんてサイテー!」YOU DIED
カイザーPMCとの戦闘から数日が経過した。あれからの話をするとしよう。
まず始めにカイザーPMCに関して。
本社であるカイザーコーポレーションは今回の件はカイザー理事の独断であり、我々は一切の関与をしていない。全ての責任はカイザー理事にあると述べた。見事なまでのトカゲの尻尾切りである。
そして全責任を押し付けられたカイザー理事はあの爆発により生死不明となっている。が、生存は絶望的だろう。捜索される事も無いままに彼は死亡扱いにされた。
次に土地の問題。やはりコレは未だにカイザー所有の土地のままである。今回の件の慰謝料代わりに土地を要求するも突っぱねられた。まぁ、コレに関しては期待はしてい無かったとアビドス生達は言っている。代わりにそれなりの慰謝料は得られたので復興に役立てようと奮起している。
そして写し身の雫について。
あの後シードル爆殺事件を起こして多少スッキリしたらしいがまだまだ怒りが収まらない様子でシードルをリスキルしようとするのをその場に居合わせた生徒達に止められなんとか思い止まらせる事に成功。生徒達はあまりの迫力に冷や汗が止まらなかったそうだ。
そしてシードルは写し身の雫に1週間の長期休暇を与えるので何処か好きな場所に旅行に行って存分に休んで来てくれと今までの労働分+ボーナスでかなりの額と霊呼びの鈴を渡し、更に先生が今後は他にも生徒達に協力して貰い当番制にして仕事を分散する事を提案。今回知り合った多くの生徒達が協力してくれる事に。
シードルも狭間の地時代から乱用ばかりしてきた事を謝罪し今後の戦闘などでは余程の事態でも無い限りは他の遺灰を使う事を約束した。
これには写し身の雫もニッコリ(兜で見えないが……)
その内容ならば問題無いと納得してくれた。今頃は百鬼夜行か山海経辺りで美味いものを食べてゆっくりしているだろう。
そして現在シードルは協力してくれた生徒達に礼をする為に各学園を訪ねていた。
各学園を訪ねて回って疲れたシードル・クラウンです……。
……何? 各学園の様子が見たかった? 特に何も無かったから別に良いだろ? …………はぁ……分かった分かった。少しだけ話してやる。
まず最初に向かったのがトリニティ。ティーパーティーと正義実現委員会、後はミネとヒフミに会いに行った。
ティーパーティーには高級茶葉詰め合わせを贈った。名前の由来通りお茶会によく誘われるので迷わず選んだ。それから軽く紅茶をいただきながら雑談をして正義実現委員会へ。
コチラは沢山の生徒がいるので大量のスイーツを贈った。トリニティの生徒達は甘い物好きが多く、スイーツ店も沢山ある。色々な店のスイーツを買って来たので選り取り見取りだ。特にハスミが喜んでいたな。……そう言えば、ダイエットしてなかったっけ? いや、でも普通に食べてたしもう目標体重まで減量できたんだろう。そういう事にしよう……。
続いてミネに会いに救護騎士団へ。ミネは破壊神の様に恐れられており、プロテインクッキーが好きと噂で聞いたが真偽が分からないので非常に悩んだ。そんな時にアズサからの情報で以前ヒフミとモモフレンズグッズを買った時に偶然居合わせ、ウェーブキャットに興味を持ったらしい。
なるほど、恐れられているとはいえやはり年頃の少女……。可愛らしい物が好きなようだ。そしてウェーブキャットの巨大抱き枕を贈った。一応後輩に見られたら恥ずかしがるかもと思いこっそりと渡した。
そして最後はヒフミだ。これはもう迷うことなくモモフレンズだ。アズサに聞いて今1番欲しいらしいグッズをブラックマーケットにて入手し贈った。あとあんまりブラックマーケットには近づかない様にとも言ったが思いっきり目を逸らしながら愛想笑いしてたので効果は無さそう。
次に向かったのはゲヘナ。風紀委員会と便利屋68に向かった。風紀委員会に関しては以前の借を返して貰った訳だが菓子折りを持って礼を言いに行った。かなり忙しそうにしていてヒナの目元に隈が出来ていた。どうやらアビドスの件で万魔殿がまた無茶苦茶な事を言いだし仕事を増やしたらしい。
流石にこれは申し訳ないと仕事を手伝って万魔殿に物申してきた。何やかんやで無料で依頼を受ける事になったが風紀委員会の仕事が減るなら良いだろう。凄い感謝されたしヒナは申し訳なさそうにしていたが気にするな。あと以前言っていた風紀委員会の反省文を渡されたがやんわりと拒否。そんなの貰っても困るんだが……。電話帳とか辞書みたいな厚さの束が何個もあるんだよ? そんなに読めないよ!?
そろそろ御暇すると言うとアコにせっかくだからコーヒーでもと言われたので足早に退散した。アコのコーヒーは不味いのだ。せっかくの紅茶の余韻が殺されてしまう。
そして便利屋68の事務所に向かった。コチラは依頼として来て貰ったのでアタッシュケースにギッシリの札束を渡した。白目で震えながらアタッシュケースを持つアルは見ていて面白かった。ついでに昼飯も奢った。だってアイツ『危うく今日のご飯が綿埃になる所だったわ……』って言ったんだぞ? 綿埃は食べ物じゃねぇよ? そんな訳で、店は美食研究会にオススメを何軒か聞いてから行った。じゃないとハズレの店に入ってそのまま店と一緒に爆破……なんて事も普通に有り得るからだ。これだからゲヘナはよぉ……!
続いて訪れたのがミレニアム学……じゃなくてミレニアムサイエンススクール。セミナーに行きユウカに以前シャーレで欲しいと言っていた【キヴォトス中の生徒が最も欲しい電子機器TOP3】の高級ノートパソコン、エイ〜ブックレアを贈った。軽く雑談した後に俺に助けを求めながらノアに引き摺られているコユキを見て見ぬふりをしながらC&Cへ。*2
C&Cに着くと大型犬の様に飛びついてきたアスナを猟犬のステップで躱しながら入室。メイドなのでと安直な考えだがトリニティの紅茶とお菓子を贈った。また紅茶をいただきながら雑談。この時点で飲み過ぎでお腹がタプタプしていた。
それと、ネルに聞いたが飛鳥馬トキなんて人物は知らないと言われた。何だと?
そう思っていたらスマホに差出人不明のメールが届いた。指定された場所に向かうと今は使われていないであろう古い建物が見えた。しかしよく観察してみると人の痕跡がチラホラ見えた。警戒しながら扉を開くと建物の中にはトキとリオがいた。どうやらメールはリオからだったらしい。贈り物の紅茶とお菓子を渡した。相変わらず戦友呼びするトキに苦笑いしながら暫く雑談をして立ち去った。
そして今現在百鬼夜行連合学院に訪れていた。何故かイズナもあの戦いに参加していたらしい。何故にアビドスに? と思ったがよく俺の後をつけているので多分そういう事だろう。祈祷や魔術を忍術と勘違いしているちょっと……いやかなり頭忍者な娘ではあるが一応弟子ではある。ま、簡単な祈祷に刀の振り方ぐらいしか教えてやれないがな。何度魔術や祈祷の事を説明しても忍術だと言われてるけどな。もう本人が忍術だと思ってるなら忍術でいっか……。
そんな訳で修行をつけて欲しいと言われて鍛えているのだが……。
「できました……! 神秘を掌に乱回転させながら球状に圧縮した技…………。その名も螺旋……」
「おう、ちょっと待てや」
「はい? どうかしましたか?」
「いや、あのさ……。その技と技名はなんか色々マズイと思うんだが……? というか何故出来た? 俺の教えた事にそんなの出来るようなもの無かっただろ?」
「何を言っているのですか!? 毎日イズナにこの術を会得する為のコツを教えてくれていましたよね!?」
「知らん…何それ…怖…(こ、コイツ……! まさかイマジナリーな俺を……!? イカれてやがる……!)」
イマジナリーセレン師匠『お前が言うかソレを?』
「とにかく……その技はちょっと」
「あ!
「あ、待てッ!」
「
「待てっつっただろォん!!?」
「「「「「グワァーッッ!?」」」」」
「やりました! また一歩、キヴォトス1の忍者に近付きました! お師匠殿! またイズナに新しい術を教えて下さいね!」
「寧ろ俺が教えて欲しいんだが??」
「今戻った」
「あ、シードル君おかえり〜」
「ああ、俺の居ない間に何か依頼は来たか?」
「今日は何も来てないね」
便利屋の事務所スペースに行くとユメが書類を纏めている所だった。随分と社長代理も板に付いてきたようだ。
「社長代理は順調そうだな」
「ひぃん……! 私には荷が重いよぉ……!」
「そんな事は無いさ。良くやってくれてるよ」
そう褒めると照れて頬を赤くしながら『えへへ』とニヤけていた。すると他のメンバーも事務所へとやって来たようだ。
「さて、お前達の力添えで無事にアビドスをカイザーの魔の手から救う事が出来た。感謝する」
「気にしないでよ! 私はアビドスのOBなんだし!」
「私達の同胞の住む場所なんだ。礼を言われる程では無い」
ユメとサオリがそう言って他のメンバーも頷く。
「いや、そうもいかない。よって今回特別ボーナスを与える。給料明細だ。既にそれぞれの口座に振り込んである」
皆に給料明細を配る。何やかんやで皆嬉しそうにしているので満更でもないようだ。ボーナスは嬉しいよな。
「さて、後はワカモとアキラにもだな」
ワカモは台所、アキラは自室だろう。
事務所スペースから居住スペースに移動し廊下を歩いていると目の前に誰かが立ち塞がってきた。
「……カイ」
「やあ、社長殿」
その人物は居候その3の申谷カイであった。
「先の戦い、遠巻きながら見させて貰ったよ。話しには聞いていたがこの目で見るまでは半信半疑だったよ」
「……? 何の話をしている……?」
「不老不死の話さ」
カイの目付きが変わる。
「社長殿……いや、シードル・クラウン……君は……君が、神仙なのか……?」
「神仙……?」
神仙とは何だろうか? おそらくカイの出身である山海経にまつわる何かなのだろう。それから不老不死の話の直後にこの質問……。おそらく神仙とは不老不死に関係する何かであろう。
そこまで考えカイの目を見る。いつもの軽薄そうな笑みでは無い、真剣な、何処か期待するかのような瞳。
「…………その神仙とは何かは知らない。ただ言える事があるとするなら」
「……」
「俺は“褪せ人”だ。それ以上でも以下でも無い」
「…………そう、か。いやすまないね社長殿。いきなりこんな事を聞いて……。では失礼」
その瞳に失望や落胆といったモノは見えない。ただ予想通りであったかといった反応であった。ただ多少の期待はあったようだが。
(……神仙では無いとしても不老不死は実在した……。ならば仙丹を完成させる事が出来れば私も……)
「カイ」
「……? どうかしたかい?」
「不老不死もそんなに良いもんじゃないぞ」
「ッ!?」
「ま、ただの独り言だ。気にするな……。じゃあな」
(……彼はいったい何処まで……? いや、考えるだけ無駄か……まったく。調べれぱ調べる程謎が深まるばかりだ……)
カイと別れ廊下を進んでいく。おそらくカイは不老不死に強い興味を持っている。今までも何人か見た奴等と同じ感じだったからまず間違い無いだろう。
別に不老不死になる分には構わない。ただ、他者を利用してまでなろうとするならば一応家主としての責任で止めてやろう。そして止められずに不老不死になり害悪と判断したならばこの手で殺してでも止めてやらねばならない。キヴォトスの為にもカイの為にも……。
「……早く探し出さねばな……【不死斬り】を」
黒服との契約の際に出した条件。不死斬りの情報の提供。果たして本当にこの世界に流れついているのだろうか……。
今考えても無駄か、と台所への扉を開けるのだった。
まだ太陽も昇らぬ早朝。アビドス砂漠の一角。そこに1人の少女が立っていた。ピンク髪にオッドアイ、年齢に対して不釣り合いに小さな体躯の少女……小鳥遊ホシノである。
普段のほんわかした雰囲気は無く、長い髪はポニーテールにされており普段使うショットガンを右手に、折りたたみ式の盾を左手に装備。更に胸元のホルスターにハンドガン、スモークグレネードなどを装備したフルアーマーであった。
ホシノはただ瞳を閉じ、その時が来るのをジッと待っていた。
数分が経つ頃、ホシノの背後からザッザッと砂を踏む音が聞こえ始め瞳を開けた。
「またせたなホシノ」
その声に応えるように振り返り、直後身を屈めた。
頭上を通り過ぎた
普段の鎧にいつも帯剣している刀。以前屋上での口論の末に突発的に発生した戦いの時とは違う、完全なる戦闘態勢。
「
「……ッッ!」
前回の傷付けないように戦闘不能にしようとしたものとはまったく違う。純粋なる殺気に顔が引き攣る。
「言うまでもないが、この勝負に勝ったら黒服との契約についていっさいの口出しや邪魔をするな。第三者を介するのも当然駄目だ。負けたら契約は破棄して二度と黒服と接触しない……コレで良いな?」
「……うん、ソレで良いよッ!」
返事の途中にショットガンの引き金を引いたホシノ。複数の鉛玉がシードルに向かって飛んで行く。瞬間、姿が掻き消えたシードル。その直後ホシノは背後に向かって再びショットガンを放つ。今度のショットガンは先程とは違う神秘を込めた破壊力抜群の本命であった。
「祈祷【黄金の怒り】」
「ッぶないなぁ!」
本命の一撃も放たれた衝撃波により止められた。飛んで後ろに下がり衝撃波から逃れるとスモークグレネードを投擲。シードルの視界が白煙に包まれる。
「【戦技】嵐脚」
大地を踏みつけるた瞬間、嵐が起こり白煙を吹き飛ばす。
「何でもありだよねッ! 本当に勘弁してよッ!」
そう言いながらも攻撃の手を緩める事は無くショットガンを連発する。指紋石の盾を使いガードするシードルは右手に杖を装備。次の瞬間ホシノは突如背後から攻撃を喰らい地面に倒れる。
「カハッ!??」
「【魔術】奇襲のつぶて」
「グッ……! 本当に何でも出来るの……!?」
「どうしたもう終わりか!?」
抜刀術の態勢に入ったシードルから再び青い斬撃が放たれる。縦一閃の斬撃を地面に倒れたまま転がって避ける。身体中が砂まみれになりながらも何とか回避したのも束の間。立ち上がるとすぐ目の前には刀を上段に構え振り下ろそうとしているシードルがいた。
それを見たホシノは目を見開く。そして小さく笑った。先程転がりながら左手に掴んだ砂を兜のスリット目掛けて投げたのだ。コレには攻撃動作中だった事で回避出来ずにモロに目潰しを喰らってしまい攻撃を躱された。そしてその一瞬の隙にシードルの無防備な腹部に向かって最大威力の神秘を込めたショットガンが炸裂した。
「入ったッ!」
攻撃が直撃したのを確認したホシノ。だが深追いはせずにそのまま後退した。その判断が正しかった事を直後に悟る。
「何で最大威力の一撃を喰らって無傷なのかなぁ……?」
「【戦技】無敵……。名前の通り無敵になる事ができる」
『1秒間だけだがな』と心の中で呟く。目潰しを喰らって直感で発動した無敵……。少しでもタイミングがズレたなら致命傷は避けられ無かっただろう。歴戦の感が冴え渡る。
「流石にチート過ぎるんじゃ無いかなぁ!?」
頬が引き攣るホシノ。もうどうすれば勝てるのか分からないと頭を抱えたい気分である。
(純粋なパワーでも負けるし、技量も負けてる。普通に走る分には私が速いけど瞬間的にはあっちが速い。戦略もあっちの方が上、手数も武器の種類も多すぎて対応出来ないのに、守りまで鉄壁ってどうゆう事かなぁ!? 唯一勝ってるのが肉体強度だけなんだけど!?)
もし、ここが水場ならば足の付かない程深い場所に落とせれば瞬殺出来ただろう。褪せ人の最大の敵は崖からの落下に水中への落下による溺死(?)である。因みにシードルは重力の魔術の会得により落下死を克服したが水中は駄目だ。まったく泳げないのだ。『浮力? 何それおいしいの?』と言わんばかりに海底に落下して一瞬で溺死(?)する。どうなってんの?
話を戻すが、ここは砂漠。水などとは無縁の地……。シードルの最大の敵は存在しないのだ。
(もうさァッ! 無理だよ! 攻略法わかんないんだからさァッ!?)
ホシノはちょっと涙目になった。しかしそんな事で攻撃を止める訳にもいかないと常人ならばまず対応できないであろう高速リロードショットを放つ。
しかしそれすらも反復横跳びのような猟犬のステップにより悉く躱される。地味に煽られている感じがして非常にムカつく。
(もっと近くから撃たないと当たらないっ! でも間合いに入ると斬られるっ……! だけどそんな事を恐れていたら勝てないッッ!!)
”肉を切らせて骨を断つ“……例え斬られようと倒せるならばそれで良い。その覚悟も無い奴が勝てる相手では無いとホシノは足に力を入れ地面を力強く蹴る。
「……ッ! 来るかッ!」
「ハアアアァァァァァァッッ!!!」
突撃するホシノに対してシードルのとった行動は後退。これにホシノは勝機を見出す。連続のリロードショットを放ちながら距離を詰めて行きグレネードを投げる。
「チッ!」
手に持つ杖をグレネードに向け撃ち落とそうとするシードル。しかしその行動は途中で止めざるを得なかった。なんとホシノがシードルに向かって折り畳んだ状態のシールドを投げ付けたのだ。かなりの重量のある鉄の塊が凄まじい速度で飛んできた事により判断が遅れ、シールドを魔術で撃ち落とす事を優先した。放たれた魔術が直撃し軌道が逸れる。グレネードを狙うには近すぎて間に合わない、巻き込まれると判断し盾で防ごうとする。多少ダメージを喰らうが大半はカットできる。
そう思った瞬間すぐそこまで飛んできていたグレネードに一発の銃弾が直撃した。矢鱈スローに見えたその光景に目を見開きホシノを見る。右手に持つショットガンとは別に左手にハンドガンを持ち構えていた。
(利き手じゃ無い、しかも片腕だけで命中させやがったのかよ……)
そう考えた瞬間、盾も間に合わないまま爆炎に呑まれた。
そしてその爆炎に向かってホシノは駆け出した。あの程度で倒せる訳が無いと知っているからだ。
案の定、爆煙の中から何かが飛び出してきたのを拾った盾で受け止める。コツンと軽い音がした後に白煙が視界を埋め尽くす。
(あっちもスモークグレネードを……! 視界を奪われた、どう出る……!?)
あちらの攻撃が多彩過ぎて次のアクションが読めず、盾を構えたままジリジリと後ろに下がる。
「グッ……!? ガヒュッ……!」
攻撃を受けた訳では無いのに突然苦しみ出すホシノ。いったい何が起こっているのか理解出来ず、ただこの場にいるのはマズイと直感的に感じ煙の中から飛び出した。
「ゴホッ! ゴホッ! ……ハァ……ハァ……いったい何が……!」
咳き込み口を押さえた手が赤く染まる。
(吐血……!?)
「【魔術】夜巫女の霧……。命を蝕む銀の霧を生み出す魔術だ。スモークグレネードの煙で異変に気付くのが遅れたな」
「ゴホッゴホッ……(毒の霧……!? そんなのまであるの……!?)」
「辛そうだな? この辺りで降参したらどうだ?」
斧を引き摺りながらゆっくり近付くシードル。ホシノはそんなシードルを睨見つけながら引き金を引く。
「……諦めるつもりは無い……か。良いだろうとも、とことんまでやってやろうじゃないか」
だが無情にもその銃弾は躱されてしまう。
両手で斧を持ち構える。するとシードルの横に同じ構えをした白い影が現れた。
「【戦技】挟撃の幻」
白い影──戦技によるシードルの幻がホシノに迫りその斧を振り下ろす。それを盾で防ぐホシノ。しかし先程のダメージが残っていたせいで膝をついてしまう。その隙を突くようにシードルが先程の幻と同様に斧を振り下ろした。
「ッ! アアアァァァッッ!!」
叫ぶホシノ。ソレに呼応するかの様に盾からハニカム状の透明なシールドが展開されホシノを包んだ。
「チッ!」
そのシールドは斧を弾き飛ばし大きな隙を作った。ホシノがショットガンを構えた。
(無駄だ! 弾を込め忘れているのに気付いてないな!)
ホシノは先程の苦し紛れの攻撃の後、弾を装填していなかったのだ。
だがホシノはソレに気付いていた。気付いていながら弾の込められていない銃口をシードルに向けた。シードルを油断させる為に。
銃口から鮮やかな桃色の光が溢れ出し、シードルの胴体を貫いた。
「ガハッ!!?」
何が起きたのか理解出来ずに腹を貫かれ吹き飛ばされ砂の上を転がる。兜の口元からは血が溢れ、胴鎧は穴が空き血が噴き出る。
「グッ……! なんだ、今のは……!」
「……いつも思ってたんだ。魔術とかで光の剣とかをどうやって出してるのかなって」
「……ッ! まさか……」
「私も似たような事が出来ないかなって思ってやってみたんだ」
シードルの魔術にFPを使い光剣などを形作るように、ホシノは神秘を使い銃口からエネルギーで出来た銃弾を撃ち出したのだ。
「うへ……。威力凄いけどなんかエネルギーが一気に無くなった感じだぁ……。乱発は無理そうだね」
『実弾に纏わせる方が低燃費で実用的だなぁ』とボヤく。そんな姿を見ながらも冷静なシードル。
今回の戦いにおいてシードルは一切の回復をしないつもりである。ホシノは回復手段が無いのにコチラばかり回復するのはフェアでは無いと考えたからだ。
人によっては舐めプだと思うかもしれないが回復有りならば万が一にでもホシノに勝ち目は無いだろう。そもそもシードルは本気を出していないのだから。
シードルの本気……それすなわち“殺し合い”である。もちろん大切な友人であるホシノを殺すなどできないので本気を出せ無いのだ。ただし全力では有る。
かつての狭間の地での激闘。デミゴッドや巨大な竜、様々な怪物を相手にしてきたシードル。もちろん、人間程度のサイズしか無い者とも戦ってきた。確かにホシノはキヴォトスにて最強の一角である。だがまだそんな怪物を相手にしてきたシードルに届く事は無い。
「シッ!」
「ハァッ!」
シードルが動く。ホシノは弾を装填したショットガンを構え引き金を引く。神秘を纏わせた散弾がシードルに迫る。
「【戦技】嵐の壁ッ!」
盾を振るうとまるで嵐が巻き起こったかのように風が吹き荒れ散弾を逸らす。
(……お腹に穴が空いたのにまるで応えてない……! 流石、片腕を吹き飛ばされても戦おうとするぐらいにはイカれてるなぁ!)
互いに満身創痍のようで実は全然違う。ホシノは少しでも気が緩むと崩れ落ちるくらいにはダメージを負っているのに対し、シードルはまだHPが半分近く残っており余裕がある。寧ろ一撃でも掠ったら終わりくらいのHPになってからが本番だとすら思っている。*3
未だ展開されたホシノを囲う半透明なシールドに向かい二刀流にした巨人砕きを何回も叩き付ける。しかし大気を揺らす強力な一撃一撃を受けてもシールドはビクともしなかった。それに対して内側からのホシノの攻撃だけがすり抜けシードルにダメージを与える。
「グッ……! (ビクともしないか……! どんな強度だ……!)」
「ッ! ハァッッ!!! (長時間の展開は無理! シールドが消える前に倒さないと負けるッ!)」
ホシノはシールドを展開したまま突撃し岩との間に挟み込むように押し出す。
「ッこの!」
ホシノがシールドと岩で挟み込み身動きを封じた上で最大威力を撃ち込むつもりだと理解し猟犬のステップで横に回避しようとした。
そしてホシノが笑う。
「ポチッと」
「──は?」
左手に持ったスマホを操作した瞬間、砂中から鉄製の壁が迫り上がってきた。左右に壁、背後に巨大な岩、前方には破壊不可のシールド。完全に逃げ場を失った。
「何だこの壁はッ!?」
「ちょっとしたツテでね。ミレニアムのエンジニア部の人達に作って貰ったんだ〜。あ、まさか事前に罠を仕掛けてたからって卑怯だなんて言わないよねぇ? 戦いはとっくの前に始まってたんだから」
ちょっとしたツテ、ソレは便利屋黄金林檎の経理担当兼社長代理にしてアビドスのOGである梔子ユメである。かつてエンジニア部に頼んで作成した特注の盾【ガーディアン】……。現在も度々整備でお世話になっておりそれなりに交流がある。そんなユメに紹介して貰い事前に罠を仕掛けていた。
「クソッ! (破壊して脱出するしかねぇ!)」
「あ、その壁爆発するらしいから気を付けてね?」
「相変わらずのエンジニア部クオリティ!??」
『自爆って、ロマンだよね』とエンジニア部3人がサムズアップしている姿を幻視したシードル。コレはマズイ。
「さっきの【無敵】って、何秒持つのかな? とりあえずコレで最後の攻撃だから……。私の全て、受け止めてね?」
銃口にホシノの神秘が集中していく。どうやら数秒は続く最大攻撃を仕掛けるつもりらしい。
これに対しシードルは盾を構えるでも無く、戦技で防ぐでも無く、剣を振りかぶる。
「……(シールドは破壊不可能。壁は爆発仕様。巨大岩を破壊する威力の技は壁も巻き込むから使用不可。最後の悪足掻きなんてらしく無いね)」
止めを刺そうと引き金を引く直前、信じられ無い物を見たホシノはその動きを止めてしまう。未だ展開されているシールドを剣が貫通……否、素通りしてきたのだ。
理解出来ず目を見開いたホシノに剣が直撃し鮮血が舞う。ボロボロの身体に止めを刺されたホシノは仰向けに倒れる。
意識が遠のく中、シードルを見る。シードルは不可思議な剣を振り抜いた姿勢で止まって何かを呟く。
「【戦技】防ぎ得ぬ刃」
ガード貫通攻撃、どんな防御も意味をなさないその一撃にホシノは『本当に何でも有りだなぁ』と呟きながら意識を手放した。
巨大な神々しい黄金の樹が根付く地。
鎧を纏った人物が剣を振るい人程のサイズがある巨大なコウモリと戦っていた。……が、その剣は素人丸出しでありまるで当たらない。
四苦八苦しながらも何とか倒し、息切れしながら地面に倒れ込む少年。所々負傷しており劣勝と言わざるをえない。
そんな光景をホシノは見ていた。
やがて息が整ったのか立ち上がる少年は震える足で進んでいく。導かれるその先へ恐怖を噛み殺すかのように。
(あ…ま、待って…)
思わず出た言葉に少年が反応したのか振り返る。塗り潰されたかのような真っ黒な顔。しかしその色褪せた瞳と視線がぶつかった。
(そっか、貴方が…)
手を伸ばした瞬間、段々と意識が遠のく感覚に陥る。まるで何かに引っ張られるかのように少年から遠ざかる。そして少年は暫く背後を見ていた後に再び前に進む。一歩一歩踏みしめながら。祝福の導きに向かい…。
その足はまだ震えていた。
「う、うぅ…ん?あ、れ?私は…」
「ホシノ!良かった…。目が覚めたか」
身体が揺られている感覚に目を開けるとそこには布の何かがありその布の何かから聞き慣れた声が聞こえた。
……あぁ、これ兜に巻いてるストールか。……あれ?何でストール部分が目と鼻の直ぐ側に?
現在の状況を確認しよう。何かにしがみついたみたいな態勢の私。目の前のストール。ストールより下にはマント。太腿辺りに鉄製の籠手がありずり下がらないようにされている。そしてマントの下に感じる硬い鉄の感触。
あ、おんぶされてる。
「え、ちょ!?何で!?こんな事になってるのかなぁ!!?」
「ウォッ!?馬鹿!暴れるな!」
ようやく現状を理解した私はパニックになり暴れてしまい彼に怒られてしまった。
「いや、しかし本当に良かった…。うっかりやり過ぎて危うく殺す所だった…」
『王たる回復とぬくもり石が間に合わなかったらヤバかったな』と言っているが私そんなにヤバい状態だったんだ…。確かに血が足りないようで身体が動かないや。
「……すまない。久方ぶりの本気の殺し合いに熱くなり過ぎた」
「別に気にして無いよ。それだけ私が強かったって事でしょ?だけどあんなのはもうこりごりだぁ〜。おじさんには辛いよぉ〜」
「おいおい、まだ17だろ…。俺なんかもうヨボヨボの老人どころかミイラになってる歳だぞ?」
「お、おじいちゃん…」
「おいコラ落とされたいのか???」
「「……プッ、アハハハハハ!」」
すっかり日の昇った砂漠に2人の笑い声が響き渡る。さっきまで殺し合い一歩手前の戦いをしていた用には見えない穏やかな時間をゆったりと歩きながら過ごすのだった……。
その晩、彼女達はとある夢を見た。
1人の少年の孤独な戦いの夢を。
『なんで…なんで…俺は狭間の地に居るんだ…ッ!?』
少年が始めに見たものは巫女の死体だった。初めて見た死体に恐怖し腰を抜かした少年は地面を這いながら建物を出た。そして外の景色を見て目を見開いた。
巨大な…余りにも巨大な黄金の樹を見たからだ。
夢を見ている彼女達は雄大なるその黄金樹に魅入っていた。
だが…少年は違った。その黄金樹を見て抱いた感情は〝恐怖〟に〝絶望〟であった。彼は叫ぶ。発狂したかのように叫び頭を地面に叩き付けた。
『夢だ…!悪い夢だ…!覚めろ…覚めろ…ッ!!』
しかし幾ら頭を叩き付けても痛みしか感じず彼は蹲ってしまった。嗚咽を漏らしながら蹲った少年をただ見る事しか出来ない彼女達は歯痒い思いであった。
暫くし、彼は立ち上がり腰に挿してあったロングソードを引き抜き震えながら前に進んだ。
橋を渡り進み、一度足を止めて深呼吸する。
『だ、大丈夫だ…。動きなら頭に入ってる…。倒せない敵では無い筈だ…!』
自分を鼓舞するかのようにブツブツと喋りながらゆっくりと歩く。そして…上空からナニカが降ってきた。巨大な体躯に幾本も生えた無数の腕のあるナニカ。ソレは幼さの残った顔で少年を無機質の瞳で見ていた。
『…あ、あぁ………っ』
ソレを目にした少年は構えた剣を下ろしただ震えるしか出来なかった。
ナニカは黄金の剣を構え少年に飛びかかる。少年は無様に転がりながら何とか避けると背中を向けて逃げ出した。しかし入り口にはモヤのようなモノがかかり塞がれていた。
『…ッ!く、来るなッ!うわぁぁぁぁッ!!?』
ナニカから逃げ惑う少年は自分から崖を飛び降り海に落ちた。そんな彼は落ちながら手を伸ばし『助けて…』と呟く。彼女達は咄嗟に手を掴もうとするが少年の手に触れる事は出来ずすり抜けてしまいただ落下するのを見るしか出来なかった。
荒れ狂う波が少年を呑み込む。その瞬間場面が切り替わる。
それは少年の戦いの記憶であった。
兵士と相対した。相手は少年を殺そうとしている。だが…少年は剣を向ける事が出来なかった。ただただ逃げ惑い、追い付かれて殺された。
巨大なコウモリと相対した。少年はその姿に恐れ慄く。がむしゃらに剣を振るうがまったく当たらずに一方的に殺された。
湖で巨大な巨大な竜と相対した。少年は余りの恐ろしさに涙を流し絶望しながらブレスの炎に焼き殺された。
それからも何度も、何度も何度も何度も何度も何度も……。
彼は殺され続け、そして遂に人を殺した。
殺して、しまった。
血濡れた剣に自身の手。生気の無い瞳でコチラを見る死体。そこでようやく自分が何をしたか理解し、少年は嘔吐した。
人を、殺したのだと…そう理解した事に少年は耐えられなかった。吐いて吐いて吐き続け胃液しか出なくなるまで吐いて泣いた。そして背後から迫ってきていた別の兵に斬り殺された。
少年は心折れてしまった。
人が殺せ無い、化け物を殺せ無い…。ただ殺されるだけの自分に絶望し心が折れてしまった…。
ただ膝を抱え座り、飢えて死に、また蘇りまた飢えて死ぬのを繰り返した。楽しかった前の世界の記憶に縋り続けた。
延々と死んで蘇るのを繰り返している少年の姿を見る彼女達は嗚咽を漏らしながら泣いた。こんなのあんまりじゃないかと。
すると少年に動きがあった。
『違う、俺は■■じゃない……。俺は人間の■■じゃない…!褪せ人のシードルだ…!シードルなんだ…ッ!』
(え……?)
ここで彼女達は初めて気付く。この少年がシードル・クラウンであると。
少年■■はシードルというゲームのキャラの仮面を被った。そうしないと彼は壊れてしまうから。
無意識化における自己防衛により、彼はシードルとなった。
少年は……否、シードルは覚束無い足取りで歩く。目の前には巡回している軍兵。敵はシードルに気付くと剣を引き抜き襲いかかる。
『…ッ!ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ッッッ!!!』
獣の様な叫び声を上げシードルは走り出した。両手で剣を握りしめながら。
そこからは無我夢中で戦い、気付くとシードルは敵に馬乗りになり喉に剣を突き立てていた。ゴポゴポと血の泡を口から吐く兵。せめて道連れにしようとシードルに剣を刺そうとする。
しかしその最後の抵抗も盾で防がれた。
『……死ぬならテメェ1人で死ねよ』
剣を横に振り首を断ち切り止めを刺した。その兵を見る目は何処までも冷たく、色褪せていた。
場面は次々変わっていく。
戦い
殺され
殺して
殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺され殺して殺され殺され殺され殺して殺され殺して殺して殺して殺して殺され殺され殺され殺して殺され殺して殺され殺され殺され
殺して殺して殺され殺され殺して殺して殺して殺して殺され殺して殺して殺して殺して殺して殺され殺して殺され殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺され殺され殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺され殺して殺して殺して殺され殺され殺して殺して殺して……
愉快な壺であった。何度も穴に嵌り、何度も共闘した友。そんな友の最後の願いを聞き入れ試練として戦い殺した。
感謝された。〝ありがとう〟〝素晴らしい戦いであった〟と…。最後まで高らかな笑い声を上げながら死んでいった。
大きく勇ましい戦士の壺であった。
自身を無能と蔑む、だが心優しい男だった。戦いから離れ生き壺達と静かに暮らしていたが密猟者から村を守り殺された。
死ぬ最後まで壺達を心配していた。自身は守れたのかと。シードルは優しい嘘をついた。〝守れた〟と…。安心したように笑って死んでいった。
紛れも無い壺達の英雄であった。
自身の従える主を見張る端末であった人狼。しかし最後まで主に忠誠を誓い、しかし呪いに狂ってしまった。そんな彼を介錯した。
最後の言葉は無かった。だが…最後にコチラを見た顔は呪いから解放され正気に戻ったのか微笑む様であった。
忠義の従者であった。
巫女の居ないシードルに力を与えてくれた。トレントを与えてくれた。余り会話は無く会うことも無かったがこうして強くなれたのは彼女のおかげであった。
自身の目的の為に己を種火とし黄金樹を焼いた。止められ無かった。何とか説得しようとしたが眠らされ、目が覚めた時には手遅れであった。
紛れも無い、相棒であった。
そして…
彼は遂に神を殺した。
『……嗚呼、俺は…成し遂げたのか』
彼は涙を流す。静かに今までの戦いを思い出しながら、友を思い出しながら、達成感に震えながら涙を流す。
これから先に待つ地獄の始まりとも知らずに。
『は?』
王座に座り目を閉じる。そして次の瞬間には先程までの光景は無く、巫女の死体があった。
『何故…なんで…!なんで…だよ…ッ!終わりじゃ無いのかよッッ!?』
ここで〝シードル〟という仮面が剥がれてしまい、■■は昔のように泣き叫びながら蹲った。
『…ちくしょう…ちくしょう…ッ!やってやる…ッ!絶対に帰ってやる…ッ!』
そして再び仮面を被った彼は戦い続けた。
あらゆる可能性を模索した。前とは違う結末に辿り着く為に狭間の地を駆け回る。前とは違う結末を迎え………
また、巫女の死体の前にいた。
何度も何度も
何度も何度も何度も繰り返した。
あらゆる事を考えつく限り試した。
【壊れかけの時代】
【律の時代】
【昏き者たちの時代】
【星の世紀】
そして禁忌としていた二つ…
【絶望の祝福】
【狂い火の王】
しかし、何も変わら無かった。何をしても駄目だった。例え狭間の地を棄てても、焼き尽くしても、
何をしても目の前には巫女の死体があった。
何十も、
何百も、
何千も、
何万も繰り返した。
もはや強さの限界に到達していたがそれでも剣技を極めた。
でなければ狂いそうだから。
救えなかった者達を救おうとした。
全ての武器を極めた。
絵画を勉強した。
裁縫を練習した。
ハープを引続けた。
料理のレパートリーを増やした。
魔術や祈祷の新しい使い方を模索した。
何でも良いから何かをしていたかった。少しでも気が紛れるならばと。
──気が狂いそうだった
そしてまた戦い続けた。
いつか終わると信じて。壊れそうな自分を守る為に只々信じる…。
──気が狂い始めていた
そして気付く。
『あれ……俺の本当の名前って……何だっけ……?』
気付いてしまった。自分の名前が思い出せ無い事に。
家族が思い出せ無い。
友達が思い出せ無い。
何も思い出せ無い。
──気が狂ってしまった
彼は壊れた。壊れてしまった。自分が戦い続けてこれたのはいつの日か故郷に帰れると信じていたからだ。
しかし、もはや故郷も大切な人も…自身の真名すら忘れてしまった。心の支えなど等の昔に無くしていた。
それでも、進み続けるしか出来なかった。
──また、巫女の死体の前で目覚めた
それから彼は目に付く全てを虐殺し破壊した。
褪せ人だろうと商人だろうと軍兵だろうと死に生きる者だろうと竜だろうとデミゴッドだろうと神だろうと視界に入った全てを殺し尽くした。
かつて友であった者も、相棒も、全員殺し尽くした。
エルデの獣をも一方的に嬲り殺し、その先のマリカの首を拾う事をせずに踏み砕いた。
王座には着かず、エルデンリングも修復はしなかった。
できたなら大いなる意志すらも殺したかった。
円卓に帰ってきた彼は立ち尽くす。これから何をすれば良い?
こんな八つ当たりに何の意味がある?
こんな人生に何の意味がある?
こんな終らない世界に何の意味がある?
俺に、何の意味がある?
気づけば彼は自身の首を切り裂き自殺した。
そこからはもう止まらなかった。
蘇り、今度は腹を切り裂き死んだ。
蘇り、己を焼き尽くして死んだ。
蘇り、崖から飛び降りて死んだ。
蘇り、水に飛び込み死んだ。
蘇り、毒を飲み死んだ。
蘇り、朱い腐敗で身を腐らせ死んだ。
蘇り、爆薬を飲み込み死んだ。
蘇り続け、死に続けた。
あらゆる方法で死んだ。
──蘇り続けた
『もう…』
『もう……嫌だ…!もう死なせてくれ…ッ!』
もう、彼は死んで解放されたかった。
だが死ねない。
故に彼は円卓に引き篭もり眠った。
このまま永遠に目が覚めないようにと願って……。
彼女達は泣いていた。『もう止めてくれ』『こんなのあんまりだ』『彼が何をしたというんだ』と。
彼が自殺し続ける姿を見た彼女達は蹲って泣いた。
彼の事を何も知らなかった。どれだけの苦痛に苛まれていたのかまるで理解出来ていなかった。
『死にたい』
彼は呟く。
『死にたい』
光の灯らない瞳は虚空を見つめ…
『永遠の死が欲しい』
只々願う。
『誰か…』
『不死の俺を殺してくれ…』
なんか知らんけど庭でラジオ体操してたらカイを除いたウチのメンバーと居候が泣きながら抱き着いてきたんだが。
怖かったからとりあえず【祈祷】拒絶使って弾き飛ばしといた。
あと色んな人からすげー連絡来てたけど怖いから着信拒否と言う名の拒絶をしといた。
はぁー。今日も良い天気☆
〜シードル・クラウン攻略法〜
STEP1、足の付かない程深い水辺に誘導。
STEP2、茹でエビを用意する。
STEP3、茹でエビを水辺に投げる。
こうする事により茹でエビに飛びついたシードル・クラウンは無すすべ無く水に落下して死ぬのだ。例え死ぬと分かっても茹でエビの誘惑に勝てない悲しき生命体…それがシードル・クラウンである。
あと今回ちょっとシリアス多めだったので緩衝材置いときますねー。
【落葉格闘術を極めた系コハル】
ハナコ「水着でお散歩するのは気持ちが良いですね♡」
コハル「エッチなのはダメ!発勁!」
ハナコ「グフッ!?」
先生「正義実現委員会って最初は性技実現委員会かと思ってなんてハレンチなんだ!って思ってたんだ。実際にハスミのスリットから覗く足はエチエチだしマシロもスカート短過ぎてもう見えちゃってエチエチだし実質性技実現委員会だよね!」
コハル「エッチなのはダメ!発勁!」
先生「ゴハッ!?」
先生「ぐっ…そ、それからコハルの身体にある線…どこまで続いてるのか想像すると…捗るよね」
コハル「!!?え、エッチなのはダメ!発勁!(最大溜め)」
先生「グゥバッ!!??」
シードル「実はエロ本って読んだこと無いんだ。エロ本マイスターと名高いコハルのオススメを教えてくれ」
コハル「エッチなのはダメ!落葉旋風脚!」
シードル「俺だけ殺意高グワァーッッ!!?」